アーシアしか勝たん   作:min-can

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第80話。 魅せます、ヴァーリ!

 ゲオルグもどうなったかはわからないが、消えて後はジャンヌのみと言った所で後ろから声が聞こえた。

 

「あらら、ヘラクレスがやられてしまったようね。ゲオルグも...?これはまいったわ」

 

 そこに居たのは全身ボロボロのジャンヌだった。小さな男の子を抱えて人質にしている。

 

「待てジャンヌ!」

 

「卑怯よ!子供を人質に取るなんて!」

 

「...やられましたわね。まさか、あんな所に逃げ遅れた親子がいたなんて...」

 

 ゼノヴィア、イリナ、朱乃さんが合流してきた。

 大きな怪我は見られないし、大方ボコボコにしてた所で子供を人質に拐って逃げてきたのだろう。

 

「卑怯だな」

 

 サイラオーグさんが呟いた。

 

「悪魔が言うものではないんじゃないかしら?ま、義理に厚そうな貴方なら言うのかもね。とりあえず曹操を呼ばせて貰うわ。貴方達、強すぎるのよ。私が逃げの一手になるなんてね。てなわけで、この子は曹操が来るまでの間の人質よ」

 

 人質の子供は必死で涙を堪えていた。

 まずい...ジャンヌが気を取られるような何かをしなければあの子供は救出できないだろうな...

 

 などと考えていると、ジャンヌの背後から黒炎が飛び込み、子供に当たらないようにジャンヌの上半身だけを包み込んだ!

 

「ぐぅぅぅ...!!」

 

 ジャンヌはたまらず身動ぎする。子供を手放した!

 

「木場!!!」

 

「わかってるよ!」

 

 木場は一瞬で子供の元に走りだし、辛うじて攻撃してきたジャンヌの剣をしっかりといなして戻ってきた。

 

「やっぱりあのまま退場なんて出来なかったからなぁ!戻ってきて大正解だったぜ!」

 

「匙!!最高のタイミングだぜ!!」

 

「このっ!!」

 

 ジャンヌは黒炎を聖剣の力で消し飛ばそうとするが、黒炎はジャンヌを絶対に離さなかった。

 

「逃がすわけねぇだろ!」

 

 匙がより一層炎の力を高める。

 ジャンヌが注射器を取り出そうとするも、匙の黒炎は注射器とその中身を燃やし尽くす。

 ...流石はヴリトラの炎だな。

 

 やがてジャンヌは動けなくなった。

 

「匙!最高のタイミングだったな!正にヒーローって感じだ!ってかかっこよすぎだろお前!!」

 

「よせよ兵藤、柄じゃねぇっての!」

 

 匙は少し恥ずかしそうにしていた。

 

「お兄ちゃんが助けてくれたんだよね...?ありがとう!黒い炎かっこよかった!」

 

 人質になった子供が匙にお礼を言う。

 匙は嬉しそうに子供の頭を撫でた。

 

 といった所で匙に通信が入ったようだ。

 滅茶苦茶頭を下げて謝っている。

 ...多分会長の言うことを聞かずに飛び出しちゃったんだろうな...

 最後には嬉しそうに一回ありがとうございます!って言ってたし誉められたんだろうけど。

 良かったな匙。

 

「匙君。本当に助かったわ...貴方がいなければあの子を救えなかったかもしれない」

 

 部長がお礼を言う。

 

「いえ!たまたま俺が出来たってだけですから!」

 

「匙!まじでかっこよかったぜ!」

 

「痛って...おう!サンキューな!」

 

 匙の背中をバシンと叩いてやった。

 

「....一応、これでこの場の英雄派メンバーは全員撃退したって事でいいのかしら...?」

 

 部長が呟く。

 

「そうだな。よし、この場はここで解散して各自持ち場に戻ろうか」

 

 サイラオーグさんがそう言った瞬間、何かがこちらに飛んできた。

 

「やぁ、兵藤一誠、グレモリー眷属。サイラオーグ・バアルにヴリトラも居るのか...なかなかの顔ぶれだ」

 

 曹操がやって来たのだった。

 倒れる仲間を見て、目を細める。

 

「...魔人化(カオス・ブレイク)を打ち倒したと言うのか。兵藤一誠にばかり目を向けていたが、他の眷属も十分...いや、今までの赤龍帝と同じくらい驚異的だな」

 

 次に俺の方を見て来た。気持ち悪い物を見るような視線だ。

 

「崩壊したフィールドに、サマエルの血を持ったシャルバと残ったと聞いていたんだがね。腐っても魔王の血筋、まさかキミに使わずにやられるほどのへまはしないと思うのだが」

 

「あぁ、ちゃんと使われたぜ。右腕に血が入った瞬間に右腕を斬り飛ばしたんだがな、結局毒は回っちまって死にかけた...だがまぁそれでも、アーシアとオーフィスのお陰でこの通りだ」

 

「...アーシア・アルジェント、赤龍帝の逆鱗。常に兵藤一誠の異常な成長の側に居続けた者か...どちらが異常なのか、はたまたどちらも異常なのか...」

 

