学戦都市アスタリスクRTA 『星武祭を制し者』『孤毒を救う騎士』獲得ルート 作:ダイマダイソン
王竜星武祭準決勝
基臣・沈華の二名がグランドスラム達成の可能性があることや、現在最強と謳われているオーフェリア・ランドルーフェン、世界の歌姫シルヴィア・リューネハイムと、全員濃いメンツが揃っているために、チケットの転売価格は通常価格の何十倍にも膨れ上がり、試合を生配信する配信サイトはパンク寸前という熱狂ぶり。過去最高の注目を全世界から集める準決勝となっていた。
『王竜星武祭は残すもあと3試合! はたして、優勝の栄光を掴むのは現代最強の剣士か! はたまた、世界一の歌姫か! それとも、レヴォルフが誇る最強の《魔女》か! 三代目《万有天羅》のお墨付き、界龍が誇る最優の道士か!』
『これほどのメンバーが揃った星武祭は初めてだと思うっすよ。どの試合も目が離せないっすね』
『さて、決勝戦の前哨戦となる準決勝の第一試合目。まずは、あらゆる強敵をその剣さばきと変幻自在の飛び道具で乗り越えてきた現代最強の剣士! 誉崎基臣選手の入場です!』
腰元のホルダーに結晶のように澄んだ
「今回は一段と騒がしいな、まったく」
入場によって一層高まった喧騒に少し顔を
『次に現れたのは、現在世界最高と名高い歌姫シルヴィア・リューネハイム選手です! ただの歌手と侮ることなかれ、その戦闘技術はこの王竜星武祭で高い事を既に証明済み! この勢いで誉崎選手を打ち下してジャイアントキリングとなるか!』
歓声を受けて周りに手を振りながら入場してきたシルヴィア。何度も星武祭に出場している基臣といえど、この熱狂にはいまだ慣れないのに対し、彼女は日ごろからこういう歓声を浴びる事が多いためか平常運転のようだ。
「相変わらずのようだな」
「あははー、まあ仕事柄慣れてるからね。といっても、流石にここまで多い人たちに注目される機会は今まで無かったな」
ほへー、と気の抜けた声で周囲を見回すシルヴィアに、やっぱり場慣れしてるなと内心関心する。
「そういう基臣くんも随分と余裕そうな表情じゃない」
「流石に何度も星武祭に参加したらこのうるさい観衆にも慣れる。まあ、鬱陶しく感じることは今も変わりないがな」
「……ははは」
ずばずばとした物言いをする基臣に、流石のシルヴィアも苦笑が漏れる。そうして、軽く挨拶をするとシルヴィアは待機場所へと戻っていく。
「……あ、そうそう。オーフェリアに集中してばっかりだと足元掬われちゃうから、気を付けた方がいいよ」
戻る途中に振り返ると、どこか自信を秘めた表情でそれだけ伝え、自分の待機場所へと戻っていった。
「……さて、そろそろか」
実況と解説の方も基臣とシルヴィアの紹介を終えて、ようやく試合開始の合図を出そうとしていた。
「
「誉崎流皆伝、
身体能力の制約を一瞬にして
「よっ、と……っ!」
シルヴィアは軽やかなステップで基臣の初撃から抜け出すと、開始時点よりも更に距離を取って歌い始める。
「夕暮れの
「……この歌詞は」
沈んだような雰囲気を思わせる曲調で、いつものシルヴィアらしくない曲に観客からも動揺の声が漏れ出ている。だがそんな中、基臣だけはこの歌詞に覚えがあった。
今歌っている曲は、シルヴィアに渡した実家にあった母の楽譜のうちの一曲だった。
「伸ばした手が空を切り 虚しい一人芝居に 声を震わせながら」
どんな効果を持つ曲かと思いながら、彼女のペースに持っていかせないためにも歌わせないように動く基臣であったが──
「あまりにも消極的だな」
試合が開始したと思えば、今の今までやっている事と言えば、出来る限り基臣から距離を離して能力を発動させるために歌を歌う事に終始するだけ。
音程がズレたり途中で音を途切れさせてしまったら効果が不発になってしまうため、ある程度リスクを抑えた立ち回り自体は確かに今までもしてきてはいた。だが、一度も攻撃を仕掛けることなくひたすらに逃げてこちらが仕掛けてきたらそれにすら迎撃することなく回避するのみ。ピューレの能力を恐れての事なのだろうか。
「夢と現の間に今 不可視の鎖に縛られ 溶けゆく前に」
それでも、能力を一つや二つ発動させたところで局面を一気に動かせるほど作用するとは基臣には思えなかった。だが、当のシルヴィアに焦りはない。むしろ余裕さえ感じるような感情を受けた。
(どういうつもりだシルヴィ)
「──そうさ加速していく記憶の 残滓を辿って 消えゆく貴方の手に届け」
曲の雰囲気が一変し、暗い雰囲気だった曲調が明るいものへと変わっていく。
「一秒前が遠くへ感じるほど 時が過ぎ行き 貴方はそこにいる」
(──っ!?)
