アーシアしか勝たん   作:min-can

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第70話。 受けます、昇進試験!

 遂に迎えた試験日当日、気分は運転免許の試験だ。

 なんか何回でも受け直せる所とか、もう一回受けに行くのはめんどくさいから一発合格したい感じとか、かなりそっくりだと思います。

 しかし...試験の後いよいよ決戦が始まるんだよな...

 

 試験会場の昇格試験センターの近くのホテルに皆で転移して、俺、木場、朱乃さんの三人で会場に向かう。

 ちなみに皆と言ってもギャスパーはグレゴリの研究所に行ってしまった。ギャスパーも修行して頑張っているのだろう。

 

「イッセーさん!木場さんに副部長さんも!試験頑張って下さい!」

 

 アーシアがオーフィスを膝に乗せながら応援してくれる。

 流石に短期間で仲良くなりすぎて若干怖いんだが...

 まぁいいや!流石はアーシア!!

 

「おう!頑張ってくるからな!」

 

 すると、アーシアはオーフィスを膝から下ろすと俺の方に駆け寄ってきた。

 

「アーシア?」

 

 アーシアは俺の耳元に口を寄せると、こう呟いた。

 

「ちゃんと合格出来たら、イッセーさんにご褒美あげます...」

 

「ま...まじですか!?」

 

「はい!」

 

「よっしゃあああ!!絶対合格するからな!!」

 

「頑張って下さい!」

 

「おう!!」

 

 俺はやる気いっぱい試験会場へと駆け出した。

 

 ────────────────────────

 

「ようこそお出でくださいました。リアス・グレモリー様の眷属の皆様ですね?お話は伺っております。念のため、確認のできるものをご呈示下さい」

 

 試験会場に入って早々、スタッフの人にそう言われたので推薦状等を見せると、今度は受付に案内された。

 

「そちらの受付で必要事項を記入の上、受験票をお受け取り下さい。その後はそのまま上階の筆記試験会場に向かっていただいて結構です。お持ちのレポートも筆記試験の前に担当官に提出してください。では、私はこれで失礼致します。良い結果を」

 

 スタッフの人は何処かへ行ってしまったので、俺達は早速書類に取りかかる。

 回りを見渡すが、ほとんど人は居ないようだ。

 

「....あんまり受験者はいないんだな」

 

「そりゃね。昇級試験に臨める悪魔なんて、今の平和な冥界ではごくごく珍しいんだよ。上級悪魔の方はもっと少ないと思うよ?」

 

 そうなんだよなぁ...普通はコツコツ仕事で手柄を得たり、レーティングゲームで活躍して試験を受ける資格を手に入れるのに、なんでこんなに事件に巻き込まれるんだろ。主人公だからですね。

 

 必要書類も書き終えて、いよいよ試験会場に向かう。

 俺は受験番号12だ。木場は11で朱乃さんが10。

 三人で並んで座っていると、ひそひそ噂されている事に気付いた。

 

「あれって、グレモリー眷属だよな?」「魔王様からの推薦ってマジだったんだな...」「天龍の巫女は一緒じゃないのか...俺、結構ファンなんだけどな」「バカお前!赤龍帝の前でそんな事言って殺されても知らねぇぞ!!」

 

 アーシアのファンを殺すなんてとんでもない!むしろばっちこいですよ...というか未だになんだかんだ俺は凶悪キャラで通ってるんですね。その程度で殺すのは悪魔にしてもやばすぎませんか?

 

「うふふ、言われてますわよイッセー君」

 

「朱乃さん...俺の評判はどこへ向かっているんでしょうか?」

 

「さぁ?まぁイッセー君らしくて良いんじゃないかしら?」

 

「何処がですか...」

 

「アーシアさんに関しちゃ、イッセー君は本当に何をしでかすかわからないからね。サイラオーグさんとの戦いで起こった現象なんて、あまりの意味不明さに冥界の研究者が全員匙を投げたそうだよ?」

 

「そんな事になってたのか...そういえば最近アザゼル先生も俺の神器(セイクリッド・ギア)見せろって言わなくなっちゃったな...」

 

 などと喋っていると、試験官が現れてレポートを回収した後に筆記試験が始まった。

 

 ────────────────────────

 

「あぁ...ようやっと終わった...」

 

 今は皆と食堂でご飯タイムだ。

 俺はもちろんアーシアの手作りお弁当だ。

 おいしい...疲れた体に染み渡る...

