ガールズバンドとのやかましい日常   作:紅葉064

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決着

俺への質問攻めが終わらない。特にフェスに行きたい湊先輩と俺達を好きと言ってくれたパレオ。チュチュに関しては表舞台には立たなくてもいいからと勧誘してくる。だからバレるの嫌だったんだ···

 

「はい蓮くん!」

 

「何戸山」

 

「エンドロールって何?」

 

「「そこからか!」」

 

俺と市ヶ谷のツッコミが同時に入る。

 

「エンドロールっていうのは映画とかの最後にその作品に携わった人を紹介する時のことを言うんだ」

 

「ああ!あれかー。でもなんでそんな名前にしたの?」

 

「それについては昔に動画があったはずよ。これね」

 

湊先輩がその動画を再生する。

 

「あれ?蓮くんは?」

 

「顔出ししなかったから声だけだよ」

 

『もうこの話やめねえ?』

 

『そうだね。じゃあ次の質問』

 

「この声どこかで聴いたような···葵くん?」

 

「ああ。葵もうちのメンバーだ」

 

「マジかよ」

 

『皆さんのエンドロールというバンド名にはどんな意味があるのですか?ほうほうこれはリーダーに答えてもらいましょうかね』

 

『はいよ。まぁとりあえずはあのエンドロールを思い浮かべてくれればいいよ。あれってさキャストとか監督とかは覚えてるでしょ?』

 

『あー確かに』

 

『でも作画とか音響とかのスタッフ皆って覚えてられないでしょ?』

 

『そうだね』

 

『だけどその作品に携わったことでそこに自分がいたって言う証明になる。たとえ忘れられたとしてもね。つまりそういうことだよ』

 

『いやわからん』

 

『はっはっは、もっと具体的な方がいい?』

 

『むしろ今ので理解できる人の方が少ないと思うが』

 

『そっかーなら仕方ない』

 

『作品というのはそれを作った人がいたという証明になる。これは?』

 

『わかる』

 

『だから最悪は作画や音響のスタッフでありたい。たとえ俺たちが忘れられたとしても俺たち自身がいたという証明までは忘れて欲しくない。だからそれだけの音楽をつくれるように、奏でられるように、こんな名前にしたんだよ』

 

『意外とちゃんと考えてたんだな』

 

『ノリで決めたとでも思ってたんか。はっ倒すぞ』

 

『まあまあ。いい話も聞けたことだし次行こうよ。皆さんがお付き合いするならどんな人がいいですか?だって。僕は元気な人かなー。コードっちは?』

 

なんか数人食いついたけどどうした?

 

『俺は···お淑やかな方がいいな』

 

『普通だな』

 

『普通だね』

 

『右に同じ』

 

『何故俺だけけなす!?そういうAOIはどうなんだ』

 

『年上』

 

『お前だって普通じゃないか』

 

『·········』

 

『·········』

 

『何故何も言わない!』

 

『LOTUSは?』

 

『落ち着けるやつ』

 

『お前だって普通じゃないか』

 

『俺の答え聞いてた?コードって頭いいのにこういう時バカだよな』

 

『んな!?』

 

『俺は落ち着けるとは言ったが落ち着いているとは言ってない』

 

『らしい答え』

 

「とい言うことよ」

 

ここで動画が終わる。

 

「湊先輩、恋愛観のとこまで流さなくても良かったんじゃ···」

 

「黙っていた罰よ」

 

やだこの人怖い。

 

「ってもう罰なら受けたじゃないですか」

 

「満足しなかったから」

 

「んな横暴な」

 

そんなことがありながらも日は進み決勝当日となった。

 

 

 

~~

「おお~武道館!」

 

「おっきぃ」

 

「おはよう」

 

「おはようございます」

 

「ふあーねむ···」

 

「キングその言葉をあいつの前で言うなよ」

 

「カスミ・トヤマ、覚悟はいいわね?」

 

「うん!よろしくね!」

 

 

~~

「おっす来たな」

 

「すげー隈だな。なん徹目だ?」

 

「4」

 

「ほんとにそろそろ奥沢さんとかに怒られるぞ」

 

「知らん」

 

「そういう事か」

 

「それじゃあ皆揃ったからリハ、始めよっか」

 

~リハ中~

ステージに寝るマスキ、宇田川、白金先輩、朝日、パレオを見て苦笑していると

 

「あんたがここにいるなんてね」

 

ビクッ

 

その声に振り返ると立っていたのは

 

「オーナー···」

 

俺たちがよく世話になったSPACEのオーナーだった。

 

 

 

~~

「お客さん入り始めたからそろそろだね。皆よろしくね」

 

「よろしくお願いします!」×15

 

「それじゃあ井戸原、何かある?」

 

「じゃあ一つだけ。俺のツテとコネを諸々使って武道館抑えた上に予定してなかった1バンド分の演奏とさらにもう一曲分の時間を確保したんだ。」

 

そう言いながら全員を見渡す。

 

「これで下手なパフォーマンスしたら許さねぇからな」

 

