ガールズバンドとのやかましい日常   作:紅葉064

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続けて上げました。内容についてはすべてフィクションです。途中で不快になった方はバックして下さい。


わすれもの -後編-

昨日のことが気になって授業に集中できず、教師に怒られ偶然通りかかった氷川先輩にも怒られた俺は捜査に乗り出した。関係ありそうなことはすぐに見つかったのだが、そこまでで分かったことはそれがいつのことか、被害者・加害者の氏名、そしてかなり省略された動機だけ。俺はもっと情報を得るため、放課後、図書室へ向かった。何故かと言うと理由は2つ。1つは司書の先生が当時この高校にいたから。そしてもう1つ、うちの高校には昔から新聞部があるがその活動場所が図書室からしか入れない資料室だからだ。だから当時の新聞部の記事が残っているかもしれないと思った。それが理由だ。ついでに言えば今日は新聞部の活動がないから尚更都合がいい。

 

「失礼します」

 

「あら、どうしたの?もう閉める時間だけれど」

 

「はい。だから来ました」

 

「?どういうことかしら」

 

「場地先生。昔、ここで起きた事件について教えてください」

 

「!なぜそのことをあなたが知っているの?」

 

いつも見るものとは違う鋭い目付きに変わる。それでも俺は表情ひとつ変えず

 

「昨日会いました。なので、調べました」

 

そういうと目つきは元に戻った。いや、心無しかいつもよりも悲しそうにも見える。

 

「そう......まだいるのね。わかったわ、話してあげる」

 

内容はこうだ。

事件があったのは15年前。被害者は当時2年生だった女子生徒、そして加害者は教師。当時、被害者とは別の女子生徒と秘密裏に交際していた教師は偶然にも被害者の女子生徒(以降Aと表記する)に見られてしまった。その事に気づかず次の日にその事について迫られた。別の女子生徒(以降Bと表記する)といるところを見られたと知った教師は焦った。他の生徒であれば気づいても面倒事は勘弁と言わんばかりに見て見ぬふりをしただろう。だがAは違った。その教師は生徒からの人気は高く恨みを買うような人間では無かったのだが何故かAは教師を嫌っていたという。変な目で見られだのと周りにも言っていたようだ。誰にも信じては貰えなかったようだが。後の話だとAはかなり思い込みが激しかったようだ。そんな中たまたま弱みを見つけ、教師に学校を辞めるよう言った。彼にとって教師は昔からの夢であり、居場所でもあった。だが告発されてしまえばBとの関係も絶たれ、居場所までも失ってしまう。Bと別れろと言われるならまだしも居場所を奪われることは彼にとって我慢ならなかった。ひとまず時間をくれと告げ、その場は治まった。

3日後、答えが出たと言い放課後に人気の少ない1階奥の教室へAを呼び出した。ようやく教師を消せると喜んだAはなんの警戒もなく教室へ入った。次の瞬間頭頂部へと勢いよく鈍器が振り下ろされた。無抵抗に殴られたAは、最初こそ意識はあったものの、凶器を何度も何度も振り下ろされ次第に反応すら無くなった。その後、Aを殴り殺した教師は死体を防腐処理したのち、今は使われていないあの倉庫の床下へと放り込んだ。その夜Aの両親により娘が帰ってこないと警察に捜索依頼を出したが、Aが見つかることはなかった。

 

時々苦しそうな顔をしながら口からこぼれる話を俺は黙って聞いていた。

 

「これでいいかしら」

 

「いえ、まだです。もう少し調べたらその5年後に遺体が見つかっています。5年もの間見つからなかったとも言えますが、その5年目に何かがあったとしか思えません」

 

「そこまでたどり着くのね。本当なら最後まで話したいけれどさすがに下校の時間ね。代わりにこれを持って帰って」

 

「これは?」

 

「事件の次の年からできた新聞部の記事。あとは自分で見つけなさい」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

~~

その後、帰宅してから朝になるまで記事を読み漁ったが時間が足りず寝不足のまま登校することになった。

 

「おはよう。井戸原くん大丈夫?顔すごいことになってるけど」

 

「奥沢おはよう。いや、大丈夫ではない。倒れそう」

 

「起こしてあげるから先生来るまで寝てたら?」

 

「悪い。そうさせてもらう」

 

「ぐぅたら彼氏」「呆れながら甘やかす彼女」

 

誰が言ったか知らないがあまりに眠過ぎて反論する気は起きなかった。あと一応起こされたのだが起きれず先生にめっちゃ怒られた。通知表どうなるか割と不安。でもまあ今日は金曜日だし記事を探すのに集中できる。そのために生徒会の仕事は全て終わらせてある。ということで帰ろうとしたら奥沢に呼び止められた。

 

「井戸原くん」

 

「どうした?」

 

「それはこっちのセリフ。いやその、らしくないなと思って」

 

「何が?」

 

「仕事以外で無理をするのが」

 

「そっかぁ」

 

「ねぇどうしたの?多分変なのみんな気づいてるよ。戸山さんも市ヶ谷さんも他のみんなだって」

 

「マジかよ」

 

「うん。だからかなり心配してるんだよ」

 

「なぁ奥沢」

 

「うん?」

 

「幽霊って信じるか?」

 

「唐突すぎない?」

 

「頭おかしくなったと思うか?」

 

「一瞬よぎったけどそれを聞く時点で大丈夫だってわかるよ。それで答えだけど、よく分からない」

 

「まあそうだよな」

 

「会ったの?」

 

「ああ」

 

「それが様子が変なのに関係していると」

 

「そうだな」

 

「......じゃあ私もそれ手伝う」

 

「え?」

 

「だっていつもと違う理由でやばそうなんだもん」

 

「かなり重労働だけど」

 

