学戦都市アスタリスクRTA 『星武祭を制し者』『孤毒を救う騎士』獲得ルート   作:ダイマダイソン

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これからは1日1本投稿の予定なので初投稿です。


裏話2 日記

 ○○年〇×月○○日

 

 初めての試みだが、自分自身の事について日記を書き記してみることにする。

 周りには誰も味方がいない俺だが日記で少しはストレスのはけ口にはなるはずだ。

 

 さて、今日はいつものようにクソみたいな家の連中にこれでもかと身体を苛め抜かれた。口を開けば言うことは初代に近づくためとかあほらしいことしか言わない。いつかこの家を抜け出して誰にも邪魔されない場所で暮らしたいものだ。そのためにも今はひたすらこの苦行を耐え抜いて抜け出すための計画を練るしかないだろう。

 

 

 ○○年〇△月×〇日

 

 周りの目を盗んでこの家の歴史について調べてみたところ、この誉崎流の開祖である初代の宗家は恐ろしく強い人間だったらしい。曰く、一人で数万もの兵を薙ぎ払ったとか、曰く、剣を振るう姿は誰にも目視できるものではなかったとか、曰く、常人には見えない刀を振り回していたとか様々な話が残っている。ただ、初代以外の人間でその強さの半分にも到達する人間は現れなかったらしい。

 その中で、見えない刀の記述に関しては覚えがある。道場に飾られていた刀のことだ。自分は思うようには振ることはできなくても見ることぐらいはできるが、他の奴らには見えもしないどころか触れることすら叶わないらしい。それは今に限った話ではなく、初代以来ずっと誰も見えることさえ出来なかったそうだ。それ故に、初代以来の傑物と呼ばれて自然と自分が次期当主に選ばれてしまった。迷惑な話だ。

 他にも詳しく調べてみると、初代以降、誉崎流は各地の有名流派の道場破りをしては全戦無敗だったとの記述が残っている。しかし、中には立ち合い中相手を殺してしまうこともあったそうだ。殺しについても謝るわけでもなく、むしろ誇るような記述がされていた。普段の周りの言動や見えない刀の事から考えてみると、初代の強さは目標でもありコンプレックスでもあったために、ここまで誉崎流の人間は狂ってしまったのかもしれない。

 

 ○○年〇☆月△×日

 

 今日は他の家との交流があり次期当主である俺も参加したのだが、のほほんとした雰囲気の変な女に絡まれてしまった。名前は澄玲と言うらしい。周りにとっても都合がいいのか俺達二人だけになるようにと別の部屋に連れていかれてお見合いみたいな形になっていた。周りに人がいないなら話す気はさらさら無かったので、そいつの話は適当に聞き流すだけだったが、何が面白いのかたくさん俺に話を振ってくる。

 

 別れ際にはまた会おうねとか言ってきた。あの女と話していると振り回されることが多くて疲れるから正直面倒くさい。

 

 

 ○○年×☆月〇☆日

 

 あれ以降、澄玲と出会う機会が多くなっていた。道場で鍛錬の姿を見学したり、部屋で会話をしたりと今までの生活の中にすっかりと溶け込んでしまっている。周りが婚約関係を推し進めてくるから一緒にいること自体は特に疑問も持たないが。なぜここまで俺に構ってくるのかが不思議でならない。本人曰く俺と澄玲が似たもの同士だかららしい。あいつとは真反対の性格をしているとしか思えないため、どうにもピンとこない。

 

 澄玲といる間は誉崎の品位を落とすようなことをしなければ家の連中がうるさくないし、少し愚痴を言い合うことが出来る仲になった。この関係も存外悪くないかもしれないという気持ちがどことなくある。

 

 ×△年○○月☆△日

 

 つい先日、うちの屋敷に過去に誉崎に恨みを持った人間が報復しにやってきた。澄玲の事を誉崎の人間と勘違いしたのか危うく襲われそうになったが、相手はそこまで強い人間ではなかったので丁度一緒にいた俺がその場で制圧することができた。それ以降妙に距離感が近づいた気がする。たぶん守られたことで吊り橋効果みたいな物が作用して本格的に好意を抱いてしまったのだろう。さすがに色恋沙汰に疎い俺でも理解できた。前とは違った距離感にどうにもむず痒い気分になってしまう。

 

