ガールズバンドとのやかましい日常   作:紅葉064

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最近、この花咲川学園高校ではあるひとつの噂が流れている。なんでも放課後になるとどこからか楽器の音色が聞こえてくるらしい。最初はみんな吹部の誰かが残って練習していると思ったのだろう。詳しい人に聞けばこれはヴァイオリンだと言った。どこかのクラスでは吹部の子にこう言ったという。

 

「放課後に聞こえるヴァイオリンの音って吹部の人でしょ?練習熱心だねー」

 

だが、帰ってきた言葉は予想とは違うものだったらしい。

 

「吹奏楽でヴァイオリンなんて使わないよ?」

 

「え?」

 

そこから噂は尾ひれをつけて一気に広まった。これは幽霊の仕業だの語られていない七不思議の7つめ以降だのと。これに便乗して正体を突き止めようとした奴らもいるそうだが、決して音の出処は見つからなかったらしい。

 

 

 

~~

「っていう話なんだけど行かない?」

 

「戸山、なぜ俺を誘う?市ヶ谷といけよ」

 

「有咲は来てくれるって」

 

「おい鋼輝。お前の彼女戸山にとられるぞ」

 

「俺も行くし」

 

「そうかよ。他には?」

 

「おたえとりみりんとさあやとこころんとみさきちゃんとイヴちゃん」

 

「花咲川2年ガールズバンド全員集合だな」

 

「ねえー蓮くんも行こうよー」

 

「わかったから揺さぶるな」

 

「やったー」

 

「はぁ。やれやれ」

 

こうして音の正体を突き止めよう!と意気込んでいたのだが(俺以外)、その日、音は聞こえて来なかった。

 

 

 

~~

その後も何日か同じ事をしたのだが、その噂が嘘のようにまったく聞かなくなった。

 

「おい香澄。そろそろやめるぞ。ここまで出てこないってなるとさすがにやばいと思って雲隠れしたんじゃないか?」

 

「うう、わかった」

 

だがその翌日の放課後、突如として、再び聞こえ始める。

 

「!?聞こえる···」

 

「言われて見れば···ちょ!香澄!?」

 

「戸山さん。わかったの?」

 

「うん。多分音楽室」

 

「なんで?」

 

「勘」

 

「ええ?」

 

その途中で3年組にかち合って事情を説明したら着いてきた。さらにその途中でたまたま生徒会室から出てきた氷川さんと白金さんは

 

「戸山。廊下を走っては···」ピュー

 

「すみません。香澄があの音が音楽室から聞こえるって言うもんで」

 

「なるほど。では私達も行きます」

 

「ええ!?」

 

「実は私も気にはなっていたので」

 

そうして全員で音楽室にたどり着いた。そこには、夕日を浴びながらヴァイオリンを奏でるレンの姿があった。誰が聞いてもわかるほど、とても力強く、繊細な音だった。入ってきたことにも気づかないでただ引き続けている。

 

「そりゃここしばらく聞かなかったわけだ」

 

そんな彼を見て誰かが

 

「イっ······くん?」

 

そう呟いた。




新展開。シリアス回突入
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