俺とアーシアはゆっくり歩きながら皆の元へ向かおうとしたが、グレイフィアさんに捕まった。
やっちまった。完全にグレイフィアさんとかの事忘れてたぞ...普通に今回も無理言って連れて来てもらったりしてるのに挨拶無しとか失礼が極まってる...
「先ほどの一撃、本当にお見事でした。超越者として数えられてもおかしくないほどの一撃でございましたよ?」
「アハハ...もう2度と使えないんで勘弁してください。それに、サーゼクス様の眷属の皆さんと、ここにいる皆とグレートレッドとファーブニルの...ほんとにおんぶに抱っこして貰ったお陰ですから...その、本当に名誉とか結構なので...変に勘違いされたくないので、どうか俺が関わったのは秘密にしてくれませんか?」
「それは...いえ、確かにあなたの夢を考えればむしろ不利益になりかねませんね。わかりました、そもそも貴方達に頼らなければ勝てなかった我々の落ち度です。汚名を被るつもりでそうさせて頂きましょう」
「そうですか...ご厚意感謝致します!!」
「...お疲れのようですし、お嬢様の元までご案内致しましょうか?すぐに後処理等に向かわなければなりませんので、お嬢様の前に顔を出すわけには行きませんが...」
「あー...すみません、お願いしていいですか?」
「勿論構いませんよ。貴方達は今回のMVPと言っても過言ではありませんからね。あの
グレイフィアさんが少しだけ笑みを浮かべた。しっかり公私を分ける人なのに、そういう事を言ってくれる事に少し驚いた。
アーシアも嬉しそうだし、素直に受け取らせて貰おう。俺達を誉める為のサービスなのだろう。
転移した先はグレモリー家だった。
そうか、眷属が揃いそうだから、しっかりフルメンバーになってから再び戦場に向かうって言ってたな。
戦場で合流とかにならなくて良かった...
「グレイフィア様、ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
「いえ、お嬢様に宜しくお伝え下さい。それでは失礼致します」
そう言うと、再び転移していった。
「イッセー!アーシア!」
部長達が駆け寄ってくる。俺達の転移に気づいたのだろう。
「ここからでもあなた達のオーラを感じたわよ?全く...凄まじい一撃だったようね...」
「一度きりの技なんで、俺達と言うよりグレートレッドとオーフィスの力ですし...」
「それでもすごいわ。まだ終わったわけではないけれど、貴方達のお陰でこの戦いに一気に終わりが見えてきたもの。...本当にすごかったわ、貴方達は私の誇りね...」
「「ありがとうございます!」」
「二人とも、ゆっくり休んで頂戴?後は私達に任せて...」
「すみません...俺達も連れていくだけ連れていってくれませんか?」
「え?」
「多分戦いも基本ほとんど皆に任せる事になると思うんですけど...それでも一緒に行きたいんです」
「駄目よ!ついさっきあれほどの攻撃を放って、貴方達は全部使い果たしたはず....はぁ、わかったわ。頑固な貴方達の事だもの。テコでも動かないんでしょう?」
「すみません...」
「その代わり戦闘は極力させないわよ?これ以上無理させる訳にはいかないわ」
「はい、それで大丈夫です!」
「...イッセー君。その右手、治ったのかい?」
「あー、いや。オーフィス達の力を使いきったから見た目が人っぽくなっただけで、ぶっちゃけ治ってはないかな。まぁ逆に昨日までの爆弾状態でもなくなってるし、そういう意味では大丈夫!」
「...動くのかい?」
「あー...動かないな。いずれ動くようにはなるらしいが、いつになるかもわからん」
「そっか...まぁ次元の狭間からだって帰還できるイッセー君達ならなんとかなるよね?」
「...すごい説得力です」
「アハハ」
「でもイッセー君。片腕が使い物にならない状態なんだから、決して無理はしないでおくれよ?僕達が付いてるから、安心して後ろで待機しててほしい。絶対に君達を守ってみせる」
木場が真剣な表情で言う。
「おう!お姫様上等ってな具合で騎士様に守られてやるよ。ちゃんと守ってくれよ?」
「イッセー君がお姫様だなんて、冗談キツいね」
「マジレスやめて!そういうの一番傷つくんだぞ!?」
「勿論冗談だよ、僕のプリンセスさん?」
「ぐぬぬ...」
といった感じで雑談をしながら他のメンバーを待った。
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「すまない、遅くなったな」
いつもの戦闘服を身に纏ったゼノヴィアとイリナがやって来た。
ゼノヴィアはいつもの天界の布にデュランダルを包んでいる。
イリナも新しい剣を持っていた。
二人が来たので、現状の説明の為に部長がテレビを付けた。
中継は希望に満ちた様子であった。
そりゃそうだな。絶望的だった所から、アジュカ様とアスモデウス様の対抗術式によって各勢力の援軍やレヴィアたんが
『ついに
「良かった!中継とかで下手したら撮られてたんじゃって不安だったんだ...」
「全く...貴方達の名声なのに、全て差し出すなんて普通ならどうかしてると言う所なんだけど、まぁ貴方達にはそんな物より平穏の方が大切だものね」
「はい...後単純に俺がルシファー眷属でも倒せなかった怪物を倒したとか思われたら絶対録でもない事になると思ったので...」
「それもそうね...まぁあくまで民衆用の中継には映ってなかっただけで、上層部の悪魔なんかは把握してるでしょうけどね」
「それはもう仕方がないです...グレイフィアさん達に上手いこと言って貰えたらなって...」
「そうね。私からもお願いしておくわ」
「皆さんお揃いのようですね...私が最後ですか」
声のした方を振り替えるとロスヴァイセさんが居た。
待ってたよロスヴァイセさん!
