9月30日、俺は市ヶ谷に相談を持ちかけた。
「なぁ、奥沢への誕生日プレゼント何がいいと思う?」
「遅くね?」
「1人で散々悩み抜いた結果何も決まらないままここまで来た」
「誰でもいいから頼れよ」
「その頭がなかった」
「まぁいいけど···羊毛フェルトのセットとかは?」
「去年のクリスマスに渡した」
「アクセサリー」
「買えないことはないけど多分やんわりと受け取りを拒否される」
「じゃあどうすんだよ」
「どうしよう」
「井戸原の選んだものならなんでも喜んでくれそうだけどな」
「そうかぁ?」
「そうだ」
「ん~?どうしようか」
あれにしようかな。
放課後、デパートへ向かった。
~~
帰り道、不意に声をかけられた。
「井戸原様」
「うぉ!!って黒服さんですか」
「驚かせてしまい申し訳ありません」
「いえ、大丈夫です。ところでなにかようですか?」
「はい。明日、こころ様が奥沢様の誕生日パーティーを計画されており、もしよろしければと思い招待にまいりました」
「そうですか。うーんわかりました。行かせてもらいます」
「そうですか。では明日、お待ちしております」
~翌日~
「美咲ちゃんお誕生日おめでとー!!」
「奥沢さんお誕生日おめでとう」
「ありがとう」
あたし奥沢美咲は今日誕生日を迎え17歳になりました。みんなからお祝いしてもらってます。こころはなんか壮大な計画をしてるみたいだけど。わがままを言えば祝って欲しい人がいますが祝ってくれません。まだ学校に来てないから当たり前だけど。
でもあっという間に放課後。彼からはおめでとうのおの字もありませんでした。名残惜しいけどこころがあたしのために誕生日パーティーをしてくれるって言うから行かないとね。
「美咲、お誕生日おめでとう!!」
弦巻邸で奥沢が貰ったプレゼント。それはクマのルームウェアだった。
「それじゃあパーティーを始めるわよ!」
「お嬢様。申し訳ありませんが招待した方がおりますのでもう少々お待ちください。奥沢様はこちらへ」
「え?はい」
~~
ピンポーン
「お待ちしておりました」
「お邪魔します」
パーティー会場へと通されるが奥沢がいない。
「あら?蓮はなんでここにいるの?」
「わ、私が頼んだの」
「そうだったのね」
「お、おまたせ」
「美咲、来たのね」
「よっす奥沢···」
「なんでいるの!?」
そう叫んで出てきた奥沢は、2段仕様でフリルのスカートの着いた衣装を身にまとい、花の形をした飾りを身につけていた。普段地味めな服を着る奥沢を知っているからこそギャップによる破壊力が半端ない。やばい。めちゃめちゃかわいい。そんなことを考えていると奥沢がこっちへよってくる。そして、
「どう···かな?変じゃない?」
と上目遣いで聞いてくる。だからギャップよ。俺は何とか
「うん。すごい似合ってる」
と言った。
~~
パーティーも終わり例のごとく奥沢を家へ送り届ける。
「奥沢」
「何?」
「その、誕生日おめでとう」
「えー?今?」
「悪かったな」
ようやく聞けたその言葉が、今日の中で一番嬉しかった。
「で、これプレゼント」
「ありがとう。開けてもいい?」
「やめとけ。大惨事になるぞ」
「そこまで言うなら家で開けるけど」
「そうしてくれ」
「今日はありがとう」
「どういたしまして」
彼との別れが来てしまった。らしくないとは思う。でも···
「来年には、井戸原君が欲しいな」
「なんか言ったか?」
「え?な、何も」
「そうか。じゃあまた明日な」
「うん。おやすみ」
そう言ってドアを閉めた。部屋に戻ってプレゼントを開けると、
「わっ!!」
袋から何かが飛び出した。それは、
「ぬいぐるみ?」
そうして袋を覗き込むとまだまだ入ってるぬいぐるみ。蓮のプレゼントはぬいぐるの詰め合わせだった。
「大惨事ってそういうこと」
そう言いながらも奥沢は満面の笑みでそれらを抱きしめていた。
~~
奥沢が扉を閉めて1人外へ取り残される。俺は家に帰るために歩き出すが、その耳は真っ赤だった。
「俺が欲しいってなんだよ」
その言葉はちゃんと聞こえていた。
誕生日限定の奥沢を10連1回で出しました。衣装来てる奥沢とかレアだしあと可愛すぎ。出てよかった。
奥沢。HAPPY BIRTHDAY