学戦都市アスタリスクRTA 『星武祭を制し者』『孤毒を救う騎士』獲得ルート   作:ダイマダイソン

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思ったよりも筆が進んだので初投稿です。

後、若干アルルカントのチームとの対戦内容(主に能力関連)を変更しています。


裏話22-③ 獅鷲星武祭(グリプス)開幕

 10月

 

 

 いよいよ獅鷲星武祭(グリプス)が開幕し、チーム・黄龍(ファンロン)は有力候補として注目度の高いAブロックに組まされることになった。当然、獅鷲星武祭のハナを飾る試合であるため対戦相手もそれなりのチームが出てくる。

 

 そのため、観衆の中には大番狂わせを期待している人も一定数現れる。

 

 

「──《獅鷲星武祭(グリプス)》Aブロック一回戦一組、試合開始(バトルスタート)

 

 だが──

 

「行く……ぞっ?」

 

 意気込んで全員で基臣へと向かおうと意気込みかけたその瞬間。

 

 既に基臣の手にはチームの命に等しいリーダーの校章が握られていた。

 

 

 

 パリン

 

 

 

「イヴァン・ヴェリサリオ、校章破壊(バッジブロークン)

 

試合終了(エンドオブバトル)!勝者、チーム・黄龍(ファンロン)!」

 

 そんな大番狂わせを期待する観衆の期待とは反して、一試合目からチーム・黄龍のその実力を観衆の(まなこ)に刻み付けることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「脅威! チームランスロットのライバル現る! ……ねえ。マスコミは好き放題書いてくれるわ、まったく……」

 

 大々的に誌面に写っている基臣たちチーム黄龍(ファンロン)の記事に沈華は溜息を吐く。

 

 まるで絶対に決勝まで進むかのように記事では書かれているが、まだまだ本戦は始まったばかり。ここから先は何が起こってもおかしくない魔境地帯。一瞬の油断が命取りになる正真正銘の正念場なのである。それをこうも優勝候補だ対抗馬だと言われたために沈華は頭が痛くなる。

 

「まあ、特に知られて困るような情報は引き抜かれていない事だから構う必要もないだろう。そんなことよりも、次の試合の相手が問題だな」

 

「えぇ……。アルルカントが新技術を引っ提げて参加してきたって大騒ぎね。特に今のところは弱点らしき弱点も見つかって無いようだし」

 

 獅子派擁するチーム・ラヴィニアは最新の技術を持って今回の獅鷲星武祭に臨んできた。アルルカントの最大派閥である獅子派が作ったとあって、何の障害も無く本戦まで勝ち進んできている。

 

「……だが、恐らく弱点はあるだろう。この能力は、今回の獅鷲星武祭が初披露だとチームラヴィニアのリーダーがインタビューで言っていた。流石に、こんなトリッキーな能力を一度も世間に公表しないで完璧な状態に仕上げてくるのは無理がある」

 

「まあそうでしょうね」

 

「とりあえず全員集まるまで、しばらく動画を見ながら解析しておく。そっちでも適当に探ってみてくれ」

 

「分かったわ」

 

 しばらく待っていると、沈雲とセシリーが、そして、最後に先ほどまで星露の補佐をしていた虎峰が部屋にやってきた。

 

「僕が最後ですか?」

 

「ええ、そうよ。好きに座ってくれて構わないって言ってたわ」

 

「分かりました。…………そういえば、基臣は先ほどから何を見ているんですか?」

 

 虎峰が基臣に近づくと、どうやら相手チームの直近の試合を確認しているようだった。回避したはずの攻撃が不自然に軌道を変えて当たっている様子が遠目から見てもよく分かる。

 

 最初は何か不正を行っているのではないかという話題で持ちきりだった。しかし、運営委員が精査した結果、星武憲章(ステラカルタ)のルールの範囲内で試合を行っていたという報告が為されたため、不正疑惑は無事解消され今大会のダークホースになるのではないかと目されていた。

 

 映像の中でも一番試合時間が長かった本戦の試合を見ている基臣だったが、先ほどから何度もある箇所を再生し続ける。

 

「さっきから同じ所ばかり再生してますけど、何か分かったんですか?」

 

