今年もやってきましたこの日。俺のあまり好きじゃないバレンタイン。
「お。おはよう蓮」
「おはよう。今年は漁ってないんだな」
「そりゃ彼女いるからな」
「そうだったな」ガチャ。バサバサー
「···········」
「なんか······2度目になると流石に驚かないわ」
「今年もかぁー」
そう言って慣れた手つきで持ってきた袋へチョコを放り込んでいく。
「で?これもまた選別するんだろ?」
「当然」
「手伝うか?」
「分からないだろお前には」
「そうだけどなんか腹立つ」
「知るか」
そんな小突き合いをしながら教室へはいる。
「おはよーって今年もやべぇな」
「おはよう。そうなんだけど市ヶ谷。お前は俺じゃなくてあっちの相手してろ」
「いや、でも」
「はーい行った行った」
「あ!ちょ!」
そうして市ヶ谷を鋼輝へ押しやり俺は席へ向かった。
「おはよう。今年もすごい量だね」
「ああ。もうほんと嫌になる」
「でも他の男子からの視線がすごいよ。それだけ貰っときながら嫌になるってなんだってのが」
「そうは言うが毎年半分は食えたものじゃないぞ」
「え?何が起きてるのかすっごい気になる」
「やめとけ。前例聞くと今から昼飯食う気が失せるぞ」
「じゃあ、やめとく」
「そうしとけ」
「ま、それはともかくはい。あたしから」
「追い討ちかけてくるなー」
「いらない?」
「いる」
「素直でよろしい」
なんだろう?チョコ···では無い。放課後に開けるか。
ちなみにこの後戸山達からも貰った。
~~
放課後には生徒会があったのでそっちに向かう。
「今年もすごい量ですね」
今現在俺は机で選別作業をしている。本来の仕事そっちのけで。
「あの、こんな状況でとても心苦しいのですが···Roseliaと、羽沢さんから預かったものです。」
「Pastel*Palettesの皆さんの分も···預かってるよ?」
「あ、大丈夫。そっちは選別の必要ないから。ちゃんと信じてるから·········」
「なんだか歯切れが悪いですね」
「いやーそのー。日菜先輩が冒険してなければなおよしなんですけど」
「すみません。それは保証できないです」
作業を終えていざ貰ったのを開けてみると、ロールケーキ。珍しいなとは思った。次、ロールケーキ。まあそんなこともあるよねと思った。次、ロールケーキ。少し変な予感がした。次、ロールケーキ。予感が確信に変わった。次、ロールケーキ。次、はチョコでこのまま最後までチョコだった。結果、貰ったもののうち奥沢、戸山、若宮、羽沢、紗夜先輩からのものがロールケーキだった。
「あの、ひとついいですか?」
「はい」
「1人2人ならともかく5人もロールケーキってかなり珍しいですよ?何がありました?」
「その、実はこの間羽沢さんと小説の話で盛り上がりまして、それで、モデルになっている街に2人で行ったんです。そこで出てきたチョコロールケーキも食べようと思ったのですがお店が休業でして···」
「ならいっそ作ってしまえと」
「はい。何か迷惑だったでしょうか」
「いえ、そうじゃなくて、ここまでそろうとなにかのメッセージかと」
「そんなものはありませんよ?」
「ええわかりましたとも」
~~その夜のデザートにロールケーキは食べたのだが奥沢と羽沢からの包装の奥からメッセージカードが出てきた。
『好きだよ』『好きです』
あまりに唐突過ぎて思考が追いつかず、次の日俺は遅刻した。
「やることが思ったより大胆だな」
まあ俺は···どちらに対しても···首を縦に振ることはできないのだが。
本編から前倒しで書きました。次回からは戻ります。