俺はロスヴァイセさんにどうしても言わなければならない事があったのだ...!
「ロスヴァイセさん!お久しぶりです!!あのドリルすごく役に立ちました!ありがとうございます!!」
「え?えぇ...それは良かったですけど...このタイミングですか?」
「どうしても言いたかったんです!滅茶苦茶分かりやすかったです!テスト勉強に余裕があったからこそ昇格試験の勉強に余裕が生まれました!!肝心の昇格試験は...まぁ微妙なんですけど、テストは頑張りますから!」
「まぁ役に立ったようなら作った甲斐があったという物です。昇格試験はまぁ結果に期待しましょう」
「ほんとありがとうございました!」
「まずは冥界の危機が...って一番の功績を残してる子に言えるセリフじゃなかったわね...」
「イッセー、アーシア、大手柄だったんだな!仲間と親友として誇らしいぞ!」
「二人の愛の力が人知れず冥界を救った!だなんてすごくロマンチックだわ!流石はイッセー君とアーシアさん!」
などと喋っていると、
「お嬢様!」
メイドの方の一人が乱入してきた。
「大変でございます!首都で活動中のシトリー眷属の皆様が禍の団と戦闘に入ったとの連絡がございました!」
「なんですって!...皆、すぐに出発するわよ!ソーナ達の加勢に行きましょう!」
『はい!』
慌ただしい事この上ないが、いよいよ英雄派との決着が近いようだ。すぐに転移の魔方陣の元にみんなで集まった。
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冥界の首都リリスのとある区域に飛んだ。
ビルの屋上に転移したようである。
あっ、もちろんオーフィスにも来て貰ってます。
「み、皆さん!よ、よかった!」
するとそこにはギャスパーが居た。
「ここにいれば皆さんが来るって堕天使の方々に言われたんですけど、来なくて寂しかったんですぅ!」
涙目で叫んでいる。よっぽど寂しかったみたいだな。
「ギャスパー、トレーニングの成果、期待するわよ!」
部長にそう言われていた。
「は...はぃ...頑張りますぅ...」
さっきまでギャーギャー騒いでいたのに突然しおらしくなった。どないしたんじゃろ...?
「....あれ!」
小猫ちゃんが指差した方を見ると、ヴリトラが暴れていた。
あそこで戦ってるんだろう...
皆で翼を生やして現場へと飛んでいった。
「グレモリー眷属!」
声が聞こえたのでそちらの方向を向くと、タイヤの外れた一台のバスを守るようにシトリー眷属の皆さんが立っていらっしゃった。
バスの中には大勢の子供達がいる。
「状況は?」
「このバスを先導している最中に英雄派に襲われてしまって...今は会長と副会長と元ちゃんが...!」
シトリーの騎士の人が涙目でそう叫んだ。
「あれを!」
ロスヴァイセさんが指差した方には、ヘラクレスに首を掴まれている匙と 倒れている会長。
副部長がジャンヌと戦っていた。
その後ろにはジークフリートが静かに佇んでいる。
ヘラクレスが嘲笑いながら匙を投げ捨てる。
「んだよ、レーティングゲームで大公アガレスに勝ったっていうから期待してたのによ。こんなもんかよ」
「ふざけないで!子供の乗ったバスばかり執拗に狙って来た癖に!!それを庇うために会長も匙も実力を出しきれなかったのよッ!」
副会長が激昂する。
「あの野郎!!」
匙を卑怯な手でボコボコにしやがって!許さねぇ!!
俺が
「イッセー君。ここは僕達に任せてくれ。わかってる、僕も同じ気持ちさ...君の分も僕達が彼らに報いを受けさせる...」
木場の低く怒りを感じさせる声で少し冷静になった。
そうだ...俺は曹操をぶっ倒す為にここにいる。
ただでさえ足りないのに、これ以上消耗するべきじゃない。
頭ではわかってるけど...!!っく!