「…………」

 

「さっきからその動画を見て解析してるのよ。こうなったら私達から話しても気づきはしないわ。放っておきなさい」

 

「そうそう、私が肩を揺さぶっても全然反応しなかったもんねー」

 

 沈華やセシリーの言う通り、物凄い集中力で映像を見つめていて虎峰が声を掛けても全く反応を示さない。こうなったら映像の解析が終わるまで梃子でも動かないだろうと思った虎峰は全員分のお茶を用意して待っていた。

 

「…………なるほど。カラクリさえ分かれば大したことはないな」

 

 ようやく何か掴めたのか基臣は集中を解いていた。

 

「カラクリ? 何か分かったんですか?」

 

「ああ、ここだ」

 

 ある時間まで動画を戻すとスローにして再生する。

 

 敵が能力を使用する際にほんの僅かにだが、相手の星辰力が磁力のように引かれているのが見えた。

 

「スロー再生で見てわかったと思うがこの能力、空気中にある万能素を媒介に星脈世代(ジェネステラ)星辰力(プラーナ)を利用して発動させている」

 

「万能素を媒介に星辰力を利用、ですか」

 

「そうだ。それで、自分と相手の星辰力を引き合わせて、超高速移動や異常な軌道の攻撃を可能にしているというわけだ」

 

 基臣がピックアップして見せてくれた動画を見ると、どれも能力の使用タイミングで使用者とそれの対象者の星辰力が引かれ合っているのがよく分かる。

 

「つまり能力の対象に俺達を指定させなければ相手は何もできないサンドバッグになる。それに、能力の発動タイミングも分かりやすいから見てから即対応でも十分に間に合う」

 

「なるほど。……でも能力の対象に指定させないって言ってもどうするんですか?」

 

「重要になってくるのは、身体に纏っている星辰力を周りの万能素から切り離し、そして再び繋ぐ技術だな」

 

「繋ぐ? 切り離すだけじゃなくて?」

 

「再び繋がないとお前らの使う星仙術もそうだが、俺の煌式武装(ルークス)も使い物にならない。唯一の例外が無手の虎峰だがな」

 

「なるほどね」

 

「手本を見せるからそれを真似てみてくれ」

 

 そう言うと、基臣は一瞬で身に纏っている星辰力を周りの万能素から切り離す。すると、基臣の身体の周りだけまるで何も万能素がないような空間が出来上がる。そしてその後、再びスムーズに星辰力を万能素に繋いで見せた。

 

 沈華達も手本を元にやってみたが、出来は人によってまちまちといったところだった。

 

 特に万能素を介した能力を使う適正がほとんどない虎峰は苦戦している様子で、星辰力を切り離すだけでも5秒かかっている。しかも、その過程で一度身に纏っている星辰力を消してしまっていた。

 

「……なるほど」

 

「これ……っ、難しくないですか」

 

「率直に言わせてもらうが、お前には《魔術師》としての才能も、星仙術を取り扱う才能も無いからな。そうなるのも仕方のない事だ。とりあえず、話を先に進めるぞ」

 

 そう言って、基臣は話を先に進める。

 

「それで、だ。お前たちにはこれからその技術を次の試合までに身に着けてもらう」

 

「い、一日で!? いやいや、実戦に耐えうるような使い方をするまで時間かかりますよ、これ!」

 

「他の奴は大丈夫だと思うが虎峰、お前の場合下手を打てば間違えて星辰力を消してしまいかねない。そうなると、逆に大怪我に繋がる可能性もある。無理だと思うなら最初から辞退しろ」

 

 キツイ言い方をした基臣だが実際、星脈世代の防御の要である星辰力が意図してないとはいえ消してしまうのは非常に危険性を伴う。恐らく、攻撃が直撃でもすればその後の準々決勝以降は参加できない怪我を負うだろう。その危険性が危険性なだけに今回の作戦は虎峰を除外するべきかどうか基臣は悩んでいた。

 

「……いえっ! 僕にもやらせてください。足手まといにだけはなりたくありませんから」

 

 だが、その危険を承知の上で基臣の作戦に同意した。危ない賭けにはなるが、こんな所で下手を打って脱落しようものならその後も足手まといになる可能性は否めない。そんな覚悟を虎峰は持って返事を返す。

