学戦都市アスタリスクRTA 『星武祭を制し者』『孤毒を救う騎士』獲得ルート   作:ダイマダイソン

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約束していた投稿時間を速攻で破ってしまったので初投稿です。


裏話3 范星露の評価

「ん? 特待生希望じゃと?」

 

 学園の上層部から特待生の情報が入ってきたのは儂がお茶をしてる時の事じゃった。

 

「はい、口で伝えるよりもこちらを見ていただく方が早いかと……」

 

「ふむ、どれどれ」

 

 渡された動画ファイルを見てみると、小童が剣をその姿に見合わない速度で振り回している映像じゃった。界龍の中でもこれほどの強さを持っているのは暁彗以外にはおらんかもしれぬ。

 

 動画を見てこの者が界龍に入ればなんとなくじゃが面白くなるかもしれないと直感が告げてくる。

 

「渡された動画を見る限り、実力は十分にあるかと」

 

「なるほどのぉ」

 

 特待生希望なだけあってそれ相応の実力は備わっている。動画ファイルだけでは送り主が映像の本人とは断定できんが、誰であろうと儂が直接戦えばどの程度の者か分かるし問題ないじゃろう。

 

「特待生については試験で決めると伝えておくといいじゃろ」

 

「承知しました」

 

 さて、剣術使いか。界龍では珍しいタイプじゃから久々に滾ってきたわ。期待通りの力を見せてくれると良いがのぉ。

 

 

 

 

 それから数日して、儂らのもとに現れた。

 体はパッと見ても非常に鍛えられており、重心がブレておらぬし体幹がしっかりしておる。動画越しで見た時よりもはっきりと強さを感じ取ることができる。

 

 じゃが、目がまるで死んでおるのぉ。全く野心が無いような顔をしておるわ。どんな修羅場を潜ってきたのかは分からんが、そのせいで感情を表に出そうとしてこない。その野心の無さがこやつにこれ以上の成長を促してくれるかは少し怪しいかもしれぬ。

 

 しかし、なんじゃこの喉に小骨が引っかかったような違和感は……。まぁ、戦ってみれば分かるじゃろ。試験のために場所をいつも弟子たちが使っておる修行場所へと移すことにする。

 

 童が持参してきた剣をみるとこのアスタリスクの中では珍しく煌式武装(ルークス)ではなく実体刀じゃった。実力を見極めるために、先に攻撃させてやることにした。

 

「ほれ、先に攻撃にして良いぞい」

 

「分かった」

 

 両手で剣を構えると一瞬にして距離を縮めて向かってきて、小さな身体から全力で振り下ろされる上段を以て叩き伏せようとしてくるので、後ろに下がり回避する。

 

「ほぉ、なかなかやるようじゃな……っと」

 

 続けざまに来る下からの切り上げに手で対応する。年齢に見合わない膂力に思わず感嘆の溜息をもらす。剣技の繋ぎの間に生じる隙を見逃さず、すかさず星仙術で分身しようとする。

 

「急急如律令……っ!?」

 

 こやつ、ほぼノータイムで切り上げから突きの動作にまで繋げおった。直接会って、ただの人形のような人間と評するにはあまりにも引っかかっていた違和感の正体に気づいた。

 まるでこの戦いで生き死にが決定するかのような目つきを見れば、暁彗とは決定的に勝つことに対する執念が違う。言うなれば生きた人形みたいなものじゃ。

 

 世界広しといえども、こんな歪な人間を見るのは初めてじゃな。

 

「……くくくっ」

 

「あのー師父……、分かってると思いますけどこれはあくまで試験ですからね。まさか本気でやらないでしょうね?」

 

 虎峰(フ―フォン)が何か言っておるが、そんなのは関係ない。

 少し面白そうなのがくればいいかという程度の思いじゃったが、その予想を超える大当たり。この童の瞳から感じるオーラは明らかに壁を超えている側の人間のそれじゃ。儂を楽しませるかもしれない相手の存在に感情が高ぶってくる。

 

「急急如律令、(ちょく)!」

 

 今度は儂から先に攻撃を仕掛ける。

 

「破っ!」

 

「むっ……」

 

 何の変哲もないただの打撃じゃが、星辰力を変質させて《魔女》の力のように身体能力を何倍も強化して相手にたたきつける。

 

