アーシアしか勝たん   作:min-can

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第81話。 決着です、曹操!

 曹操は早速球体を一つ動かした。

 

象宝(ハッテイラタナ)

 

 足元に球体を置くと、宙に浮かびだした。

 俺も背中のブースターを爆ぜさせて飛び立つ。

 あっという間に元居た場所から離れてしまった。

 

「ここなら邪魔も入らないだろう。さぁ存分にやろうか...!!」

 

居士宝(ガハパティラタナ)

 

 球体が弾けて、複数の人型の光が現れた。

 俺は背中のファンネルをソードビットのように扱って全て消し飛ばした。

 しかしその頃には曹操が何処かに消えてしまった。

 目眩ましか...

 

 どこだ...?

 

 横に何かを感じた。避けようとするが、槍が横腹へと潜り込んでくる。

 しかし、ギャリギャリと音を立てて逸れてしまった。

 俺はすかさず殴りかかるが、再び消えてしまった。

 

「くっそ!!」

 

 今度は背中の方だ!俺は背中からファンネルを発射しながら振り向いた。

 曹操が2つほどファンネルを斬り弾いていた。

 俺は他のファンネルを曹操に向けて、砲撃を放つ!

 

「放て!!!」

 

 四本ほどが様々な方向から曹操を狙い打つ。

 

珠宝(マニラタナ)

 

 曹操は飛び避けながら元居た場所に球体を残し、それが俺のビームを吸い込む。

 その間に再び背中を爆ぜさせて、今度は肘も爆ぜさせる。

 超速度で殴りかかかるが...

 

馬宝(アッサラタナ)

 

 曹操は転移したようで、曹操には当たる事なく地面に衝突して、ビルが崩れ去る。

 すぐに起き上がると、先ほど俺が撃った砲撃が襲いかかり、直撃する。

 しかし特にダメージは負わなかった。

 

 曹操が俺の元に降りてきた。

 

「末恐ろしいな...ギリギリ反応出きるか否かの超スピードによる突進や拳に...恐らく真正面から槍で突き刺しても刺さるかどうか怪しい黄金の鎧...一部だけの時とは桁違いに防御力が上がった癖にそれが全身を包んでいるってんだから...」

 

「お前は京都の時からしっかり反応しておいてそればっかりだな...」

 

「そりゃ当たれば終わりなんだから当たらないさ。...君こそ、先ほどの砲撃はきちんと当てたつもりだったんだけど、あまりダメージがないようだね?」

 

「そりゃあお前がそういう力持ってるのは知ってるんだ。俺に被害がなくてお前が当たれば致命傷くらいに威力を調節してるに決まってんだろ」

 

「そりゃそうか...それじゃああれはあんまり旨味がないな...」

 

 曹操は槍をくるくると回す。

 

「さて、戦闘再開だ」

 

将軍宝(パリナーヤカラタナ)

 

 曹操は俺の死角に現れると、今度は破壊力重視の球体を俺の横腹にぶつけた。右側なので、反応できても腕を挟めなかった!

 

「ぐはっっっっ!!!」

 

 鎧が砕かれて、中身にまで衝撃が届いた。

 血反吐を吐き出す。

 

「流石にこれなら効くようだね!!」

 

 吹き飛んでいる俺の元に飛び込んで来て、バキバキに崩れた俺の脇腹に槍を刺そうとする。俺は背中のブースターを爆ぜさせて逃げようとするが、目の前に転移させられた。

 槍がヒビの部分に突き刺さる。

 とはいえブースターを起動した所での転移だったので、俺の腹をある程度抉った所で俺は飛び出して致命的な攻撃にはならなかった。

 曹操が更に槍からオーラを放出させて、追撃をかける。

 俺はその前にドラゴンショットをぶつけてある程度威力を相殺する。

 とはいえ、負けてしまいオーラをまともに食らってしまった。

 じくじくと身体中が痛む...

 

「相変わらずの反応速度だ...それだけの固さでその反応をされるとたまったもんじゃないな...!」

 

「ぐうっ....木場を相手に速度とテクニック持ってる奴と戦う訓練しまくってるからな...嫌でも反応は速くなったよ!」

 

 はるか遠方からアーシアの回復が矢の形で飛んで来る。こんな事出来たっけ...?滅茶苦茶助かるし今はいいか...流石はアーシア、離れてたって一緒に戦ってくれるぜ!

