「我が獅子よ!ネメアの王よ!獅子王と呼ばれた汝よ!我が猛りに応じて、衣と化せぇぇぇ!!!」
「「
まばゆい閃光が辺り一帯を包み込む。
視界が回復した頃に現れたのは黄金の鎧を纏うサイラオーグさんだった。
「
一瞬でこちらに近づくと、俺に殴りかかる!
『Change burst impact booster!!』
「
『Transfer!!』
俺の全力の拳とサイラオーグさんの拳がぶつかり合う...!
バキバキと音を立てて俺の金の装甲が砕けていく...!!
「ぐっっ...!がぁぁぁああ!!!」
それでもなお力を入れようとするが、押し負けた。
拳の骨が砕ける...!!
「今のが俺の力だ。...どうした兵藤一誠!!お前の想いとやらはこんな物なのか!!?」
「まだだぁぁぁああ!!!」
俺は逆の腕で殴りかかるが、サイラオーグさんは一切避けない...!!
バゴンと重い音が鳴るが、サイラオーグさんの腹の装甲に少しヒビを入れるに留まった...
「やはりいい拳だ。この鎧を纏ってなお俺の体に響く...!だが、今の俺を相手取るには全く足りん!!!」
そう言ってサイラオーグさんは俺の腹に拳をぶっさした。
「がぶっっっっ!!」
鎧が砕かれ血を噴き出す...
更に拳を俺の顔面に叩きつけた。
「ぐっっっ...うぎっ...!!」
数メートル飛ばされた俺は、ぐわんぐわん回る視界の中なんとか体勢を立て直した。
「
『Change burst meteor booster!!』
『Transfer!!』
俺はサイラオーグさんに突撃する!!
「甘い!!」
サイラオーグさんは両手で俺の突進を受け止めて、そのまま俺の腹を蹴り抜いた...!
「ガボッッッッッ!!」
血反吐を吐き、バイデントが解除され、うずくまる俺の顔面を蹴り飛ばす。
「.....!!!」
視界がスパークして、俺の意識は暗転した。
────────────────────────
気がつけば真っ暗で何も見えない場所にいた。
意識だけがうっすらと残っているのだろう...
ダメだ...早く立ち上がらないと...!
まだ戦わないと...!!
このままじゃ次にやられるのはアーシアだ!!!
俺が守るんじゃないのか!!?
立てよ!!動けよ糞ッ!!!
どれだけ念じても体が動く事はない...
糞っ!!糞っ!!こんな肝心な所で!!!
「.....イッセーさん」
声が聞こえる...
「....起きてください!!イッセーさん!!」
体全体に優しい温もりを感じる。アーシアのオーラだろう...
「....何だってします!!!キスでも...エ...エッチな事でも...なんでもします!!だから...だから!負けないで下さい!!!嫌です!!イッセーさんが負ける所なんて見たくありません!!」
アーシア...!!わかってる!!俺だって勝ちたい!!夢を否定されたくない!!!
頬に暖かい物を感じる...
アーシアの涙だろうか...
「イッセーさん...愛してます...大好きです...だから...」
アーシアの唇の感触がする...
暖かい...こんなに愛されているのに...
こんなに大好きで、かわいくて、純情で、意外に積極的で、すぐ顔を赤くして、たまに抜けてて、優しくて、愛おしくて、温かくて、強くて、綺麗で、清らかで、いい匂いがして、笑顔が素敵で、料理が上手で、吸い込まれるように美しい瞳で、可愛らしい声で...体だって最高で至高だ。特に太ももとお尻が素晴らしい...そんでもって....甘えてくれて、甘やかしてくれて、支えてくれて、助けてくれて、いつも気に掛けてくれて、俺のために涙を流してくれて、今日だって俺の為に危険を省みず付いてきてくれた。...こんなに...こんなにも特別で、大切で....
こんなに最高の女の子が俺とずっと一緒にいたいって言ってくれてるのに...
こんなに愛してる女が立ってくれって言ってるのに...
こんなに愛してくれる彼女が一緒に戦ってくれてるのに...
今立ち上がらないで、いつ立ち上がる...
今守れないで、いつ守れる...!!
そうだろう...!今この瞬間出来ない奴に次の機会なんてあるわけないだろうが!!
身体中の感覚が戻ってきた...もう、大丈夫だ。
────────────────────────
俺はアーシアを抱き寄せて半身を起き上がらせる。
「...!イッセーさん!!」
アーシアの顔は涙で濡れていた。
俺にまたがって治療や...キスをしてくれていたみたいだ...
「全部聞こえてたよアーシア...ありがとう...アーシアのお陰で戻ってこれた...」
アーシアをぎゅっと抱きしめる。
...こうしてるだけで無限に力が沸いてくるようだ...
