アサシン(英霊)なオリ主in名探偵コナン   作:ラムセス_

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14 天空の難破船──D

「くそっ、名探偵ぇぇえええっ!」

 

 KIDが祈るように伸ばした手は届いた。

 力無い江戸川コナンの体を引き寄せてから、素早くハンググライダーを展開する。

 純白のマントが瞬きのうちに飛行能力を手に入れ、KIDの体はコナンを抱いたまま空の住人へと変わった。

 

 白い手袋がぐっしょりと赤く濡れる感触に気付いて、KIDの心臓が早鐘を打つ。

 コナンの腹から零れた大量の血液が原因だ。

 三発もの弾丸を身体に受け、コナンは傷口からひとめで致命的と分かる量の血液を流していた。

 傷口の場所からして、重要な内臓もいくつか損傷していることだろう。

 今すぐに病院に駆け込んで名医が緊急手術をしたとして、果たして助かる確率はいかほどか。

 ただでさえ体力の無い子供の姿をしているのだ。

 風邪をひきやすいことを考えるに免疫も弱いし、APTXという類稀なる薬物を摂取していることから使用できる薬や処置も限られる。

 

「名探偵、死ぬな、死ぬなよ……!」

 

 焦りからくる冷や汗が頬をつたう。

 KIDは着地できる場所を探すと同時にコナンの応急処置にも取りかかろうとした。

 バランスに気を付けながら血に濡れた上着を片手で脱がして傷の状態を確認しようとする。

 

 そしてあらわになった腹の様子を見て、KIDは驚きに息をのんだ。

 

「これは、どういう……」

 

 びっしょりと血に濡れた傷口を覆う、三重に広がる魔方陣。

 それは歯車のように有機的に組み合い、回転しながら模様を変え続けている。

 赤くも見えるし、青くも見える光の連なり。

 傷口は回転に連動して時を巻き戻すかのような動きで回復し始めていた。

 

 ……間違いなく紅子関連の案件だ。

 光る魔方陣とかなんてベタな。紅子も相当ベタな恰好をしていたけれども。

 見る見るうちにコナンは血色を取り戻し、体温もあたたかく戻っていく。溢れ出た血液が光子に変換され、淡く宙へ還っていく。

 

「はぁ……紅子の言ってたのってコレのことかよ。ああもう、心配して損した! 今度ばかりは流石の名探偵でもヤベェと思ったのにっ、いつの間にロジックからファンタジーに鞍替えしてたんだよ!」

 

 血液を含んでびっしょりと重たくなっていた服は、今ではもう銃弾で空けられた穴を除いて元通りになっている。

 ただ眠っているようにも見える健康的な顔色。

 すっかり傷がなくなったコナンの上で、未だに魔方陣は回り続けている。

 安堵と同時にどっと疲れたKIDがコナンの身体を抱えなおすと、腕の疲れからかなんだかコナンの体が重く感じられた。

 

「……んん?」

 

 ずしり。

 いや、腕の疲れや気のせいなどではない。

 KIDの腰ほどまでしかなかったはずのコナンの身長が見る見るうちに伸びゆき、子ども用の服をひきつらせて元の姿を取り戻していく。

 サイズの合わなくなった靴が自然に脱げて遥か下に見える地上に落下していく。

 どんどんと腕の中で重くなる体。

 

「ええ、ちょ、え、嘘、これマズいでしょ」

 

 びりっ、という決定的な音とともに小さすぎる服が縫い目から千切れた。

 それは下着だってズボンだって例外ではない。

 高校生男子にはとてもサイズの合わないズボンが股下から裂けて落下しかけ、KIDは悲鳴を上げてそれを辛うじて阻止した。

 ほぼ全裸の男子高校生を全力で抱きかかえつつ、真昼の空を飛行するKIDのハングライダー。

 

「待って、これ、事案だって、ちょっと、名探偵起きてーっ!」

 

