「....アーシア...?」
俺は目に前の状況に理解が追い付かなかった。
「な...なんで...なんで飛ばなかったんだアーシア!!ここがどうなるのかわかってるだろ!!」
俺はアーシアに怒鳴る。初めてアーシアに怒鳴ったかもしれない...
「わかってないのはイッセーさんです!!私...今度という今度は許しませんから!!」
怒鳴り返された...何を言って...
「イッセーさんは...私の事をパートナーって言って下さいました。私、本当に嬉しかったんです!イッセーさんに守られるだけで終わりたくないって...そう思っていましたから...だから、頼りにしてるって言って貰えて、イッセーさんのサポートをできる力も授かって、闘いでもイッセーさんの役に立てるんだって...嬉しかったんです...」
アーシアがポロポロと涙をこぼしながら語る。
「サイラオーグさんとの闘いでもそうでした。守られてる癖に何を言ってるんだって思われるかもしれませんけど...イッセーさんは、本当に危ない戦いでは、私を置いていこうとしました。さっきだって...私は、嫌なんです。ヴァーリさんとの戦いで...私の知らない間にイッセーさんが死にかけていて...すごく...すごく怖かったんです...」
「アーシア...」
「私、死ぬのなんか怖くないです。痛いのも怖くないです。何よりも...イッセーさんが居なくなるのが怖いんです...私が何もできない場所で、私の居ない所でイッセーさんが苦しむだなんて嫌なんです...」
「...ごめ...」
「謝らないで下さい!!私...私、もうイッセーさんの言うことは信じません!!私はイッセーさんがどんなに反対したって、どんなに拒否したって、何処へだって勝手に、イッセーさんの行く場所に着いていきますから...!!絶対に一緒に行きますから!!イッセーさんが今日死ぬのなら私も今日死にます!!それくらいの覚悟、ずっと前に出来てます!!」
「...俺はアーシアに傷ついて欲しくなくて...」
「わかってます。でも、私だってイッセーさんに傷ついて欲しくありません。でも、イッセーさんは止まりませんから。何度でも怪我しちゃいますから。だから...せめて私が治せるように付いていきたいんです。それに...私は死にませんよ?私が死ぬのはイッセーさんが死ぬ時ですから、イッセーさんを私が死なせなければ良いだけです!」
「そんな暴論...ったく...そんな事言われたら...」
涙が溢れてきた...そうか、俺の思いはアーシアを傷付けていたんだな...
確かに、俺だってもしもアーシアが俺の居ない所で大怪我をしたって聞いたらどうにかなってしまいそうだ...
アーシアは何度か言ってくれていたのに...ちゃんと行動で示してあげてなかった俺が悪い。
言うこと信じないって言われて当然だわ...
口先だけでは頼りにしてると言っておきながら、最初は遠ざけようとして、結局押しきられてアーシアと一緒に戦って、戦いではアーシアに何度も助けられて...
とんだ嘘つき野郎だわ...
「...今度こそ本当にわかった。心に刻み付けた...もう謝らない。迷惑かけて当たり前なのが俺達なんだもんな」
「はい!そうです。...大体イッセーさんばかりズルいんです。私だってイッセーさんを守りたいのに...」
アーシアがぷくりと頬を膨らませる。可愛い。
「アハハ...正直アーシアが居なかったら10回以上は死んでたと思うけどな」
「フフ...私だってイッセーさんが居なかったら何回死んでたかわかりませんよ?」
「うん...じゃあ、行くか!」
「はい!オーフィスさんはもう家族ですから!私達で助けないと!」
「そうだな」
俺達はシャルバの居る方へと歩いていく。
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不味い忘れてた...アーシアは特に次元の狭間では活動できないんだから事前に準備しとかなきゃだった...
「アーシア、今こそファーブニルを呼ぼう!このままじゃアーシアが次元の狭間の無に当てられてしまう。ファーブニルのオーラならしばらく保つだろ」
「はい!イッセーさんの強化も出来ますしね!」
アーシアがそう言って詠唱を始める。
「我が呼び声に応えたまえ、黄金の王よ。地を這い、我が褒美を受けよ。お出でください!
