学戦都市アスタリスクRTA 『星武祭を制し者』『孤毒を救う騎士』獲得ルート   作:ダイマダイソン

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あれ、裏話分割しすぎじゃね……?と思い始めたので初投稿です。
ちなみに裏話22は③まで書く予定です。


裏話22-② シルヴィアの誕生日

 《冒頭の十二人(ページ・ワン)》の特典で貰える個室。そこでルサールカのメンバー達はソファーでぐうたらして過ごしている。

 

「マフレナぁー、そこにある飲みもん取ってー」

 

「あ、はーい」

 

 ルサールカは理事長であるペトラのマネジメントもあって結成当初に比べて少しずつ知名度を上げてきたが、知名度を上げるという事はそれだけ忙しくなるという事。その分だけ色々な場所で開催されている野外ライブに参加していたため、休む暇がない程に忙しない日々を過ごしていた。

 

 ここ最近は、獅鷲星武祭(グリプス)のために活動を中止して特訓に励んでいるが、ずっと集中力も続くはずはない。

 

 今日は、流石の過密スケジュールということで五人は久々の休日を作り、外に出ることも無く部屋の中で久々の休日を謳歌(おうか)しているのだが、肝心の部屋の主であるミルシェがいなかった。

 

「そういや、リーダーはどこ行ったんだ?」

 

「さあ? どうせまたあの男を追いかけに行ったんじゃないかしら」

 

「元気だよねぇ。モニカには無理無理」

 

「あはは……」

 

 好き勝手にリーダーの事を言うメンバー達にマフレナも流石に苦笑してしまう。

 

おーい!! みんなー!! 

 

「あ、来た」

 

 噂をすればなんとやら。バン! という音とともにドアが開かれると、ミルシェが息を切らしながら立っていた。

 

「聞いて聞いて!!」

 

「なんだよもう、惚気話なら聞き飽きたぜ」

 

「ここ最近は彼の話ばっかりだしねー」

 

「正直、私たちに手伝えることは無いわよ」

 

 同じ話ばかりで聞き飽きたのか、それぞれミルシェに目を合わせることなく各々のやりたいように自由に部屋でくつろいでいた。──ルサールカの中で一番真面目なマフレナだけはちゃんと聞いていたが。

 

「いや、惚気話とかじゃなくって!」

 

 テーブルをダンッと叩くと、全員の前にある物を見せる。

 

「メール? 何々……」

 

 仕方ないな、と全員がそれに目を向けるとどうやらシルヴィアから基臣に送ったメールらしく、撮った写真がメール一覧のため断片的にしか分からないが、二人きりで誕生日パーティーをしようという旨が書かれていた。

 

 流石に人のメールを盗み見て、あまつさえそれを写真に撮って他の人に見せるというミルシェの行動に全員ドン引きしていた。

 

「あんた……いくら彼の事が好きだからって、人のメールをのぞき見はだめでしょうに……」

 

「リーダーがストーカーにならないかモニカちょっと心配かもぉ」

 

 散々な言われようのミルシェだったが、日ごろから言われ慣れたのか彼女たちの言葉を気にしていない。

 

「見られる方が悪いんだから別にいいの! それよりもだよ! シルヴィアが基臣と()()()()()誕生日パーティーをしようとしてるんだよ! 二人きりで!」

 

 何度も重ねて二人きりというワードを強調するミルシェ。

 

「まぁ、普通にあり得る話ではあるわね。彼女、どう見ても好意を隠す気無いみたいだし。そろそろ関係を一歩前進させそうな雰囲気は見てたら分かるわね」

 

「もしかしたら、二人きりだから何かあってもおかしくないんじゃなぁい?」

 

 モニカの言葉にミルシェは顔を赤らめさせる。

 

「ダメダメダメ! そんなこと絶対させないんだから!」

 

「大分リーダーもこういう事分かってきてるよねぇ……。初心な小娘からむっつりスケベに昇格したって感じぃ?」

 

「誰がむっつりスケベだよー!」

 