 傷がだんだん治り、オーラも回復する。

 何故かアーシアの回復がいつも以上にスムーズに体に染み込むな...

 龍神の腕云々の件で俺の体が更にアーシアのオーラを吸収しやすいように変化したのかもしれない。

 なんかもうあの時は無茶苦茶だったもんな...何があってもおかしくない。

 

「...傷とオーラを同時に回復してしまうんだから嫌になるな...その固さでそれをされると、いずれはごり押しされてしまうかな?」

 

「アーシアはやらせねぇぞ...?」

 

「わかってるよ。どの道ここから彼女の力を封じようにも女宝(イッティラタナ)は届かない」

 

 曹操は聖槍に恐ろしいほどのオーラを充填すると、再び俺を目の前に転移させた。

 

「はああああああ!!!」

 

 目の前で大出力のオーラが放出される。

 

「ぬぁぁああああ!!!」

 

 俺はそれを真正面から受け止めて、途中で横に逃げた。

 身体中から煙が上がる...ある程度は鎧が防ぐが、いくらかのオーラが鎧を通過して入り込むのだ...

 

「....ぐっっ!!」

 

「流石に全力の聖槍のオーラは通ってくれるか...ちょっと不味いな...将軍宝(パリナーヤカラタナ)とオーラの解放しかダメージが通ってないだなんて」

 

「俺の攻撃も全部通ってないからお互い様だろ...」

 

「いやいやこっちは冷や冷や物だよ...一発受ければ10回は死んでしまいそうだ」

 

「一発くらい当たってから言ってくれねぇかな!!」

 

 俺は背中を爆ぜさせて、再び曹操に殴りかかる。

 曹操は転移で回避する。全然当たってくれねぇ!!

 それを何度か繰り返すと、曹操が聖槍のオーラを解放して攻撃するが、今度はきちんと反応できてブースターを爆ぜさせて避けきれた。

 互いに決定打がないまま攻撃し続ける...

 

「...ダメだな。このままでは俺が負けてしまいかねない...スタミナ切れや蓄積ダメージを狙った長期戦はアーシア・アルジェントの力で意味を成さずにむしろこちらが消耗していく一方だ...バカップルが二人揃うと、もはや脅威度だけで言えばヴァーリと同等かそれ以上だな...まぁ先の形態まで出てくるとまた話は変わってくるが...」

 

「そりゃどう...も!!」

 

 俺は再び殴りかかるが避けられる。あんなこと言ってるけどこっちも決定打がないし、流石にそろそろ体力も限界なんだが!!

 ただしそれがバレると普通に長期戦でなぶり殺されるので、フルスロットルで戦うしかない...

 のだが、曹操は後ろに下がると構えを解いた。

 

「これ以上は集中が切れて攻撃が当たりかねないか...結局禁手化(バランス・ブレイク)でも勝ちきれなかったな...右腕が使えないハンデありでこうなるとはね...流石は歴代で最も異常な赤龍帝だ。使いたくなかったが、今回は素直に敗北を認めよう......君に見せるのはこれで二度目だな。『覇輝(トゥルース・イデア)』を使わせて貰う」

 

「なっ!!」

 

 俺はそれを聞いた瞬間から懸命に飛びかかって少しでも妨害しようとするが、ぴょんぴょん転移しまくって全て避けられる。

 

「槍よ、神を射貫く真なる聖槍よ。我が内に眠る覇王の理想を吸い上げ、祝福と滅びの狭間を抉れ...。汝よ、遺志を語りて、輝きと化せ...!!」

 

 光が周囲を包み込み、俺の体から力がどんどん抜けていく...!!

 

「くそっっ!!何だこれは...!!」

 

 黄金の鎧が解除され、ただの禁手化(バランス・ブレイカー)になってしまう....が、それだけだった。

 

 光が止む...

 

 ...いや、違う...アーシニウムエネルギーが俺の体内から消失している!!!

 アーシアのオーラが俺に当たるが、傷もオーラも一切回復しない。

 

「俺から今この瞬間だけ、アーシアに関連する力を全て剥奪したのか...!!」

 

 機能は変わらず存在しているが、一切動かない感覚を感じる。

 

『教祖様!我々の祈りも...!』

 

 ....そういう事か...神の遺志とやらは、最後の最後で俺一人で戦う事を望んだ訳だ...