 澄玲と一緒にいること自体は楽しいが、本当に俺が一緒にいる資格があるのか悩むときもある。先日俺達を襲ってきた連中も元をたどれば被害者だ。澄玲は誉崎の家の本質を理解していないだろうから分からないだろうが、この家を襲ってくる奴は今まで誉崎家が立ち合いで殺してきた者たちの遺族もしくは師弟なのだ。

 

 それに、俺の手は既に人の血で汚れている。幼いころから躊躇いを捨てさせるために人を殺させられることは何度もあったし、うんざりしてはいるものの俺も人殺しに関しては仕方のないことだと許容してきた。俺のそんな人間性を知っていても澄玲は好きなままでいてくれるか。拒否されるのではないか。そう考えると、どうしても距離を置いてしまう。

 

 ×△年△×月○○日

 

 俺が距離を離していることで隠し事をしているのに気付いたのか、澄玲が俺に何を隠しているのか聞いてきた。話したくなかったので、口を堅く閉ざして秘密のままにしようと思ったのだが、何度もしつこく聞いてくるので渋々話すことにした。誉崎のことから俺が人殺しの経験があることまで全て。話を聞き終えた澄玲は何も言わずに静かに俺の頭を抱えて撫でてきた。胸が詰まるような感じがして視界が歪み、澄玲の胸の中で思わず泣いてしまった。

 

 絶対に手放したくない

 

 ×△年△△月×〇日

 

 あの出来事以降、俺達の関係はずいぶんと縮まって大体いつでも一緒にいるようになった。ただ、誉崎家の一部の人間は次期当主である俺が澄玲と一緒にいる時間が増えたことで甘ったれてしまったことに不満を持っているのか、いい顔をしないことが多い。直接手を出してくることはないが、最近は間接的に澄玲に嫌がらせをすることが増えてきた。俺だけならば何があっても返り討ちにすればいいが、澄玲は非星脈世代だ、もしも何かあってからでは遅い。

 

 そろそろ、この家にも見切りをつける時が来たのかもしれない。いつでも雲隠れするできるように準備は始めておいた方がいいだろう。幸いにもこのご時世、戸籍を偽造する方法は金さえ積めばいくらでもある。前からコツコツ貯めていたお金を切り崩せば全然足りる。

 逃げた後はどこかで働けば生活に困ることもないだろう、問題ない。

 

 ×△年×△月○○日

 

 澄玲にこの家から出て行くことを話したら、私もついていくと言ってきた。彼女が良いなら連れていくつもりだったのでもちろん快諾した。それからは、二人で出て行く日程を決めて準備をして万全の状態を整えた。これから大変な日々を送ることになるのだろうが、不思議なことにつらいだろうなと思うよりもワクワクするという感情が先に出てくる。

 

 今までの人生で俺のことを理解して味方をしてくれたのは澄玲だけだ。どんなことがあっても澄玲だけは絶対に守っていこう。

 

 

 ◇△年◇〇月▽△日

 

 誉崎家から逃げ出して、ようやく腰を落ち着けそうな状態にまでなったのでしばらく書いてなかった日記を再開しようと思う。あれから、戸籍を偽造した後、誉崎家の住んでいる地域から遠く離れた場所で暮らすことになった。職に関しても問題なく就くことができて、家も持っていた金目の物を売り払って、郊外に道場付きの優良物件があったので買って住むことになった。誉崎家から追手が来ている気配も無かったので、とりあえず一安心といったところだ。これで望んでいた平穏な生活を過ごすことが出来る。

 

 ◇△年▽×月〇▽日

 

 今更だが、澄玲と正式に結婚することになった。お互い意識はしていたので以前から夫婦っぽいことをすることも少なくなかったが、腰を落ち着けてようやくプロポーズするに至った。プロポーズしたとき呆れ半分の顔で告白が遅かったのではないかと指摘するが、全くもって反論の余地がないので頭が上がらない思いだ。

 

 それからは、二人だけで結婚式を挙げて新婚旅行にも行った。旅行はリーゼルタニアという国に行ってきた。リーゼルタニアでは王妃が第一子となる赤ん坊を産んだという事で盛り上がりを見せていたようだ。自然や文化財も多く、観光するにはもってこいの場所で澄玲とあちこちを巡りまわって旅行を楽しんだ。

 

 ☆☆年〇☆月▽◇日

 

