翌日朝、学校へ行くと羽沢を抱えて逃げる画像を見せられ氷川先輩に騒ぎを起こすなとめちゃくちゃ怒られた。青葉かと思ったがそうではなく今井先輩だった。なんで写真撮ってるんだよ···
「れーん」
教室へ入ると鋼輝が声をかけてきた。
「なんだよ」
「お前二股かけるのは何も言わないけど刺されないようにしろよ」
「は?どういうこと?」
何を言ってるのか全く分からない。
「とぼけるなよ。これ結構両校で出回ってるぜ」
それはまあ例の画像だ。
「それはとりあえず後で話すとして二股ってどういうことだよ」
「え?お前と奥沢さんうちの公認カップルだぜ」
「んなわけあるかー!!」
俺は鋼輝を揺さぶりながら怒鳴る。
「井戸原君私以外にもいたんだね···」
「うおっ!奥沢···」
「嫁が来た」
「そろそろ黙れ」
「そうだよね。私なんかよりも別の女の方がいいよね」
「乗らんでいい!大体それ誰にもらった···」
「え?薫さん」
クッソ!もうやだ。
「あれはもうほぼ事故だから」
~~
「それじゃぁそろそろ決めたいんだけどうちのクラスはお化け屋敷でいい?」
うちだけ進みすぎた教科の時間を潰して文化祭の出し物を決めた。なぜこれになったかは今にも血を見そうな感じだったので言わないことにする。
「じゃあ役割を決めていこう。演出を考えてくれる人いる?」
すっ
俺は手を挙げる。
「井戸原君やってもらっちゃっていいの?忙しいんじゃない?」
「いい息抜きになるから大丈夫。やる側もやられる側もトラウマになるようなものにしてやるよ」
「僕らにトラウマ植え付けるのは困るんだけどなんで?」
俺は真顔から少し笑みを浮かべて
「え?ムカついてるから」
と言った。もう全員後悔しても遅かった。
~~
放課後、バイトのためCiRCLEへ行くとまりなさんに呼び止められた。
「あ、井戸原君ちょうど良かったよ。実はパスパレのみんなが使ってる部屋の機材調子悪くって。ちょっと見てくれない?」
「わかりました」
一応作業着に着替える。
「失礼しまーす」
「あ!来たよ」
「どうしたんすか?」
「実は音が出ないのよ」
「なるほど···あースピーカーですね。これならすぐ直ります。大和先輩ちょっと手伝ってもらっていいですか?」
「はい!わかりました!」
2人で修理を始める。
「痛っ!あちゃー腕切っちゃいました」
「あーちょっと待ってください。えーとあったあった。とりあえずガーゼに消毒液染み込ませて拭いて、薬塗って、はい絆創膏」
「井戸原君、それは何?」
「自前の救急箱ですけど」
「大きすぎない?」
「まぁいろいろ入ってるんで」
「具体的には何が?」
「えーと包帯、当て木、三角巾、AEDとか」
「AEDは自分で持つものじゃないと思うけど···」
「心配性なんですよ俺は。そのせいで中学の頃歩く保健室とか言われました。おかけで俺がいる間保健室の存在意義を問われたほどですけど結局ずっといるわけじゃないから必要ということで落ち着きました」
協力してもらいすぐに終わったので動作確認のため1曲引いてもらいそのまま休憩となった。
「それにしても井戸原君はよくやるわね」
「千聖先輩何がですか」
「麻弥ちゃんから送られてきたの」
じとー
「面白いもの見たって」
「大和先輩···」
「でもお姫様抱っこって少し憧れますよね」
「大和先輩て見た目の割に乙女ですよね」
「私やってもらったよー」
「ど、どうでしたか?」
「楽しかった」
「麻弥ちゃんもやってもらったらいいじゃない」
「えええ!い、いや、ジブンは別に。迷惑でしょうし」
「いやそんなことないですよ」
「じゃあ少しだけ」
「失礼します」
「···見られてると恥ずかしいっす。///重くないですか?」
「いえ全く」
じーー
「な、なんですか?///」
「大和先輩って···機材とか触る割に肌綺麗ですよね」
「「「「「!?」」」」」
「ち、千聖さんが薦めて来るので」
「ああ、どうりで」
「だって麻弥ちゃん、こうでもしないと。オシャレにすごく無頓着なんだもの」
「いやまぁかわいいと思いますよ」
「···///」
「それよりも井戸原君、ずっとそうだけど君は恥ずかしくないの?」
「人前は俺も恥ずかしいです。大和先輩結構美人ですし」
「よくもまぁそんな言葉がぽんぽん出てくるわね」
その言葉を聞いて反撃とばかりに大和は笑みを浮かべる。
「結構可愛いところあるっすね」
「降ろさなくていいですか?」
「それは困るっす!」
一撃で返り討ちにあった。
とりあえず彼女を降ろして話を変える。
「氷川先輩、文化祭の件どうなってますか?」
「バッチリだよー!」
「文化祭の件ってナンデスカ?」
「花咲川と羽丘の合同文化祭が正式決定したので。この間の騒ぎもその件です」
「なるほどね」
「井戸原君は何やるの?」
「俺は当時別の仕事があるので準備までですけどお化け屋敷です。演出担当」
「面白そうね」
「あの件でからかわれたのでムカついて脅かし役を押し付け合うような内容にしてやりました」
みんな苦笑いを浮かべていた。
~~
夜、大和麻弥は自室でふけっていた。思い返すのは井戸原の言葉。
「ふへへ、かわいいか···」
めったにそんなことを言われない大和にとってそれは無防備で不意打ちに心臓を撃たれたようなものであった。
次回から合同文化祭スタート