 

「お疲れ様、イッセー君。ちゃんと解けたかい?」

 

「え?あぁ...まぁ、みんなのお陰で7割くらいは自信あるかな?後はちょっと怪しいかもしれない」

 

「あらあら、まぁ筆記の合格圏内はおよそ8割ですから、残りの正答率に期待ですわね?」

 

「はい...しっかり自信ありますって言えれば良かったんですけど、まぁ詰め込んだ割には頑張ったんじゃないでしょうか」

 

 どうせ二人は余裕なので聞くまでもない。

 食事を終えると、次の会場に向かった。

 

 あっまずい、お薬忘れてた...

 

「ドライグ、薬の時間だぞ?」

 

『あぁ...ありがとう』

 

 ドライグはファーブニルの件以降、今まで以上に精神的に参っていた。腐っても強大な龍同士、仲間意識があっただろうにあの壊れ様ではな...

 

『ふぅ...よし、少しづつ落ち着いて来たぞ。この前は随分醜態を晒してしまったがな、少しづつ整理できてきたぞ。あいつはもう龍王とは思わん。あいつはお前の同類だ、真剣に考えると損をすると俺はいい加減学んだのだ』

 

「そうだな。ファーブニルの事はもう考えない方がいいよドライグ。これからは四大龍王で行こうな。逆にタンニーンさんをぶちこむか?」

 

『四大龍王と思うことにする』

 

「そっか...」

 

「ねぇ、イッセー君。アーシアさんがファーブニルと契約したとは聞いたけど、何かあったのかい?」

 

「え?えぇと...端的に言うと、ファーブニルがぶっ壊れてて、最終的にアーシア教に入信したって感じかな」

 

「ねぇイッセー君。君は一度自分のしている事を振り返った方が良いんじゃないかな?これ以上ドライグを傷つけたら可哀想だよ?」

 

「俺だってこんな事になると思ってなかったよ!!そもそも最初からファーブニルはアーシアのパンツを求めるくらいに壊れてたんだよ!更に壊れるのも時間の問題だろうが!」

 

「それは...うん、まぁなんだろう。本当に同類だったんだね。金色同士通じ合う物があったのかな?」

 

「否定しきれないのやめて...」

 

「あらら、アーシアちゃんも大変ね」

 

「はい...今度アーシアとゆっくりお出かけしようと思います。アーシア教だのなんだの、アーシアもかなり困惑してるようですし、苦労をかけてるみたいですから...」

 

「ぜひそうしてあげてくださいな」

 

 などと言っている間に会場へと到着した。

 今は他の受験者も各々、ストレッチしたり体を温めている。

 やがて、試験官が現れて、説明を始めた。

 

「実技試験は至ってシンプルです。受験者の皆さんで戦闘してもらいます。ただし、総合的な戦闘力などを見るので、負けたとしても合格の可能性はあります。ルールは特にありません。ただし、明らかに故意で殺害した場合は失格とさせていただきます」

 

 とりあえず俺は殺さない事だけを考えておこう。

 

「中級悪魔の試験は上級悪魔と違って戦略面の試験がないので案外シンプルですわね」

 

 朱乃さんが言う。戦略ってまじかめんどくせ...魔王様とサイラオーグさんに言われたから頑張って試験受けに来てるけど、上級は断ろうかな...戦略が一番苦手なんだよ俺は。

 

 試験が始まってしばらく、俺の番が来た。

 

 俺は守護者のプロモーションを手に入れてから、ついに禁手化(バランス・ブレイカー)にカウントダウンが必要無くなったんだ!

 すごく嬉しい!もうあのうるさいカウントを聞かなくて良いだなんて!!

 

「それでは試験を初めて下さい!!」

 

 相手はさっきのアーシアファンの男性だな。禁手化(バランス・ブレイク)は流石にしないと負けそうだけど、プロモーションは必要なさそう。

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!』

 

 相手は魔力弾を大量に撃ってくる。

 俺はそれを無視して突撃、そのまま腹に一撃を入れる。

 

「がはっっっっ!!」

 

 男は倒れた。すまぬ同志よ、どうしても合格したいので高得点狙わせてもらうぞ!

 

「...兵藤一誠選手の勝利です!」

 

 試験官が告げる。

 なんか周囲の反応が静かだな。また俺何かやっちゃいましたか?

 やべ...流石にちょっと可哀想だったかな...でも筆記が点数心配だからここで点稼がないと不味いんだもの。

 黙祷...

 

「お疲れ様、イッセー君。瞬殺だったね」

 

「そうだな...不味かったのか?」

 

「うーん、どうだろう。君のイメージという意味では不味かったかもね」

 

「まじか...」

 

「次の試合は....」

 

 試験官さんは冷静に進行してくれるので、だんだんと元の雰囲気に戻っていった。良かった良かった。

 あの微妙な雰囲気には耐えられそうになかったもん。

 

 二人は俺よりもう少し、魅せながら戦っていた。

 しまった...瞬殺よりそっちの方が点数高いのか?

