呪霊GO   作:新グロモント

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19.呪胎九相図(3)

 伏黒恵……淡々とモグラを狩る。一心不乱に狩る。

 

「くっそ! あの痴女のお姉ちゃんだぞ。絶対にスゲーーのがいるに決まっているだろう。巫山戯んなよ、この糞モグラが」

 

 釘崎野薔薇が領域外に連れ出された際、伏黒恵は掴んだ者の手を視ていた。彼ほどの男になれば、手から女性のレベルを見取ることは容易い。手フェチのレベルで言えば、吉良吉影に比肩しうる。

 

 本当なら、この場を虎杖悠仁に任せて自らが外に出たかった。だが、優先度をはき違える事はしない。今大事なのは、このモグラを除霊して姉を救う。その後から追いかければいいと。

 

 伏黒恵の背後でモグラが舐めた態度を取る。

 

「裏の取り方が甘いんだよ」

 

 玉犬渾の奇襲により、モグラは即座に祓われる。そして、本当の最後の一匹がまた背後をとるが、甘すぎる背後の取り方。伏黒恵によって、瞬く間に祓われた。

 

 コレで全てが片づいた。

 

 姉への懸念事項も解決、領域外にいる二人に加勢にいける。一刻も早く、仲間の元に駆けつけたいが領域は解除されない。

 

 撃ち漏らしがあるのかと周囲を伺うが、見当たらず……だが、鈍重で濃厚な気配に気がついた。天井に大きな蕾がある。胎動しており、今にも産まれそうな気配がする。

 

 この時、伏黒恵の脳内に電流が走る。

 

 気配から考えて、特級相当であることは間違いない。特級呪霊と言えば、男の本能を刺激するような美少女と定番化されていた。すなわち、誰も居ない領域内。二人っきりのシチュエーション。産まれたばかりの美少女。

 

 これは、神がくれた千載一遇のチャンスであると考えた。

 

 卵から孵った雛は、最初に視た者を親だと思う。それが呪霊に適用されないと誰が言った。今この場には、他に誰もいない。

 

 今まで人の後ろを歩んでいた伏黒恵。誰も手にした事がない呪霊を最初に手に入れる事ができるのだと。早々に、携帯電話を取りだして「呪霊GO」を起動する。すると、新イベントが配信されており、美しき兄妹愛というイベントであった。

 

 新イベントには、血塗(アリサ)が登場していた。更には、先ほど釘崎野薔薇を連れ去ったと思われる痴女の存在も。それを知った伏黒恵……最近の痴女はレベルたけーーなと感心するばかりであった。

 

 そして、某ロシアマフィアが運営している通販サイトで既に痴女衣装が売り出されている事に気がつく。

 

 ポピーーン

 

 領域内で特級が産まれそうな場所で通販をした人類最初の男が爆誕した。

 

………

……

 

 名目として、特級討伐のためその場に留まる男―伏黒恵。今か今かと待つその様子は、妻の出産報告を待つ夫の様だ。その待ち人に呼応するかのように、天井にあった蕾から産まれ落ちる特級呪霊。

 

 白い肌、三つ編み、無駄のない美しい肉体、下着一枚というスタイル―少年院で出会った特級呪霊のリスペクト。

 

「ふっざけんなよ! 空気読めよ! いいか、特級は特別だから特級なんだよ。貴様の汚い褌視るために、おれは待っていたわけでも、高い金払って痴女コス買ったわけじゃねーーんだよ。俺の純情を弄びやがって、貴様の血は何色だーーーー」

 

 呪術師の成長曲線は必ずしも緩やかではない。

 

 恨みや怒りという負の感情が頂点に達した伏黒恵。五条悟の言葉を思い出し、限界を超えた未来の自分を。

 

「殺ってやるよ! 領域展開―嵌合暗翳庭」

 

 腐っても特級呪霊。だからこそ、初手から全力で殺しにかかる伏黒恵。様子見などなし。例え、影の中から美少女呪霊や懺悔室やマッサージ器具などが見え隠れしたとしても、誰も視ていないのだから問題無い。

 

 領域展開を獲得した伏黒恵……特級呪霊を単独撃破に成功する。だが、呪力が枯渇し、リタイアする。仲間を心配してか、何十メーターも這いずって移動した跡を残す彼は、本当に仲間思いである。

 




短編で飛ばし飛ばしかいていたら、アニメ版最後までもうすぐになってしまった。

作者単行本全部買いました!!
これで続きが執筆できる。

大事な事ですが、過去編とかはない予定です。
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