アサシン(英霊)なオリ主in名探偵コナン   作:ラムセス_

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10 少年探偵団の雨宿り

「お、校門にだれか居っぞ!」

「背丈から見ると中学年の人みたいですね、誰かを待ってるんでしょうか」

「今日の授業予定では1年の帰宅時間が最も早くなるはずよ。早退の子か何かじゃないかしら」

 

 帰りの会を終え、校舎からわっと走り出す子どもたち。

 小雨がちらつく現在は午後1時半程を指す。

 同じ方向に家がある子同士でグループが作られ、不揃いな列を為しながら下校していく。

 子供用の雨傘を手の中で遊ばせて校門に向かう少年探偵団たちは、門の前にぽつんと立った人影に気付いた。

 

「すごーい! 金色の髪の毛! 外国の子かな?」

「全校集会でも見たことありませんね。最近転校してきたのかもしれません」

「早退って、調子わりぃんだろ? 濡れると風邪引くってかーちゃん言ってたし、教室で待ってた方がいーんじゃねーか?」

「そうだね! 歩美、言ってくる!」

 

 少年探偵団の一人、吉田歩美が走り出し、光彦、元太もそれに続く。

 それを後ろから眺めるのは灰原とコナンだ。

 二人は年齢が年齢なだけあり、探偵団たちの保護者としての役割も担っている。

 

「あいつら元気だな……」

「小学生だもの、これくらいでちょうど良いじゃない。あなたも行っ――――ッ!!」

「どうした、灰原?」

 

 ふいに言葉を切った灰原に、コナンは怪訝な顔をして振り返った。

 そしてただ事ではない灰原の恐怖に満ち満ちた表情に気づき、素早く思考を切り替える。

 大きく目を見開き肩を強張らせ、校門へと続く道の途中で足を止めた灰原は小さく震えている。

 コナンの背後に隠れるように身動きをとったのは無意識だろう。

 

 間違いなくこれは黒の組織のメンバーに会った時の反応である。

 コナンは緊張に目を鋭くして灰原に焦りの声を向ける。

 

「おい、灰原! まさか」

「向こう、校門の方……居るわ。間違いない。組織の気配よ」

「な……嘘だろ、どうしてこんなところに。クソ、灰原、オメーは南門から出て博士を呼べ」

「貴方はどうするのよ! また組織の事件に首を突っ込む気じゃないでしょうね。言っておくけど、校区で見つかれば住所から保護者まで一瞬で丸裸よ」

「分かってるよんなこと。それより子供たちが心配だ。あいつら下手したら組織の人間相手に突っ込みかねねぇ。どうにかあいつらを無事に送り届けねえと」

「……分かったわ。くれぐれも深追いしないようにね、工藤君。子供たちを頼んだわ」

 

 灰原が傘を低く差して意図的に顔を隠した。

 そしてそのまま不自然にならない程度に速足で、子どもたちに紛れながら南門へと戻っていった。

 それを見届けてからコナンも走り出した。

 霧雨が顔にかかり、眼鏡が曇るが構ってはいられない。

 正門前で先ほどの中学年の子の周りを取り囲む少年探偵団を最速で目指す。

 子どもたちが動き出してしまえばコナンだけで止めるのは難しい。子どもたちが何らかの事件の気配を察知する前に誘導をするべきだろう。

 

 早退と思しき中学年の子供は子供用の傘を差し、遠くから顔をうかがうことはできない。

 ウシ科のような頭の側面から上方に向かって伸びる角を持つ、デフォルメされたドクロの模様が描かれた変わった傘だ。

 ゆったりとしたペザントブラウスに深緑のシフォンスカート。

 落ち着いた色合いに長い金髪が映える。

 

「おい、オメーら!さっさと…………って、ぐ、グラスホッパー!?」

 

 傘が僅かに上げられてあらわになった顔は、コナンにとって見覚えのあるどころの話ではなかった。

 東都タワー銃撃事件から1週間しか経っていないのだ。

 怜悧な美貌がコナンを捕え、ゆっくりと春の海にも似た笑みを浮かべた。

 