 事態があらぬ方向へと向かっていくので、マフレナがとりあえず話を進めることにした。

 

「ともかく、それなら私たちの人数分のディナーは用意しないといけないんじゃないですか? シルヴィアさんは私たちがくることを想定してないわけですし」

 

「あ、そっか」

 

「えー……。プレゼントは毎年渡すから用意するつもりではあるけどー、その辺のことはリーダーとマフレナだけでやってよお」

 

 ブーブーと文句を言うメンバー達をなんとか説得してミルシェは協力を取り付けることができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、財布が寂しい……」

 

 その代わり、モニカ達のほしい物を買うことになったので財布はスカスカになったが。

 

 

 

 

 

 ……………………

 

 

 

 

 

 マネージャーであるペトラに用意してもらったセカンドハウス。

 

「ふん♪ ふふんふふーん♪」

 

 そこで、シルヴィアはご機嫌そうに鼻歌を歌いながらパーティーの準備をしていた。

 

 少し前から二人きりで過ごそうと計画していた誕生日パーティー。誰の邪魔もなく一緒にいることができるので、当然ながらテンションも上がる。

 

(もしかしたら基臣君と……)

 

 

 

 ピーンポーン

 

 

 

 と、そんな妄想をしていたシルヴィアだったが、唐突にチャイムが鳴ったため我に返る。

 

(基臣君、もしかしたらちょっと早めに来たのかな?)

 

「はいはーい……って、あれ?」

 

 ルンルン気分でモニターを見るシルヴィアだったが、玄関前に取り付けられているカメラからの映像には誰も映っていない。

 

「……いたずらかな?」

 

 こんな所まで来てわざわざそんな事をする変わり者がいるとはシルヴィアには思えなかったが、一度確認しようと玄関まで行くことに。

 

「いるかなー?」

 

 扉を開いて周囲を見渡すが、人の気配はない。

 

「……いない、か。やっぱり気のせいだったのか──」

 

「はーいストーップ!」

 

 玄関の扉を閉じようとするシルヴィアだったが、扉の間に誰かが強引に足を割り込ませてくる。

 

 突然の出来事に一瞬びっくりさせられたが、その相手の顔を確認して別の意味で驚かされる。

 

「──って、ミルシェ? それに他の皆も。今日は忙しいって言ったはずなのにどうしたの、ここまで来て?」

 

「しらばっくれないでよ! 基臣と二人きりでパーティーするって証拠は挙がってるんだかんね!」

 

「あれ? どこで知ったの、それ?」

 

「リーダーがシルヴィアのメールをのぞき見したのよ」

 

 心当たりを頭の中で探り合点がいったのか、手を叩き合わせる。

 

「あぁー、あの時かな」

 

 一度、ミルシェにペトラから同じメールが届いたか見せるように頼まれた事があったのを思い出す。今にして思えばいつものミルシェらしくない言動だった。

 

「あたしたちもパーティーに参加するよ!」

 

「んもー、二人きりでパーティーのつもりだったんだけどなー」

 

 ジト目で不満そうにミルシェを見るが、一向に退いてくれる様子は無い。

 

「でも、今からみんなの分まで食事は用意できないよ?」

 

「それについては大丈夫! あたし達が途中で買ってきてるから」

 

 マフレナに持たせている袋を見せる。

 

「ほんと、準備がいいね……」

 

 ミルシェの執念に流石のシルヴィアも苦笑いせざるを得ない。

 

「二人きりなんてさせないから! 絶対に基臣しかいないからって変な事するんでしょ!」

 

「……へぇー。例えばどんなこと?」

 

「そ、それは……」

 

 まごまごしながら俯いて顔を赤らめるミルシェ。

 

「あはは。まったく可愛いなぁ、もう」

 

 良いように揶揄われているミルシェにシルヴィアはクスクスと笑う。

 

「まあしょうがないか。二人きりの誕生日は来年にお預けという事で。ほら、中に入って」

 