それと同時に第六感によって基臣の脳に流れ込んでくるシルヴィアの思考。
「……まさか」
「何度も試され 否定され 打ちのめされようと」
第六感によって予感した未来に気づいた基臣は、強引に距離を詰めてピューレでシルヴィアの歌を止めようとするが、最初と同様に能力の間合いに易々とシルヴィアが入れてくれることは無い。
「ちぃ……っ!」
近寄らせてくれないなら、と内にしまっていた爆弾を投擲しシルヴィアへと誘導し爆破させようとする。
「
しかし、投擲された12個の爆弾をなんとも華麗なステップで回避し、爆弾同士をぶつけ合わせて爆破させていく。まるで、何十回もこのシチュエーションをシミュレーションしたかのように完璧に。
「まずい……、本当にまずい……!」
王竜星武祭で今までにない焦りようを見せる基臣にシルヴィアは不敵な笑みを浮かべて、歌唱を続ける。
「祈って」
歌も歌い終えてしまい、シルヴィアの歌の正体がとうとう露わになってくる。
『力が……!?』
万応素の動きが鈍くなっている。ゆっくり程度ではない、ほぼ停止に近いレベルで動かなくなっている。これでは煌式武装はおろか、純星煌式武装も使えないことは容易に想像がついた。
これでは、ピューレも使えない。そうなると当然、シルヴィアの身体能力強化や万応素の停止も打ち消しできない。
仕方なくピューレをホルダーに納め、無手でシルヴィアに向いて構えると、彼女もまた愛剣をホルダーに納めて基臣と同じように素手で構える。
「これでやっと真っ向から戦えるね、基臣くん」
「っ、やってくれたな……シルヴィ」
できるだけ有利な盤面を整えて、さっさと能力を使えなくすることで自分にだけアドバンテージがあるようなシチュエーションを作り出す。それがシルヴィアの策だったのだろうと、基臣は気づく。
この状況では、おそらくシルヴィア相手に強引に身体能力の差を活かして押し切る、といった事はできない。
「行くよ!!」
身体能力強化によって早くなった動きに、第六感無しという慣れない感覚のせいで基臣は後手に回る。
とはいえ、シルヴィアの攻撃は神依によって身体能力の限界まで強化している基臣にとって、対処する程度はさほど難しいものではないはずだった──
──だが
「……っ、ガッッ!?」
迫りくる右のボディブローをガードしようと防御態勢を取るも、反対方向から不意打ちで蹴りが飛び、あばらにダイレクトに直撃する。
「ごっ、がふ……ッ!」
今大会始まってから、基臣にとって初めてのクリーンヒット。
「まだまだぁッ!!」
蹴られ、殴られ、叩きつけられ。次々と繰り出される攻撃は、愚直に迫ってくるような単調な攻撃ではなく、フェイントを何度も混ぜたいやらしい攻撃ばかり。明らかに、第六感を失ったという基臣の弱点を狙って集中攻撃せんとばかりの作戦だった。
「──う"っ"!!」
そんな畳みかけるような攻撃に、強靭な肉体を有している基臣といえども、ダメージが蓄積し血反吐が喉奥からせり上げて口元から少しばかり垂れてくる。
「せぇぇええええええ!!」
「っ!」
食らい続けては不味いと思い、どうにかして回避し、お返しとばかりに同じようにボディブローをお見舞いする。
「ャッ!?」
万応素の動きが停止してから初めてダメージを食らったシルヴィア。星辰力の量・質ともに段違いな基臣の一撃を食らいダメージはかなり大きいかと思われたが……
「──っ、ふう。よかった……ちゃんと回復してる」