 澄玲が妊娠した。

 まぁ、ヤることはヤったんだからいつかは妊娠するだろうなとは思ってたが、こうして妊娠したと分かると結構あたふたするものなんだと思わされた。

 

 体調は大丈夫なのかと頻繁に聞いたりして澄玲がニヤニヤとこちらを見てきたり、名前を考えるために分厚い漢字辞典を手に取っているのを見られてツボに入ったかのように笑われたりと忙しくも愉快な日々を過ごした。

 

 ×☆年▽◇月〇▽日

 

 ついに子供が産まれた。母子共に健康な状態で、澄玲が頑張って産んでくれたことを思うと、つい嬉し泣きしてしまった。元気な男の子で名前は■■と名付けることにした。■■を抱いてみるといきなり泣き出してどうすればいいのか困っていると澄玲があやし方を教えてくれて、言われたままにやってみると徐々に泣き止んでくれてそのまま寝静まってくれた。思ったよりも子育てっていうのは大変だなと思わされると同時に父親として頑張らなければと気合を入れなおす出来事にもなった。

 

(一部が黒く塗りつぶされていて読めなくなっている)

 

 ×☆年○○月×▽日

 

 子供の行事とは結構多い物で、お七夜にお宮参り、お食い初めにこどもの日と他にも色々イベントがあって大忙しだ。ただ、澄玲と一緒に笑い合ってると、幸せだなぁと思う機会が多くなって少し涙もろくなったかもしれない。こんな幸せな毎日が末永く続けばなぁと願わずにはいられなかった。

 

 ▽□年□〇月××日

 

 最近、周囲で誉崎の人間が俺達のことを嗅ぎまわっているという情報が耳に入ってきた。少し、奴らの情報収集能力を舐めていたのかもしれない。できることなら、海外にでも逃亡したいところだが今は■■が産まれてそれほど経っていないことを考えると迂闊に移動はしたくない。なんとか根回しして、俺達の居場所がバレない様に隠れなければ。

 

 ▽□年□□月〇×日

 

 俺の顔がいつもと違ったことをなんとなく理解したのか澄玲が何があったのか聞いてきた。誉崎の人間が嗅ぎまわっていることを素直に話すと我儘で俺についてきたせいでこんなことになったと思っているのか澄玲はごめんねと悲しそうな顔をしながらも不安がらせないように笑った。

 

 大丈夫だと言って宥めたが、それからの澄玲はどこか申し訳なさそうな顔をしながら俺を見ている。慰めてあげるしかできない自分の力不足を呪うしかなかった。

 

 

 

 ▽□年××月××日

 

 なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで

 

 なんで、どうして、澄玲が死ななくちゃいけない。

 澄玲は何も悪くないのに、優しかったのに、助けてくれたのに、どこも、わるく、ないのに。外からの誉崎の人間の奇襲を退けて、寝室にいったら、目の前で澄玲は……澄玲は……■■をかばって殺された。

 守ろうと思ったのに、助けようと思ったのに、その笑顔がまだ見たかったのに、あんな糞やろうになんで、ころされなきゃ、いけない。

 俺が悪いんだろうか、俺が無力だったから、いや、あの狂った一族のせいだ、あんなのがいるから俺達の平穏を壊された。俺から、すべてを奪って行って、素知らぬ顔で日常を歩もうとしている。殺さなければ

 

 絶対に

 

 ▽□年××月×〇日

 

 家を襲撃された次の日、■■を近くの施設に預けて誉崎の宗家に行き、女子供含め全員皆殺しにしてきた。襲撃の報復に来ることを見越していたのか、全員で襲い掛かってきたが、よくて中伝程度しか習得できなった大したこともない雑魚ばかりだ、一瞬で切り捨てた。

 

 宗家の人間は皆殺しにしたが、まだ足りない。それに連なる人間も全員殺す。そうしなければ澄玲も浮かばれない。

 

 ▽□年×▽月×☆

 

 大人数を殺したからか、警察が嗅ぎつけてきたが問題なく誉崎に連なる人間も殺しきることができ、誉崎の名を持つ人間は俺と■■以外にいなくなった。

 

 しかし、殺しても、特に何も達成感はない。胸の内に残るのは虚無感だけだ。なぜだ。

 

 ▽□年××月☆×日

 

 次は、誰を恨めばこの燻るような思いは晴れるのだろうか。

 