 でも俺が魅せる戦いってどうすればいいんだ...?

 相手の攻撃全部受けるとか...?

 

 なにはともあれ、無事に試験は終了した。

 

 ────────────────────────

 

「うし、試験お疲れさん。乾杯!」

 

 アザゼル先生は既にワインをボトル二本開けていた。

 飲むなぁこの人...

 俺達はホテルのレストランを部長が貸し切りにして、そこでご飯を食べている。

 

「イッセーさん、試験どうでしたか?」

 

「うーん...筆記はちょっと微妙かもしれない。7割くらいは自信あるんだけど、後はちょっと怪しくて...」

 

「そうなんですか...でも、きっとイッセーさんなら合格してます!」

 

「ありがとうアーシア。そうである事を願ってるよ」

 

「主にお祈りしておきますね!」

 

 アーシアは神様に祈ってくれた。痛い痛い...!!

 

「アーシア!!頭痛が...!!」

 

「ご、ごめんなさい!!」

 

 アーシアが祈りを止めると頭痛が止まった。

 

「大丈夫ですかイッセーさん!!ごめんなさい!私ったらすっかり忘れてて!」

 

 アーシアが神器(セイクリッド・ギア)で頭を回復してくれる。

 

「ん、大丈夫大丈夫」

 

 アーシアは少ししょんぼりしていた。

 

「大丈夫だって!祈ってくれて嬉しかったよ」

 

 アーシアを抱きしめる。

 

「イッセーさん...!」

 

「はいはい、ごちそうさん!折角いい気分で酒飲んでんだから余所でやってくれよ...」

 

 先生に苦言を呈される。

 

「....赤龍帝、我もアーシア教入れば、グレートレッド倒せる?」

 

 突然オーフィスが話しかけてきた。

 

「え?いやぁ...それはどうだろう...」

 

『バカなオーフィス!!お前まで!お前までそっちに行ってしまうと言うのか!!』

 

「おうおう!入れ入れ!もう禍の団(カオス・ブリゲード)なんかどうでもいいだろ!お前もイッセーとアーシアの摩訶不思議パワーにあやかっちまえオーフィス!!」

 

 アザゼル先生いい感じに酒入ってんな...

 

「わかった、我入る。赤龍帝、何すればいい?」

 

「ちょっと待ってください!流石に見逃せませんよ!大体何ですかアーシア教って!」

 

 ルフェイが抗議する。

 

「アーシア教はアーシアを崇める宗教だよ。アーシアが好きならそれはもうアーシア教徒だ」

 

「え?何ですかそれは...」

 

 ルフェイは軽く引いている。

 

「赤龍帝、我何すればいい」

 

 オーフィスが俺の服をぐいぐい引っ張る。

 

「えぇと...アーシアたん、バンザイ!って」

 

「アーシアたん、バンザイ」

 

 オーフィスが無表情で手を上げる。

 

「...何も起きない」

 

「それはオーフィスのアーシアへの思いが足りないんだよ」

 

「イッセーさん...恥ずかしいです...」

 

 アーシアに抱きつかれる。

 

「アーシア...ごめん、オーフィスもアーシアに懐いてるようだし、ファーブニルみたいな感じでオーフィスにも力になって貰えるかなって」

 

「我、アーシア嫌いじゃない」

 

「オーフィスさん、ありがとうございます...でも、とにかくイッセーさん!あまり人前でアーシア教の事は...恥ずかしいんですよ?」

 

「そ...そりゃそうだよな!ごめんアーシア!!なんでもするから許してくれ!!」

 

「イッセーさんや皆さんのお気持ちは本当に嬉しいですけど、私なんかにそんな...」

 

「そんななんて言うんじゃないアーシア!!アーシアはここに居る誰よりも魅力的なんだ!!」

 

「あぅぅ...うぅ...」

 

 アーシアが顔を真っ赤にしてあたふたしている。

 可愛い!!

 代わりに周りの視線が少し痛いけど。

 

「どうだオーフィス!!アーシアは可愛いだろうが!!なにかこう...!胸に来るものがないか!?」

 

「....わからなくも、ないかもしれない」

 

「オーフィスさん!?」

 

 などとどんちゃん騒いでいると、突然ぬめっとした気持ち悪い感覚に襲われた。

 これは...!絶霧(ディメンション・ロスト)の結界に包まれる感覚...!

 

「ありゃりゃ、ヴァーリはまかれたようにゃ。本命がこっちに来ちゃうなんてね」

 

 黒歌が呟く。

 いよいよ、曹操との戦いか...

 まじで気を引き締めないとな...!

 ここからは今までと比較にならない大戦争だ...!!

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