「それでも2人なら楽になるでしょ?」

 

「わかったよ。じゃあこのまま俺の家に行こう」

 

「変なことしないでよ」

 

「するように見えるのか」

 

「全然。少しは楽になった?」

 

「お前ってやつは」

 

 

 

~~

家に着いてから昨日聞いた事、そして今やっていることを全て話した。その上でもう一度聞いたのだが答えは変わらないようだ。そうして2人で記事を読み漁りいつの間にか日曜日。そしてついに

 

「見つけた......井戸原くん!見つけた!」

 

「ああ、俺も見つけた」

 

そこからは早かった。見つけた記事にはこうあった。

 

『昨日の夜、僕は学校で幽霊に会った。気づいていないのかずっと同じ方向を見続けている。声をかけるとそれは消えていきやがて何もなかったように静かな夜に戻った。僕は幽霊の見ていたであろう景色を見た。そこにはただ倉庫が映っていた。

何かを感じ倉庫に向かった。鍵はかかっておらず、慎重に扉を開いたがそこには何も無かったが僕は違和感を感じた。僅かに異臭がするのだ。だが録な明かりを持ってなかったために倉庫を後に帰宅した』

 

「これが最初だな次は...」

 

 

 

~~

『翌日、登校した僕は前日の夜のことを先生に話した。少し説教を受けたがそれは些細なことだ。ほとんどは笑い飛ばしたが1人だけ話を聞いてくれた。全て聞き終わると僕を連れて倉庫へ向かった。変わらず鍵は開いていて、やはり同じように異臭がした。しかしどこかが分からない。すると気になるところを見つけた。壁際の床に数箇所、抉ったような後があったのだ。そこの床をめくってみると...いや、この先は書く気になれない』

 

「井戸原くん、これって...」

 

「多分あったのは...」

 

 

 

~~

『ようやく書く決意が固まった。床をめくってみるとそこにあったのは腐りかけの死体だった。すぐに警察に通報されそれが5年前に行方不明になった女子生徒だとわかった。のちに、別の高校に赴任していた当時の教師が逮捕された。事情聴取として僕も警察に言ったが僕の証言は妄言だとされた。当然だ。幽霊を見たなど普通は信じやしないのだから。そして5年もの間誰からも見つけられなかった彼女のことを僕はこう呼ぶ『~~~~~』と』

 

「これで全部か......ん?」

 

俺はひとつの名前に目が止まった。

 

 

 

~~

「ありがとう奥沢。助かった」

 

「次からは1人で無茶したらダメだよ」

 

「わかってる」

 

そう言いつつも月曜日。俺は夜まで学校に残っていた。日が落ちて暗くなった校舎を歩き、あの幽霊とあった場所へ向かう。着くとやはり居たあの倉庫を見ながら

 

「ねぇ、ドウシテわタシヲみつケテクレないノ?」

 

明確に俺に問いかけてきた。

 

「君の体は既に見つかっている」

 

自分でも驚く程に落ち着いている。

 

「ワタシのからダはドコ?」

 

「君の体はもうない。火葬されてお墓の中だ」

 

「もうダレにもミてもらえナイ。わすれラレるのはイヤ」

 

「大丈夫。俺が死ぬまで、俺が君を覚えてる。だからもう眠っていいんだ」

 

「アリガトウ」

 

「おやすみ」

 

 

 

~~

一件落着と思って帰ろうと外へ出たが、そうは問屋が降ろさなかった。

 

「げっ」

 

「ほんとにいた」

 

「こんな夜遅くまで何をしていたのですか?」

 

「最近様子がおかしいとは思っていたけどここまで美咲ちゃんの予想が当たるなんて」

 

「何してんるんですかこんな人数で」

 

「それはこっちのセリフだ。奥沢さんがどれだけ心配してたと思ってるんだ」

 

「いや、それは」

 

「井戸原くん」

 

「奥沢...ごめん」

 

「終わったんだよね?」

 

「そのはずだ」

 

「よかった」

 

「良くは無いです」

 

「生徒会の人間としてあるまじき行為です。今回は見逃しますが次はありませんよ」

 

「はい」

 

「うー寒」

 

「井戸原くん!肉まん食べたい」

 

「はいはい。そのくらい奢ったるわ」

 

「ヤッター!」

 

そう喜ぶ戸山を横目に振り返り校舎を見る。窓に白いモヤが揺らめいのは気の所為であって欲しい。

 

 

 

~~

翌日の放課後、借りた記事を返しに図書室へ行った。

 

「ありがとうございました」

 

「どうだった?」

 

「事実は全部わかりました」

 

「そう、よかった」

 

そう言いながら片付けをする先生を見て口を開く。

 

「当時、教師と付き合っていた女子生徒ってのは場地先生のことですよね?」

 

「そこまでわかったの?」

 

「事実は全部わかったって言ったと思いますが?」

 

「言ったわね。それで?それを知って私をどうかするの?」

 

「どうもしませんよ。その時先生が何を思ってたかなんて知ろうとも思いません。他人の気持ちに土足で踏み込む趣味はないので。それだけ確認出来ればいいです。それじゃあ、次は本を借りに来ますね」

 

「ええ。待っているわ」

 

俺は扉を静かに閉めて荷物を取りに教室へ戻った。

 

「にしても『忘れ者』ねぇ」

 

そうつぶやきながら。




お読み頂きありがとうございます。自分でもかなり珍しい書き方をしたと思っています。前編では怖いかどうかは分かりませんがホラーを、後編ではミステリーとして書かせて頂きました。面白いと思っていただけたら幸いです。このあとがきに関しましてもここまでしっかり書くのは珍しいと思っています。今回のように1話投稿するのにどれだけ空くかは分かりませんがお付き合いいただければ嬉しいです。
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