「なぁ、アーシア」
「はい、イッセーさん」
「もう一回、キスしてくれるか?」
「...はい!イッセーさんとなら何度でも!」
アーシアと口づけを交わす。
観客が見ていようが、敵が目の前に居ようが関係ない。俺は今アーシアとキスがしたい!!
愛おしい...好きだ好きだ好きだ!!大好きだ!!
10秒ほど、互いを貪るような濃厚なキスをしてから口を離す...
俺達を繋ぐ唾液の糸が切れた瞬間、俺の体から信じられないくらいの力が溢れだした。
「ありがとうアーシア...何回言っても言い足りないけど...愛してる。大好きだ。ずっと側にいてくれ。俺はもうアーシアが居ないと生きていけないんだ」
「私もイッセーさんが居ないと生きていけません...ずっとお側にいさせて下さい!大好きです!!」
俺はアーシアを最後にもう一度だけ抱きしめて、その場を離れた。
「いくぞドライグ...」
『俺は嫌な予感しかしないからやりたくないのだが...』
「いくぞドライグ!!」
『わかっている!!もう知らん!!!どうにでもなってしまえ!!』
ドライグの叫びが響き渡る。
ブーステッド・ギアの宝玉が赤く輝きだす...!!
『教祖様ー!!!!我々の祈りを今!!解放するのです!!!』
『アーシアたんバンザイ!!!』『アーシアたんバンザイ!!!』
『聖女様バンザイ!!!』『聖女様バンザイ!!!』
『アーシアたんすこすこ!!』『アーシアたんくっそすこ!!』
『L!O!V!E!ラブリー!アーシア!!』
宝玉から赤色の人型のオーラが数十体ほど現れると、祈りを始めた...
アーシア教の祈りが会場に響き渡る...
アーシアは人生で一番困惑していそうな顔だ。
アザゼル先生はマイク越しで大爆笑してるのが伝わる。
部長は頭を抱えてうずくまった!
『...アーシアたん...バンザイ...アーシアたんバンザイ!!』
ドライグがついに壊れた。ごめんなさいドライグ...
詠唱が頭に浮かぶ...いや、自然と口から漏れでてくるようだ...
人型のオーラが俺の詠唱に答えてくれる。
「我、目覚めるは愛の律にて理を蹂躙せし赤龍帝なり!」
『極点の愛を捧げ、無垢なる愛を纏いて、ただ平穏を望まん』
「我、仇なす一切に滅尽をもたらす者。唯一絶対たる我が聖女の守護者と成りて!」
「「「「汝を我等が安寧の礎へと沈めよう!!」」」」
人型のオーラが黄金に輝き俺の元に集まり、紅蓮の光が全てを飲み込む。俺の体を新たな鎧が包み込んでいく...
光が収まる頃には全てが終わっていた。
全身の鎧は全体的に大きく、厚くなって、金の鎧に変化した。
その代わりとばかりに立ち上るオーラは完全にドライグのものだ...
この状態はアーシニウムエネルギーを鎧全体に注ぎ込む事で、最強最硬の鎧を生み出している。
代わりにこの状態でのエネルギー運用は全て自分の体力やオーラなどになる。
装着してるだけでもおぞましいほどのエネルギー消費だが...
ドライグのオーラで金の鎧が赤く赤く輝く...
これもう実質赤と一緒だろ。だからドライグ許して...?
名付けるなら...!
「
『おぉっと!赤龍帝が赤いオーラに包まれたと思ったら!!新たな鎧を身に纏ったぁぁぁ!!というかこれは本当に赤龍帝なのか!!?赤くないぞ!!』
『アッッハハハハハハ!!!あいつまじでやりやがった!!!全身金ピカじゃねぇか!!!ククククク...!!!ダメだ...!!興味深い以前に笑い死ぬ...!!!』
『教祖様...』
「ドライグ...やめてくれ...俺が悪かったから、今度アザゼル先生にカウンセラー頼もうな?だから今は落ち着こうぜ?」
『...はっ!...意識を失っていた...うぅ...ぬわぁぁぁあああん!!!ついにやってくれたな相棒!!!お前は絶対にこうすると思っていたんだ!!!覚悟していても辛い!!!心が張り裂けそうだ...!!』
「待ってくれドライグ!!客観的に見てみろ!!今の俺達のオーラは真っ赤っかだ!外から見れば俺の体は赤みたいなもんだ!!だから赤龍帝だろ?」
『鎧は金だろうが!!!うわぁぁあああん!!んぉおおおおん!!!俺は赤い龍なんだぁぁぁあ!!!』
流石に無理があったかぁ...
