学戦都市アスタリスクRTA 『星武祭を制し者』『孤毒を救う騎士』獲得ルート   作:ダイマダイソン

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メインヒロインがいつの間にかメスガキになっているような気がしたので初投稿です。


裏話6 シルヴィア・リューネハイムと黎沈華の心境

 基臣くんと出会ってから2週間、スケジュールに余裕が出来たので遊びに誘おうと思って連絡を取ろうと端末を開いて電話してみる。電話するとすぐに基臣くんが出てきた。

 

『シルヴィか』

 

「やっほー、基臣くん。今暇してる?」

 

『今から鍛錬するから忙しい』

 

 前、私と遊んだ時以外は時間を鍛錬に費やしているみたいでどうやら今も未開発エリアのどこかで鍛錬しようと向かっているのか、彼の後ろには廃墟となったビル群が並んでいるのがよく見える。

 

「じゃあ、今からそっちいくね」

 

『いや、鍛錬で……』

 

 これ以上通話したら、基臣くんは私が来ることを拒否するので切ることにした。鍛錬をしているらしいので、動きやすい服を着て再開発エリアに向かうことにする。

 

 さて、基臣くんに場所を直接聞いてもたぶん教えてくれないから能力を使ってどこにいるか探すことにしよう。

 

「──思考と記憶の二対の羽よ 巡れ巡れ()く駆け巡れ 囚われの(いと)()の声を持て──

 

 ──暁の雲海を超え 黄昏(たそがれ)の風に乗り 宵闇(よいやみ)の果てより導きを開け──

 

 ──思考と記憶の黒き御使(みつか)いよ 我が前に舞い降りて()く示せ」

 

 しばらくの時間歌うと、展開していた地図の上に旋回するように二枚の羽がくるくると回り漂い、その羽達が徐々に狭まっていくとやがて基臣君のいる場所を示す。

 

 

 さて、場所は……。ふむふむ、再開発エリアの端にある建物か。ここから遠くないし、さっそく向かっちゃおう。

 

 そして、しばらく地図に示された場所に向かって歩いていき建物の中に入っていくと、特訓をしている基臣君の姿を見つけた。

 

「さっきぶり、基臣くん」

 

「……どうやってここを知ったかは知らんが、今日は鍛錬だからどこも行くつもりは無いぞ」

 

「分かってる。だから今日は着飾ってないでしょ?」

 

「それはそうだが……。……しょうがない。そこそこ強そうだし大怪我にはならないか。来い、ここだと音が目立つ」

 

 そう言うと、基臣くんは奥へと向かっていく。続くように私も追いかけていくとしばらくして、もともと決闘のために使われていたのか正方形状に広く整えられたような空間が現れた。

 

「ほら、いつでも来い」

 

「じゃあ遠慮なく……!」

 

 基臣くんの言葉を皮切りに私は歌で身体強化を施しながら突貫していくと、彼はその攻撃を軽くいなしながら腕を掴んできて近くにある柱へと投げつける。受け身を取って衝撃を逃がしたものの、着地した柱がひび割れてクレーターが出来上がる。

 

「女の子の扱いがなってないんじゃないの、基臣くん?」

 

「生憎、加減はしない性格でな。恨むならわざわざここに来た自分を恨むんだな」

 

 歌を再開しようとすると、邪魔するかのように今度は彼から動く。一撃一撃が重くて、とてもじゃないけど全てを処理しきれていない。身体強化がなかったら、とっくに勝負は決まっていたかもしれない。

 

 一旦距離を離して様子を見ようとしても、ピタリと張り付いたかのように距離を離させてくれない。ダメージを負いながらも強引に距離を離すことが出来た私は一か八かの賭けに出る。

 

 銃剣型煌式武装(ルークス)から光弾を放つと同時に基臣君に迫り、光弾と拳の同時攻撃を行う。完璧にタイミングを合わせて放った二つの攻撃は彼に少なくないダメージを与えると思っていた。

 

 しかし

 

「殴られるか、銃撃を食らうかの二択を強制させたのは正解だが……」

 

 光弾は弾かれたものの拳は腹部へと命中する。ただ、その拳は腹にめり込んだものの、浅いところでその勢いは止まっている。

 

「攻撃をしたあとの回避が疎かだな」

 

 避けることが出来なかったので、思わず目を瞑り防御しようと身構えるが一向に攻撃は来ない。目を開けると、デコピンの手をして私のおでこをピンと弾く。

 

「あうっ」

 

「頭もしっかりガードしろ、いくら星脈世代(ジェネステラ)といえど弱点は非星脈世代と全く同じだ」

 