「私たちがそんなことをするとでも?」

 

「思ってないから言ってるんですよ」

 

 

~~

ついに始まったその裏で、俺たちは3人でオーナーの前で正座をしていた。

 

「何か言うことはあるかい?」

 

「「「勝手にいなくなってすみませんでした」」」

 

1人は俺。もう1人は葵。最後の1人は俺たちのメンバーの1人、麻偽 匠。このふたりは俺が呼んだ。

 

『もしもし匠?』

 

『そうだが』

 

『今時間あるか?』

 

『ああ』

 

『そこに葵は···』

 

『いるぞ』

 

『よし2人とも今すぐ武道館に来い』

 

『何故だ?』

 

『オーナーがお呼びだ』

 

『っ!分かった···』

 

とまぁこんなところだ。

 

「ところでもう1人はどうしたんだい?」

 

「あいつはアメリカの高校に行きました」

 

「それでかい。なら仕方ないね」

 

俺たちの顔が明るくなったのもつかの間

 

「でも私に何も言わない理由にはならないよ」

 

この後もめちゃくちゃ怒られた。

 

 

 

~~

「楽しかったー!」

 

「あ、井戸原君見てた?」

 

「見てなかった」

 

「おい!」

 

「というより見てる暇がなかった」

 

「忙しいし、仕方ないよね」

 

そういう事じゃないんだよなぁ···。

 

RAS、Roseliaと続き投票時間。会場はほぼ満員。これをひとつずつ数えると思ったら···そもそも今の時代そんなことやらないわ。だがこう思ったのは確かだ。

 

「自動選別のプログラム入れといて良かった···」

 

「井戸原君どう?」

 

「少し待ってください···よし、終わりました」

 

「それじゃあ皆、ステージへ上がって」

 

 

~~

「会場の皆様、大変長らくお待たせしました。これより、結果発表を行います。発表は、この方にしてもらおうと思います」

 

そこに現れたのは、

 

「オーナー!?」

 

「あれは···」

 

「マジかよ···」

 

「皆······よくやりきったね。それでは結果を発表するよ。ガールズバンドチャレンジ、グランプリはーー」

 

俺は結果を知っている。その上で彼女たちに何をもたらすのかは分からない。

 

「Roselia!」

 

「!?」

 

「うそ!やったー!!」

 

「やったー!りんりん、紗夜さーん」

 

「あこちゃん。うん!」

 

「すごい声援···!」

 

「···っ」

 

「チュチュ···」

 

「まだ終わりじゃないよ」

 

え?そうなの?俺それ聞いてないよ。

 

「ベストパフォーマンス賞、RAISE A SUILEN!」

 

「そしてベストバンド賞、Poppin’Party!」

 

「あの人の考えることはいまだによく分からん」

 

「確かに」

 

「皆、いいライブだった!」

 

その瞬間紙吹雪が舞う。どうしてこうも時間を掛けて準備したものは一瞬で終わるのか。

 

「カスミ・トヤマ!準備したあれを今やらないでいつやるつもり?」

 

「あ、そうだ!会場の皆さん!最後に1曲だけ。この時のために全員で練習してきました」

 

「俺の仕事がまだ終わらない」

 

「聞いてください。『夢を撃ち抜く瞬間に』」

 

ほんと、眩しいねえ。

 

「あんたたちは行かないのかい?」

 

「無理ですよ。そもそも練習してないですし。あのステージは今彼女たちのものですし。俺たちは3人しかいませんし」

 

「最後のが本音だろう?」

 

「ええ。俺たちは4人でエンドロールなので」

 

俺はその後、ただ彼女たちの姿を見ていた。いつか、また戻るために。

 

 

 

~~

終わったあとは片付けなのだが

 

「ZZZzzz···」

 

「寝てるね」

 

「寝ているわね」

 

「寝顔は可愛いですね。チュチュ様」

 

「知らないわ」

 

「そういや4徹目って···」

 

「また無理をしたのですか。起きたらお説教と行きたいところですが私たちのためにここまでやってくれたのですからそれはやめて、ゆっくり寝かせて起きましょう」

 

「ふふふ、そうですね」

 

「ではお礼も兼ねてパレオが膝枕をしてあげます」

 

そう言って蓮の頭を自身の腿に乗せる。

 

「机にうつ伏せで寝てるやつをって、器用だな」

 

「奥沢さんが知ったらむくれそうだな」

 

俺はそれに気付かぬまま眠り続けた。

 




目を覚ますと1度あった状況に置かれていた。

「起きましたか?」

「なあこれどういう状況?」

パレオに膝枕をされているという訳の分からないことになっていた。

「起きたのか」

「誰も帰ってないのかよ」

「それよりこの間パレオに言った礼ってなんなんだ?」

「ああそれ?うーんまぁいいか」

体を起こし、、

「あ······」

パレオが何か言った気がするが気にせずに口を開く。

「あの動画の通りだよ」

「全くわからねえ」

「つまり············覚えててくれて、ありがとう」

そう言って微笑んだ。

~~
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