「さぁな?だがまぁ、アーシアが居る限り俺は死なないし、俺がいる限りアーシアは死なない。きっちり理解しておけよ?」

 

「あぁ、嫌と言うほど理解したとも。それにしても、切り離した右腕はどうしたんだ?聞く限り毒で朽ちたはずなのに、なぜ生えている?」

 

「あぁ...たまたまグレートレッドが通りかかってさ、次元の狭間から俺達を守ってくれた上に、体の一部を分けてくれたんだ。アーシアの治癒の補助によってくっついたグレートレッドの肉とオーフィスの力と、あとついでにオーフィスの蛇で出来てるのがこの腕だ。まぁ今は力を使い果たして動かないんだが」

 

「...ちょっと待ってくれ。なんだって?グレートレッドが通りがかって、保護ついでに体の一部を貰って腕を作り出した...?君は簡単に言ってくれるが、そこにどれだけの奇跡と理不尽と異常があると思っているんだ?」

 

 心底理解出来ない物を見るような顔で俺を見つめる。

 

「つまりなんだ?あのモンスターを消し飛ばしたのはグレートレッドとオーフィスの力だと言うのか...?」

 

「そうだ。グレートレッドとオーフィスの力を解放して全て一撃に注ぎ込んだ。ほんの一欠片と言えども無限と夢幻がとんでもない量込められているからな」

 

「いや、仮にそうだとしても君の肉体が耐えられる訳がないだろうが...」

 

「そこはオーフィスの補助と、アーシアの力でどうにかしたんだよ」

 

「...サマエルの毒からも救出しうる治癒の力か...もう考えるのがバカらしくなるな。うん、君達は理不尽の塊、異常の権現と...そう考える方が楽なのかもしれない。だとすればまさに異形の存在だな、俺が打倒すべき存在筆頭という訳だ」

 

 曹操がそう言った途端に、突然空中に黒いもやが発生して鎌が現れた。やがて道化師にような仮面をした者が全身を顕にする。

 

『先日ぶりですね、皆様』

 

 死神の登場に曹操が嘆息する。

 

「プルート、なぜ貴方がここに?」

 

『ハーデス様のご命令でして。もしオーフィスが出現したら、何がなんでも奪取してこいと』

 

 プルートの視線はオーフィスに注がれる。

 アーシアが抱きしめて、俺がその前に立って視線を遮る。

 

「お前は俺が消してやろう、最上級死神プルート」

 

 俺達と曹操達の間に純白の鎧が降り立った。

 

「これで貸し借りは無しだ。兵藤一誠」

 

「ヴァーリ!」

 

「ホテルでは、不調で戦いきれなかったからな。ハーデスの方に行こうとも考えたが、やはりしてやられた分は英雄派につけを払って貰うべきと考えた...しかしグレモリー眷属が彼らをやってしまったんでね。残った選択肢はお前か曹操だけになる。だがまぁ他人の獲物を狙う趣味はないし...俺の獲物はプルート、お前だけになるな」

 

 ヴァーリが不敵に笑う。

 

『ハーデス様に元にフェンリルを送ったそうですね。先ほど連絡が来ましたよ...忌々しい牽制をいただいたものです』

 

「いざという時の為に得たフェンリルだからな」

 

『各勢力の神との戦いを念頭に置いた危険な考え方です』

 

「あれくらいの交渉材料がないと神仏を正面から相手にする事ができないだろう?」

 

『まぁいいでしょう。真なる魔王の血を受け継ぎ、なおかつ白龍皇でもある貴方と対峙するとは...長く生きてみる物ですね。貴方を倒せば私の魂は至高の頂きに達する事ができそうです』

 

 プルートは構えを取った。

 

「兵藤一誠は歴代所有者を口説き落とし、あるいは洗脳したようだが、俺は違う」

 

 ヴァーリが圧倒的なオーラを纏う。

 

「我目覚めるは、律の絶対を闇に堕とす白龍皇なり」

 

『極めるは天龍の高み』

 

『往くは、白龍の覇道なり!』

 

『我らは、無限を制して夢幻をも喰らう!』

 

「無限の破滅と黎明の夢を穿ちて覇道を往く。我、無垢なる龍の皇帝と成りて」

 

『汝を白銀に幻想と魔道の極致へと従えよう!!!』

 

『Jaggernaut Over Drive!!!』

 

 周囲にあるもの全てを消し飛ばして、尋常じゃないくらいのオーラを撒き散らしている。

 なんちゅう化物だ...俺の守護者のプロモーションより普通に出力が高けぇ...

 

「『白銀の極覇龍(エンピレオ・ジャガーノート・オーバードライブ)』、『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』とは似ているようで違う、俺だけの強化形態。この力、とくとその身に刻め!!」

 

 そう言ったヴァーリにプルートが斬りかかるも、拳でバキリと鎌を破壊されていた。

 

 驚愕するプルートに向けてヴァーリがアッパーをかまし、吹き飛んだ奴に向けて手を掲げる。

 

「圧縮しろ」

 

『Compression Divider!!!』

 

『DevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevideDevide!!!』

 

 空中でどんどん半分に圧縮されていくプルートが驚愕の声をあげる。

 

『このような力が...!!』

 

「....滅べ」

 

 ヴァーリの言葉を最後に、プルートは完全に消滅してしまった。存在を維持できないほどに圧縮されてしまったのだろう...