「シェリングフォード、健勝でなにより」

「お、ま、どうしてここに」

 

 黒の組織のメンバーに学校を知られた、とか、そう言えば江戸川コナンが工藤新一であることも知られていた、とか。

 事件後の後始末のゴタゴタに流されて放っておかれた諸々の懸念事項がコナンの脳内に急激に蘇った。

 顔色を白黒させて言葉を発せない様子のコナンをよそに、どうやら仲良くなったらしい探偵団が騒ぎ出す。

 

「おめーコナンと知り合いなのか?」

「しぇり……なんとかってなあに? コナン君のこと?」

「シェリングフォードとは、江戸川コナンを私が呼ぶ際の愛称……ニックネームである。以前、彼とは事件を通して知り合った」

「事件!? あー、またコナン君抜け駆けしたんですか!?」

「ずりーぞコナン! いっつも抜け駆けばっかだしよ! 俺たち少年探偵団だろ!?」

「ねえねえ、サッバーハさんはこのあたりに住んでるの? 学校は?」

「あっ、そーだ、おめえ調子わりーのか? もう帰んだろ?風邪ひくし、 かーちゃんなら教室で待ってた方がいいぞ」

「いえ、もしサッバーハさんがこっちに引っ越してきたばかりなら、まだ学校には通っていないだけかもしれません。顔色も悪くなさそうですし」

「じゃあ、どうしてここにいたの? もしかして誰か待ってたの?」

「俺たちが呼んできてやるよ!」

 

 わいわいとはしゃぐ探偵団たちに囲まれ、少しばかり押され気味だ。

 

「お前らストップ!」

 

 コナンが子どもたちを制し、やっとまともに喋れるようになったのかほっと一息付いた様は少しだけ内気なだけの普通の子供のようにも見える。

 怒涛のように喋る子どもたちに一歩引きながら、中学年らしき子供――グラスホッパーがおずおずと言葉を紡いだ。

 

「私はあなたとの契約を守るべく、ここ米花町に住まうことを決めた。貴方を守るならばあなたの近くにいるべきだ。私が今日ここにいたのは、私がここに移り住んだことをシェリングフォードに伝えるためである」

「オメーはもう俺の事情を知ってるはずだ。わざわざ手間かけて組織の敵を守るのかよ。それとも監視のつもりか?」

「否、否。私は雇われ者に過ぎない。あなたと敵対する意思はない。故に監視ではない。あなたは雇い主である」

「……もう十分すぎるほどに守ってもらったけどな。正体が知られたっていうのに一週間たった今も俺が無事でいる、っていうのはそういうことだろ」

 

 コナンはその紺碧の瞳を鋭くしてグラスホッパーを問いただした。

 グラスホッパーは江戸川コナンの正体を知っている。工藤新一であることも、組織の薬によって体が縮んでしまったことも。

 それだけでも命を狙う理由としては十分だが、それに加えてコナンはグラスホッパーの姿を知る重要人物でもあるのだ。

 

 未だコナン自身理解が追いついていないが、目の前の暗殺者は余人に姿を見られてもその記憶を消すことのできる能力があるらしい。

 そのためグラスホッパーの性別・年齢・身体的特徴そのほかの様々な情報は各国諜報機関において千金の価値を持っている。

 そんな重要情報をコナンは握ってしまっている。加えて公安とFBIにその情報を漏らしている。

 グラスホッパー自身にとって不利益極まりないはずだ。

 あらゆる角度から見て、グラスホッパーには江戸川コナンを殺すに足る理由がある。守る理由なんて一欠けらもない。

 

 そうした交々を視線に込めて睨みつけるが、少女は穏やかに笑みを浮かべるだけ。

 緊張した気配は探偵団にも伝わっているのだろう。

 固唾をのんで二人の会話の行方を見守っている。

 

