サイラオーグさんがこちらを不敵に見返す。
闘志が具現化して俺を押し潰すようだ...
...だからなんだ?俺が逆に潰してやるんだろうが...
「俺は...赤龍帝と拳を交える瞬間を俺はずっと待っていた。委員会に問いたい、もういいだろう?俺とあいつがルールによって、精神的に最高の今この状態で戦えないなどという愚があってよいのだろうか!!俺は次の試合こちらの全部とあちらの全部で団体戦を希望するッ!」
『おぉっと!ここでサイラオーグ選手からの提案が出てしまいました!!』
『確かにこの後の展開は容易に読めてしまう。それではあまりにつまらないという点はありますね』
『それならば、消化試合を垂れ流して流れを切るより次を団体戦にしてケリをつける方がわかりやすいし、何よりも盛り上がるだろうな...仲間をやられて怒りに燃えるイッセーと右腕を斬られるほどの戦いをして最高に滾っているサイラオーグ...ククッこっからでも二人が視線だけでぶつけてるプレッシャーが見えるようだぜ』
『いま、委員会から報告を受けました!認めるそうです!次の試合は決勝戦となる団体戦です、両陣営残りのメンバーでの総力戦になります!!』
会場が沸き立つ...
「...だそうだ。やりすぎてしまうかもしれん。死んでも恨むなとは言わんが、死ぬ覚悟だけはしてくれ」
「...俺は死にませんよ。アーシアと寿命までずっと幸せに生きるのが夢なんでね。...俺を殺すと言うのなら、あんたの夢が体ごと砕け散る覚悟はしておいて下さい」
「...!...いい殺気だ...たまらないなッ!」
.......
魔方陣で飛ぶ直前の事だった。
「イッセーさん、部長さん...私も連れていって下さい!」
「アーシア?今からするのは文字通りの殺し合いなんだぞ...?危ないからここで待っててくれ...」
「なら...尚更連れていって下さい...!!私だってイッセーさんとずっと一緒に居たいんです...!イッセーさんの夢は私の夢です!だから...そんな場所に向かうのなら、私を連れていって下さい...!痛いのだって我慢できます!どんな目にあっても大丈夫です!だって、イッセーさんが守ってくれますから...!だから...私にもイッセーさんを守らせて下さい...」
アーシアが涙目でこちらを強く見つめる。
その目には覚悟が...強い意志が込められていた。
「....アーシア...」
「...どうやら決意は固いようね。これは貴方とアーシアの問題よ?好きになさい」
「アーシア.....そうだな。俺とアーシアはずっと一緒だ。....アーシア...俺と一緒に戦ってくれるか?」
「はい!何処へだってついて行きます!」
アーシアが俺に抱きついてくれる。
そうだ。俺が愛する女は...アーシアは、もう守られるだけの存在じゃない。
俺と共にいてくれて、俺を支えてくれるパートナーだ。
ならばこそ...よりいっそうの覚悟を持てよ兵藤一誠。俺がアーシアを守るんだ...
絶対にアーシアには攻撃させるな...
────────────────────────
団体戦のフィールドには既に立っている。
何もないひたすら広がる平野だ...ありがたい。
これならば確実にアーシアの危機を察知すればすぐに飛んでいける。
俺はもう
「アーシア...プロモーションの許可をくれ」
「はい...!許可します!」
「全く...それは私の仕事なのよ?...まぁプロモーションの許可をほとんどしたことがない王ってのも面白いかもしれないけど」
部長が呆れている。
「アハハハ...俺のこの力はアーシアを守る為に生まれた物なので...」
「わかってるわよ。だからこその成長なのでしょうしね...さて、アーシア。貴女は常にイッセーの後ろにつきなさい。私が兵士を抑えるわ。もし危なかったらリタイアしても構わないし、私がリタイアさせるわ。まぁ、貴女のナイト様が守ってくれるでしょうけど...」
「はい...!部長さんも傷ついたら言ってくださいね!すぐに治しますから!!」
「お願いするわ...そろそろ雑談も終わりましょうか...いよいよ決戦よ!」
「「はい!」」
俺は今持てる全てを解放する。
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』
「...いい威圧感だ、兵藤一誠。なるほどな...これは冗談抜きでお互い無事には済まなそうだな」
「その割りには楽しそうですね...」
「当たり前だろう!これほど昂る事があるだろうか...!!」
「なら、本気で来てくださいね。俺も本気で行きますから...」
「勿論だ...」
サイラオーグさんが闘気を解放する。
『バアルVSグレモリーの若手頂上決戦もついに最終局面です!...それでは、開始して下さい!!』
俺とサイラオーグさんはまだ動かない。
先に動いたのは兵士と部長だった。
兵士が仮面を取り払うと、体を変形させていく...