アーシアの目の前の金色の魔方陣からファーブニルが現れた。
「...アーシアたん、教祖様、この前ぶり」
「お久しぶりです!」
「久しぶり!!ファーブニル悪い!!ちょっと思ったよりも時間が無くなったんだ!!お前に召喚の代償をあげる時間がねぇ!!とにかくアーシアを守ってくれないか?アーシアが死ぬのはお前も嫌だろう?」
「えー、...わかった。その代わり、次の召喚ではいっぱい要求する」
「それでいい!それじゃあ行くぞ!!」
「はい!!」「おー」
最初からフルスロットルだ!最速でシャルバをぶち殺して、さっさと帰る!!
「我、目覚めるは愛の律にて理を蹂躙せし赤龍帝なり!」
『極点の愛を捧げ、無垢なる愛を纏いて、ただ安寧を望まん』
「我、仇なす一切に滅尽をもたらす、無垢なる聖女の守護者と成りて!」
「「「「汝を我等が平穏の礎へと沈めよう!!」」」」
『Blondy Bursted Full Drive!!!』
「聖女守護せし山吹の赤龍帝(ブロンディ・ウェルシュガーディアン・プロモーション)!!」
俺の体は黄金に包まれる。
「俺様も頑張る...アーシアたん、バンザイ!!」
俺とアーシアはファーブニルのオーラに包まれて、一気にパワーアップする!
アーシアはファーブニルに乗って、俺と一緒にシャルバの方へと突撃していく。到着したらアーシア達には少しだけ下がって貰ってシャルバと一対一だ!!
ファーブニルにはアーシアの防御に最大限集中してもらう。アーシアは俺のサポートだ。
「貴殿が来たか赤龍帝。ファーブニルまでいるのは気になるが...まぁ良い。それにしても聞いていた通り、全身金色の鎧だな。汚物の龍が己の誇りすら捨てて何を残すというのやら...」
「アーシアへの愛が残ってる!!それさえあれば充分だ!!」
「愛などと下らない...最も下らないまやかしだ!!この場で貴様らを最大限まで蹂躙して、なぶり殺し、冥界での殺戮劇の練習台としてやろう!!」
シャルバが大量の蝿を操り、大量の陣を作って極大に魔力を放つ!!
「正面から受け止めてやるよ!!」
『Dragonic Funnel Blaster!!』
俺の背中の翼が8つのファンネルへと変形して、それぞれシャルバの方を向く。
「バースト!!!!」
魔力と俺の砲撃は真正面からぶつかって、大爆発を起こす...!!
『相棒!!こいつを倒すだけのエネルギーは充分にある!!後ろにあの娘も居るしな!!一切遠慮せずにぶちかましまやれ!!』
「なぁドライグ!!こんなに頼もしい事があるか!?お前が全面的に協力してくれて!ファーブニルのオーラの補助に!後ろにはアーシアが待機してくれていつでも俺のオーラを回復してくれる!!これで負ける訳がねぇよ!!!」
『あぁ...天龍の...相棒の力、奴の冥土の土産に見せつけてやれ!!』
背中のブースターを爆発させる!
神速でシャルバに近づいて、腹に拳をぶちこむ!!!
「ぐはっっ!!!」
吹き飛んで、地面に叩きつけられたシャルバの元に、背中のブースターを再び爆発させて接近し、腹に膝をぶっさす!!!
「げぇぇぇぇぇ!!!」
血反吐を吐き出す!!
俺は少し浮いて、ドラゴンショットを叩き込む!!!
大爆発が発生して、俺は一旦下がる。
シャルバがボロボロの体を引きずって立ち上がった。
「貴様...ごときが...なぜ...真の魔王たる私を...!!」
「お前には決定的に意思の力が足りない!なにかを成したいのなら、それを叶えるだけの決意がなければ、例えどれほどの実力があろうと届かないんだよ!!」
「戯れ言をぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
シャルバが魔方陣を展開する。突如感じる濃密な殺意。
矢か!!だがわかってれば余裕で避けられる!!
