ガールズバンドとのやかましい日常   作:紅葉064

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時系列ミスったからチュチュの誕生日は抜きで読んでください。


亀裂の果てに

RASのライブの翌日、学校にきた市ヶ谷も戸山も浮かない顔をしていた。

 

俺もいたのだがあえて問う。

 

「どうだった?」

 

どうやら俺の聞きたいことは察したようで

 

「なんか変な感じだった」

 

「だろうな」

 

「井戸原いたのか?」

 

「ああ、途中で帰ったけどな」

 

こんな話をすると少し空気が重苦しくなっていった。

 

そして放課後、俺はある場所へ向かった。

 

 

 

~~

俺が自分のバイクを走らせている頃、レイヤとチュチュは話を、マスキと朝日はパレオ捜しをしていた。戸山たちがチュチュのマンションの前まで来ると、レイヤとチュチュは飛び出していき、花園はそれを見て微笑んだ。

 

 

 

 

~~

景色を眺めながらコーヒーを飲んでいると足音が聞こえてくる。

 

「···レオさん!」

 

今パレオって言ったか?

 

声と足音がする方を向くと朝日とマスキがメガネをかけた黒髪ツインテールの少女を追いかけていた。あれがパレオ?全然違うように見えるが何となく面影があるように思える。

 

「パレオさん!」

 

「···違います」

 

「違うって、お前鳰原令王那って言うのか?」

 

「!? どうしてそれを」

 

こいつら俺に気づいてないのか?

 

「学校の奴らに聞いたんだ。写真見せたらそうだって」

 

「勝手に、すみません」

 

「いえ······何か言っていました?」

 

「はい。その、かわいいって」

 

「良かったです。パレオはかわいいですから」

 

パレオはってそれじゃあまるで自分は···

 

「何訳わかんないこと言ってんだ。帰るぞパレオ」

 

「帰りません」

 

「お前、RAS辞める気か?」

 

「そんな!」

 

「パレオはもういません。いないんです」

 

「いないって。お前がいないと困るんだよ」

 

「パレオがいなくてもライブはできます」

 

「お前がいないとかわいさが足んねぇだろ。チュチュの曲とレイヤの歌とお前らののかわいさが浮いててそれが可愛いんだ。それにチュチュも待ってる」

 

「嘘は嫌いです。ちゆが待ってるはずありません」

 

「それはないです!だから戻ってください!」

 

「それは無理です。だって······」

 

「パレオは存在意義を失いました」

 

「ちょっとまちゃあ!!」

 

「「!!!」」

 

「RASは5人でRASやんか!」

 

「ロック···」

 

「パレオさんは、うちらとやるの楽しくないんか?」

 

「それは···」

 

「うちはこの5人が最強やと思う。みんなでやって、音が響いて、こんなに楽しんやって思う自分がおる。もっともっとどこまでも走っていける。RASはそんなバンドやと思う」

 

「そうだねえ」

 

「「「!!」」」

 

「やっほー」

 

「蓮、お前いつから」

 

「言っておくが俺の方が先だからな。お前らが俺に気づかず始めただけだからな」

 

「わりぃ」

 

「いいよ別に。ところで話を戻そう。俺はお前のいないライブを見たが正直聞くに耐えなかった。1人いないだけでここまで落ちるのかと。いつも通りやっているように見えても全く違う。音はあっていてもどこか穴が空いたような感覚だった」

 

俺はパレオの頬を両手で潰して続ける。

 

「いいか?よく聞け。俺はアイツは嫌いだがRASが嫌いなわけじゃない。だからこそお前がいないと困る。何かを言われただけで消えるほどお前にとってチュチュは安い存在なのか?それだけで存在意義を失うのか?言っておこう。お前自信が存在意義を失ったと思ってもお前を必要とするやつはいる。そこにもな。そして、たとえお前が自分自身を卑下にしようとそれを認めないやつがいる。俺もだ」

 

パレオの目に涙が浮かぶ。

 

「ひとつアドバイスをやろう。それは『常に原点を意識しろ』。お前の原点はなんだ?なぜ音楽を始めた?」

 

「私は···パスパレよりも前に好きなバンドがありました。エンドロールっていう。私はそれで、思い切ってピアノで弾いた曲を送ってみたんです。そしたらそれを良いって言ってくれて、それが嬉しくて···」

 

「それを聞いた上でひとつ問おう。お前はどうしたい?どうすべきかという流れではなく、どうしたいと思っている?」

 

そんなの決まっている。

 

「私は!」

 

「それを言う相手は俺じゃない」

 

そう言ってパレオの後ろを指さした。そこには、あとから追いかけてきたレイヤと、体力ないのに必死で走るチュチュがいた。

 

「パレオー!あっ···」

 

チュチュはつまづき倒れる

 

「「あっ!」」

 

すると2人の横を通る影。

 

「チュチュ様!」

 

「パレオ、ごめんなさい。私···酷いことを」

 

「うう~チュチュ様、勝手に休んですみません!電話に出なくてすみません!ご迷惑かけてすみませーん!」

 

「ちょ、パレオ苦しい離れて!」

 

「嫌です!離れません!離しません!」

 

「これで一件落着かな」

 

「だな」

 

「ところで井戸原君はどうしてここに?」

 

「え?」

 

「お前だけだよ。最初から俺の存在に気づいてくれたのは」

 

俺はちょっと嬉しかった。

 

「帰ろう」

 

「だな」

 

「はい!あ、ちょっと待ってください」

 

「え?はい」

 

パレオは俺に駆け寄ってくる。

 

「井戸原さん、ありがとうございました。それでその、お耳をかして頂いても?」

 

「ん?ああなんだどうした?」

 

ちゅっ

 

「「「「!!!」」」」

 

その瞬間、俺の時間は本当に止まったように思えた。それほど衝撃的で一瞬だった。いつの間にか感覚が離れていた。当の本人は顔を変えずに

 

「それでは失礼します」

 

「パレオ」

 

俺は動揺を出さないようにしながら呼んだ。パレオは振り返り「なんですか?」と言わんばかりに首をかしげる。俺はこれだけは言わなければと思った。

 

「ありがとう」

 

だがその言葉に反応したのはパレオではなくチュチュだった。

 

「あんた···」

 

しかしそれをパレオが遮る。そして聞いてくる。

 

「それは今のことにですか?」

 

「いや、違う。この礼の意味はいずれわかる」

 

そうして俺たちは別れた。




Cパート的な感じ

あの後、俺は帰ることが出来なかった。気づかれないように必死で隠した。俺は頭を抱えて呟いた

「あの女子中学生···」

そのせいで翌日の学校に遅刻した。
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