まさかの鋼輝と市ヶ谷の両片思いを知った翌日、蓮は奥沢と葵にあの2人をくっつけるのを手伝って欲しいと頼んだ。
「あの市ヶ谷さんが···」
「いや俺も驚いたけどさ。友達のそういうのはかなってほしいじゃん」
「はっすーセリフと顔が合ってない」
「すっごい邪悪な顔してる」
まぁ少しいじり倒そうという目的もある。2割ほど。
「本人的には修学旅行で勝負するつもりらしいから今度の文化祭はどうにかして距離を縮めるように仕向けようと思ってるけどどう思う?」
「あたしはその方がいいと思うけど」
「それでいいよ。あとだから顔」
こうして今のところ3人で『2人をくっつけていじり倒そう作戦』(後半は蓮だけ)を開始した。
~~
「ありがとうございましたー」
その日の放課後。俺はCiRCLEではなく羽沢珈琲店にいた。2年に上がると同時にここでもバイトを始めたのだ。
「ごめんね井戸原君。突然入って貰っちゃって」
「今日は特に何もなかったからいいよ。メールじゃなくて電話が来た時は何事かと思ったけど」
(井戸原君と話したかったからなんて言えない///)
「つぐみ、若宮さん、井戸原君、二葉さん。そろそろ片付け始めようか」
「そうですね」
片付けを終えてもう夜8時。
「みんな、もうこんな時間だからここで食べていくといいよ」
「えっ?いいんですか?」
「もちろん」
「そういえばつくしちゃんこの時間まで居たの初めてだね」
「あ、俺手伝います」
「助かるよ」
「井戸原先輩料理できるんですか?」
「井戸原君とランチタイムとかで一緒になったことないもんね。まかないすごく美味しいんだよ」
二葉は心無しかわくわくしていた。
2人で厨房に立ちながら会話をする。
「下処理終わりました」
「ありがとう。次はソースを頼むよ」
「わかりました」
「いやー井戸原君がいると料理のクオリティもバリエーションも良くなら助かるよ」
「でもそれをこの店に合うようにしているのは羽沢さんなんですから」
「君のような子が息子になってくれると嬉しいんだけどね」
「お父さん!?///」
「「わあ······!」」
「あはは」
「それはそうとしてつぐみ、できたから運んでくれ」
「うん···」
頬を膨らませながらも頷く。
「年頃の娘というのはどうも難しいね」
~~
「美味しい!」
「やはりサスガです井戸原サン!」
「一応一人暮らしだからな」
「たまに厨房で試作品作ってお父さんに食べてもらってるしね」
「彼の作る料理はとても面白いからね。参考になってるよ」
「だんだん厨房の方が多くなってるしね」
「言われてみれば」
「ホールは···」
「すぐに教えることなくなっちゃったしね。最初のランチタイムは顔色ひとつ変えずに捌き切ったし」
「私とは大違いですね···」
「つくしちゃんは普通だよ!井戸原君がおかしいだけだから」
「さらっとけなすんじゃないよ」
その後どうせなら2人も巻き込んでしまおうと鋼輝と市ヶ谷のことを話した。
「えっ!?」
「アリサさんにもとうとう春が···」
「暦上は秋だけどな」
「そういうこと言わないの。でもわかった協力するよ」
「ぶっ倒れないようにしないとな」
「そうだね」
なぜなら
「「多分今年も合同になるだろうから」」
つまりそれぞれの生徒会に所属する蓮と羽沢はこの2つを同時に進行させなければならないため心身共に酷いことになることが分かるから。
店を出て自転車を走らせる。若宮と二葉は羽沢のお母さんが送っていった。俺はこの後にやることを考え、自覚なしににやけながら帰った(主観)。すれ違った人にはめっちゃビビられた。そんなに邪悪かねぇ?
ひとつの恋が動き出す。