「おいどういうこった」
せっかくの文化祭だと言うのに俺は不機嫌な顔でクラスメイトに詰め寄っている。何故かと言うと今回の出し物で俺は調理に回されていた。
「いやそれはいいんだよ別に。言えよ。怒るわけじゃないから」
「今怒ってるじゃん···」
「何も言わないからだろ。前もっていえば俺だって普通に承諾したわ」
まぁ朝からそんないざこざがありながらも文化祭は始まった。
「特に異常なし」
クラスのシフト時間が終わってから俺は隠し部屋にいた。しばらく入ることはないのでここで気ままに時間を潰す。すると画面のひとつに見知った顔を2つ見つけた。鋼輝と市ヶ谷だ。どうやら休憩時間らしい。まぁ2人一緒に休憩にしたのは偶然ではないのだが。おそらく葵が一緒にしたんだろう。あいつも一枚どころか十枚くらい噛んでるからな。まぁ今回は修学旅行の準備みたいなもんだがいい感じなので良かったと思う。
~~
「休憩入っていいよー」
「サンキュー」
「有咲~」
「キリキリ働けよ~香澄」
休憩時間を言い渡されたが高島君と同じなことに何かしらの企みを感じた。するとその彼が声をかけてきた。
「い、市ヶ谷さん」
「なんですか?」
表の顔でにこやかに返す。
「その、せっかくだから俺と回らない?」
「いいですよ。私も1人だと退屈だと思っていたので」
その直後、無性にイラッとした。この様子を見ている蓮がめっちゃ笑っていたから。そのことは知る由もない。
~~
「はー、はー。やっば。猫かぶり市ヶ谷久しぶりに見たわ」
何故映像だけでここまで笑っているのだろうか。その答えは音が聞こえるからだ。今回使用したカメラは超高性能のマイクが搭載されている。だから大抵の音は拾うことができる。会話程度の音なら普通に聞こえる。だからわらっているのだ
『市ヶ谷さんって蓮と同じ生徒会だけど生徒会の蓮ってどんな感じなの?』
『クラスで見る彼とほぼ変わりはありませんよ』
『なんだろう。すっごい想像つく』
『仕事もちゃんと期日までにやってくれますし』
『意外としっかりしてるもんなあいつ』
市ヶ谷は兎も角鋼輝には1週間ほど購買でパンでも奢らせてやろうか。
そんなことを考える。
『誰がミスした時のフォローもしてくれるので助かってます。細かいところにも気づきますし』
『それは身に染みてる』
「今まさにお前らをくっつけるためのフォローをしてるところだからな」
ボソッとつぶやき再び会話に耳を傾ける。
『市ヶ谷さんお腹空かない?さっきまで動きっぱなしだったしそろそろお昼だからさ』
『いえ、そんなことは』ぐぅ~
『·········』
『·········///』カァァァ
お腹の音を聞かれて顔を真っ赤にしていた。
ピロン
鋼輝からメッセージが届いた。
「なになに?」
ー照れてる市ヶ谷さんめっちゃかわいいー
「照れてるのは見てるから知ってるし。いちいちそんな報告いらんわ。自分の胸にしまっとけ」
『これは、その······』
『仕方ないよ。市ヶ谷さんの食べたいもの買いに行こう』
『······はい』
その後鋼輝は自分の昼飯と一緒に市ヶ谷の分も払った。
意外とスムーズに進んでいる。あれ?こいつこんなにイケメンだったか?
そんな鋼輝の様子に、好きな娘の前で格好つけたいという気持ちは中々に良い原動力になると感じた蓮だった。
~~
「そろそろ休憩終わりだな。んじゃ、戻るとしますか」
十分楽しんだし。