 短時間ではあるものの戦闘が終わったことで糸が切れたように身体から力が抜けると、身体を仰向けにしてひんやりとした床に身を委ねる。

 

「はー、負けちゃったかぁ。そこそこ腕に覚えはあったはずなんだけど、全然歯が立たなくてちょっとショックだなぁ」

 

「そうでもない、一度攻撃をもらったしな」

 

「とても、攻撃をもらったようには見えないけどねー……。私ももっと強くならなきゃ」

 

「そろそろ特訓を終わるか」

 

「え、でもまだ午前終わったぐらいだよ? 特訓を終えるにはまだ早いんじゃないの?」

 

「今日は遊ぶってお前が言ったはずだが」

 

 電話で言っていたことを覚えていてくれたことに思わず笑みがこぼれてしまう。

 

「ほら、いくぞ」

 

「あー、まってよー」

 

 仰向けの状態から急いで起き上がると、基臣君の後を追っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 久しぶりに遊ぶことが出来ると思ったんだけど……

 

「ようにいちゃん。ひさしぶりだなぁ」

 

「あなたたちはこのまえの……」

 

「ゴロツキどもか」

 

 私と基臣君が初めて会った時に絡んできた不良たちだ。一度あることは二度あるって言うけど、あの実力差を見せつけられてもう一度勝負を挑んでくる気概に怒りというよりも呆れという感情が出てくる。

 

「覚えてくれてなかったら、悲しくて涙で枕を濡らしそうだったが安心したぜ。お前たちにはたっぷり復讐しなければ気が済まねえからなぁ」

 

「それで、前と同じようにのこのこ現れてやられにきたのか?」

 

「俺達も馬鹿じゃねぇ、というわけでだ」

 

 ボスらしき人物が手で合図すると、ビルの影からその手下と一人の女の子が出てくる。腕や口は拘束されていて、基臣君の反応と界龍の校章を見るに知り合いっぽい。

 

「んー、っむー、むー」

 

「ちっ、うっせぇな。黙ってろ」

 

 人質の女の子を黙らせようと顔をビンタする。猿轡で話すことはできないようだが、その顔が苦痛に歪むのを見て黙っていられない。助けようと動く私を基臣君は片手で制してくる。

 

「ダメだ、シルヴィ」

 

「なんで! 助けないとこのままじゃどうなるか分からないよ」

 

「分かってる。だが、よく見てみろ」

 

 基臣君に窘められて冷静に状況を確認すると、人質と私たちの間を遮るように大量の不良たちが行く手を阻んでいる。

 

「この数だと強引に抜こうとしても俺でも2秒はかかる。その間にこいつらはあいつを殺してもおかしくはない」

 

「そんな……」

 

「そういうことだぜ、理解してくれたか?」

 

 不良たちに向かっていく基臣君がこっそりと私に囁く。

 

「お前はお前が成すべき役割を果たせ」

 

「え」

 

 耳元でささやかれた言葉の意味を理解できずに立ったままでいると、基臣君は不良たちの前に向かっていく。

 

「いい度胸じゃねぇか。お前をたっぷり時間をかけて嬲り殺した後、そこの姉ちゃんも身体で楽しませてもらうぜ」

 

 私のことを嫌らしい目で舐めるように見た後、基臣君に手下たちを仕向けてくる。

 

「簡単にくたばるんじゃねぇぞ。オラッ!」

 

「基臣君!!」

 

 組み伏せられ、無抵抗の彼に何本もの拳や足が雨のように降り注ぐ。その光景は見るに堪えないもので思わず目をつぶってしまう。

 

 でも、すぐに彼の言葉を思い出す。

 

『お前はお前が成すべき役割を果たせ』

 

 彼が何の意味もなく私にその言葉をいう訳がない。なら、私の役割はなんだ。分かり切っている、人質にされているあの子を助けることだ。おそらく、基臣君は私が助けてくれるための隙を作り出してくれるはず。今はただその時が来るまで、絶好の位置で待つしかない。

 

 2、3分過ぎたんだろうか、何人もの攻撃をその身に受けながらも基臣君は黙ったままだった。

 

「おいおいおい、ずいぶんとしおらしくなってきたんじゃねぇのぉ! まだ倒れんなよ!」

 

「……愚かだな」

 

「……あん?」

 

「リーダーであるお前が俺を恐れて直接叩きのめさないとは、上に立つものとして手下にも示しがつかないな」

 

「は?」

 

「リーダーがこの程度なら、お前らは所詮お遊びで集まった程度の集団でしかない」

 

 基臣君の挑発にリーダー格の人物が乗せられたのか、ズンズンと組み伏せられている彼に距離を詰める。

 

「来い、負け犬のままでいたくないならな」

 