「ごめんドライグ、この事は一度じっくり話し合うとして、サイラオーグさんを待たせてるから戦おうぜ」
『グスン...わかった。この戦いが終わったら絶対だからな...!!嘘ついたらストライキしてやるからな...!』
天龍の口からストライキなんて言葉が出るとは...
「すみません...長らくお待たせしてしまいました」
「いいや構わんさ。お前が何かに羽化しようとしていたのは、お前が倒れてからすぐにわかった。お前が俺に全てを出せと言ったんだぞ?お前が全てを出すのを待つのは当然だろう!俺だって全力のお前をねじ伏せてやりたいんだからな!!」
「ありがとうございます!!」
「会場も色々な意味で盛り上がっている。この光景を...今のお前と相対するこの時の為ならばいくらでも待てたとも!...しかし!散々目の前でお預けさせられていたんだ...!餓えに餓えた俺のこの力!どうか受け止めてくれよ!!?」
「そちらこそ!!行きます!!!」
俺達は衝突する。
普通にブースターを起動したつもりなのに一瞬でサイラオーグさんの元にたどり着いていた。
そのまま衝突する。
「がっっっ!!!」
サイラオーグさんが少し吹き飛ぶが、すぐに立て直して俺の顔面を殴る。吹き飛ぶ事も、鎧が砕ける事もなく、すぐに静止した。
俺はそのまま拳を顔面で押し返し、サイラオーグさんに肉薄する。
腹を殴る。鎧が砕けて内部にまで響いた感触がある!!
「ぬぅぅぅ!!ガハッ!!」
すげぇ...!あらゆる行動の出力が自分でも制御できないくらいに上がっている...!!
防御力も...!サイラオーグさんの拳で鎧がびくともしていない!!まぁ多少内部に衝撃は響くが...
『あぁ...だがそれ故にあっという間にこの状態は解除されかねんぞ...あまりに高出力過ぎる...!』
そうだな...この鎧はバイデントが最初から付属しているんだ...出力が高すぎる...!!
それ故にエネルギーの消費が酷すぎるんだ...
維持するので精一杯レベルだ!!
「なら!今のうちに削れるだけ削る!!」
俺はサイラオーグさんの右の拳を腹にあえて受けて、二の腕に肘を叩き込む!
「ぐっっっっ!!!」
予想外に大きい痛みに怯んだようだな!!
「それは皆が俺にくれたアドバンテージだ!!もう一発!!!」
同じ場所を蹴りあげる!!
激痛で動けないサイラオーグさんの顔面に、もう一発真正面から拳をぶちこむ!!
鎧が砕ける感触を感じる。
「がっっっっ!!!」
サイラオーグさんは数メートル吹き飛んですぐに立ち上がる...
右腕をぷらんと垂らしながら...
「づっ...なるほど...フェニックスの涙でもまだ完治していなかったわけか...流石デュランダル...いや!お前の仲間達だと言っておこう!!俺の右腕はしばらく使い物にならず、今の所攻撃も通じず俺の鎧が砕かれるばかりか...たまらないなッ!!!これほどの逆境!!燃え上がらない男がいるものかッ!!!」
「らぁああああ!!!!」
サイラオーグさんは飛んで来た俺に対して真正面から腹に膝蹴りを突き刺す。
「ぐっっ!!!だらぁぁ!!!」
俺はそれを耐えてサイラオーグさんの胸に拳を叩き込む
「がはっっっ!!!」
よろめいたサイラオーグさんの太ももに蹴りをぶちこみ、顔面を拳で撃ち抜く!!
それでもサイラオーグさんは立ち上がる。
「グクッ....いいぞ...兵藤一誠...!これほどの拳は...生涯食らった事がない!!もっと来い!!」
フラフラしながらもそう言ってくる。
くっそ...!まだ倒れる気配はないな...!!
俺は再び肉薄すると、サイラオーグさんの顔にアッパーを入れようとしたが、気がつくと地面に倒れていた...
「.....顔面殴られて...一瞬意識が飛んでたのか...」
顔面の鎧が修復される感覚がある。
やっぱり一筋縄でいけるほどサイラオーグさんは甘くないな...
さっきまで間違いなく俺が圧倒していたのに...急激にパワーアップしやがった...
『いや、それもあるが相棒、ただでさえダメージを受けて血を吐きすぎている。お前の体力が減りすぎているのだ...今は俺がなんとか鎧の出力を大幅に抑えて、辛うじて維持させているにすぎん。とはいえそれも俺の集中力がいつまで保つか...』
そっか...ありがとう。負担かけてすまんな...
...早く決着つけないとな...