 シンプルじゃが、顔を見るにそこそこ効いているように見える。畳みかけるように攻撃をしかけていると流石に一方的に攻撃を受けるのを嫌ったか、剣を儂の腕に当てることで発生した衝撃で距離を取る。

 

 しかし、何も儂の取り柄は近距離戦だけではない。即座に星仙術を組み始めて幾本もの雷撃を生み出す。

 

「……雷撃か!」

 

「急急如律令、勅!」

 

 星仙術で発生させた雷撃が童に向かって直進するが、そのまま回避される。

 

 しかし、解せない。

 

 雷撃を回避する者は初見でもそこそこいるが、問題はそこではない。問題は儂が星仙術を完成させる前に、雷撃が来ることを読み切っていたことだ。

 

 普通の星脈世代ではあり得るはずのない行動。もしや……? 

 

「……おぬし、《魔術師(ダンテ)》か?」

 

「《魔術師》、……俺がか?」

 

 どうやら自分の能力に気づいていないようじゃが、この異常なまでの反応速度、いや直感は間違いなく星脈世代といえども再現できるものはいないじゃろう。間違いなく《魔術師》の能力で儂が攻撃する前に気づいていた。

 

 思えば、能力の片鱗を感じさせる行動はさっきの近接戦でもいくつかあった。儂が掌打を繰り出す瞬間に既に防御動作を行っていたことも今になって思えば能力で事前に察知していたのじゃろう。

 

「久方ぶりに滾ってきたわ……っ!」

 

 次の攻撃に向けて星辰力をコントロールして一撃を浴びせようと行動に移そうとする…………

 

「ストップです、師父!」

 

 水を差すように虎峰が無理やり儂の前に立って試合を中断させる。

 

「なんじゃぁ……せっかく楽しくなってきたところなのに」

 

「なんじゃぁではありません! これはあくまで特待生として迎え入れるにふさわしいかを判別するための試験であって、師父の悪ふざけに付き合っているんじゃないんです! ほら、やめですやめっ!」

 

「ちぇっ……つまらんのぅ……、まあいい」

 

 虎峰の横やりが入って不完全燃焼な状態で試合を終えることになって少し不満じゃが、これから何度も手合わせすることになるじゃろうし良いかという気持ちになる。

 

「で、試験の合否についてじゃが……」

 

 基臣の方向へと振り返り先ほどの戦闘の結果から試験の合否を伝える。

 

「合格じゃ、ようこそ界龍へ」

 

 こやつなら儂にとって遊び相手となるに足るだけの実力は現時点で既に備えておる。この界龍という環境を通してさらに基臣が強くなれば文句なしじゃな。

 

「おぬしには既に寮に部屋を用意してある。そこの虎峰に部屋の場所がどこにあるか案内してもらうとえぇ」

 

「分かった」

 

「それじゃあ行きましょうか基臣くん、でいいのかな」

 

「あぁ、構わない」

 

「僕は趙虎峰です。虎峰と呼んでください」

 

「分かった」

 

 自己紹介の後、虎峰が基臣にこれからの学園生活についての説明をしながら寮へと向かっていくのをその場で見送ると、もたれかかっていた柱越しに裏にいる人間に話しかける。

 

暁彗(シャオフェイ)。どうじゃった、おぬしの目から見て基臣は」

 

 呼びかけると柱から人影が現れ、儂の横へと並び立つ。

 

「……師父の言う通り、中々面白い男だった」

 

「そうじゃろう?」

 

 暁彗はいつも通り無表情で淡々と基臣に対する感想を述べておるが、どことなく今後戦うことを楽しみにしているような雰囲気が感じられる。好敵手と呼べる存在がいなかった暁彗にとって基臣はまさにそれと呼べるような存在になれるじゃろう。

 

 これからあやつが周りにどんな影響を与え、そして与えられるか。その結果どんな成長を遂げるか、今から楽しみじゃのぅ

 




投稿時刻が予定していた時刻よりも1時間ほどずれてしまい。申し訳ありませんでした。m(_ _)m
少し予定が入ってしまったためこれからは投稿予定時刻が1時間から2時間ほどずれる、もしくはその日は投稿できない可能性があります。
繰り返しとなりますが、予定と違う時刻に投稿してしまって読者の皆様を混乱させ、ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。

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