 隠れる場所のない大空にKIDの嘆きがこだました。

 

 

 

*****

 

 

 

「うん、マジで助かったから。俺も予想外だったんだから、悪かったって」

「重いしデカいしでハンググライダーの操作をミスりかけたのはまあいいんだ。ヒト一人支えられなかったのは怪盗として問題だし。俺としては、真っ裸の男を抱えて空を飛ぶっていう絵面がですね、KIDというキャラクターの尊厳をですね」

「だから悪かったって……」

 

 佐久島、見晴らしの良い海辺にぽつりと設置されていた白い木製の箱に座り、いじけるKIDにコナンは謝り倒していた。

 それを言うなら全裸を公共の場で披露することになった俺の尊厳はどうなるんだ、とコナンは思いつつ。

 現在、コナン改め新一はKIDが変装用に用意していた帝丹高校の制服に身を包んでいる。

 なんで常に新一の変装用具を持ち歩いているのか、という疑問が頭をよぎらないでもなかったが、現状そのおかげで助かってもいるので新一は口には出さなかった。

 

「けど、どうして元の姿に戻ったんだろうな。死にかけたからか? でも前に蘭から輸血を受けた時だって生死の境をさまよったけど元の姿のままだったし……」

 

 新一はもう傷一つ残っていない腹を撫でさすりながら疑問を口にした。

 新一がこうして元の体に戻り、同時に致死の傷が治ってしまったことは本人にとって謎ばかりの現象だった。

 傷に関しては事例が以前にも無いことはない。

 あの日、トロピカルランドでAPTX4869を飲まされた時。

 ジンに後ろから鉄パイプで思いっきり頭部を殴られたわけだが、脳に異常どころか頭蓋骨に罅一つなく、出血もほとんどなかった。

 これは恐らくAPTXの作用で細胞が生まれ変わったせいだと思われる。子どもの姿になると同時に傷が埋まったのだ。

 それと同じことが今回の傷の治癒現象にも言える可能性がある。

 

 しかし、新一には元の体に戻る原因となるような酒類・解毒薬を口にした記憶がない。

 死にかけたからというのは無理があるし、なによりそんなことで元の姿に戻れるのなら灰原が苦労するはずもない。

 残るは今回ばら撒かれたウイルスが何らかの形で作用したという可能性だが、そこまで行くとコナンの知識ではどうしようもない。

 

「ま、とにかく灰原に報告か。よし、行くぞKID」

「どこにだよ。まさか飛行船に戻るとか言い出さねぇだろうな」

「おお、わかってんじゃねーか。ほら、行くぞ」

「はぁ!? マジで言ってんの名探偵」

 

 KIDが目をむいた。

 信じられないを通り越して宇宙人を見る目である。

 

「機関銃持ったヤバい奴らに、死亡率80%のウイルスがセットなんだぞ? その上紅子が言ってた例の……ああ、これはいいとして。いくら名探偵でも死ぬだろっていうか今生きてることが奇跡だろ」

「まあオメーに無理についてこいとは言わねぇよ。機関銃はともかくウイルスはどうしようもねーからな。でも俺は行く」

「なんでだよ、テロなら警察に任しとけよ」

「蘭がまだ飛行船の中にいる。あんな中に居るんだ。放っておけるわけねーよ」

「……」

 

 新一の曲げられない決意の言葉に、KIDは無言を返した。

 彼も大切な人を助けたいという気持ちが分からないでもないのだろう。

 止めようとした言葉がのど元で渋滞を起こしているらしく、KIDは視線をさまよわせて新一を引き留めるような説得を模索していた。

 

「一つ、聞いていいか?」

 

 絞り出すように問いかける声。怪盗はいつになくおずおずと新一に疑問を投げかけた。

 

「なんだよ」

「アレ、あの……暗殺者のヤツ。アイツについて名探偵は知ってるのか? 分かってて行くのか?」

「どういう意味だよそりゃ。グラスホッパーがどうかしたのか?」

 