 自分をこんな境遇にまで追いやった剣術か、それとも未熟さ故に澄玲を死なせてしまった俺か、澄玲に庇われた■■か

 

 ▽□年〇×月☆▽日

 

 最近は、家にいる■■のことは放って外で酒を飲むことが多くなった気がする。■■の顔を見たくない。見てしまったら、どうしようもなくあいつのことを許せないような、そんな感情が沸いてでてきそうになる。

 

 ▽□年〇☆月×☆日

 

 金枝篇同盟とかいう胡散臭い連中が勧誘してきたので、全員まとめて叩き斬って追い返した。何も分かっていない連中が澄玲の名を使って同情しようとしているのが見え見えで非常に不愉快な気分だ。こちらも少なくない痛手を負ってしまったが、変な仮面をかぶったやつはしばらくは動けないような大怪我をしたようなので少しは気が晴れた。

 

 ×▽年○○月〇×日

 

 ■■に稽古をつけることにした。強くなって損をすることはない。まだ、2歳と少し早い気もするが、早いうちから鍛錬をすれば必ず力になるはずだ。俺みたいな後悔を■■に味わわせたくない。

 

 ×▽年□▽月○○日

 

 俺は親失格なのだろう。■■の才能に嫉妬してしまい暴力を振るってしまった。子供用の刀を持たせれば数分で達人のそれと殆ど遜色のない動きで振っていた。それに、誉崎の初代以外振るうことのできなかった、あの見えない刀も何でもないかのようにブンブンと振り回していた。その力が俺にあったらという感情が全身を駆け巡って思わず■■の顔を殴ってしまった。泣いた姿を見たときにハッと我に返ったが、後悔先に立たず。あの子を怖がらせてしまった。

 

 ☆☆年〇☆月××日

 

 あいつに剣を持たせ始めてから2年、ストレス発散の対象として死にそうになるまで扱いているが、まるで機械のように動いて気味が悪い。顔も名前も何もかもが澄玲を連想させてイライラしてしまう。もう家族としての情も失せてしまっている。あいつさえいなければ海外にでも逃亡することが出来て、澄玲も死んでいなかったかもしれないのに。

 

 求めていた平穏な生活ってこんなものだったんだろうか。

 

 

 やめだ。考えだしたら嫌な事ばかり思い出してしまう。

 

 ▽◎年☆▽月◇×日

 

 日記をつけるのも5年ぶりだろうか、あれからも剣の鍛錬はかかさず行わせており、9歳にしてもう奧伝まで習得しかけている。もう数年あれば、俺でも辿り着くことが出来なかった極伝にまで行きつくことになるだろう。

 

 気持ち悪いやつだ。反抗もせず、感情を表にすることもせず。まるであの忌々しい誉崎の連中と同じような雰囲気を纏っている。

 

 だが、何度殺してしまおうと思うことがあっても、いざ殺すとなると澄玲の顔を思い出してしまい、できずにいる。自分でもどうしてしまいたいのかよく分からない。

 

 ▽◎年☆▽月◇◎日

 

 あいつに他の流派との立ち合いを経験させることにした。どうにも、奧伝習得に手間取っていたようなのでいい機会になるだろう。

 

 ▽◎年☆▽月×◎日

 

 あいつが帰ってきた。どうやら奧伝を習得することができたらしい。天霧辰明流には負けたらしいが、生憎俺は勝ち負けなど興味ないのでどうでもいい。

 

 しかし、奧伝を習得したとなると残るは極伝のみだが、極伝は俺を含めて初代以外の全員が習得できなかった代物。唯一の手掛かりとなるのは、初代が書き残した秘伝書のみだ。これからは秘伝書の記述を元に教える方向に変えた方がいいだろう。

 

 ×◎年◎☆月××日

 

 あいつは12歳になり、情けないことだがもう練習でもほとんど勝つことが出来なくなった。教えることはほとんど無くなっている。こんなところではなく、他の場所に行かせた方がいいのかもしれない。

 

 あいつが…………

 

 

 ……………………

 

 

 …………基臣が誰の手を借りずとも生きていける。その時に、俺は用済みになるだろう。

 

 こんなことをした俺だが死ねば澄玲の元へ行けるだろうか。

 

 それは甘い考えだろう。こんな俺には地獄がお似合いだ。

 




前書きの通り、これからストックが尽きるまでは1日1本(おそらく22時の予定)投稿しますのでよろしくお願いします。

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