呪霊GO   作:新グロモント

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日本の学力低下問題の解決に挑もうかなと。


23.特級呪霊ライザリン・シュタウト~ お前のような家庭教師がいるか~(1)

 日本という国家は、経済大国三位という地位にある。だが、その内情はボロボロだった。年金問題、医療問題、人口問題…あげればきりが無い。減る一方の若者達の学力低下もその一端であった。

 

 先進技術の研究開発がなくしては、現在の地位すら危ない。一部の有能な存在が日本を牽引している状況を変える必要があった。その為に必要なのが、勉強である。昭和と比べて、外国語やITに関する講義も比較的早い段階から取り込んでいる。

 

 だが!!

 

 それなのに、全くと言って良いほど定着しないのは何故なのか。英語を十年近く学んでも碌に話せない、読めない、書けないと言った者達が多すぎる。そこで、文部科学省の幹部は、抜本的対策が必要であると考えた。

 

 そこで、規定の固定概念をぶちこわす斬新なアイディアを求めて政府は、サイバーダインシステムズ社に協力を求めた。応接間にて、義善聖徳が相手をする。

 

「確かに、昨今学力低下の問題は耳にしております。日本のような恵まれた環境下で勉学に励めるという有り難さを若者が理解していない事が原因でしょう」

 

「手段は問いません。このプロジェクトは、アンブレラ・コーポレーションにも参画していただくので、両社の合弁プロジェクトになります。次の全国模試に向けて、一定以上の成果を出してもらえれば、政府の学力向上プロジェクトとして正式に発注します」

 

 日本が誇る大企業同士の合弁プロジェクト。しかも、発注予定の金額が三桁億円という規模だ。それだけ、本気であると窺える。

 

「分かりました。とりあえず、弊社の「呪霊GO」のプレイヤーから学力が芳しくない100名の学生を調査しましょう。その者達の成績がどの程度向上できたかを全国模試で判断するという事でよろしいですかな?」

 

「具体的な指標になるので構いません。―ここからは、独り言です。先日、尖閣諸島付近に他国の船が行方不明になる事件がありました。このご時世で神隠しとは恐ろしいですよね」

 

 政府高官が、黒いアタッシュケースを机の上に置く。そして、厳重なロックが解除される。政府が保管している年代物の呪具……古代出雲時代に使われていた銅鏡や銅剣などが格納されている。

 

 何事もなかったかのように受け取る義善聖徳。呪具の目利きなどできないが、政府高官が持ってきた約束の品物だ。取引で嘘をつくような事はありえないと考えていた。

 

「全くですな。では、私はアンブレラ・コーポレーションのプロジェクトリーダーと調整して事を進めていきますので、吉報をお待ちください」

 

 

□□□

 

 大学受験を控える高校3年生を抱える一般家庭。

 

 だが、少子高齢化の為、大学が定員割れが発生している事も多々ある。その為、選ばなければ中学生でも入れそうな大学すらあるレベル。まさに、質の低下であった。人生設計をしっかりと考えていない受験生は、碌に勉強をしない。

 

 そんな、典型的な不勉強な子供を抱えていた――のが、先月までの話であった。

 

「参考書を買ってくる」

 

 子供が、日曜日の昼間だというのに参考書を買いに出かけた。しかも、毎週新しい参考書を買っている。この異常事態に、親は参考書という名のエロ本だと考えたが、子供の言葉は事実であった。

 

 塾の学力テストでもグングンと成績を押し上げて、今では寝る間も惜しんで勉強をしていた。起きてから寝るまで手放さなかった、スマホは依然側にあるにしても、ゲームをやっている時間は本当に僅かになった。

 

「無理をしない程度にね。勉強も偶には息抜きしないと」

 

「分かっている。だけど、次の模試で平均75点を超えなきゃいけないんだ。先生と約束してるから」

 

 親は心配であった。

 

 まるで豹変したかのように勉学の鬼へと成った子供が。確かに勉強しろとは何度も言ったが、まさか、息抜きをしろと言うことになるとは考えた事もなかった。

 

 まるで、何かに取り憑かれたかのような息子が心配であった。

 

 なにより、家庭教師って……誰と言いたいのが本音だ。確かに、息子の部屋からは、勉強に集中できるお香や女性物の香水の匂いなどがしている。他にも、ティッシュの消費量が多かったり、ゴミ箱を妊娠させる気かと思う程のカビカビのティッシュは目に余る物があった。

 

………

……

 

 勉強ができない人間をどうやって勉強を好きにさせるか。それは、難題であるかに思える。だが、蓋を開ければ簡単であった。思春期の男子など、餌で釣れば良い。誰もが一度は考えた事があるだろう。美人家庭教師との逢瀬を。

 

 つまり、そう言うことである。

 

「ライザ先生。おれ、平均点82!」

 

『よくできました。じゃあ、約束のご・ほ・う・び』

 

 低級呪霊が、衣服をパージしていく。そして、誰にも邪魔されないように帳まで展開してくれるという優しい仕様であった。美人家庭教師の配慮は一流。保健体育の指導まで怠らないとは、まさに家庭教師の鏡である。

 

 受験生は、「呪霊GO」のアプリをやっていて本当によかったと思った。

 

 平均点40点にも満たなかった馬鹿な受験生が、僅かな期間で学年上位に入るほどの成長を遂げる。あまりの豹変ぶりに教師ですらカンニングを疑うレベル。

 

 ここまでの成長は、毎日夜遅くまで、くっそエロイ美人家庭教師が()きっきりで教えてくれる。しかも、無駄に胸を押しつけたり、逆セクハラ紛いな事をしてくる。これにドはまりしない男子などいない。

 

 コレに関与した日本が誇る大企業への崇拝も受験生はわすれない。それどころか、必死に勉強して絶対に入社してやると意気込んでいる。

 

 今回、両社が用意した物は―

 

 アンブレラ・コーポレーションが開発した対呪霊用の呪具近藤さん、呪霊用の香水、集中力を増すお香。勿論、近藤さんなしでも問題無いが、あればあったで使い道は無限である。

 

 サイバーダインシステムズが低級呪霊の派遣、呪霊が見えるVR眼鏡を配布。

 

 流石は、日本を代表する企業である。やる事が違っていた。




息子が人が変わったかのように勉強するようになった。
まるで何かに憑かれているみたい…という除霊依頼が呪術高専1年生の元に~。

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