.....そして感じる危機信号
「...ッッ!!てめぇ!!!」
俺はアーシアとシャルバの射線上に右腕を伸ばした。
瞬間右腕に突き刺さる矢。
「ぐぅぅぅぅぅ!!」
『Blade!!』
最悪の場合を考えていた俺は即座に反応して、アスカロンを展開し、肩から右腕を斬り捨てる!!
間に合ったか...!?
「ぐぅぅぅぅっぅ!!!」
龍殺しの聖剣で腕を切り落とした痛みが身体中を駆け巡る...!!
「き...さまは...!!何故なのだ!!!何故わかった!!あり得んだろうが!!!貴様さえ...貴様さえ居なければぁっぁぁぁぁあ!!!!!」
シャルバが血反吐を吐きながら叫ぶ。
「ドライグ...止血...」
『わかった!』
鎧が切り口を包んで圧迫する。
「イッセーさん!!」
アーシアの回復も飛んでくる。
「悪いなシャルバ...俺は最初から知ってたんだ...だから、お前にはここで死んでもらう...恨むなら、全うに生きなかった自分を恨め...」
『Dragonic Funnel Blaster!!』
「嫌だ...おのれおのれおのれぇぇぇぇ!!!!こんな事があって良いはずがないだろうが!!!私は真なる魔王なのだぞ!!!冥界を滅ぼす呪いなのだ!!!それをぉぉぉぉぉ!!!」
「終わりだぁぁぁぁぁあ!!!!」
ファンネルから、極大のエネルギーが吐き出される...
「嫌だぁぁぁぁっぁ!!!」
それを最後に大爆発が発生し、シャルバは消滅した。
────────────────────────
「イッセーさん!!」
オーフィスを伴って歩いていく俺に、アーシアが駆け寄って治療してくれる。まぁ腕が生えるわけはないが...
「なんで腕を!!」
「あいつが放った矢の先に、サマエルの毒が塗ってあったんだ...」
「そんな...!!じゃあもう...腕は...」
「...命があるだけ儲け物だよ。それに、左手だけでもあればこうやってアーシアを抱きしめられる」
アーシアを抱き寄せた。
「イッセーさん...」
顔だけ鎧を解除した俺はアーシアにキスをする。
良かった...腕はやってしまったけど、なんとか生き残れた...
「オーフィス、大丈夫か?」
「我は問題ない。でも、イッセー腕無くなった」
「俺は大丈夫だ、今度アザゼル先生にでも義手を作って....あれ...?」
俺は座り込んでしまった。
「イッセーさん!?」
「おか...しいな...あれ?...げほっ!!!」
俺は血を吐き、鎧が解除されてしまった。
アーシアが治療してくれる。
...が、一向に治らない。
「ごぷぷぷ...げほっ!!あ....?」
『不味い!!サマエルの毒が既に回っていたんだ!!』
「そんな!!」
アーシアが一生懸命治療してくれる。
しかし、気持ち悪さと痛みはどんどん広がっていき、倒れてしまった。
「アー....シア...」
「ダメですイッセーさん!!絶対助けますから!!!」
「もう...これは...」
「嫌です!!イッセーさんが死ぬなら私も死にます!!だから駄目です!!」
「駄目...だ...生き...て...」
いや...そうだ...俺が生きるのをあきらめてどうする...
「うぐぐ...げほっ!!」
死にたくない...まだ...アーシアにプロポーズできてないんだ...!この闘いが終わったらしようと思ってたんだ...!!
子供だって...たくさん...アーシアと田舎で畑しながらゆっくり...
そうだ...まだ、死にたくない...!!
「我、イッセーの体から毒取り出す。でもそれ、体ボロボロに壊す。アーシアが治し続けなければ、すぐに死ぬ」
「何でもします!!私ができる事ならなんでもしますから!!やってください!!」
「わかった。イッセー、痛いけど我慢する」
オーフィスが俺の右腕の切り口に手を突っ込む。
「がああああああ!!!」
何かが...!!どんどん体内に流れ込んできて...!!
体組織をぐちゃぐちゃに蹂躙して...!!!
「...!!....!!?.........」
俺は意識を手放してしまった。