もうすぐ文化祭という日に俺は羽沢珈琲店でのバイトに出ていた。ちなみに今現在ものすごく忙しい。何故かというと今日が文化祭前に丸一日作業ができる最終日だから。さっきまで何ともなかったのに最終時間をすぎて2校の生徒が押し寄せてきている。幸いにもホールに羽沢、若宮、二葉の3人がいるので俺は厨房に入っている。だが間違いなくどっちも楽じゃない。忙殺する気か奴ら。
もはや考えることをやめてただただ仕事をし続けること3時間。ようやく終わった。
「死ぬかと思った」
「うちの生徒も花咲川の生徒も凄かったね」
「明日もやばい気がする···」
「お疲れ様ー。はいこれ晩御飯」
「なんか···すみません」
「いやいや、皆がいなかったらもっと大変だったからね。助かったよ」
羽沢のお父さんが作ってくれた晩御飯をみんなで食べる。
「それにしてもあっという間だったね」
「ソウデスネ」
「まぁ手探りの去年よりは楽だったのが幸だな」
「今年は無理してない?」
「···してない」
「ほんとは?」
「···············」
「ほ・ん・と・う・は?」
「3回ほど、めっちゃ怒られた······」
「何やったの···」
「あー。一回目はうちの生徒会室の資料棚の後ろにある隠し通路「何それ!?」自分から聞いたくせになんで止めるんだよ」
「なんでそんなものあるの!?」
「知らんわ。俺も今年の春に見つけたんだから」
「そうなんだ」
「続けるぞ。そこから出たら丁度入ってきた市ヶ谷と氷川先輩が入ってきた。その直後に通路の先の部屋をおさえられて小一時間ほど説教くらったね」
「あとの2回は?」
「2回目はその3日後に大和先輩を大激怒させた」
「何したの···」
「なんかした訳じゃねえよ。たしか···」
~~
ある放課後、丸山彩が生徒会室へ向かっていた。クラスの委員長が文化祭の企画書の提出をしたのだがボツを受けたらしい。ということでちょっと修正した類似内容のものを再提出しに行ったが受け取って3秒でバレてボツになった。そのまま教室まで着いてきて
「次やったら出店自体禁止するんで」
と言い放ったためさすがに真面目に考えてこれが3度目の提出となるわけだ。
容赦ないなとも思いながら扉を開けるとボツにした張本人は机に突っ伏していた。どうせまた寝てるんだろうと思いながら机に近づいたが寝息が聞こえない。全く聞こえない。というか呼吸さえしていないようにも感じる。私は慌てて千聖ちゃんに電話したが。
『もしもし?』
「千聖ちゃん!大変だよ!井戸原君が!」
『落ち着いてください彩さん。千聖さんではありません』
「え?あ!麻弥ちゃんだ!ごめん!」
『いえ、そんなことよりもどうしたんですか?』
「井戸原君が動かないの!」
『寝てるだけじゃないんですか?』
「違うの!」
『あの、ビデオ通話にしてもらっても···』
「ちょっと待ってね···はい!」
『どう見ても寝てるようにしか···ん?』
「どうしたの?」
『井戸原さんの手前にあるものなんですか?』
「えっと···これ?」
『これってはんだご···ああ!!』
「な、何!?」
『彩さん!窓!窓開けてください!』
「え?え?」
『いいからはやく!!自分も今からそっちに行くので!』
それを言って電話を切った直後、
「うう」
井戸原君が呻き声を出して目を覚ました。
「頭痛え」
「井戸原君大丈夫!?」
「なんのこと···うわ寒」
窓が開いていることに気づいた。
その直後に理解した。その数分後に大和先輩が駆け込んできた。
「反省してください!!」
すぐに怒られた。本気で怒っている。俺は正座している。
「すみません」
「換気せずにはんだ付けするなんて何考えてるんですか!!」
「楽しすぎて忘れてました」
まさか大和先輩に怒られる日が来るとは思わなかった。しかも結構ガチなやつ。
~~
「ていう感じかな」
「何してるんですか!?」
「そういえばマヤサンが不機嫌な日がアリマシタ」
「そういえばCiRCLEで美咲ちゃんに膝枕されてるの見たけどあれは?」
「ああ、それ3回目」
「どうそこに繋がるの···」
「受付してたらたまたまエナドリの空き缶10本見つかってさ、バックから残りのエナドリ全部没収されてその後の休憩時間に強制的に寝させられた」
「それでよく体調崩さないね」
「起きたら前科を知ってるその場にいた人全員に怒られた」
「さすがに帰るよね?」
「いや、帰るけどなんで?」
「今の話を聞くとこのままコンビニとか寄りそうだから」
「あーうん。自分でも納得したわ今」
「やっぱり」
「いや、帰るよ。さすがにこれ以上怒られるのはごめんだ」
「ならいいけど···」
まぁ準備期間中にやることほとんど終わったから大丈夫だと思うけど。
生徒会室の資料棚の後ろの隠し通路ってどっかで聞いたことある。