「あなたに信用されないことは理解している。それでも、私が契約を守らない理由にはならない。私はあなたの信用を得るためにできる限りのことをしよう」

「組織の情報を寄越せ……って言ったら?」

「承った。用意しておこう。簡易的なものならば1週間で渡すことができる。後始末を含めた組織の残党処理を見据えるならばしばらくかかる。どちらを希望だろうか」

「うぇ!? いやいやいや、本当に寄越すのかよ!」

「情報源に信用が置けないのならば、そちらで事実確認をしてもらうしかない。できる限り証拠も添えておこう。そうなると資料が膨大になる可能性が高いが、米花町に構えた私のセーフティーハウスの場所を教えておく。自由に見に来て構わない。持ち出すのは危険だが、禁ずるつもりはない」

「……本気か?」

 

 あまりにも破格すぎる条件だ。

 ちょっとした挑発程度に組織の情報を要求したつもりが、まるで余りものを分けるかのような気軽さで返事が返ってきた。

 ノーガード戦法どころか、これでは右頬を殴られたら左頬を差し出すようなものだ。

 組織に対していくら忠誠が薄いといっても、これでは彼女自身の身すら危うくなるだろう。

 

 懐疑を超えて困惑すら浮かぶコナンの様子に、グラスホッパーは笑みを浮かべたまま手を伸ばした。

 無防備な頭に手のひらを乗せ、慈しむようにゆったりと撫でる。

 背は彼女の方が少しばかり高い。白磁の肌が霧雨に濡れ、艶やかに色めいている。

 その姿があまりにも多くの感情を内包していて、コナンは問い詰めるための言葉に窮した。

 コナンの頭を撫でたまま、グラスホッパーは凪いだ夕焼けのように穏やかに言葉を紡ぐ。

 

「私はあなたを守る。信じてほしい、シェリングフォード。この世界の主人公(タイトルロール)。物語においてもっとも大切なヒト」

「…………っ」

 

 懇願するような響きだ。

 まだ幼い少女が親に甘えるように、あるいは年老いた老婆が孫を見つめるように。

 そこには尊敬と親愛と憧憬と羨望が渦巻いている。

 驚くほどに通りが良い美しい、鈴を震わすような声。

 夕景の桜のような、雨に煙る睡蓮のような、この世の物とは思えぬ美貌。

 

 コナンにはまったくもって分からない。なにせ、彼女にこれほどまでの感情を示されるだけの何かを持った覚えがないのだから。

 しかし、きっとそこに嘘はないだろう。

 そう思えるだけのものが、そこにはあった。

 

 雨粒が少しずつ大きくなり、傘に当たる雨音が静寂を波打たせる。

 一拍、二拍。

 

「あーーーーーー!!!! だめ! コナン君はだめなの!!」

「えっ、歩美ちゃん!?」

「わたしが将来コナン君のお嫁さんになるからだめなの! 絶対にだめ!」

「ちょ、ちょっと、まってくださいそれには僕も異論があります!」

 

 緊張は続かなかった。

 勢いよく割って入った歩美が両手をバタバタさせて叫んでいる。

 それに続いて声を上げた光彦も顔を赤くしながら歩美に向かって何ごとかを主張しようとしているが、だんだん声が小さくなって言葉にならない。

 なんとも雰囲気を崩されたコナンが半笑いで現実逃避し、元太は騒ぎに乗じて空腹を訴えていた。

 

「サッバーハさん、コナン君のこと好き!?」

「……私個人としては好ましく思う。しかし恋愛感情ではないことを伝えておく」

「ほんとに!? ホントのほんと!?」

「是、是、是。ホントのほんと」

「じゃあ他に好きな人がいるの!?」

「え、いや、その……困った、私は色恋の話をしたことがない。シェリングフォード、助力を請う」

「まってください歩美ちゃん! その、つまりですね! ぼ、ぼくは……」

「なー、腹減っちまったし、帰ろうぜ」

「やっぱりコナン君のこと好きなんだ!! だめ!だめなんだからだめなの!」

「シェリングフォード、助力を、シェリングフォード……」

 