 

「分かった。虎峰以外は問題なく習得できるだろうから、初めにある程度の練習の指針を伝えて自主練。虎峰は俺とマンツーマンで習得してもらう」

 

「分かりました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さーて、本日の本命試合! チーム・ラヴィニアとチーム黄龍の対決です! 果たしてチーム黄龍はアルルカントの新技術を打ち破ることができるのでしょうか!』

 

 実況の声がステージ内にも反響するが、虎峰は別の事に意識を向けていた。

 

(頑張って習得はしましたけど、大丈夫でしょうか……。もし失敗したら……)

 

 最悪の想定をしそうになる虎峰の背を基臣は強く叩く。

 

「いてっ! なにするんですかっ!」

 

「少しは落ち着け。そんな精神状態だと練習してきたことも思うように実践できないぞ。ほら、深呼吸だ深呼吸」

 

 基臣の言われた通りに深呼吸をして心を落ち着けさせる虎峰(フ―フォン)

 

「スゥー、ハー……」

 

「そうだ、それでいい。昨日はああ言ったが、もし本当に危なかったら無理してでも俺が助けに行く。だから、安心して戦え」

 

「……はい! 分かりました」

 

「よし。全員、作戦は頭に入れてるな。しくじるなよ」

 

「もちろんだよー」

 

「当然よ」

 

「そっちこそ勝敗に直接左右するんだからしっかり頼むよ、リーダー」

 

「ああ」

 

 メンバー全員の返事を聞いた所で基臣はチーム・ラヴィニアの方へと振り返る。

 

 そろそろ試合開始の時間になる。

 

 

「《獅鷲星武祭(グリプス)》4回戦第10試合、試合開始(バトルスタート)

 

「行くぞ!」

 

 リーダーである基臣がトップスピードで走ることで前衛の防御を振り切り、相手リーダーの男の元へと駆けていく。

 

「させるか!」

 

 すかさず妨害して行かせまいとする相手チームの前衛4人。

 

 その妨害を作戦通り、基臣の後をついていってた虎峰やセシリーが上手い事カットする。

 

「後は頼みますよ基臣!」

 

(よし……! ひとまずは最低限の仕事はできました。後は……)

 

 目の前にいる相手を倒すだけ。

 

(絶対にやれる……!)

 

 心の内でそう念じて、何度かの攻防を経ていると、相手が能力を発動させようとしていた。

 

 相手が能力を発動させる予兆を見せた瞬間に身に纏っている星辰力を周りの万能素から切り離す。

 

(あれ……? 意外とすんなり出来てる……)

 

「……なっ!?」

 

 予想外の策に相手は固まったまま動かない。

 

 ──能力で無理な軌道を実現する以上、発動する直前は動きを止める。つまり、能力が不発になった場合……

 

(正面ががら空き!)

 

 動かない相手を正面から殴りつける。技術頼りで体術はそこまでだった相手はそのまま防御できずに校章をみすみす破壊させることになった。

 

「オーウェン・クリストフ、校章破壊(バッヂブロークン)

 

 虎峰以外にも沈雲が相手を倒しており、状況は5対3。チーム黄龍(ファンロン)側が優勢になる。

 

(よくやったな虎峰。……さて)

 

 4人が敵のリーダー以外を足止めしたおかげで、もう少しという距離まで相手リーダーの男を追い詰めることに成功した基臣。

 

 当然相手もリーダーを任されているだけあって、それ以外のメンバーよりも高い技量でその能力を使いこなして基臣に攻撃していたが、当然今回の作戦の提案者である基臣は入念に対策を施している。能力を完全封殺して無傷で近づけていた。

 

「ちぃっ、使えない奴らが!」

 

(こうなったら私がこの手で……!)

