ガールズバンドとのやかましい日常   作:紅葉064

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修学旅行4日目

最終日の朝。あとはだいたい帰るだけ。そんなことを目が覚めて最初に考えた。どう考えても優先順位が低いなとはそのあと思ったが。周りを見れば2人ともまだ寝ている。だがこれ以上寝かせとけば飯に間に合わない。

 

「葵、そろそろ起きろ」

 

「うーん。おふぁよう」

 

「おはよう」

 

で、鋼輝は···

 

「有咲ぁ」

 

「·········」

 

戸山かお前は。寝言を言いながら幸せそうに寝ている。どんな夢見てんだ。だが叩き起こす。

 

「おい。起きろ鋼輝。おい」

 

「うーん」

 

起きない。ならば声優の力を見せてやろう。

 

「鋼くん起きて。ご飯できてるよ♡」

 

市ヶ谷の声を真似て言ってみたがうん。自分でやっておきながら気持ち悪い。

 

「はい!」

 

あ、起きた。

 

「おはよう」

 

「おはよう蓮。有咲は?」

 

そう。昨日の夜から鋼輝は市ヶ谷を『有咲』と呼ぶようになった。呼ばれた本人はすげー嬉しそうだった。

 

「居るわけねぇだろ」

 

「え?じゃあ今のは···」

 

「俺の声真似」

 

「人を弄びやがって!」

 

「起きないお前が悪い」

 

「うっ」

 

「それよりもさっさと着替えろ。飯に遅れるぞ」

 

「わかったよ」

 

と言いながら俺の事を恨めしそうに見ている。そんなことしたって後で市ヶ谷に会えば一瞬で忘れる癖に。

 

食堂に行けば既に3人がいた。

 

「おはよー」

 

「あ!おはよう!」

 

「おはよう」

 

「おはよう有咲」

 

「お、おはよう」

 

それを聞いたクラスメイト達は耳を疑ったと同時にこう思った。何があったのかと。まぁこうして飯を食べ始めたわけなんだが···

 

「あ、あーん///」

 

「あーん。うん美味しい」

 

クラスメイト達は今度は目を疑っていた。市ヶ谷が恋人っぽい事をしてみたいと呟き、それを見事に鋼輝の耳が拾った結果がこれだ。朝っぱらから何を見せられてるんだ俺らは。あと市ヶ谷、そんなに恥ずかしいならやらなけりゃいいだろ。と、そこへ1人が話しかけてきた。

 

「井戸原。これって」

 

「見ればわかるだろ。分からないなら本人達に聞け」

 

 

 

~~

荷物をまとめてバスに乗り出発する。だいたい帰るだけとは、帰り道にある場所にちょくちょく寄っていくということである。色んなところに行ったがその間も鋼輝と市ヶ谷は一緒だった。学校まであと2時間ほどのところで何気なく2人を見ると、肩を寄せあって寝ていた。

 

「市ヶ谷さん嬉しそうだね」

 

2人を見ていたことに気付いたのか、隣にいた奥沢がそう言ってきた。

 

「まぁそうだろうな」

 

多分起きたら鋼輝にもたれかかって寝ていたことに顔を赤くするだろうなと思いながら写真を1枚撮っておいた。何かに使えると思って。

 

 

 

~~

「うあー着いたー疲れたー」

 

やっと帰ってきた。あとやっぱり市ヶ谷は顔真っ赤にした。

 

「市ヶ谷さん。井戸原さん」

 

呼ばれて振り向くとそこには白金先輩と氷川先輩がいた。

 

「先輩たちどうしたんですか?」

 

「帰ってきた後輩を出迎えてはいけないのですか?」

 

「いやだめじゃないですけど。疲れてるでしょうに。疲労が目に見えてますよ」

 

「やはりそうですか。さすがにかくせませんね」

 

「わかってるならさっさと帰ってください。旅行の話ならまた今度話しますから」

 

「そうですね。白金さん帰りましょうか」

 

「では今度聞かせてください」

 

「わかってますよ。お疲れ様です」

 

 

 

~~

解散して、電車に乗って降りてもう歩き慣れた道を2人で歩く。

 

「楽しかったね」

 

「色々あったけどまぁな」

 

「今回のことで思ったけど井戸原君って日本全国に知り合い居そう」

 

「···あながち間違ってないかもしれない」

 

「それにしても上手くいって良かったね」

 

「ああ、失敗するなんて思ってなかったけど。あれを見てれば別れるなんてこともないだろうし」

 

 

「そうだね。あ、」

 

「ここまでだな。じゃあまた」

 

「うん。学校で」

 

 

 

~~

あの二人を見ていいなとは思った。だけどそんな関係にはなれない。なってしまえば······巻き込んでしまうから。




次回は番外編3話目です。
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