『気にするな。勝つぞ相棒!!これで負けたら絶対に許さんからな!!!』
「あぁ!!行くぞサイラオーグゥゥゥぅ!!!!」
「兵藤一誠ぃぃぃぃぃぃ!!!」
お互いの鎧を砕き合いながらの殴り合いが始まった。
俺も防御を極力捨てて、攻撃に集中している。
内臓は破裂して骨にヒビが入り肉は叩き潰される...
それはサイラオーグさんも同じだ...!!
ただひたすらに互いの体を破壊し尽くしていく...
くっ!右腕が逝った...!!
だけどもう痛すぎてどこも痛くない...ならまだ殴れる!!
「ゲェェェッ..!!げぼっ!!はぁ...あ゛ぁ゛...」
血反吐が大量に喉を逆流して呼吸の邪魔をする...
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
俺の拳が顔面に突き刺さる。
数メートル吹き飛んだサイラオーグさんはそのまま動かなくなった。
だが...消えない。まだ戦えるんだ...
きっとすぐに立ち上がるだろう。
アーシアが駆け寄って回復してくれる...
妙に回復が遅いな...オーラもあまり回復してくれない...
「ア゛ージア゛...だい゛...じょぶ...」
喉が逝ったのか声が出ない...俺はアーシアの頭にぽんと手を置いて、治療をやめさせる。
多分...サイラオーグさんの俺をうち砕き勝利するという狂気にも近い執念が呪いと化して俺の回復を阻害してるんだ。
アーシアは無言で俺に一度抱きついて後ろに下がった...
ありがとうアーシア...また、ちょっとだけ力が沸いてきた...
サイラオーグさんが立ち上がる。
原作みたいにお母さんに立てって言われてたのかもな...
だって...獅子王の輝きが更に増している。
これがサイラオーグ...俺が打倒すべき漢...!!
「オ゛オ゛オーオオオ゛ーオオオ゛オオ゛オ゛オオオオオ゛──オオッッ!!!!」
血反吐を吐きながらの...お世辞にも綺麗とは言えない獅子の咆哮が響き渡る。
でも...その咆哮は、サイラオーグさん自身だけでなく、俺すらも奮い立たせた。
もう、ほとんど動けないと思ってたのに再び身体中に力が漲る...
....俺だってもうボロボロなのに...もう一度ぶつかり合えだなんて、ひでぇ人だ...
「~~~~──ーッッ!!!」
声にならない叫びを上げて俺はサイラオーグさんと再びぶつかり合う。
何度も何度も、互いのぐちゃぐちゃになってる体を破壊し合う。
額をぶつけ合って、互いにたたらを踏んでよろめく...
くっそ...!!もう立っているのが精一杯だ...
後一発...!一発だけ当てれば勝てる!!
もうお互い死にかけだ!!!
一発だけ...!!
お互いに体を正面からぶつけ合う。
もはや腕は機能していない。ならば使えるのは体だけだ...
これでは抱き合ってるのと変わらない...
それでも懸命にお互い体を押し付け合う...
「オ゛オ゛オオ゛オ゛ォォォ!!!」
「ア゛ア゛──ァア゛ァ゛!!!」
突如背中に衝撃と温もりを感じる
アーシアが俺に飛びついて
今度はだんだんと体が回復していく...
今の衝撃でサイラオーグさんは倒れこんだ。
アーシア...そうだな!!例えどれだけサイラオーグさんの執念がすごいからって、俺とアーシアの愛に勝てるわけないんだ...!!
俺とアーシアの二人ならどんな困難だって乗り越えられるのだから!!
「サイラオーグさん...俺一人じゃ絶対に貴方には勝てませんでした...けど...俺とアーシア...二人で支え合う事で俺達は強くなってきたんです...だから...これで終わりです...」
「.....あぁ...お前達の愛とやらに...俺は負けるんだな...だが...存外悪く...ない...もんだ...」
俺はサイラオーグさんに最後の一撃を...感謝を込めた一撃を叩き込む。ありがとうございました!!あなたのお陰で俺は...夢への更なる一歩を踏み出せました!!あなたの夢は俺が喰い破りましたが...俺は知っています。あなたは必ず立ち上がる。だから...
『サイラオーグ・バアル選手、戦闘不能!!ゲーム終了です!!勝者!!リアス・グレモリーチーム!!!!!!』
会場が歓声に包まれる...
「イッセーさん!!!」
俺は鎧を解除して振り向き、アーシアを抱きしめる。
「アーシア...ありがと...」
「きゃっ!」
俺はアーシアに覆い被さるように気絶してしまった。
初めてアーシアを下敷きにしてしまったな...大失態だな...