「よし、接続完了。会長、氷川先輩いつでも始めて大丈夫です」
数週間後、合同文化祭の前夜祭が始まろうとしていた。
「これより、花咲川、羽丘の合同前夜祭を開催します。」
『みんなーお疲れ様ー!』
「それでは井戸原君改めて詳しい説明をお願いします」
「はーい。今年の文化祭、合同と言ってもそれは1部だけのものです。具体的には2校の中間地点にある総合体育館での演奏やライブ。また両校での謎解きスタンプラリー。ちなみに謎解きの問題は両校行かないと揃わず2日とも違う問題です。スタンプを押す場所はは両日ともにランダムで決まっています。また問題の答えは両校の受付しか知りません。後は花咲川、羽丘の両生徒は後夜祭があるから参加禁止。買い出しについてはレシートを受付に置いてある箱に入れといてください。当日中に返金します。予算はまだ残ってるので。万が一オーバーしてもまぁ大丈夫でしょ。これで説明はおわりです」
「どうぞ」
「それでは皆さん楽しんで下さい」
~~
「でもあの短期間で間に合うとはな」
「井戸原がそう立ち回ったんでしょ」
「過労死するかと思った」
「井戸原君」
「どうした?奥沢」
「カラオケ大会出なくて良かったの?」
「絶対やだ」
「あら、歌うまいの?」
「千聖先輩と···松原先輩」
「お疲れ様」
「花音先輩。そうなんです。井戸原君すごいんですよ」
「聞いてみたいわね」
「機会があれば」
「そろそろ終わりだな」
「そうだな···あ!」
「なんだ?」
「大事なこと言うの忘れてた」
「はい、マイク」
「ひとつ言い忘れてました。レシートの裏に学年クラス名前書いといてください。じゃないとお金返せないので」
それを忘れるなよ!と全員が思った。
~~
夜は明け文化祭1日目、俺は朝早くから両校の簡易警備システムのチェックをしていた。
「異常なし。動作チェックOK」
「おはようございます」
「あ、おはようございます。早いっすね氷川先輩」
「井戸原君の方が早いでしょう。なにかのチェックですか?」
「はい、さっき羽丘にもよってきたので」
いろいろやってるせいで大変なんだこれが。
「でもそろそろホームルームですよ?」
「え?うわ本当だ。じゃあ失礼します」
生徒会室を出て教室へ歩く。
「あー間に合った」
「どこにいたんだ?蓮」
「生徒会室」
「あー井戸原君警備総主任だもんね」
「なんでこうもめんどくさいことばっか俺に回って来んのかなー」
先生が入ってきて手短にホームルームを終わらせ各自最終準備に入る。俺は生徒会室に戻り警備システムを起動させた。
『皆さん準備はいいですか?』
『それでは、花咲川・羽丘合同文化祭の開催を』
それぞれの生徒会長の声が聞こえてくる。俺が一時的にマイクとスピーカーを繋げたからだ。始まる。俺の過労死寸前の努力の結晶が。
『『宣言します!』』
すると大勢の人が一気に流れ込んでくる。これは正直遊ぶ暇ないな。一応弦巻のところの黒服の方々にも協力して貰っているけど。
~~
体育館では彼女たちによるライブが行われようとしていた。
「楽しみだねー」
「まさかあたしたちが連続とはね」
「少し緊張するなー」
「どんなライブでも自分の音を奏でるだけよ」
「とーっても楽しい気がするわ」
「じゃあいってきまーす!」
文化祭1日目。ライブとともに大成功を納めたのだった。
巴誕生日おめでとう