最終的に出来上がったのは巨大な一匹の黄金に輝くライオンである。
『まさか...ネメアの獅子か!?いや、あの宝玉はまさか...!!』
『と言いますと?』
『あれは恐らく
「残念ながら、所有者はもう死んでいる。俺が見つけたときには既に怪しげな集団に殺された後でな。
『所有者抜きで単独で意志を持って動く
「所有者無しの状態だからか、力がとても不安定でな。このゲームまでとてもじゃないが出せる代物じゃなかった。敵味方見境なしの暴走状態では勝負どころじゃないからな...今回出せるとしたら俺と組めるこのような試合だけだった。いざというときに止められるのは俺だけだからな」
「....何にせよ私の相手はその
部長と獅子も構える。
「さて、待たせてすまなかったな...行こうか、兵藤一誠」
「....はい」
「
『Change burst impact booster!!!』
「...赤龍帝が金の装甲...?」
「これは俺のアーシアへの思いの具現化です...そう易々と打ち砕けると思わないで下さい...砕きたければ俺の想いを越えてみせる事です!」
「フッ...その形態になって更にオーラが増大した...!なるほど...愛されているじゃないかアーシア・アルジェント!」
「アーシアが最高の女だってだけですよ。俺の自慢の彼女です...」
「あぅ...あの...ありがとうございます...」
アーシアは顔を赤くしていた...
『おぉっと!陣地では何度も何度もイチャイチャする様を我々に見せつけていた赤龍帝!戦闘間近のここですら見せつけるのか...!!』
『ハハハッ!だが、こうなったイッセーは強いぞ...?あいつはアーシアに関わる事になると人が変わったように強くなるからな...!にしても何回見ても面白いぜ!!赤龍帝が黄金って!!ワハハ!!ドライグがまた泣くなぁ!!』
『んおぉぉおおおん!!考えないようにしてるんだからほじくり返すなぁぁぁ!!!』
「行きます...!」
「来い!!」
俺はサイラオーグさんに肉薄すると、その腹に一撃をぶちこむ...!!
『Transfer!!』
肘のブースターが爆発する...!
「グハッッッッッ!!!ぬぉおおお!!」
サイラオーグさんの体がくの字に曲がり、少し血を吐くがすぐに立ち直って俺の顔面に一撃を入れようとする。
俺は逆の腕を挟んで防御した。
「くっ...なんという威力...そしてなんという固さだ...!!これがお前の愛だと言うのか...!なんという濃密な意志の塊ッ...!!もはや執念と言っても過言ではない!!」
「まだまだこれからですよ...!!!」
「当たり前だ!!!もっと来い!!!」
「
『Change burst meteor booster!!』
『Transfer!!』
背中を爆発させて、サイラオーグさんに突撃する。
「グッッッッッ!!!ぬぉおおおお!!!」
サイラオーグさんも地面を抉りながら全力で踏ん張っているが...負けるわけにはいかねぇ!!!
ついには浮かせて、そのまま地面に急降下する。
サイラオーグさんの背中で地面を抉りながら突き進む...!!
「ガッッッ!!グッッッッッ!!!ゲホッッッ!!!」
サイラオーグさんはこんな状態でも俺の横腹を殴り付ける...!!
口から血を吐く。まずい...!内臓が破壊される...!!
俺はサイラオーグさんを離して形態を変える。
「
『Change Dragonic Funnel Blaster!!』
俺は二つのファンネルにだけオーラを籠める...
残り4つはそのまま突撃させる...!!
サイラオーグさんが起き上がると同時に二本ずつ発射する。
一発目を両の手で殴り飛ばし、二発目も弾き飛ばす。
しかし腕の位置が外側に向かったので、三発目が腹に突き刺さる。
とはいえ今の俺の魔力による操作はそれほどの威力は出せない。だが、それは問題じゃない。
「バーストォォォォォォ!!!」
サイラオーグさんの腹に刺さった二つが砲撃を放つ...!!
「ぐぅぉおおおおおお!!!!」
サイラオーグさんは闘気を爆発させるが、それくらいで...ゼロ距離から消し飛ばせるほど柔な砲撃じゃないぞ...!!
砲撃が終わった頃には、腹から煙と血を流すサイラオーグさんの姿があった...
まじか...ゼロ距離で肉を多少抉っただけなのかよ...!!
「はぁ...ぐぅ...!...恐るべき力だ...!これほど...これほどとはッ...!!いいぞ!兵藤一誠!!!もっと来い!!!俺に全てをぶつけてみせろ!!」
サイラオーグさんが叫ぶ。
あれだけ食らってまだこんな元気があるのかよ!!
俺はこれでも結構消費してんだぞ!!
と考えているとアーシアからの回復のオーラが当たる。
急速にオーラと体が回復していく...
