「やっぱり空とか飛んだら楽しいと思うの!!」
「こころん ! はぐみもそれ楽しいと思う!!」
「ああ…それはなんとも儚いね…」
「ふぇぇ~」
俺は今弦巻の家、通称弦巻邸にいる。 何故かって ? それは今日の朝に遡る。
「ねえ井戸原君。 」
「どしたー奥沢」
「今日こころの家でバンドの会議やるんだけど来てくれない ? 」
「なぜ ? 」
「いやー、なんか客観的な意見も欲しいなーと思って」
「ふーん。 まぁいいけど」
そして放課後に集まり、
「あら ? 蓮はどうしたの ? 」
「いや奥沢に頼まれて」
「そうなのね!!」
「この子あれだよね ? 生徒総会の」
「すみません松原先輩。 その話はホントに勘弁してください。 お願いします。このとーり」
「そんなに嫌なんだね…」
で、会議が始まり今に至る。俺は奥沢に顔を向ける。
「おい奥沢…顔背けんなこっち向け」
「なぁ、なんで巻き込んだ ? なんで ? 」(ムニィ)
「いひゃい」
「知らんわ。何だこのカオスな空間は。 しかもその原因の 3 人はもはや脱線してなおかつ破壊しながら止まることを知らない暴走列車じゃねえか…ホントになんで巻き込んだ ? 怒らないから言ってみ ? 」
「絶対怒るやつじゃん」
「いいから」
「だって… 1 人だと制御しきれないんだもん」
「黒服の人達見る限り何人いてもできてない気がするけど。 俺 1 人増えても変わらなく無いか ? 」
「こころに何させるか分からないんだもん」
かわいい顔して上目遣いしてくるんじゃないよ。 ちょっと揺らいじゃうだろうが。
「それじゃあ ! 」
「何か決まったの ? こころ」
奥沢がちょっと青い顔をしていたので無意識に手を伸ばして頭を撫でる。それにちょっと赤くなっていることには気づかない。
「蓮も一緒に飛びましょう!!」
「「!?」」
ちょっと待て。 何がどうしてそうなった。
黒服の人達に視線を向けるか…首を横に振る。どうにか切り抜ける方法を探すと時計が目に入った。
「あ」
「 ? どうかした ? 」
「そろそろバイトも時間だ」
「え!?」
「そろそろお暇するわ。 お邪魔しました」
「いえこちらこそお越しいただきありがとうございました」
「そうだ弦巻。 俺多分ライブやるにしてもバイト入るから一緒に飛ぶのは多分無理」
「それならしかたないわね ! 」
「じゃ」
そう言って弦巻邸を出ると
「薄情者~!!」
と言う奥沢の叫びが聞こえた気がした。
~翌日~
「おはよー奥沢」
「………」ぷいっ
「蓮おはよう。 どうした ? 喧嘩でもしたか ? 」
「おはよう鋼輝。 いや、俺も分からん」
「早く仲直りした方がいいぞ」
「わかってる…奥沢。 俺なんかやった ? 」
「………たの ? 」
「ん ? 」
「どうして昨日帰ったの ? 」
奥沢怖い。 マジで怖い。
「いや、まぁバイトがいい口実になったのは確かだけどホントにシフト入ってたんだよ~」
「手伝ってくれるって言ったのに途中で面倒になって私に全部押し付けて他の女の人との約束優先させて」
「蓮、さすがの俺でもそれはどうかと思うぞ…」
「待って ! 俺が悪かったから誤解招くような言い方やめてください ! 」
「じゃあ…まだ言いたいことあるから今日一緒にお昼ね」
「イエス,マム」
断れるわけが無い。俺はまだ死にたくない。
~~
そんなこんながあって昼休み。 俺は奥沢に愚痴と説教を受けながら中庭で昼飯を食っている。
「ホントにあの後大変だったんだからね」
「でも何も言わずにあれに巻き込まれた俺の気持ち考えてくれよ。なんかこう無差別抽出でデスゲームに巻き込まれたような気分だったよ」
「わからなくはないけど」
「あれ ? 美咲ちゃんに井戸原君 ? 珍しい組み合わせだね」
「あ、花音先輩こんにちは」
「ども」
「こんにちは。 何話してたの ? 」
「「お説教受けてます(してます)」」
「そ、そうなんだ」
松原先輩は少し困った顔をする。 すると
「あら花音 ? どうしたの ? 」
「あ、千聖ちゃん」
「千聖先輩こんにちは」
「こんにちは美咲ちゃん。 ところで彼は ? 」
「あ、はじめまして。 1 - C の井戸原蓮です」
「白鷺千聖です。 よろしくね。 」
本当ははじめましてじゃないけど。バレなくて良かったー。
「せっかくだからご一緒してもいいかしら」
「はい。 いいですよ」
結局 4 人で昼食になった。
「あの松原先輩。 あの後どうなりました ? 」
「うん、結局普通にやることになったよ」
「ホントだよ。 大変だったんだからね。 あ、それちょうだい」
「ごめんて。 」スッ
俺は無言で弁当を差し出す。
しばらくは言う通りにしておこう。
「すみません途中で出てっちゃって」
「ううん。 元々はうちのことだから」
「ありがとうございます。ねえ奥沢 ? そろそろ機嫌直してよ。放課後何か奢るから。時間あれば参加するから。役に立たないと思うけど」
「ホントに ? 」
「ホントに」
「じゃあ約束して」
「どっち ? 」
「どっちも」
「はい」
これで逃げられなくなった。
~放課後~
「で、どこ行きたい ? 」
「んーとね、あ、ここ」
そう言って着いたのは、『羽沢珈琲店』だった。
カランカラン♪
うん、俺の好きな雰囲気だ。やっぱこうやって落ち着いている方がいい。
店員が駆け寄ってくる。
「いらっしゃいませ。 2 名様で…あ ! 」
「ん ? ああ…」
「え ? え ? 」
その店員はついこの間CIRCLEに来た羽沢つぐみだった。 奥沢は俺たちが知り合いなのが意外なようで視線が行ったり来たりしていた。
「はっ ! カウンター席とテーブル席どちらに致しますか ? 」
「カウンターで」
「かしこまりました。 ご案内致します」
「ご注文お決まりしだいお声掛け下さい」
「知り合いなの ? 」
「バイト先で何回か」
「井戸原君どこでバイトしてんの ? 」
「ライブハウス」
「あの子もバンドやってるんだ」
「どんなか聞いたことはないけど。 そんなことより決まった ? 」
「うん」
「すいませーん」
「はーい ! ただいまお伺い致します」
「ご注文お決まりですか ? 」
「エスプレッソとシフォンケーキで」
「私はカフェラテとチョコレートケーキお願いします」
「かしこまりました。 少々お待ち下さい」
「カカオばっかだな」
「いいじゃん別に」
~~
「お待たせいたしました」
「ありがとうございます」
「すみませんいつも騒がしくしちゃって」
「いや、いつもご利用ありがとうございます」
「ああいう子がいいの ? 」
「俺彼女作る気ないし」
「タイプの話」
「俺が一緒にいて安心する奴。 お前とか」
「ふーんそっか」
「そろそろ帰るか」
「そうだね」
俺の奢りなので会計をして店を出る。
「ありがとうございました ! 」
「こちらこそ今後ともご贔屓に」
帰る時には奥沢の機嫌が直っていた。
なんか知らんけどよかった~。
iPhone早く欲しい。
ちなみに自分明日から新社会人です。