ガールズバンドとのやかましい日常   作:紅葉064

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今回は前々から考えてました。大雑把に。例えるならラフみたいな感じ


ホラーな日

ダダダダダダダ

俺は今走っている。真っ青な顔をしながら必死で。今日ほど外出したことを後悔する日は後にも先にもないだろう。

 

 

 

~~

今日はショッピングモールに買い物に来た。買うものはまぁ本とかシャー芯とかいろいろだ。ふらふらと歩いていると見知った顔に会った。

 

「あら?蓮じゃない」

 

「おお弦巻···と牛込と戸山と奥沢もいたのか」

 

「あたし達は映画見に来たの」

 

「へー何の?」

 

「バイオパニック3!ウチめっちゃ楽しみなんだ~」

 

「そうだ!蓮くんも一緒に見ない?」

 

その誘いに俺は全力で首を横に振る。

 

「絶対にヤダ」

 

と顔を青くしながら言った。

 

「もしかしてそういうのダメな感じ?」

 

「グロいだけならまだいいけどそこに人外のホラーとか混ざったらもうダメ。ホラー単体でも無理」

 

意外な弱点を知ってしまった。

 

「その何か言いたげな顔はなんだよ。笑いたきゃ笑えよ」

 

「いやいやそうじゃなくて。大体なんでも出来る井戸原君の人間らしいところを見られてちょっと安心した」

 

「どう意味だそれ」

 

奥沢に詰め寄ろうとした時、

 

「そういえば千聖先輩が言ってたことってどういう意味なんだろうね?」

 

「ん?何それ」

 

「さっき千聖先輩にあったんだけど、『バイオパニック3を見たら早すぐに帰った方がいいわよ』って」

 

「なんだそれ」

 

「ああ!香澄ちゃん、早く行かないと始まっちゃう!」

 

「ほんとだ!こころ行くよ」

 

 

 

~~

上映後

「怖かったー」

 

「あ、あたしトイレ行ってくるから待ってて」

 

「美咲ちゃん私も」

 

5分後

 

「お待たせーってあれ?いない」

 

「どうしたんだろ?あれ?彩先輩?」

 

「ほんとだ」

 

「あの、香澄ちゃんとこころちゃん見ませんでしたか?」

 

「············」

 

「彩先輩?」

 

「うぅ」

 

「「え?」」

 

「うがあぁぁぁ!」

 

「「うわぁぁぁぁ!!」」

 

何か悲鳴が聞こえたような···

 

 

 

~~

俺が映画館のトイレから出ると正気じゃない顔をした人が大勢いた。その中に丸山先輩がいたが俺を見つけるやいなや全力で向かってきてそれに続く大勢。俺は血の気が引くと同時に本能的におそらくゾンビの群れに向かって突撃、と思いきやへりをつかみ遠心力を利用して群れを飛び越えた。

 

(止まったら負け止まったら負け止まったら負け)

 

だが何故か止まらなくても負けるような気がしたがそんなことまで考える余裕など蓮にはなかった。

壁を蹴って乗り越え商品棚の間を抜けてただひたすらに逃げた。

ゲームセンターに転がり込むとそこには奥沢と牛込がいた。

 

「井戸原君!」

 

「しっ」

 

耳をすませばかすかに声が聞こえてくる。

 

「まだこっちに気づいてない。ゆっくり抜けて出たら走るぞ」

 

「うん。あっ!服が引っかかって」

 

「うぁぁぁ!」

 

「バレた!」

 

「りみこっち!」

 

見つかったものの捕まることはなかった。そのあとはフードコートに逃げ込み身を潜める。

 

「ううう」

 

「近づいてくる···」

 

「大丈夫、大丈夫」

 

そして声が聞こえなくなる。

 

「静かになった?」

 

「行ったかな?」

 

「奥沢おまっそれフラグ···」

 

「うがあぁぁぁ!!」

 

「やっぱりー!」

 

それでも捕まることはなく着いた場所は雑貨店。しかし行き止まりだ。

 

「い、行き止まり!?」

 

「もう···だめだってりみ何してるの!?」

 

「何か、何かないかな?」

 

「何かってこんな時に」

 

「でも無事でいないと。香澄ちゃんにゾンビにならないって言ったし」

 

「りみ···」

 

「何か···あっ!」

 

牛込は見つけたおもちゃのマシンガンを向けようとする。それを違和感なく流れるように奪い取り2人をかばいながら俺は銃口を丸山先輩へと向け睨む。だが止まらない。当然だ。

 

「うがぁぁぁぁ!!!」

 

「行け!」

 

テッテレー♪

 

そんな音が聞こえたような気がした。

 

「「ドッキリ大成功~!」」

 

「「へ···············?」」

 

「は?」

 

 

 

~~

「りみりん!美咲ちゃん!大丈夫だった?あれ?井戸原君もいる」

 

ガンガンガン

 

「大丈夫。でもドッキリって?」

 

ガンガンガン

 

「3人とも収録に巻き込んでごめんなさい。宣伝で映画を見終わったお客さんにゾンビが襲いかかるというドッキリを敷かれるつもりだっのだけれど、まさか3人がターゲットになるなんて···ごめんなさい」

 

ガンガンガン

 

「これを知ってたから早く帰れって行ったんですね」

 

ガンガンガン

 

「そうなの。それに」

 

ガンガンガン

 

「3人とも驚かせてごめんね」

 

ガンガンガン

 

「彩先輩本格的すぎますって」

 

ガンガンガン

 

「ほんと!良かったー。でも井戸原君には驚いたなー。すごい動きで逃げたから」

 

ガンガンガン

 

「そんなにですか?」

 

「海外のアクション俳優並だったよ。それにさっき睨まれた時も迫力あって私思わず声上げそうになったよ」

 

ガンガンガン

 

「最後の井戸原くんはかっこよかったわね。2人をかばって。美咲ちゃんちょっとドキッとしちゃったんじゃない?」

 

ガンガンガン

 

「否定できません。本人は今あんなですけど」

 

ガンガンガン

 

「そうね。さっきから気にはなっていたけどどうしたのかしら?」

 

そう言って目を向けた先では蓮が無言で柱に頭を打ち付けていた。

 

「彼ホラー系嫌いなので恐怖と安堵で狂ったんだと思います。」

 

「井戸原君帰っておいで」

 

「はっ」

 

「おかえり」

 

帰ってきた蓮は全てを思い出したのかしゃがみこんでどす黒いオーラを放っていた。

 

「ぐすっ。もう···先輩嫌い」

 

いじけ具合が半端なかった。

 

「彩先輩が井戸原君泣かせた」

 

「ごごごめんね!そういうの苦手だって知らなくて、だから泣かないでー!」

 

この後しばらく口をきかなかったとか。

 

 

 

~~

「ねぇ井戸原君」

 

「どうしたー?」

 

「ドッキリの動画すごいことになってるよ」

 

「あの完全に巻き込まれ損のやつ?」

 

「そう。なんか出てる男の子の運動神経凄すぎとか最後の方すごいかっこいいとか」

 

「ふーん」

 

「嬉しくないの?」

 

「その賞賛されてる内容の裏側を知ってて素直に喜べるわけないだろ」

 

後日パスパレの事務所から映画に出てみないかと電話が来たが速攻ぶっち切ってやった。ふざけんな。




のちに彼は「思い返してみればあの時ほどパルクールやってて良かったと思ったことは1度もない」と語った。
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