「わかった!代わりにこれを受け取ってくれ!」
俺はアスカロンを木場の足元に射出した。
「ありがとう、すごく心強いよ。...安心してイッセー君。僕が...僕達がここにいる全員守ってみせる」
木場は全速力で走りだし、アスカロンと聖魔剣からオーラを飛ばす。
ジャンヌとヘラクレスが避けた所を木場が即座に副会長、会長、匙を龍騎士団に回収させてこちらに向かわせる。
そのままジークフリートに斬りかかった!
三体の龍騎士はアーシアの元に三人を運ぶと消えた。
アーシアはすぐに治療を開始する。
アーシアも流石にちょっとしんどそうだな...
俺からアーシアへと力を分ける事ができればいいんだが...
「...やるね、あの状況から三人を救いだし、そのまま僕と戦闘に入るだなんて」
つばぜり合いを終えて、木場はジークフリートと向かい合う。
「龍殺しの聖剣を赤龍帝から貸して貰ったようだね。本当に彼は...嫌な所ばかり突いてくれる...
「当たり前だろう?イッセー君も皆も僕が守る。僕はグレモリー眷属の騎士だからね。それに...君達は絶対に許さないよ...ここで必ず止めてみせる!!」
「怖いなぁ...今のキミとの戦いは正直、少し分が悪いかもしれないね。後ろにはグレモリー眷属のフルメンバーもいる...退散したい所だが、アジュカ・ベルゼブブへの勧誘も失敗に終わったし、これ以上失態を見せるわけにもいかないんだよね...うん、これを使わせて貰おう」
ジークフリートは注射器を取り出し、首に液体を注入する。
「聖書に記されし神が生み出した
体が脈動して、背中から四本の腕が太く太く肥大化していく。指が退化して魔剣と融合を果たした。
本人もまた変形していき、最終的には蜘蛛の化物のような姿になった。
「
ジークフリートが魔剣を振るう。
その度に魔剣の絶大な効果が発揮され、次元の裂け目が生まれるほどの衝撃が発生する。
だが、木場はそれを全て紙一重で回避していく。
グラムが振るわれた時だけはオーラの余波ですらダメージを負っているようだが、木場の動きを止めるには足りない。
何度も何度も木場は魔剣の一撃を回避していく。...まぁあれだけ大振りだと木場にとっちゃかなり避けやすいだろうな...
ヒット&アウェイでちくちくと斬っていた木場が、ついに腕の一本をアスカロンで斬り飛ばした!
「ぐぅぁぁああああ!!くっっ!!流石と言っておこう!だが、これならどうかな!!」
ジークフリートが木場の着地に合わせて氷の魔剣を振るう。足元を氷で繋がれた木場は即座に炎の聖魔剣を作り出し、氷を溶かしながらもう片方の手でアスカロンからオーラを放出し、ジークフリートの振り下ろした別の魔剣を持つ龍の手を消し飛ばした。
「...僕は今イッセー君の力を借りているんだ!!獣に墜ちた今の貴方なんかに負ける訳にはいかない!!」
木場はジークフリートが落とした魔剣を拾い、ジークフリートの横腹を切れ味重視の魔剣、ノートゥングで切り裂く!
「ぐはっっ!!何故だ!!俺の魔剣をなぜキミが振るっている!!」
「魔剣が僕を呼んでいたんです。貴方は見限られたんですよ...人間である事を誇りとしていた英雄派でありながら、ここに来て人間を辞めたのが間違いだったようだね」
ジークフリートの持つ魔剣達が震えだす。
龍の手の肉から解き放たれて、全て木場の元に集結する。
ジークフリートは必死にグラムを押さえようとするが、既に見限ってしまった所有者に対して、龍殺しの力が十全に発揮される。
「がああああああ!!!」
ジークフリートは身体中から煙を出しながら悶え、やがてグラムすらも失ってしまった。
木場はグラムとアスカロンを手に持ちジークフリートの元へと近づいていく。
「龍殺しの力をもろに受けて苦しいだろう?...今楽にしてあげるよ」
「....英雄の子孫を誇りながら...最後の最後に人間の代表たる英雄であろうとする心すら失った...それが...」
木場はグラムでジークフリートの首を斬り飛ばした。
「そうですね...それが貴方の敗因です」
木場はそう呟いて、ジークフリートを背にして歩き出した。
ジークフリートは体を崩壊させ、やがて完全に塵へと変わってしまった。
...やっぱり木場ってとんでもなく強いな...流石は俺のライバル。名だたる魔剣も手にしてまじで手が付けられなくなりそうで怖い...