 質問の意図がわからず新一は疑問で返した。

 暗殺者のヤツ。

 それはグラスホッパーのことを言っているのに間違いはないだろう。

 言いよどんだのは容姿や特徴を示す言葉が見つからなかったためだろうか。

 

「いや、知らないんならいいんだ。名探偵は気にしなくていい」

「そういう思わせぶりなこと言っておいて俺が気にならないわけねーだろうが。さっさと吐け」

 

 曖昧に誤魔化そうとしたKIDに新一は詰め寄った。

 KIDも聞き方を間違えたことに気が付いたらしい。しまったという顔でめんどくさそうに笑っている。

 新一の目線にKIDは観念して言葉を続けた。

 

「あー、俺の知り合いがさ、紅子っていうんだけど、アイツについて『知ってる』らしくて。俺に警告してきたから名探偵にも伝えとこうかなって」

 

 知っている、という言葉になにか含みのようなものを感じたが、気のせいだろうか。

 気にならないでもなかったが、今は警告の内容の方が重要だろう。

 新一は続きを促した。

 

「『深入りしすぎると還ってこれなくなる』らしいぜ。俺も具体的に何を言ってるのかは知らないけどな。でも紅子がこうまで言ってるんだ。とびきりヤバいってことは分かる」

 

 

 『光の魔人を見据える影には気をつけなさい。これはルシファー様からのお告げよ。よく聞きなさい、白き罪人。――あれは遠い遠い彼方から来た夢見る神。ルシファー様のお力をもってしても姿すら捉えられない最上位の神性存在。くれぐれも目を付けられるような真似をしてはいけないわ』

 

 

「名探偵もあの暗殺者にはあんまり関わらない方がいいぜ。名探偵は感じなかったかも知れないけどな、アイツと目が合ったとき……」

 

 KIDは言葉を切った。

 数秒の空白。 

 真剣に警告をしていることは新一にも十分に理解できた。

 何を言いかけたのかは分からなかったが、その瞳には何か大きな恐怖や畏怖が滲んでいたからだ。

 

「オメーには悪いけど、俺はグラスホッパーも見捨てる気はないぜ」

「見捨てるって。むしろ危ないのはテロリストの方じゃねーの? 今頃飛行船がどうなってるか分かったもんじゃねえよ」

「だからだよ。あいつにそんな真似はさせられない。あいつについてオメーも色々情報を持ってるんだろうけどな、俺はあいつと直接言葉を交わしてる。だから分かるんだ。あいつは悪い奴じゃない。今からでも十分やり直せるはずだ、って」

 

  新一はあの幼く無垢な暗殺者を想った。

 感情を見せないのはその生まれ故だろう。人を躊躇いなく殺すのはその育ち故だろう。

 そのように育てられたが故の残酷な行為だ。

 きちんと良識常識を教えることができれば、聡明な彼女であればまっとうな道に戻ることも不可能ではないはずだ。

 そのためにも、これ以上の罪を重ねさせるわけにはいかないのだ。

 

 新一の決意にKIDはしばし言葉をなくし、そののち大きくため息をついた。

 彼の頑固さ、コナンの頑固さをKIDは良く知っていたからだろう。

 じとっと半目を向けて非難の意図を示している。

 

「名探偵を置いて一人でサヨナラってのも寝ざめが悪い。ったく、命知らずもほどほどにしないと本気で死ぬぞ」

「今更だろそんなこと。俺は最後まであがく主義なんでね」

「言ってろ」

 

 軽口を叩きあって二人は笑った。

 空高く見える飛行船は未だ大阪を目指していた。

 

 

 

*****

 

 

 

 灰原哀が目を覚ますと、そこはダイニングの隣にある小さな談話室だった。

 

「ん……、ここは……」

 

 側頭部がぼんやりと痛む。

 頭がどうにも重いのは、睡眠薬などの薬物で無理やり眠らされたときの症状に似ている。

 軽く頭を振って意識をはっきりさせると、自分の周りには同じように意識を失った乗客たちが寝かされていることに気が付いた。

 