 今までずっとアーシアに頼りまくっていた。

 ここに来てそのツケを払えと...そういう訳か...?

 

「何っ!なぜ俺の禁手化(バランス・ブレイカー)が使用できなくなっているんだ!!」

 

 曹操が叫ぶ。なんだって?禁手化(バランス・ブレイカー)が使用できない...?

 まさか...俺と曹操を同じ土俵に立たせたって事か?

 俺の夢とあいつの野望、どちらを優先するか決めあぐねた...?

 

「なるほどな...曹操!神の遺志とやらはここで俺の夢とお前の野望、どっちが上かはっきり決めてみせろってよ!」

 

「どうやらそのようだ...かたや手負いのただの赤龍帝、かたや聖槍と英雄の魂を持つだけのただの人間...ククク...面白い!ここで龍を討ち果たしてこそ英雄だ!それこそが俺の野望の実現!!」

 

「俺はアーシアと幸せに平穏に暮らすんだ!!その邪魔をするならば!例え聖槍を持っていようがなんだろうが!!英雄だろうと化物だろうと関係ない!全部捩じ伏せてやるよ!!!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!』

 

 俺と曹操はぶつかり合う!

 

 俺が殴りかかると、曹操はそれを槍でいなしてカウンターを放つ。

 俺はそれを辛うじて避けて逆にカウンターで蹴りをいれる。

 曹操はそれすらも槍でいなして槍を突き刺そうとする。

 俺は右腕を軽く抉られながら殴りかかる。

 槍を消して戻してといった感じで俺の拳に対処する。

 

 インファイトで曹操と俺は互いを攻撃し合う...!

 ...くっそ!分が悪い!!じわじわと俺の体が槍で削られていく...!右腕が使えないのが痛すぎる...!!

 少しづつ聖のオーラが体を蝕む...!!

 

 俺はドラゴンショットを暴発させて、後ろに下がる。

 曹操は槍のオーラで爆発を消し飛ばしたようだ。

 すぐに全力で倍化をかけて、俺の腹の中の火種に譲渡する。

 

『Transfer!!』

 

 大火力のブレスを吐き出す...!

 曹操が聖のオーラを解放して、ブレスとオーラはぶつかり合い衝撃波を撒き散らしながら消滅した。

 

「流石はドラゴンだな!ブレスもお手の物か!!...だが、俺の槍の前には届かなかったようだ!」

 

「言うわりに槍からのプレッシャーが落ちて来てるぜ!!!聖槍のオーラ使いすぎてガス欠近いんじゃないのか!?」

 

「どうだろう...ねっ!!」

 

 曹操はこちらに突撃する。二度突きを避けたが、三度目で右肩に刺さってしまう...!

 そのまま吹き飛んだ。

 

「がぁぁぁああ!!!」

 

 痛い痛い痛い痛い痛い!!!

 ここで初めて思い知った。俺はアーシニウムエネルギーで聖のオーラを緩和させていたのだと、これこそが本来の聖のオーラの...聖槍の威力!!

 理屈じゃない痛みが身体中を蝕む...!!

 

 だが...!!

 

「そんなもんで止まるかぁぁ!!!」

 

 俺の渾身の飛び蹴りで曹操はたまらず吹き飛んだ!

 

「ぐはぁっ!!」

 

 吹き飛んで転がる曹操に向けてドラゴンショットを放つ!

 

「ぐぅ!!」

 

 曹操は地面に槍を刺して器用に転がる力を利用しながら横に避けた。

 更に曹操に追い討ちをかけるが...

 

「舐めるな!!」

 

 聖槍のオーラを俺の足元に射出してきた。

 背中のブースターを噴かせて辛うじて回避するが、空中で無防備になってしまう。

 曹操が槍を投げて、俺の腹に突き刺さった。

 

「がはっ!!!」

 

 俺は着地出来ずに転がってしまう...

 

「げほっ...!!」

 

 曹操はすぐに槍を消して手元に戻した。

 俺の口と腹から血が漏れだす...