「そんなに死にたいならすぐに殺してやるよ!」

 

「馬鹿め」

 

 どんな方法で抜けたのか基臣君は手下たちの拘束を抜けると即座にリーダーの腕を掴み、人質の子に当たらないように投げ飛ばす。周りが投げ飛ばされたリーダーに気を取られているそのうちに人質の子を強引に助け出す。

 

「グハッ! ケホッ、ケホッ! おい、人質を!」

 

「残念だけど、この子はもう助けちゃったから」

 

「そういう訳で形勢逆転だ」

 

「くっ、同時に掛かれ!」

 

「同じ手で勝てると思うなよ」

 

 基臣君が一人で不良たちを片付けると、私たちのもとへやってきて人質の女の子へ声を掛ける。

 

「お前、怪我はないか」

 

「まあ、いちおう……」

 

 女の子は俯いたままではあるけど、返事をしてくれた。

 

「こいつらのことだ、次も来る可能性がある。あまり頼りたくなかったが星猟警備隊に処分を頼むとしよう」

 

「うん、その方がいいよ」

 

 通報からしばらくして星猟警備隊の隊員が来ると、そのまま本部まで連れていかれて事情聴収をされることになった。

 

 

 ──────────────────────────────────────────

 

 あいつとの最初の決闘からしばらく。師父から私一人だけに呼び出しがかかり、こうして師父の前に姿を現していた。

 

「基臣と戦ったそうじゃな」

 

「はい、師父」

 

 自らの身を弁えない愚かな行動を叱るのかと身構えていたが、聞いてきたのは別の話だった。

 

「どうじゃった、あやつと戦って」

 

「あいつとですか。……そうですね、強いと思います。大師兄と同じぐらいには」

 

「まあそうじゃろうな。基臣は既に暁彗の領域に達しておる。今のところ相手になるといったら儂か暁彗かアレマぐらいか」

 

 しかしな、と師父は言葉を続ける。

 

「沈華、儂はな。おぬしには壁を越えられるだけの才を内に秘めてると思うとる」

 

「壁、ですか」

 

「左様。いつの時代も強者と凡人の間には越えられない壁が存在する。さっき言った儂と暁彗、アレマとかがそうじゃ。その壁をおぬしは越えれると儂は思っておる」

 

「私には過分なお言葉です」

 

「儂が冗談では言ってるんではないぞ。まあ、それはともかくじゃ」

 

 師父が地図を取り出すと私にその映像を見せてくる。見せてきたのは再開発エリアの一角にある建物だった。

 

「基臣の技術はおぬしがこれから成長する上で必ず糧になる。基臣はいつもそこで鍛錬を積んでおる。おぬしはそれを見に行って、己の自己研鑽に努めるんじゃ」

 

「どうしてあいつの場所を」

 

「儂の秘蔵の転移術の中継地点をどのように知ったのか儂と会う前から勝手に使いおったからな、あやつが使ったときにどこに行くかマーキングしておいたんじゃよ」

 

 師父の地味にストーキング紛いの行動に呆れるものの、懸念すべき事項を聞く。

 

「……しかし師父。いくら場所が分かるとはいえあいつに見つかるのは不味いと思うのですが……」

 

「そういうじゃろうと思って、おぬしに気配隠しの星仙術を掛けておく。それなら、しばらくの間はバレないじゃろう。ほれ、基臣が鍛錬から帰る前にさっさと行けい」

 

「……承知」

 

 渋々ではあるが、師父の指示ということもあり見に行くことにした。師父の転移術の中継点を使わせてもらい、指定された建物へと向かい気配が消えてるとはいえ慎重に身を隠しつつ中を窺うと、そこにはあいつとクインヴェールの新進気鋭のアイドルであるシルヴィア・リューネハイムがいた。

 

 その二人の戦闘は凄まじいもので実力差はあるもののシルヴィアが知恵と工夫をこらして、あいつに一撃を与えていた。結果を見た後はバレない様に抜け出し、そのまま転移陣まで向かおうとする。

 

 参考になったものの己の未熟さに腹が立ってしまう。誰にも向けることが出来ない鬱憤を内に秘めたまま歩いていると

 

「嬢ちゃんには悪いが人質になってもらおうか」

 

「は?」

 

 考え事に気を取られていて後ろに警戒していなかった私はあっけなく気絶させられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……っ?」

 

 物音がして気づいて起きてみると周りには二十、三十……。いや、それでは足りないぐらいの数の不良たちが私を連れ運んでどこかへと向かっていた。どういうことか錯乱していると、目の前に二人の男女が現れる。

 

「あなたたちはこのまえの……」

 

 その正体は先ほどまで私が観察していたあいつとシルヴィアだった。不良たちの話を聞くに、あいつに勝つために私を人質にしようとしていたということだった。

 

 情けをかけられたくなかった私は必死にその事を叫ぼうとする。

 

「んー! っむー、むー!」

 

「ちっ、うっせぇな。黙ってろ」

 

 ビンタされると反抗するよりも恐怖が勝ってしまい思わず黙ってしまう。

 

 それからはあいつは私なんかのために身を張って助けようとしている。

 

 なんで? あいつは私のことなんか一つも気にしてなんかなかったはずじゃないの? 

