「合同体育祭?ってあの3年に1回やってる···」
「ええ今年はその年なんです」
「それで、各高校の生徒会や風紀委員を主に実行委員とするんですが今年は今注目されているガールズバンドからも実行委員を出したいとのことで」
「そうですか」
「反応が薄くありませんか?」
そんなこと言ったって
「前半はともかく後半俺関係ないじゃないですか」
「で、それをあたしらでやることになったんだ」
「もう決まってたんかい」
まぁなんでそうなったかは何となく想像つくけど。
「ではこれから各校集まって会議があるので···井戸原さん行ってきてください」
「やっぱり俺が行くんかい!わかってたよ!」
俺は会議資料を受け取って生徒会室から出た。
~~
会場に向かっていると、
「あれは···羽沢?」
「あ······井戸原君」
「よっす」
「ここ、こんにちは///」
「お前も氷川先輩に頼まれた?」
「実は」
「そういやこの体育祭って他にどこがいたっけ?」
「あとは月ノ森とか」
「倉田たちのところか」
そしてあることに気付いて羽沢に顔を近づける。
「へぇ!?」
「お前、顔赤くね?」
ぴと
「熱は···ないな。んーじゃあなんでだ?」
「あ··う···///」
「お前もしかして、まだ去年の文化祭引きずってる?」
「当然でしょ!」
当たったらしい。まじか。
「あの時ほんとに恥ずかしかったんだからね!」
「悪かったって」
「でもあとから考えたら嬉しかったのも本当だから···」ボソッ
「ん?なんか言ったか?」
「なんでもないよ!ほら着いたよ」
~~
「以上になります。では皆さん、よろしくお願いします」
会議が終わり、本屋に行こうと思っていたので羽沢と一緒に帰る。
「いやーにしても、進行役が有能で早く終わったから良かったー」
「そうだね。井戸原君この後は?」
「本屋行く」
「だからこっち来たんだ」
「そう」
そう言いながらさりげなく位置を変える。
ブオオオ
「あ···」
「ん?」
「井戸原君あんまりそういうことしちゃ駄目だよ。そういうの沢山されると女の子は堕ちちゃうから」
何を言われているのか全くわからなかった。
~~
「とまぁこんなところです」
「ありがとうございます」
「お疲れ様でした」
翌日の放課後に昨日の会議が内容を報告していた。
「種目は二人三脚、借り物競争、学校対抗のリレーまだまだありますね」
「大規模なものなので仕方ないとは思いますがこれが一日で終わるとは思えないんですよね」
「その辺は数回の会議で削られていくでしょう」
「ですね」
「とりあえず今日はこれで解散です」
~~
「井戸原先輩」
「なに~?」
「合同の体育祭ってどうなってるんですか?」
「どうとは」
「やる種目とかですよ!」
「出た案が多すぎてこれから削る」
「そうですね。これからが大変です」
「いやー会議に出たやつが他にいると楽でいいわー。な?八潮」
「サボる気ですか?」
「まっさかー。精神的に疲労が少し減りそうって意味だよ」
「それは······そうかも知れません」
「だろー?あと今更言うけどさ、お前らがここにいるって珍しいな」
「ホントに今更!」
その後も競技の絞込みと詳細のまとめを繰り返して当日を迎える。
~~
「今日の合同体育祭は地域すべての学校が集まります。大変でしょうが頑張りましょう。よろしくお願いします」
「ここに各校のスケジュールと実行委員のリストバンドがあるので貰ってない人は取り来てください」
「ん~~!やっとこの日が来たね!」
「よくそのテンションでいられるな」
「それはそうでしょ~」
「私もー。この体操服もかっこいいし」
「この日のために作ったらしいからね。3年に1度だからすごい気合入ってるね」
「しかもうちだけ男女でデザイン違うし」
「蓮くん似合う~」
「似合いすぎて逆にこえーな」
「井戸原君の体操服見た時にすごい騒ぎだったもんね」
「薫先輩並にな。意外と隠れファン多いし」
「しかも会場が陸上競技場て」
「有咲ちゃんからその話を聞いた時はびっくりしたよ」
「『井戸原君武道館抑えたんでしょ?だったら頼むよ』ってどっから嗅ぎつけやがったあの教師ども!! なんでそんなこと俺がやらなきゃ行けねぇんだよ。その程度てめえらでやれや!!」
「落ち着きなさい。それに関してはもう終わったことでしょう」
「それは···そうですけど。でも納得は絶対にしません」
「ですが、大変なところをやってもらえて助かったのも事実です。その事に人を回すと他のことが出来なくなっていたでしょうから」
「今日に近づくと連日有咲とか遅かったし」
「これは私たちの出番!で思ったもんね」
「なんでそうなんるだよ」
「お、有咲その表情いいね。こっち向いて」
「なんで撮ろうとするんだよ!」
「随分本格的だね」
「これ?学校から借りたやつなんだ。私記録係もやるから」
「皆さん。楽しむのはいいですが体育祭の成功は実行委員にかかっています。このリストバンドの意味、忘れないようにしてください。それと」