「……っ」

 

 いったい何が起こったというのか。

 緊張に身を固くし、震える息をできるだけ小さくしながら様子を伺った。

 部屋の明かりは点いておらず薄暗い。

 異臭も物音もしないため、差し迫る脅威はないようだ。

 自分以外に起きている人間も居ない。

 

 息を殺してドアの隙間から隣室であるダイニングを覗き見ても、動く人影はいなかった。

 徐々に思考が追いついてくる。

 危険なウイルスが飛行船内に散布された。

 ダイニングに緊急措置として集まっていると、突如として2人組の男が部屋に押し入ってきたのだ。

 彼らは「かつて犯罪を犯していたシャムネコと彼らは別の集団である」という推理を披露したコナンにためらいなく銃弾を打ち込み、窓の外に放り投げた。

 コナンのそれは間違いなく致命傷だったはずだ。

 毛利蘭の悲鳴が耳に残る。

 いくら彼でももうダメなのではないだろうか。そんな現実的な思考を裏打ちするかのような声だった。

 

「工藤、くん、」

 

 無意識のうちに探偵バッジを鳴らしていた。

 江戸川コナンが持っているはずの探偵バッジへ向けて、コールをかける。

 あんなことをされて生きているはずがないというのに、灰原哀は彼が何ごともなく通話に出てくれるような気がしてならない。

 出るはずがない、出てほしい。

 祈るようなその行為は、しかして現実となった。

 

『灰原、灰原か!?』

「く、工藤くん! あなた、いったいどうして」

『俺は大丈夫だ、オメーは怪我はないか? いま船内はどうなってる?』

「わからないわ、気が付いたら意識を失ってて……今談話室にいるわ。工藤くん、あなた、本当に生きてるの? どうして声が」

『俺もよく分かってねぇんだ。生きてるんだから細かいことは後だ。ともかく、今飛行船の上にいる。ハッチは開いてるみたいだからそこから入って迎えに行く。オメーはそこから動くんじゃねえぞ』

 

 それだけ言っていつもの通り返事も待たずにコナンは通話を切った。

 彼の声は間違いなく元の「工藤新一」の声だった。

 意識を失った理由も談話室に移動させられている理由も分からず、あげくテロリストの現在も不明。

 早鐘を打つ心臓に、冷や汗が伝う背筋。

 なぜ元の姿の声でコナンが通話に出たのか、それすらも分からない。

 謎ばかりの状況の中、死んだと思ったコナンが今生きているということだけが灰原の心の支えだった。

 

 コンコン、と小さなノックの音。

 

 緊張状態から突如として耳に入った他人の音に、灰原はびくりと体を揺らした。

 寝たふりをすべきかもしれないが、ここからでは元の寝かされた場所から離れすぎている。

 

「……誰?」

 

 灰原が問うと、ゆっくりとダイニング側の扉が開いていく。

 

「……っ!」

「目は醒めただろうか、シェリー。吐き気や不快感はないか?」

 

 組織の幹部に特有の濃密な黒い気配。そしてそれをも押しつぶすかのような激烈な死の臭い。

 灰原の姉である宮野明美は彼女のことを好んでいたようだが、灰原はどうにも彼女のことを好きにはなれなかった。

 彼女の人格や性格ではなく、その窒息しそうなほどの死の気配ゆえに。

 

 グラスホッパー。

 組織において、世界において、歴史において五指に入るとされる神域の暗殺者。

 そうと気にとめなくても流れてくる噂だけでもその神業をうかがい知ることができるその実力は現実離れしているほどだ。

 