 

 浮き上がってくる疑念をかき消すように鈍く聞こえる殴打の音が私の鼓膜を震わせる。

 

「来い、負け犬のままでいたくないならな」

 

 なんで? わざわざ私を助けようとしているの? 関係ない人間なのに

 

 

 

 

 

 策があったのか、リーダー格の男を投げ倒すと同時に私をシルヴィアが助け出してくれた。大丈夫か聞いてくるが、短く返事をするだけで感謝の言葉も言わずに済ませてしまった。

 

 そんな不躾な態度を気にしない二人は星猟警備隊に連絡をするとしばらくしてきた隊員に連れられて私たちは本部に向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 星猟警備隊の取り締まりは思っていたよりも短く済ませることが出来た。私が不良たちとは直接関係がなかったこと、人質だったことを加味してのことらしい。

 

 界龍へと帰ろうと事情聴収を受けた場所から出ると、シルヴィアが壁にもたれかかって立っていた。

 

「やっほ、事情聴取ご苦労様。ちょっとだけ話したいんだけど大丈夫?」

 

 その言葉に微かに縦に首を振って頷くと、適当な長椅子へと一緒に座る。シルヴィアは隣に座って一息つくと、私に話しかけてくる。

 

「沈華ちゃんが基臣君とどんな関係だとか、彼をどう思ってたのかは分からないけど、不器用だけど優しいところはあると思うよ。私も初めて会ってから二度目だけど、それだけは分かるんだ」

 

「…………」

 

「沈華ちゃんと基臣君の間で何か確執があるんだろうからアドバイスするけど、一度基臣君と一緒に話してみた方がいいと思うよ。何もしないままなんてモヤモヤするだろうし」

 

「そう、かもね……」

 

「話はそれだけ。それじゃあ、私クインヴェールに帰らないといけないから。じゃあね」

 

 シルヴィアが出て行ってから長椅子であいつが出てくるのを待つと、しばらくして足音ともに姿を現す。

 

 私の姿を見て驚いたのかどうなのかよく分からない表情を見せながらも近づいてくる。

 

「別に帰ってて構わなかったが」

 

「ちょっと聞きたいことがあってね、ここで話すのもあれだから帰りながら話しましょう」

 

「分かった」

 

 界龍へと帰ろうと星猟警備隊の本部から出ると、空は薄暗くなっており時間は夜になっていた。

 

「…………ねぇ」

 

「なんだ」

 

「どうして私を助けてくれたの。私の事、決闘を何回も仕掛けてくる面倒くさいやつって思ってたんじゃないの……」

 

「助けた理由か……」

 

 少し考えると、ポツリとつぶやくように語り始める。

 

「自分に厳しく武の道を指導してくれた父が最後に言ってきた言葉がある。『己の守るべきものを見つけろ』と」

 

「守るべきもの……」

 

「自分にはまだその言葉の答えは見つかっていないが、人を助けていけばおのずと分かっていくかと思ってな」

 

「そう……」

 

 しばらくの間静寂が空間を満たす。

 

「…………ねぇ」

 

「……なんだ」

 

「今度の夏に開かれる鳳凰星武祭、私のタッグパートナーになってくれないかしら」

 

「タッグパートナーか、なんで俺なんだ」

 

「あなたのことは正直鼻につくけど、決闘したときも今日のあの時も見てたら強いんだって」

 

 考えていたが、しばらくして返事をする。

 

「鳳凰星武祭のタッグメンバーを見つけるのに苦労していたから正直助かった。俺でよければだがよろしく頼む」

 

「……ええ」

 

 こいつの事はまだよく分からない。でも、私を助けてくれたあの時のことを思うと悪いやつじゃない。

 

 今はまだ分からないけど、いつかは分かるときが来るかもしれない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




想定以上に長くなってしまったので雑な仕上がり且ついつもの時間に投稿できませんでした。申し訳ないです。

本作の中であなたが一番好きなヒロインは?

  • シルヴィア・リューネハイム
  • オーフェリア・ランドルーフェン
  • ミルシェ
  • エルネスタ・キューネ
  • 黎沈華
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