攻撃を食らって一秒もしない内に、万全の状態へと変わる。
(……なんて回復力だ)
いつもの得物であるピューレを手にしていないとはいえ基臣の打撃は、上手く噛み合えば冒頭の十二人クラスでも致命傷に持っていける事すら可能な威力だ。たった一秒でそうそう簡単に回復できるものではない。
(発想次第では不可能を可能にする。まさに無限の可能性を秘めた能力だな)
シルヴィアの歌を媒介に様々な効果を行使できる能力は、例外として治癒系統の能力だけは使えずにいた。だが、今までの戦闘から得てきた経験でなんとなく、そういう類の能力ではない事を第六感が無くとも察する。
おそらく、体内にある星辰力を加速させて身体を活性化させることで、一瞬にして体の組織を修復し、結果的に驚異的な回復を実現しているのだろう。星脈世代の身体構造を知ってさえいれば、こんな芸当をやってのけても何ら不思議な話でもない。
「はぁぁあああああ!!」
身体の状態が万全になった途端、再び基臣へと攻勢を仕掛けようと接近してくる。
「煌式武装だけじゃなくて真剣を持ってくるべきだったな……」
シルヴィアの動きを理解はしていても、その対処にワンテンポ遅れてしまう。自分が第六感の能力にかなり依存していた事を実感させられながらも、冷静にその一撃一撃を痛恨打にならないように処理していく。
基臣側の状況が劣勢に見えているが、焦っているのはシルヴィアも同じだった。
能力が発動してしばらく経つが、決め手に欠けている現状に徐々に焦りが顔や動きに現れ始める。万応素の停止は、その能力の制御の難しさ等々の観点から、そこまで長時間持続する能力ではない。しかも、他の能力と並列で使用したからには使用後の反動が大きい事は結果を見ずとも理解できる。
今でこそなんとか食らいついていけているものの、能力が切れた瞬間、基臣は常に間合いを詰めてシルヴィアが使う能力の全てを封殺しにかかるだろう。第六感が有っても無くても、基臣は二度も同じ手を食う間抜けではないのだから。
仮にもう一度能力を発動させようにも、当然ではあるが一瞬で歌い直せるものではない。そうなれば、拮抗し合っている勝負は、あっという間にただの詰将棋に変わってしまう。
「そうなる前に急いでケリを付けないと、ねっ!」
アイドル稼業ばかりに集中してるせいで、王竜星武祭も本気で優勝する気は無いのではないかとネットでは批判されることも多いシルヴィア。しかし、本人は本気も本気。歌手活動は本大会3か月前を最後に休止、それからというものの、ひたすらに格闘術、《魔女》としての能力、それだけをひたすらに磨いてきた。
その成果が出ているのか、近接戦最強ともいわれている基臣相手に渡り合っている(基臣が第六感無しでの戦闘の感覚のギャップに慣れてないという理由はあるが)
基臣よりも小柄なその身体を活かして、軽やかな身のこなしで追い詰めようと様々な方向から攻撃を仕掛ける。
拮抗とは言わないまでも、間違いなく出会った頃よりも実力が近くになっていく。その事実に、シルヴィアは歓喜し打ち震える。
「はは……っ!!」
「まったく、アイドルのくせになんて顔してるんだ」
その顔は普段ファンの前で見せる輝いて見えるようなものではなく、ひたすらに戦いを楽しむ獣のようで、それを見た基臣も若干笑いが漏れ出る。
この状況、このまま能力が切れるまで待ってもいいが──
(そんなつまらない真似はするつもりはない)