 なんとも情けない声を出す黒の組織の一員たる少女。

 コナンはあらゆる面から頭を回転させ、そのうちごっちゃになり、最後には笑顔を作った。

 

「もう、なんでもいいか」

「シェリングフォードぉ!!」

 

 何はともあれ、コナンは思考放棄気味に帰路に就くのであった。

 

 

 

―――

 

 

 

 僅かそのあと一時間後のこと。

 少年探偵団たちとグラスホッパーは嬉しそうにハイタッチを交わしていた。

 

「すっごーい! ハサンちゃんかっこいい!! すごい! 上からビューンって!」

「探偵団の新戦力ですね! 一瞬で二人組の強盗を伸してしまうんですから、きっと蘭さんぐらい強いですよ!」

「俺たち探偵団の活躍だ!」

「元太も歩美も発想が良い。光彦の知識も豊富だ。あなたたちの知恵あっての結果だと私は思う」

 

 事の起こりはいつもと似たようなものだ。

 雨宿りに寄った邸宅には、ちょうど男二人の強盗が押し入ったところだった。

 男たちは咄嗟にその家の住人のふりをしたが、本当の住人の悲鳴とコナンの鋭い観察眼にすぐにその馬脚を表した。

 ナイフを手に怒声を上げて子供たちを追い返そうとした彼らは、現在プラモデル用の針金でぎっちりと拘束されている。

 

 まあ、相手が悪かったとしか言いようがない。

 キック力増強シューズがメンテ中であったためコナンを含め探偵団にまともな戦力はなかった。しょせんは子ども4人。知恵を利かせて立ち回るのにも限りがある。

 しかし、グラスホッパーの存在はそれを補って余りある。

 

 

 奥の部屋に転がっていたおもちゃの包丁をナイフの代わりとし、踊るようなナイフ格闘の技術でもって男二人を制圧したのは行動開始から2分後のことだ。

 包丁を構え、一切の温度を排したファンタム・グレイの瞳はコナンをして心胆を寒からしめた。

 プラスチック製のままごと用の包丁が、彼女にかかるとサバイバルナイフさながらの迫力がでるのだ。

 特にコナンは二人の人間が彼女によって切り刻まれるのを目の前で見ている。

 次は我が身が冗談では済まなかった。彼女の構えるおもちゃに怯えても仕方がない。

 

 上機嫌で強盗達の上で決めポーズをきめる子供たちを尻目に、コナンはグラスホッパーに声をかけた。

 

「なあ」

「何用か、シェリングフォード」

「なんで殺さなかったんだ、男たちのこと。お前ならあんなに派手に戦わなくたって一瞬で黙らせれただろ。それをわざわざ、あんなに時間をかけて演劇でもするみてーに。どういうつもりだ?」

 

 グラスホッパーがコナンの方に振り返る。

 コナンは気が付いたが、この少女は何故か自分にだけ表情が豊かだ。

 子どもたちに対しては無表情、無感動で応じるというのに、コナンにだけは笑顔を見せる。

 今もグラスホッパーは淡く笑い、コナンの問いに応じている。

 

「殺す必要がない。あなたを守るために敵を殺さなければならないほど、私は弱くない」

「ならなんで――」

「水谷浩介は殺害せよとの依頼だ。契約で定められていた。私はそれを守ったに過ぎない」

「……」

 

 人一人の命をなんとも思わない、不要物を捨てるかのような気軽さでもって殺害を告白する少女。

 組織員らしい、暗殺者らしい、犯罪者らしい冷淡さが、女神のごとき慈愛に満ちた笑顔から吐き出される。

 それと全く同じように、彼女は子どもたちに柔らかな親愛を向けるのだ。

 

「探偵団の子どもたちはたしかに行動に過ぎる部分がある。犯罪に突撃し、ナイフを持った成人男性にとびかかる。それは命を捨てるに等しい蛮勇だ。しかし、彼らの生はこれからだ。これから長い生のうち、彼らは無謀を学び自身を知る。世を知り妥協を知る。そうしてきっと思い返す日が来るだろう。幼いあのころ、あの日の輝かしい無鉄砲を」