「できるなら日陰でうずくまってたい」
「井戸原君、こんな日に陰気なことを言わないでください」
怒られた。
「おねーちゃん!」
「日菜!」
「日菜先輩···」
「何話してたの?」
「今日のことよ。それよりもあなたは選手宣誓でしょ?大丈夫なの?」
「それはもう燐子ちゃんと打ち合わせ終わってるもんね。だからおねーちゃん。終わったら一緒に回ろー!」
「仕方ないわね」
「やったー!」
「その打ち合わせ、絶対に意味ない気がするなぁ」
俺はボソッと呟いた。
~~
「宣誓。私たちはこの合同体育祭を通じ各校と交流を深め、仲間としての意識をより深めていくとともに、お互いに感謝の気持ちを忘れず」
「スポーツマンシップにのっとって···えー···消えることの無い絆をピピッと発揮して」
「ひ、日菜さん。内容とちが···」
「日頃の成果っぽいものを見せられるようにみんなで力を合わせてるんっ♪とする大会にしちゃおー!」
「ぶふっ」
やった。やっぱりやった。あの人が額面通りに宣誓なんてしないとは思ったけどやっぱりか。
「後半全部アドリブじゃん」
「あの子は···」
~~
「わあ!盛り上がってるね。まだ始まったばかりなのに」
「この中でやるのか。移動だけでも大変だぞ」
「えーとやることは選手の誘導と道具の準備だっけ?得点は?」
「井戸原が独自で得点のプログラム作ったからそれ使うって」
「さすが、楽するための努力は惜しまない男」
「それ褒めてるのか?」
「何はともあれお仕事開始ー!」
~~
実行委員の仕事はほんとに忙しい。
「はーい、ここで競技が始まるまでお待ちくださーい!」
「幅跳び終わりっと。次は高飛びだな」
「あ、あの実行委員の方ですよね?お聞きしたいことがって···え?」
「香澄さん?」
「ましろちゃん、つくしちゃん。どうしたの?」
「私たち障害物競走に出るんですけどはぐれてしまって」
「それは大変!確か障害物競走は···」
「げ!ここから真反対じゃんか」
「どうする有咲」
「場所を教えていただければ私たちだけでも」
「でもちょっと分かりずらいんだよな。誰か···」
そこで目に止まった人物は
「おーい井戸原」
呼ばれた蓮は走って寄ってくる。
「何」
「ちょっとこの2人ともはぐれたみたいでさ、障害物の所まで連れて行ってやってくれないか?」
「え?ポンコツ具合を発揮した結果?」
「それは知らん。でもお前も障害物出るはずだったんだよな。出なくなったけど」
「え?そうなんですか?良かった」
「ましろちゃんどういうこと?」
「井戸原先輩にとって障害物競走の障害物なんてあってないようなものなので勝負にならないんです」
「へぇー」
「お前らバカなこと行ってないで行くぞ」
「あ、待ってください!」
~~
「あ、ハードルあったよ」
「ナイスおたえ」
「並べる時間もあるから少し急いだ方がいいね」
「そうだねって何あれ?すごい人あの中にいるのって···」
「薫先輩だね」
「どうしよう」
ガガーーピーー
突然電子的なノイズが響いた。
『えー瀬田先輩そこ競技準備の邪魔なのでその群衆引き連れて続きは別の場所でやってください』
「ああ、それはすまない」
「さすが井戸原君」
「薫先輩相手でも容赦なし」
~~
続いては去年にもやった借り物競争今年も俺は出ることになった。
「それでは位置について、よーい···」パァン
『さーてはじまりました借り物競争。この競技の魅力としてはその人の本音が見れると言うところにあります。私の注目は去年の花咲川の体育祭でも借り物競争をやった我らが生徒会会計井戸原君。去年は会長をお姫様抱っこで1着ゴールという伝説があります』
この実況どこかでっつーか去年も聞いたな。
だがそんなこと露知らずその実況に息を呑んだものが数人いた。
『今年はどんなお題を引くのでしょうか』
くじを引いて中を見る。そこには、
『おーっと去年とは打って変わって見た瞬間客席へ駆け出した!誰の元へ向かうのか』
つーか今年も人かよ。おっと1人見っけ。
「白鷺先輩」
「私?」
「はい。お願いします」
「いいわよ」
『条件にあったのは何と千聖ちゃん!?しかしまだ帰ってこない』
もう1人いるんだから仕方ない。
『あ、帰ってきた。連れているのは他に紗夜ちゃん!まさに両手に花!刺されても知らないぞ』
「うるせえ!お前去年もやってたじゃねえか。先輩だろうが知るか!何部だ。今からでも3割ほど部費削り取ってやる!」
『横暴!とかやっている間にゴール!』
「えー最低2人。お題は···」
そろーり
「怖い人」
ダッシュ
「井戸原君···であら?いないわね」
「逃げましたね。待ちなさい!」
『逆鱗に触れ逃げる会計!』
「日菜!捕まえなさい!」
『絶体絶命!』
普通に捕まった。
「蓮くん、少しお話しましょうか」
そうして2人に引きずられていった。
「あーひでえめにあった」
「いやあれは井戸原君が悪いでしょ」
「納得いかねえ。怖いの事実じゃん」
「まだ足りなかったようね」
「ひっ!」
振り返るとそこには···