 怖すぎる...こんなのがライバルとか冗談じゃないわ...

 

 ヴァーリは肩で息をしていた。ヴァーリですらあれほど消耗するのか...滅茶苦茶燃費悪いですなあれ。

 

「これでも...先の赤龍帝の一撃には叶いそうにないな...」

 

「いやいや、ほとんど龍神の力だから...俺の力なんてコメ粒程度だから...」

 

「だが、放ったのは君だろう...?ならば想定はしないとね」

 

 どれだけ高みを目指していらっしゃるのやら...

 そういえばグレートレッドを倒すのが目標でしたね。

 その観点で言えばあの一撃も越えられないならグレートレッドは無理なのか...

 

「...恐ろしいな二天龍は」

 

 曹操が近づいてきた。

 

「ヴァーリ、あの空間で君に覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を使わせなかったのは正解だったようだね...」

 

覇龍(ジャガーノート・ドライブ)は破壊という一点に優れているが、命の危険と暴走が隣り合わせ。今俺が見せた形態はその危険性をできるだけ省いたものだ。しかも覇龍(ジャガーノート・ドライブ)とは違い伸び代がある。曹操、仕留められる時に仕留めなかったのがお前の最大の失点だな」

 

「...さて、どうなんだろうね?じゃあ、どうしようか。俺と遊んでくれるのは兵藤一誠か?それともヴァーリか、もしくはサイラオーグ・バアルか?または全員で来るか?いや、流石に全員は無理だな。その三人を相手にするのは相当な無茶だ」

 

 皆動かない。...皆もわかってくれてるみたいだ。曹操、あいつは俺が倒さなければならない。俺が...赤龍帝が折らなければならない存在だ。

 ヴァーリが俺に近づいてくる。

 

「奴の七宝は全て覚えているな?」

 

「あぁ問題ない。全部ちゃんと覚えてる」

 

『ヴァーリ、少しの間赤龍帝の所に潜っていても良いか?ドライグの奴に呼ばれているんだ』

 

「あぁ...それは構わないが、どうしたんだ?」

 

『私も薄々感じてはいたんだが、二天龍の封印された本来の力が解放されようとしているのだ。恐らく私とドライグ、両方が居ないと封印を解くことが出来ないのだろう』

 

「へぇ...更にパワーアップ出来るわけか」

 

『あぁ、私の力の解放も後で手伝わせる。では行かせて貰うぞ...ぬっ!アーシア教の者が私に近づくな!案内など要らんわ!...このっ!』

 

 アルビオンは俺の宝玉へと移動して深く潜っていった...

 アルビオンも大概騒がしい奴だな...

 

 色々終わったようなので、俺が前に出る。

 

「なにやら喋っていたが、俺の相手は赤龍帝で決まりかな?」

 

「あぁ。そういえばさ、京都での一戦は引き分け扱いか?」

 

「いや、そうだな...一対一という観点で見れば俺の負けと言えるかもな」

 

「そうか。ならお互い一勝一敗ってわけだ。...決着つけようぜ!いい加減お前ら英雄派にはうんざりなんだ!!」

 

「面白い。右腕が使い物にならないようなのは非常に残念だが、今の君ならそれでもなお十分楽しめそうだ...!」

 

「イッセーさん!...私がついて居ますから、安心して頑張って下さい!」

 

「あぁ!アーシアが一緒ならどこまでも頑張れるぜ!!」

 

 アーシアが俺に軽くキスをする。

 それと一緒にアーシアが俺のプロモーションを許可したのを感じた。

 滅茶苦茶やる気出てきた!!

 

「ありがとうアーシア!...よっしゃ!!ぶちかましてやるぜ曹操!!」

 

「来い!!兵藤一誠!!」

 

 すぐに禁手化(バランス・ブレイク)俺は詠唱を始める。

 

「我、目覚めるは愛の律にて理を蹂躙せし赤龍帝なり!」

 

『極点の愛を捧げ、無垢なる愛を纏いて、ただ平穏を望まん』

 

「我、仇なす一切に滅尽をもたらす者。唯一絶対たる我が聖女の守護者と成りて!」

 

「「「「汝を我等が安寧の礎へと沈めよう!!」」」」

 

『Blondy Bursted Full Drive!!!』

 

「聖女守護せし山吹の赤龍帝(ブロンディ・ウェルシュガーディアン・プロモーション)!!」

 

 全身を金色の鎧が包み込み、守護者としてのプロモーションが完成する。

 紅蓮のオーラが立ち上ぼっていく。

 

 俺の変身を見て、曹操も禁手化(バランス・ブレイク)したようだ。

 輪後光と七宝を出現させる。

 

 俺達は一度間合いを取って、どちらからともなく飛び出した。

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