「だから、ワザとヒーローショーみてーにふるまったってか」

「是」

 

 グラスホッパーが子どもたちに向ける目は今も無感動に冷え切っている。

 温かく思いやりに満ちた言葉と温度のない瞳。

 

 コナンはふと、こんな考えが頭をよぎった。

 安室はグラスホッパーのことを「暗殺者の家系に生まれ、生まれながらの暗殺者として育てられた可能性が高い」と話していた。

 もしかすると、彼女は感情の表し方を知らないのかもしれない。

 いついかなる時も感情を揺らさない。それは極限状態に対応するための、闇に潜む者にとっての基本姿勢だ。

 彼女が暗殺者の家系の生まれであるのなら、もちろんその基本姿勢も幼いころから叩きこまれているはず。

 感情を揺らすな。情動を表すな。

 その心構えは彼女にも染み付いていることだろう。

 染み付き根を張り同化して、そうして彼女は感情を表す方法を忘れてしまった。

 

 コナンはグラスホッパーのこれまでを知らない。

 コナンの何が彼女の心を揺らし、その人間らしい部分を蘇らせたのかを。

 しかし、きっとまだ間に合うはずだ。

 彼女は子どもたちのことを「これから長い生を持つ」と言っていたが、それは彼女自身にも当てはまる。

 ヒトらしい生き方を知らないこの幼い幼い少女に、コナンはそっと声をかけた。

 

「なあ、グラスホッパー」

「まだ、なにか」

「……俺のこと、守るんだよな」

「是、是。あなたに待ち受ける万難を排すると誓おう」

「なら、しっかり守れよ。しばらくこのあたりに住むんだろ。おっちゃんたちに話は通しておくから、できるだけ一緒に行動しろよ。俺たちはけっこう旅行にも行くんだ。お前が置いてかれたら守るも何もねーだろ」

「……!! 是、是。承った!」

 




*おまけ:松田・荻原・伊達について

「バーボン、降谷零。あなたは選ぶことができる」
感情のこもらない声が安室の耳を打つ。それも、悪魔的な誘惑を伴って。
「ひとつ。並行世界の運営。あなたは他の世界から3人を連れてくることができる。その世界はこちらと何一つ変わらない。3人はあなたの知る3人であり、あなたの友である3人である」
こぽり、と棚に並べられた薬液が音を立てる。
「必然、対象世界のあなたは3人を失う。しかし、もとよりそちらでも3人は死の定めにある。死ぬはずのものを貰い受けたにすぎない。あちらのあなたが失うものは何もない」
「……」
安室は呆然と少女を見つめて答えない。
焦点の合わない目は己の欲望を見つめている。
「ふたつ。魔法・青。あなたは3人の死をなかったことにできる。かつてのその日にあなたは戻り、あなたの友をあなた自身の手で救うことができる。」
安室は己の息が震えていることに気が付いた。
それは己自身にもどうしようもない、耐えがたい欲求のせいである。
「その結果、遠い未来に時間は歪み、人理は崩壊することになる。しかし、それは人類が滅びた後のことだ。滅びてしまったものが歴史ごとなかったことになるだけ。ヒトが失うものは何もない」
今安室が突きつけられているものは、悪魔の契約である。
息をのむほど美しい少女の姿をした悪魔が、安室に救済の名を借りた背徳の手を差し伸べている。
「どちらを選んでも、誰も何も失わない。ゆえに問おう」
その手には、切望してやまない未来がある。

「――あなたは、あなたが失ってきたこれまでを、取り戻したくはないだろうか?」

A.並行世界の運営
B.魔法・青
C.やりなおしなんか、できない。死者は蘇らない。起きた事は戻せない。そんなおかしな望みなんて、持てない。

グラ子「ちょっと麻婆神父ごっこしたかっただけやで」
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