そんな消極的な戦法では華が無いし、何よりもせっかく数少ないシルヴィアとの真剣勝負で彼女の期待を裏切りたくはない。
「身体も温まってきた、まだ倒れてくれるなよッッ!!」
シルヴィアよりも高い身体能力を以て、今度は基臣の側から仕掛ける。接近して彼女を正面に捉えたかと思うと──
「──なっ!」
視界一杯の布切れ──基臣が自らの服を引きちぎったもの──がシルヴィアの目の前に現れた。
「ぁばっ……!」
思わず面食らったシルヴィアに、布切れ越しに基臣は容赦なく強力な頭突きを叩きつけた。
目にもともらぬ速さでぶつけられた鈍重な質量に、顔が歪みほんの一瞬だけだがシルヴィアの意識が吹き飛び身体がふらついてしまう。
服を引きちぎった事で上裸になった基臣は、その頭突きで一瞬ふらついた隙を見逃さず、本気で叩き潰さんとばかりに両手を重ね合わせ、それをシルヴィの後頭部へと容赦なく振り下ろして追撃を加えていく。
「あ、ガ……ッ!?」
とてつもない衝撃に意識が明滅する彼女に、攻撃する手を緩めることのない掌打が襲い来る。
だが──
「──ッフ!?」
気絶してもおかしくない猛攻を受けながらも、シルヴィアは素早くカウンターを仕掛けてきた。今まで見せてきた驚異的な回復力を警戒して、なんとかその反撃を回避したが、それでもこうも綺麗に決めてくるとは思いもしなかった。
「……ここまでやっても反撃してくるのか」
「ぅっ、ぁは……ぅ、はぁ……はぁ……」
気絶しそうになっても一瞬にして意識を取り戻すといったあまりにも驚異的な自己再生能力。たった数分程度ではその自己再生能力を枯らすことは、素手では不可能といえるだろう。
「だが、校章だけはそうはいかないだろう」
いくら意識を回復してカウンターを仕掛けたといっても、先の猛攻によって随分と気力が削られ切っていた。だからだろう、普通なら緩めることの無い校章の辺りのガードが完全に解けてしまっていたのだ。
「とどめだ」
「……ぁ」
「シルヴィア・リューネハイム、
それを証明するように、数瞬の沈黙を打ち破って音を立ててシルヴィアの校章は割れた。
「勝者! 誉崎基臣!」
ワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
基臣の勝利を告げる音声が流れた事で、会場はシルヴィアのファンによる罵声と基臣の戦いぶりを褒め称える歓声でごちゃ混ぜになっていた。
「っ、ふぅぅ……」
戦いが終わったことで気が抜けたのか、床にへたりと座り込んでしまったシルヴィア。その顔は、負けた悔しさは少しはあれど、すっきりしたような表情をしていた。
「やっぱり敵わないなぁ基臣くんには。はぁ~いい線行ってると思ったんだけどな」
へたり込んでいるシルヴィアの手を取ると、優しく引き上げる。
「実際にいい線はいってたぞ。第六感が無いせいで気が抜けなかったからな」
「ふふっ、正攻法だと剣術勝負になっちゃって経験の差から普通にジリ貧だと思ったからね。まさか、服を引きちぎって視界を塞ぎに来るなんて思いもしなかったけど」
「服や靴に装飾品、身に持っている全ての物を武器にしろと父さんに教えられたからな。まあ、本当にその教えが役に立つ時が来るとは思ってはいなかったがな」
シルヴィアと会話をしながら、基臣はズボンポケットの中に収納していた予備の服を着る。
「ほんと、そのズボンもそうだけど界龍の服ってどうなってるの。そんなに大きい物を収納するスペースなんて無いと思うんだけど」