 

「致命傷だ。俺の勝ちだな兵藤一誠」

 

 曹操が俺に槍を向ける。

 俺はよろよろと立ち上がる。

 

「へっ...腹に大怪我してから...勝つことに定評があるんだよ俺は...」

 

「そんな体で何が出来ると言うんだ?大人しく倒れるがいいさ」

 

「そりゃあできない相談だ...俺は俺の夢の為に負けねぇ...」

 

「...そうだな。ならば止めを刺してやろう」

 

「やっ...ってみな!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!』

 

 俺は残りの全てをかけた倍化をする。

 

「はぁ...あぁ...くっ...」

 

 身体中を激痛が蝕み、血が鎧の中でたまって関節部分から漏れだす...

 俺は駆け出して、拳を握りしめる。

 

 ...曹操はこれが俺の最後の一撃だとわかっているようだ。

 軽くいなしてカウンターで最後の一撃を放つつもりなんだろう...

 

「おらぁっっ!!!」

 

 俺が曹操の腹に拳を叩き込もうとした瞬間に、神器(セイクリッド・ギア)からドライグの声が聞こえた。

 

『Penetrate!!』

 

 曹操の聖槍に拳が当たった瞬間に、インパクトが何処かへ消える感覚がした。

 

「ごはっっっっっっっ!!!」

 

 曹操が体を思いっきりくの字に曲げて、血を吹き出した。

 

「がっ...何故...」

 

『相棒!!どうやら間に合ったようだな!!見たか!あれが俺本来の力!透過だ!!』

 

 あぁ...すっげぇ力だな。

 結局今日一発も当てられなかったのに、簡単に一撃ぶちこめちまった...

 

「うぐっ...」

 

 俺は膝をつく。

 

『相棒!しっかりしろ!すぐにアーシア・アルジェントが来る!』

 

 あぁ...ってか、アーシアの事...名前で呼んだの初めてじゃないか?

 

『あ?...そうかもしれんが...それどころではなかろう!』

 

 いや...大事な事だ...ドライグが俺のせいでアーシアの事苦手だったのは知ってたからさ...

 

『それは事実だが...あの娘には相棒が何度も世話になっているし、俺も少し意固地になっていただけだ。とっくに認めていたとも』

 

 そっか...なんか嬉しいや...

 ...よし...限界と思った所からもう一発撃てるのが俺の良い所だと思うんだ...

 

 俺はふらふら立ち上がる。

 倒れ、のたうち回ってもがく曹操に近づいていく。

 

「がはっ...!こんな事...!なにが...!!」

 

「今のは...ウェルシュドラゴン、ドライグの本来の力だ...最後の最後で...俺が賭けに勝ったな...」

 

「新技だと...げほっ!!...くっそ...アーシア・アルジェント...なくしても...お前は...」

 

「いや...アーシアはずっとそばにいたさ...例え力が封じられたって、アーシアの為なら俺は何処までも飛んでいける...」

 

「ごぷ...くそ...倒したかったん...だけどな...」

 

「あぁ....俺の勝ちだ...じゃあな。...二度と、俺とアーシアの前に...敵として現れるんじゃねぇぞ...」

 

 俺は曹操の腹にもう一発拳をぶちこんだ。

 曹操は血を吐いて完全に気絶する。

 俺も後ろに倒れるこんだ...

 

 あ──...血、流しすぎ...

 アーシア...来てくれないかな...

 

「イッセーさ──ん!!!」

 

 愛おしい声が聞こえる。

 ほんと...最高のタイミングで来てくれるな...

 流石は俺のアーシア...

 

「イッセーさん!!急いで治療します!!」

 

 悪魔の翼で飛んで来たアーシアが回復をかけてくれる。

 ...今までの痛みが嘘のように傷が治っていく。

 しばらくすれば全回復してしまった。

 

「ありがとうアーシア...さっきまでの痛みが嘘のようだ」

 

「イッセーさんが無事でよかったです!」

 

 アーシアが抱きしめてくれる。

 無事...?アーシアさんや、あの傷のどこが無事だと言うんですかい?

 でも嬉しい...好き...