 

 劣勢一報の仲間に悪態をつくリーダーの男。

 

 自分で仕留める他ないと理解したのか、フェイントを交えながら能力を利用して超加速する銃撃を基臣へ放とうとする。

 

 

 

 切り離して 繋ぐ 切り離して 繋ぐ

 

 

 

 フェイントを見切りながら、自在に星辰力のコントロールをすることで全てただの銃撃へと変えてしまい、それを煌式武装で斬る。

 

「何故だ!? 何故私の能力をそうも容易く破ることが出来る!!」

 

 この能力は獅子派(フェロヴィアス)の叡智が詰め込まれている技術であり、それを使う事を実践クラスであるこの男は許された。長い下積みの果てにようやく報われた努力。

 

 そんな努力の果てに使うことのできた能力のタネを簡単に見破られてしまい、しかもチーム全員が対策してくる。この男にとっては悪夢に等しい出来事だった。

 

「今度からは盛大に能力を披露しないようにすることだ。半端な能力はすぐに弱点が露見する」

 

「くそがァァァァァァ!!!!」

 

 それでも最後の足掻きと言わんばかりに、空間にある万能素を利用して逃げようとする。

 

 だが──

 

「終わりだ」

 

 移動先を予測した基臣は事前に用意していたピューレで刃先を伸ばしてその場所を一刀両断。その場所にある万能素を完全に消失させてしまった。

 

「なっ!? グゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

 能力を強制的に中断させられてしまった男は空中でバランスを失ってしまい、床に転げ落ちてしまう。

 

「馬鹿な……馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な!」

 

 能力を破ってしまったせいで男は完全に戦意喪失。

 

 その時点で、もう試合は終了したも同然だった。

 

「ジャックス・カーライル、校章破壊(バッジブロークン)

 

試合終了(エンドオブバトル)! 勝者、チーム・黄龍(ファンロン)

 

 

 

 機械音声がチーム・黄龍の勝利を宣言したことを確認した基臣は、今回一番頑張った虎峰にねぎらいの言葉をかける。

 

「よくやったな、虎峰(フ―フォン)

 

「あ、基臣。……いえ、そんなことはないですよ。最初のあれがなかったら僕は間違いなく足が竦んで思うようには動けなかったと思います」

 

「……そうか」

 

 どちらにせよ、誰一人かけることなく準々決勝に進出。チーム・黄龍は順調に優勝へと歩を進めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっほー基臣君」

 

『エルネスタにカミラか』

 

「準々決勝進出おめでとう。……まさかここまで一方的な展開になるとは思いもしなかったよ」

 

『まあ、チームメンバーのおかげだ。俺一人のワンマンチームだったらもっと試合は長引いてた』

 

「そうか」

 

「それにしても、これでベスト8かー。どう優勝できそう?」

 

『当然、優勝するさ』

 

「おぉー、随分と大胆に言い切りましたなー。ま、他学園だから表立っては応援できないけど陰ながら応援するからねー」

 

『あぁ。……そろそろインタビューに答えないといけない。切るぞ』

 

「あ、そか。そういやそうだったねー」

 

『じゃあまたな』

 

「それじゃあね、基臣君~!」

 

『ああ』

 

 通話を切ると、エルネスタはどこか嬉しそうな顔でいた。

 

「……勝ったね、基臣君」

 

「あぁ、そうだな」

 

「こんなこと言うのもなんだけど、好きな男の子が勝ってくれると自分の事じゃないのにこんなに嬉しくなるもんなんだね」

 

 エルネスタの表情はいつもの気まぐれな悪戯っぽい顔とは変わって、恋する乙女のそれになっていた。

 

「今更だけど彼に惚れてるんだなーって」

 

「エルネスタ……」

 

「なーんて! 柄にも無い事言ったなー。私、レナティの開発に行くからー」

 

「……ふっ」

 

 照れくさいのを誤魔化して去っていくエルネスタに微笑ましいものを感じるカミラ。

 

「さて、彼の装備を開発した私としてもどこまで勝ち進んでくれるか見ものだな」

 

 次の対戦相手を確認するカミラ。

 

 

 

 チーム・黄龍 ― チーム・ルサールカ

 

 

 

「まあ、準決勝までは問題なく勝ち進めるだろうな」

 

 

 

 

 

本作の中であなたが一番好きなヒロインは?

  • シルヴィア・リューネハイム
  • オーフェリア・ランドルーフェン
  • ミルシェ
  • エルネスタ・キューネ
  • 黎沈華
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