「興味が無いから詳しくは聞いたことが無いが、星仙術で色々細工してるらしい。今度、沈華にでも聞いたら答えてくれるんじゃないか」
「どうだかな~、これは機密だからダメなの! みたいな感じで断られそう」
「ふっ、確かに言いそうだな」
この場にいない沈華の姿を想像して、思わず二人で笑い合う。
「……楽しかったよ、基臣くん」
「俺もだ、シルヴィ」
お互いに健闘をたたえ合うように握手を組み交わした。
試合を終えて着替え終えた後、沈華とオーフェリアが戦う次の試合を一緒に見ようという彼女の提案もあり、基臣はシルヴィアの控室にやってきていた。
「ねえ、基臣くん」
「ん、なんだ」
「次の沈華ちゃんの試合が始まる前に少し話があるの」
「……話? どうしたんだ」
深刻そうな面持ちのシルヴィアに、薄々ながらも彼女が何を話そうとしているのかを察した。
「基臣くん、今ウルスラたちの事を追ってるでしょ。それで、ある程度情報は突き止めてるんだよね」
「どこからその情報を……」
「私の情報網を舐めてもらっちゃ困るよ」
大方、基臣がレヴォルフのお偉い方と接触したという情報をクインヴェール経由で情報を得たのかとある程度推測をする。一人で事を片付けようと思っていただけに、まったく面倒な事になったと内心ため息をついた。
「ここまで言ったら、私が言いたいこと分かるよね」
「……ああ」
「私もヴァルダ=ヴァオスを倒すのに連れて行って。力になりたいの」
シルヴィアのお願いに、どうしたものかと深く思案する。
確かに今のシルヴィアの実力なら、なんならヴァルダ=ヴァオスの相手を任せてもいいとすら思っている。だが、そのヴァルダの相方である
今まで戦ったことの無い処刑刀だが、オーフェリアの記憶から間接的に彼の実力は把握していた。実力はオーフェリアに次ぐレベル。常人の身でどのようにしてそんな力を手に入れたかは不明だが、基臣以外が相手をするには危険度が高い。
実際に事が始まってしまえば、どういう不測の事態が起こるかは分からない。もし、シルヴィアに何かがあったらと思うとどうしても気が乗らなかった。
「お願い、基臣くん!」
シルヴィアのウルスラに対する気持ちは、第三者である基臣にもそれなりに理解できるところはある。だからこそ、基臣の忠告に対しても決して退くことはあり得ないという事も予感する。
(どう説得しようとも決して退くことは無いか……)
拒否しても後ろからトコトコと付いてくることは目に見えているのだ。それならいっそのこと、近くに置いておいた方が幾分かは安全だろうと、基臣は自身にそう言い聞かせる。
「あぁもう……。分かった、分かったからそんなに詰め寄ってくるな」
「……じゃあ、ついていっていい?」
「その代わり、危険な真似だけは絶対にするなよ。それと、俺の指示に従う事。これだけは約束してくれ」
「…………っ! うん、もちろんだよ!」
やった、と小声でつぶやいたシルヴィアの嬉しさを湛えた表情に、基臣は穏やかに微笑む。
(それにしても……)
シルヴィアは、ヴァルダたちを突き止めるのは王竜星武祭後になると思っているだろう。
だが、おそらく金枝篇同盟の目的を考えればオーフェリアが万が一でも優勝できない要素が存在するのは避けたいはずだ。そうなれば、間違いなくその障害となる基臣は彼らにとってみれば邪魔なはずで──
「……そろそろ来てもおかしくない、か」