 

 やがて、皆も集まってきた。

 

「...曹操では赤龍帝を倒しきれなかったか。まぁ当然だな。やはり黄金となった赤龍帝を倒せる権利を持つのは俺だけのようだ」

 

 ヴァーリが話しかける。

 

「いや結構ギリギリでしたけど...」

 

『ヴァーリ!!良く来た!!さぁ速く私の元に来いドライグ!アーシア教本拠地はもうこりごりだ!こっちで私の封印も解いてくれ!』

 

『そんな言い方はないだろうが...』

 

 ドライグとアルビオンが俺の神器(セイクリッド・ギア)からヴァーリの方に飛んでいった。

 騒がしいドラゴン共だ...

 

「...曹操...」

 

 ぼそりと声が聞こえたので、そちらを向くと身体中を黒く変色させたゲオルグがふらふらと立っていた。

 

「...俺達の負けだ。...二天龍に...黄金バカップルに関わるべきではなかった...」

 

 サイラオーグさんや木場がゲオルグに襲いかかるが、一歩遅く、転移されてしまった。

 後バカップル言うな。

 

 まぁ良いだろう。どうせ帝釈天がどうにかするだろうし。

 

 ヴァーリが俺の方を向く。

 

「キミとも決着をつけないとね。グレートレッドに挑戦する前の良いテストになるはずだ...」

 

「あ?勘弁してくれよ...」

 

「そうもいかない。アルビオンも楽しみにしているんでな。ただまぁ、その腕が治るまではお預けになるだろうね。やるなら君が完全に復調してからだ」

 

 一生治さないでいようかな...

 いやでもアーシアを両の手で抱きしめたいし速く治したい...すぐには無理だったな...ちょっと悲しい。

 

「ヴァーリ、皆こちらに来ています。予定どおり一暴れしてきました」

 

 声の方を見るとアーサーが居た。

 

「そうか、すまんな」

 

 ヴァーリが踵を返して去っていく。

 

「木場祐斗。私が探し求めていた聖王剣コールブランドの相手として、貴方が一番ふさわしい剣士のようです。ヴァーリと兵藤一誠が決着をつけるとき、私もあなたとの戦いを望みましょう。それまではお互い、無病息災を願いたいものですね」

 

 アーサーがそう言い残して去っていった。

 木場も好敵手の登場にニヤリと笑っている。

 

「さて、俺も眷属を待たせているのでな。そろそろおいとまさせて貰おうか」

 

「サイラオーグさん、ありがとうございました!」

 

 俺の声にサイラオーグさんが手をあげると、何処かへ飛んでいってしまった。

 

「イッセー...戦うなと言ったのに貴方は全く...でも、曹操を倒すなんて流石だわ。頑張ったわね」

 

 部長が声をかけてくれる。

 

「アーシアのお陰ですよ」

 

「そうね。貴方達二人は冥界の英雄だわ。人知れず冥界を守ったカップルだなんてちょっとした作品になりそうね」

 

「勘弁してください...あの、皆...少しの間、アーシアと二人きりにしてくれないか?」

 

「...?別に良いがどうしてだ?」

 

 ゼノヴィアが尋ねてくる。

 

「はいはい、いいから邪魔者は何処かへ行きましょう!...頑張りなさいイッセー」

 

「はい!」

 

 部長は皆を押して何処かへ行ってくれた。

 

「あの...イッセーさん、どうしたんですか?」

 

 アーシアが不思議そうに尋ねてくる。

 俺は、この戦いが終わったら絶対にしようと思ってた事がある。

 

 ...うぐっ...大丈夫だってわかってるのに緊張してきた...

 でも...やるしかない!!

 

「なぁ、アーシア...」

 

「はい?」

 

「俺達、なんだかんだ付き合い始めてから半年以上経つんだな」

 

「...そうですね。長かったような短かったような...」

 

「ほんとだよな...俺的には滅茶苦茶長かったよ。...色々あったな」

 

「はい...部長さんの結婚騒動に、聖剣に、他にも色々ありました」

 

「大変だったよな!...それで...その...さ」

 

 あああ頭真っ白になってきた...!

 折角セリフも考えて来てたのに!全然思い出せない!!

 

「イッセーさん...大丈夫ですよ?」

 

 アーシアが俺の手を握ってくれる。

 アーシアの顔が少し赤い、目にちょっと涙が浮かんでいる。

 バレバレだな...そりゃそうか。俺がアーシアが何考えてるのか大体わかるように、アーシアだって俺が何考えてるかくらいお見通しだよな。

 うぐ...ちょっと情けないけど、アーシアのお陰でだいぶ落ち着いてきた...