「...オーラが増大...いや、回復したのか...?ククク...ハハハ!!なんでもありだな兵藤一誠!!!面白い!!まだまだ楽しめるな!!」
くっそ...間違いなく今追い詰めてるのは俺なのに、このままじゃ負ける気がする...!!
「
『Change burst meteor booster!!』
俺はサイラオーグさんに突撃しようとしたが、突如頭に危険信号が浮かぶ...!!
アーシグナル・コールだ!アーシアが危ない!!
俺はサイラオーグさんに背を向けて、アーシアの居る方向へ飛ぼうとする。
爆発する一瞬前にサイラオーグさんに背中を蹴られた。呼吸が上手くできないが今は関係ない!!
『Transfer!!』
神速でアーシアの方向へと突撃すると、今にもライオンに噛まれそうになっていた。
「だぁぁあらぁぁぁああ!!!」
ライオンの横腹に突撃して十数メートル後方まで吹き飛ばす!!
「ぐぅぅぅぅぅっぅ!!!!」
「イッセーさん!!」
「アーシア!!怪我はないか!!?」
「はい!!でも部長さんが!!」
よく見ると部長が血だらけで倒れていた。
「ぐっ...回復役をやり損ねたか...!まぁいい...おい赤龍帝!このままでは貴様の王はリタイアだ!!涙を使え!!」
「お前!!アーシアを狙いやがって!!!魂ごと消し飛ばすぞ!!!!二度と
「イッセーさん!!今は早く涙を使って下さい...!!私の回復のオーラでは多分もう間に合いません...!」
「うっ...すまん!」
俺はアーシアを抱いて飛んでいき、部長に涙を使う。
アーシアも回復のオーラを直接当てていた。
「....情けないわね...私があなた達の枷になるなんて...」
「大丈夫です、部長さん!!すぐに回復します!」
サイラオーグさんもこちらに追い付いた。
「...なるほど...余計な事を、と言えば俺の王としての資質に疑問が生まれるな。いいだろう、それは認める。だが、赤龍帝との一戦はやらせてもらうぞ。後、アーシア・アルジェントへの攻撃も禁止だ。兵藤一誠が俺に集中してくれないからな、ただし
「...わかりました。申し訳ございません、主を思ってこその行動です」
「....アーシア...今からは
「...はい...」
ギリリと歯軋りする。
あいつ...アーシアをなるべく傷つけない配慮なのはわかるけど場合によっちゃアーシアに危害を加えるって言ってるのと一緒だ...!
「サイラオーグ様!私を身に纏って下さい!!あの
「黙れッ!あの力は冥界の危機に関してのみ使うと決めた物だ!!この男の前であれを使って何になる!?俺はこの体のみでこの男と戦うと決めたのだ!!」
その言葉を聞いた時...ブチりと俺の頭の中で血管が切れる音がした。俺はあんたとの戦いをこれでも楽しみにしてたんだ...!あんたとの夢をかけた戦いを...!!意地の押し付け合いを!!!
「おい...あんたそれ本気で言ってんのかよ...あんたがそんな事を言うのかよ...!!」
「兵藤一誠...?」
「あんたはすごい人だと思うよ、尊敬できる人だ。だけど...だからこそ今の発言で俺はあんたに心底失望した...!!己の身一つだと...!?何になるだと...!!?ふざけるな...ふざけるなサイラオーグ...!!」
「...!」
「あんたはこの戦いを夢をかけた舞台だと言ったな!!あんたの夢はその程度か!!?本気で夢かけてんだったら何だって使って勝ってみせろよ!!俺の夢は...!!俺は!!本気だ!!アーシアの力だって
気がついたら感情を全て吐露していた...
「.......すまなかった兵藤一誠....俺が間違っていた...そうだったな、ここは夢をかけて全身全霊で戦うべき舞台だ...俺は未だ生半可な覚悟でここに立っていたようだ。なんと愚かな事か...ッ!!」
サイラオーグさんからかつてないほどの闘気が迸る...
「このような戦いを終生一度あるかないかと想像すらできなかった自分があまりにも腹立たしい!!レグルスゥゥゥ!!」
「ハッ!!」
黄金のライオンは光の奔流となりサイラオーグさんを包みこむ...
「では行こうか!ちなみに俺の夢は魔王となる事だ!!そして俺はお前の夢を決して笑わない!!!...俺は今日この場を死戦と断定するッ!お前の夢がここで砕けても恨むなよ、兵藤一誠!!」
「あんたこそな!!!!」
俺はつい鎧の中で笑ってしまった。
これでこそだ...全身全霊全てを使い尽くして戦わなければこの戦いには何の意味もない!!
あんたに勝った事にならない!!
いよいよ正念場だ...!文字通り全てをかけろ...!!ここが俺の分水嶺だ!!