ガールズバンドとのやかましい日常   作:紅葉064

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卒業式 ~一つのエピローグ~ 前編

今日は花咲川、羽丘両校で卒業式が行われる。そんな日なので卒業生が来るまで生徒会役員として校舎内を走り回っている。

「あ~~結局最後までこの忙しさかよ!」

 

「卒業式なんだから仕方ないだろ!口じゃなくて体動かせ井戸原!」

 

「動かしてんでしょーが!」

 

それと同時に珍しく井戸原と市ヶ谷も口喧嘩をしている。そんな風にバタバタしているうちに卒業生が登校し始めた。

 

「ギリギリ間に合った...」

 

「危なかった...手伝ってくれてありがとう奥沢さん」

 

「いやいやあたしなんて役に立ってたかわかんないよ。それよりも2人ともこんな大変なことほぼ毎日やってたなんてホント頭が上がらないよ」

 

準備を終えて3人で歩いていると気づけば昇降口近くまで来ていた。そこでは1年生と他の2年生が登校してきた卒業生に花のコサージュを胸につけている光景がそこら中にあった。その中にはよく知ってる顔もいる。

 

「ありがとう。あ!」

 

俺たちに気づくとこっちに駆け寄ってきた。コケないか心配だ。

 

「美咲ちゃん、有咲ちゃん、井戸原くんおはよう!」

 

「おはようございます」

 

「「「丸山(彩)先輩、卒業おめでとうございます」」」

 

「ありがとう3人とも」

 

「市ヶ谷さん!奥沢さん!ちょっと手伝って」

 

「呼ばれたから行ってるね」

 

「ああ」

 

と返事をしつつ手伝おうと歩き出そうとしたら、裾を掴まれた。

 

「?どうかしました?」

 

「井戸原くん。大事な話があるの。卒業式が終わって、落ち着いてからでいいから私の教室に来てくれない?」

 

あまりに真剣な表情に俺は茶化すことが出来なかった。

 

「わかりました」

 

「待ってるからね」

 

そう言い残して去って行った。その後コサージュの準備をしていたら市ヶ谷に突っ込まれたが濁して置いた。

 

 

 

~~

在校生、教職員、保護者が体育に揃い、静かに待っている。俺は壇上に上がり、一礼する。

 

『本日の卒業証書授与式につきまして、進行は、2年A組井戸原が務めます。よろしくお願い致します』

 

そして、ついにその時がくる。

 

『卒業生、入場。会場の皆様は、盛大な拍手でお迎えください』

 

その瞬間に起こる拍手を受けながら、卒業生が入場してくる。全員が揃い、着席すると俺はマイクのスイッチを入れた。さぁ仕事だ。

 

『開式の辞』

 

『只今より、花咲川学園高等学校、卒業証書授与式を執り行います』

 

と言っても俺は壇上の脇で喋るだけ。主に上がるのは市ヶ谷だ。

 

『卒業証書授与。学校長より、卒業証書の授与を行います』

 

先輩たちの名前をフルネームで呼ぶのはかなり新鮮だと思う。

 

(というかなぜ俺だ。普通は担任のやることだろ。仕事しろ。)

 

と思ったが声に出す訳にもいかず呑み込んだ。

 

『3年A組、白鷺千聖』

 

「はい」

 

『白金燐子』

 

「はい」

 

『氷川紗夜』

 

「はい」

 

『松原花音』

 

「はい」

 

『3年B組、丸山彩』

 

「はい!」

 

時間と共に、卒業式は進んでいく。

 

『閉式の辞』

 

「只今を持ちまして、花咲川学園高等学校、卒業証書授与式を終了します」

 

終わった。これで彼女たち5人は、この学校から去っていく。扉が締め切られ、本当に卒業式が終わった。だがまだ仕事は残っているのだ。保護者も全員退場したことを確認して声を張り上げた。

 

「卒業生の分だけ残して椅子は全部片付けろ!他のものは今日の日程が全部終わってからでいい!時間がない、急いでくれ!」

 

一瞬にして慌ただしくなる体育館。寂しがっている時間は俺にはまだないのだ。

 

 

 

~~

全ての日程を終えて多くの生徒が外にごった返していた。かく言う俺も、氷川先輩、白金先輩と談笑していた。

 

「ようやく落ち着いて話せますね」

 

「朝はバタついておめでとうございますも言う暇ありませんでしたからね。というわけで氷川先輩、卒業、おめでとうございます」

 

「ありがとうございます。井戸原さん、市ヶ谷さん。これからの花咲川をよろしくお願いしますね」

 

「はい」

 

「まぁ、ぼちぼちやります」

 

「全くもう」

 

「3人になら安心しておまかせできます」

 

「燐子先輩...」

 

「ところで、白金さんには言わないんですか?」

 

「あー、しろ......ん~~~、はぁ」

 

「「「?」」」

 

「卒業おめでとう。リンちゃん」

 

「「!!!」」

 

「いっくん...」

 

「まぁ、今日くらいはね。あっ」

 

「どうした?」

 

「すみません。ちょっと失礼します」

 

「どうしたのでしょうか?」

 

「彩ちゃんに呼ばれてるのよ」

 

「白鷺さん。...そうでしたか」

 

「上手くいくといいですね」

 

「そうね......」

 

 

 

~~

3-Bの扉を開けると目に入ったのは、風になびくカーテン、そこから見えるどこまでも広がる透き通ったような青空と舞う桜の花びら。そして、どこか憂いたような顔で外を眺める丸山先輩だった。その光景に俺は少し見惚れていた。

 

「井戸原くん?」

 

その言葉で我に返った。

 

「お待たせしてすみません」

 

~これから始まるのは一つのエピローグ~

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