冬休みも明けて2年の終わりも見え始めた。そんな日の放課後。
「なぁ鋼輝。明日の放課後遊びに行かね?」
「わりぃ。明日は有咲と用事があって...」
「そっか。まあ仕方ないな。空いてる日分かったら教えてくれ」
「おう!ほんとにごめん」
「いや別に。じゃあ俺生徒会あるから。じゃあな」
~~
「なぁ市ヶ谷」
「なんだ?」
「お前のせいで最近鋼輝の付き合いが悪いんだけど」
「はぁ?」
「あの、鋼輝さんというのは」
「ああええと。俺たちのクラスのやつで、市ヶ谷の」
「か、かれ...彼氏.........です///」
「い、市ヶ谷さん」
「恋人できたんですか!?」
「その、修学旅行の時に」
「え?今更?」
「私たちそのこと知りませんので」
「.........そういえば言ってないですね」
「なにはともあれ、遅くなりましたがおめでとうございます」
「ありがとうございます」
「修学旅行で思い出しましたけど先輩達はどんな感じだったんですか?」
「そうですね...お仕事もキリのいい所まで片付きましたし、休憩がてらお話しましょうか。まずは...」
バァン!!
「話は聞かせて貰ったよ!有咲ちゃん、彼氏できたの!?」
「彩先輩!?」
「お帰りの出口は真後ろです」
「辛辣!」
「ノックもせずに勢いよく扉開けるとか、何年高3やってるんですか」
「えっと、えぇと」
「彩ちゃん、私たち高校3年生はまだ1年もやってないわよ」
「お邪魔します」
「どうしたんですか?3人揃って」
「恋バナの気配を察知した彩ちゃんを追って来たのよ。邪魔してしまったかしら?」
「休憩しようとしてたところなので問題ないですけど、丸山先輩はなんですか?妖怪か何かですか?」
「それは言い過ぎだと思うけれど、今回は彩ちゃんが悪いからかばいようがないわね」
「ところで、何をしようとしていたの?」
「これから先輩達5人の修学旅行の話を聞こうかと」
「それなら私達もいていいかしら?」
「面白い話が聞けるなら願ったりですが」
「後悔はさせないわよ。そうね、まずは......」
~~
「着いたー!京都駅!」
「人が沢山いるね」
「駅と言うよりも空港みたいですね」
「わかる!なんかこう近未来的な感じ!新幹線の中でも全然落ち着かなかったよー」
「あら?クラスで1番早く寝たって聞いたけど?」
「い、一瞬だよ!!」
「今が京都駅ってことは次は寺院巡りだよね」
「はい。今日は定番の場所をいくつか回って、明日は街の散策です」
「うーん楽しみ!」
「丸山さん。気持ちは分かりますがあくまで『修学』ですからね」
「わかってるよ!」
「それではバスに乗りましょう」
~~
「ふぅ......」
「燐子ちゃん、大丈夫?」
「はい。なんか...緊張してしまって」
「緊張?」
「はい...と言うよりドキドキしていると言った方が正しいのかもしれません。京都は小説の舞台になることも多いので1度は来てみたいと思っていたんです」
「なるほど」
「わかる!なんかソワソワするよね!!」
「はい、そうなんで...え!?」
「彩ちゃん!?どうして」
「え?え?」
~~
「というわけで彩ちゃんたら気付かずに私たちと同じバスに乗っていたのよね」
「うう~また井戸原くんに笑われちゃう...あれ?笑ってない」
「いやー期待は裏切らないなとは思いましたけど」
「そんな芸人気質無いからね!?」
「予想通りすぎてあんまり笑えないですね」
「ひどいよ!」
「じゃあ笑い飛ばせば良かったです?」
「それはそれで嫌だ」
「続けてもいいかしら?」
「あ、すみません。どうぞ」
「それで清水寺に行ったのよね」
~~
「すごい高さ!迫力あるなぁ。そうだ!花音ちゃん、一緒に写真撮ろ!ほらポーズとって!」
「ぽ、ポーズ!?ふえぇ...」
「彩ちゃん本当に元気ね」
「ええ。ですが写真を撮りたくなる気持ちも分かります」
「広々とした舞台から広がる空...とても素敵な光景です。......あれ?し、白鷺さん...」
「こっちよ。ごめんなさい、人が増えて見失ってしまったわ」
「少し端に移動しましょうか」
「すみません...」
「大丈夫よ。それにしても...」
「制服の人がたくさん...同じ修学旅行生でしょうか?」
「ええ、それに海外からのお客さんもかなりいるわね」
「さすが観光地と言ったところでしょうか」
「世界中からかぁ...普段は全く違う場所で暮らしているのに今この瞬間は同じ景色を見てるって、なんかワクワクするね!」
「ふふ、うん。なんかライブみたいだね......あっ!ごめんね急に。ライブも色んな場所から集まってきた人たちがひとつになって作り上げる空間ってイメージがあるからつい...」
「ライブかぁ。じゃあここはステージだね!」
「ステージと言うとなんだかニュアンスが違う気がするけど」
「もともとこのお寺の舞台は雅楽や能を奉納するために作られたものなのでイメージは間違っていないと思いますよ」
「でもなんだかぐっと身近になった気がします」
~~
「それで写真を撮ってもらったのよね」
「なんだか一部分だけ授業聞いてるような感覚になったんですけど...」
「でも分かりやすかったでしょ?」
「はい。さすが氷川先生」
「誰が先生ですか」
「しかし世界遺産をライブステージとは...」
「うう、何か変?」
「いえ、もともとの使われ方を考えれば言い得て妙だと思います」
この後も、下校のチャイムがなるまで話を聞き続けた。ちょくちょく挟まれた氷川先生の授業はとてもためになりました。
年明けにもう1話あげる予定です。