 

「ありがとう...よし!まどろっこしいのは無しだ!似合わない事するんじゃなかった!」

 

 俺は懐から魔方陣を取り出して、その魔方陣から小さな箱を召喚する。

 

「改めて...ずっと俺と一緒に居てくれ!必ず幸せにしてみせる!...アーシア...俺と結婚して下さい!!」

 

 箱を開いてアーシアに手渡す。

 中には指輪が入っている。

 

「...ぐす...イッセーさん...はい、末永くよろしくお願いします!」

 

 アーシアは箱を大事そうに胸に抱き、これ以上ないくらい幸せそうな笑顔でそう答えてくれた。

 ....嬉しい。

 ちゃんと受け取ってくれた。

 ...やべぇ...すっげぇ嬉しい...そわそわしてしまう...

 

「その...アーシア...指輪、はめていいか?」

 

「はい!お願いします...!」

 

 俺はアーシアに左手を上げてもらい、指輪を取り出した。

 ...大丈夫。サイズはアーシアが寝てる時にちゃんと図った。

 すぅっとアーシアの薬指を指輪が滑っていき、付け根の辺りできちんと止まってくれた。

 

 アーシアは左手を顔の前に持っていって、指輪を見つめている。

 う...部長に頼んで冥界のいいお店を紹介してもらって、めちゃくちゃ一生懸命選んだんだけど...気に入って貰えただろうか...

 

「...とっても綺麗ですね...イッセーさん...私、ずっと楽しみにしてたんです。イッセーさんからのプロポーズ...すごく...すごく...」

 

 アーシアの目から大粒の涙がポロポロとこぼれていく。

 

「そっか...ありがとう...」

 

「こんなに幸せな事だったんですね...とっても...嬉しいです!!...イッセーさん!愛してます!!」

 

 アーシアが俺にキスをする。

 俺もアーシアを抱き返して、長く長くキスをする。

 アーシアと知り合ってから幸せの最高記録が更新されっぱなしだ!!

 今までの人生で今が一番幸福だと断言できる!!

 

 それからしばらく、ようやく落ち着いた俺達は皆の所に戻ろうとしたのだが...

 

「あ」

 

 すぐそばの瓦礫に皆が隠れていた。

 

「アーシアぁ!良かったなぁぁぁ!!」

 

「アーシアさん!おめでとう!!」

 

 イリナとゼノヴィアがアーシアを抱きしめている。

 

「はい!ありがとうございます!」

 

 アーシアも嬉しそうだ。良かった...アーシアにとって良い思い出になってくれたかな?

 

「おめでとうイッセー君。...うん、すごく良かったよ」

 

 木場が話しかけてくる。

 

「おめでとうございますぅぅぅ!!」

 

 ギャスパーが叫ぶ。起きてたのかギャスパー...

 

「ありがとう。なんとか上手くいってくれて良かったよ」

 

「さて、先ほど全ての豪獣鬼(バンダースナッチ)が討伐されたと聞いたわ!イッセーとアーシアの婚約も無事成功した事だし、お祝いしないとね!」

 

 部長が楽しそうに言う。...部長にはお世話になったからな。

 

「あの...部長、ありがとうございました!」

 

「貴方が頑張ったんでしょう?私の助力なんてほとんど」

 

「いえ...俺とアーシアを巡り合わせてくれて、眷属にしてくれて...こうしてプロポーズできるようになったのも、部長のお陰です。だから、ありがとうございました!」

 

「あっ、ありがとうございました!」

 

 アーシアも俺に合わせて頭を下げる。

 

「...何よ、そんな事言われたら調子狂っちゃうじゃない...まぁそうね、貴方達にそう言われると結構嬉しいものね...」

 

 部長は珍しく照れていた。

 

「あぁもう!湿っぽいのは無し!盛大にお祝いするわよ!皆!!」

 

『はい!』

 

 こうして英雄派との戦い、及び俺のプロポーズは無事終了した。

 本当に良かった...!

 これで...正式にアーシアは俺の婚約者...婚約者ってこんなに素晴らしい響きなんですね...幸せだ...!!

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