 ルサールカを部屋に招き入れたシルヴィアは料理をテーブルに運び出し、着々とパーティーへの準備を進めていく。もちろんミルシェたちも準備を手伝ってくれたため手早く済ませることができた。

 

 丁度準備を終えた時、チャイムが鳴る。

 

「お、来た来た」

 

 開錠すると基臣が袋を片手にドアを開けて上がってきた。

 

「すまん。パーティーの準備を手伝うつもりだったんだが、時間ちょうどになってしまったな」

 

「ううん、むしろいいタイミングだったよ」

 

 何が良いタイミングだったのか、シルヴィアの言葉の真意を正確に掴めず首を傾げる基臣だったが、大した意味で言ったわけではないか、と勝手に解釈した。

 

「…………? そうか。それなら良かったが……ミルシェたちもいるのか。お前と二人だけだと聞いていたが」

 

「あー、うん。一緒に祝いたいって言うから一応ね」

 

「なるほどな」

 

 基臣を部屋に入れると、冷蔵庫に入れていたケーキを取り出したシルヴィアは大きなテーブルに取り出す。ミルシェが率先してろうそくを立てるとそのまま火をつけて、最後に部屋の照明を消した。

 

 大小合わせて計5本のろうそくに爛々と火がともり、ケーキの周りを(ほの)かに明るくさせる。

 

「じゃあ、さっそくパーティーを始めちゃおっか」

 

 

 

「「「「「「シルヴィア、誕生日おめでとう」」」」」」

 

 その言葉を受けてシルヴィアはろうそくの火を消す。

 

「ありがとう、みんな」

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ、ありがとう! これ欲しかった物なんだー」

 

「ふふーん、大事に使ってよねー」

 

 ミルシェを筆頭に他のメンバーもプレゼントを渡していく。

 

 最後になった基臣はプレゼントの入った袋を取り出してシルヴィアへと渡す。

 

「俺からはこれだ」

 

 袋から取り出したファイルに何か何かと皆が注目する。開いてみるとシルヴィアには見慣れた五線譜。

 

「楽、譜……?」

 

 手渡されたファイルを詳しく見ると、適当に作ったものではなくしっかりと書き込まれている楽譜だった。

 

 歌姫と呼ばれるだけあって世界中の曲にそれなりに精通しているシルヴィアだったが、目の前に書かれてある曲にはまるっきり覚えが無い。

 

 基臣が音楽をあまり(たしな)まない人間であることを知っていたシルヴィアが疑問を覚えるのは無理もない話だった。

 

「パッと見た感じ、私でも知らない曲だけど……どこから手に入れてきたの?」

 

「母の形見だ、お前に受け取ってほしくてな」

 

 形見という言葉に全員がギョッとする。流石にプレゼントとして贈るにはあまりにも重すぎるという言葉では足りないぐらいに重い。

 

「いやいやいや、流石に受け取れないでしょ!!」

 

「そうだよ! もらえないよ、こんな大切な物!」

 

 返そうとしてくるシルヴィアだったが、基臣はその手を握りそのまま楽譜を持たせたままにする。

 

「大切な物だからこそだ。何も分からない俺が物置に仕舞っておくぐらいなら、使われた方が嬉しい」

 

「うーん、でも……」

 

「俺が使うことも無いだろうからいいんだ」

 

 しばらく考えていたシルヴィアだったが、熱心な基臣の説得に折れたのかそのまま楽譜を受け取ることにした。

 

「…………じゃあ大切に使わせてもらうね」

 

「あぁ、そうしてくれ」

 

 大切に胸の内でファイルを抱えるシルヴィアにミルシェは不満そうな顔をする。

 

「あー、いいなぁシルヴィアは。あたしも欲しいのに」

 

「ふふふ……。あーげない♪」

 

 予想外ではあったが、基臣から大切な物をプレゼントしてもらって頬が緩むシルヴィア。

 

(……ほんと、基臣君は私をドキッとさせるのが上手いんだから)

 

 

 

本作の中であなたが一番好きなヒロインは?

  • シルヴィア・リューネハイム
  • オーフェリア・ランドルーフェン
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