「グラスホッパー……あなた、いったい何をしたの?」

「シェリングフォードを害した羽虫を処分したに過ぎない。あまり見目がよいものでもなかったため乗客はみなまとめてこちら側に避難させたが、問題だっただろうか」

「私の意識を落してこっちに運んだのは貴女だったのね。あのテロリスト達はいまどうなってるの」

「生きてはいる。苦痛に苛まれてはいるだろうが、息の根を止めるのはシェリングフォードの好みではないと考えた。今はバーボンに別室へ運ばせているので、もうダイニングに入っても大丈夫」

「そう……」

 

 死んではいないが、無事だとも言い難いのだろう。拷問を連想させる言い回しだ。

 常よりもなお濃い死の臭いは直前の拷問にあったらしい。

 対面するだけで押しつぶされそうな圧迫感。

 魂が握りつぶされていくかのような息苦しさに、灰原の息は自然と上がる。

 

「それと、これを受け取ってほしい」

「これは……?」

 

 グラスホッパーが無造作に灰原に押し付けたのは、試験管に入れられた少量の液体だ。

 無味無臭のそれは透き通っていて水のようにも見える。

 

「ここにまき散らされたウイルスの抗ウイルス薬である。飲んでほしい」

「はぁ!? ちょっと、このウイルスはまだ治療法が確認されていない上にレトロウイルス科よ。抗ウイルス薬なんて実在するはずがないわ」

「逃亡したシャムネコが密かに研究し、テロに向けて開発に成功した。と、いうことで納得してほしいが、この言い訳で世間を誤魔化せるだろうか」

「……もしこれが本当に効果を発揮するなら、HIV研究が一変するわね。ノーベル賞モノよ」

「なるほど、背景を誤魔化せば現実にあり得なくもない、といったところか。研究所の痕跡も偽装しよう。出所は不明、あとは各製薬会社が利権争いにもみ消しを行えばさらに不明瞭になるはず」

「ろくでもない出所ということは十分に分かったわ。私と江戸川君の回りに害が来なければなんでもいいけれど」

「あなたとシェリングフォードが害を被ることはない。心配しなくても良い」

 

 半信半疑で灰原は薬剤を飲み干した。

 体にとくに異常は感じられない。

 毒薬の警戒もしないではなかったが、やろうと思えば小枝一つで10人を殺害できる少女なのだ。この暗殺者を前にして毒薬の警戒などバカらしい。

 空になった試験管を手近な机に置き、グラスホッパーに向き直る。

 

「ねえ、グラスホッパー」

「なんだろうか」

 

 コナンから東都タワーでの一件はすでに聞いている。

 どういう理由かはさだかではないが、コナンのことをグラスホッパーはいたく気に入ったらしい。

 組織を裏切ってコナンの命を助け、その上今後迫りくる組織の手からも守ると宣言したとのこと。

 コナンが工藤新一であると知っても組織に報告せず、さらに当然のように灰原がシェリーであると言うことも突き止めている。

 彼女が気分屋であるということは姉から聞いて知っているが、いくらなんでも気分の範疇を超えた行いだ。

 これが組織にバレれば裏切り者としてグラスホッパーが追われることになるはずだからだ。

 

「どうして工藤君を助けたの? 組織を裏切るほどの価値を工藤君に見出したの?」

 

 だからこれは当然の問いだ。

 「タイトルロール」だから、なんて曖昧な言葉で真意は分からない。

 彼女の真意を聞いておかなければ安心なんてできるはずがない。

 

 グラスホッパーは灰原の問いに表情一つ動かさなかった。

 常の通りの無表情で、温度の籠らない瞳。

 平坦な口調は色彩を感じさせない冷え切ったそれである。

 

「シェリングフォードはかっこいい。ならば、助けない道理もない」

 

 まるで信頼のおけない、薄っぺらい答え。

 しかし灰原はどうしてかそれが心からの答えだと直感した。

 なんだかかの暗殺者が普通の少女のようにすら見えて、灰原は少しだけ笑いを乗せて言葉を返した。

 きっと彼女のこういうところが、姉は好きだったのだろう。

 

「バカみたい」

 

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