未登録の特級呪霊…より正確に言えば、「呪霊GO」のデータベースに登録されていない呪霊。今や、呪術業界が管理している呪霊の情報より精度が高くなりつつある。呪胎九相図の受肉体の情報すら管理されていたのに、特級呪霊ライザリン・シュタウトは『NO DATA』である。
昨今は、呪霊とはいえコミュニケーションが取れる場合も増えてきた。だから闘わずに済むならそれでもよいと考えていた。確かに、力だけが除霊の方法ではない。
伏黒恵は、運が回ってきたと考え思わず口元が歪む。相手は八十八橋で闘った特級呪霊より強いのは分かる。だが、五条悟の敵ではない。つまり、五条悟を上手に利用し、弱ったタイミングで交渉を持ちかける。死にたくなければ、分霊かお前を寄越せと。
まさに、他力本願の完璧なプランであった。
「僕達は、除霊の依頼を受けているんだよね。子供のお使いじゃないんだから、分かりましたと受け入れられないよ。それに、家庭教師とか信じられないしな~」
「おつむが緩そうな呪霊が教えられる事なんて保健体育がせいぜいだろう。そもそも、呪霊が勉強教えて何が目的なんだよ」
田舎のレディースかと言うような口調で釘崎野薔薇が責め立てる。だが、聞きたい事を抑えている。呪霊に勉学を教えられるほど人間は劣っていないと呪術高専の皆は思っていた。
『よく分かりましたね。実は、ご褒美で保健体育も教えているんです。なんでも、学校じゃ実技を教えてないんですね。こう見えて、頭の方は自信があります。大学で教鞭を執れるくらいには、学力ありますよ』
「あれ?五条先生。もしかして、俺等より頭良くない?」
「違うだろ、虎杖!! 今、突っ込むのは後者じゃないだろう。普通、実技の方に突っ込むだろう。お前は、それでも高校生か。もっと素直になれよ。そうだろう、宿儺」
伏黒恵は、ピュアな虎杖悠仁に切れる。そして、遂には両面宿儺に同意を求める始末。そんな様子をゴミを見るような目で釘崎野薔薇がにらみ付ける。その巻き添えは、五条悟と虎杖悠仁だ。
「僕は、別に呪術師で世界最強だからいいの。でもさ~、子供が
『あ、ジャンヌ先輩の事ですか? でも、あちらは企業案件で。こっちは政府案けn……。嘘です嘘です。私なんて、何処にでも居る平凡な呪霊です』
「できるわけねーーだろ。お前のような平凡な呪霊が居てたまるか!祓われたくなかったら、今すぐ知っている事、全部はけ。呪い殺すぞ」
「落ち着け、釘崎。柄がわるいってレベルじゃないぞ。どっちが呪霊か分かったもんじゃない。―なぁ、釘崎。俺の髪の毛を藁人形につけて何やっているんだ。洒落にならないだろう」
口は災いの元である。仲間を呪霊扱いした報いは大人しく受けるべきだ。仲間でなければ、黒閃の共鳴りを決められていた。
………
……
…
自称平凡な呪霊は、分霊の除霊を止めるために来たのに、五条悟達から尋問を受ける結果になった。連れて行かれた場所は、かつ屋。
「ほら、カツ丼だ。これ食ったら、素直に吐けよ」
『私にも立場があって……素直に話すので、分霊の除霊をしない事とこの件は内密にしてもらえませんか』
力尽くでやっても口を割らないのは明白であった。つまり、ここが、平和的に解決出来る落としどころ。50万という端金がなくなる代わりに、特級呪霊が裏で動いている情報が手に入るなら安い物であると五条悟は考えた。
「いいよ。みんなもソレでいいね」
「俺はいいよ」
「俺も」
「結局祓わねーのかよ。分かったよ、私もそれでいいよ」
特級呪霊と五条悟達の間に縛りが結ばれる。
『私、本当に家庭教師です。最近、子供の学力低下が嘆かわしい状況なのはご存じですか。政府肝煎りのプロジェクトで、私が家庭教師をした場合にどの程度学力を上げられるかという事をやっています』
「ねぇ、五条先生。呪霊が家庭教師するのって、この業界だと当たり前なの?俺、新入りだから分からなくてさ」
「悠仁。あるわけ無いだろう、そんな事。呪霊ってのは例に漏れず異形の姿で会話が成り立たない。だから、勉強を人間に教えるなんてありえない……はず」
「つまり、俺の勉強も見てくれるって事ですかライザ先生!」
伏黒恵、さらりと生徒になろうとする。実に、卑しい男である。
『えっと、伏黒恵君は勉強が程ほどに出来る子だから家庭教師は要らないかな。私が教えるのは基本的に馬鹿な子だけ。政府が求めているのは、学力下限の底上げ。あっ…でも伏黒恵君の後輩の所に、私の分霊がいるわ』
伏黒恵は、この時ほど馬鹿な後輩が居た事を感謝したことはない。誰が所持しているかも調査は簡単だ。成績が急上昇した馬鹿を探せばよい。既に、聞きたい事は無くなったので、忘却術式の得意な者をつれて後輩を救いに行こうと手配を始める伏黒恵。
家庭教師が居た事を忘れてしまえば、奪ったとしても問題にならないと悪魔の発想である。
「今の話を聞いて大体裏も分かった。どうせ、サイバーダインシステムズが関係しているんでしょ」
『はははは、どうかな。じゃあ、私は戻りますね。――あの、手を離して貰えませんか。五条さん』
大事な事だが、五条悟は別に特級呪霊ライザリン・シュタウトを除霊しないとは約束していない。五条悟が呪力を込めれば、綺麗な花火が上がる。
「きみ、大学で教鞭取れるくらいの学力あるって言ってたよね?」
『えぇ。その位のレベルの知識は詰め込まれましたから』
五条悟は、特級呪霊ライザリン・シュタウトに問う。今死ぬのと後で死ぬのどちらがいいと。
□□□
呪術高専の体育館に生徒が集められる。一切の詳細が知らされておらず五条悟主導による招集だ。
集まった中で、一年生だけが何となく理解していた。
「最近、マスコミがこの学校では勉強を教えないのか。教員はどうなっているなど色々と言われております。だから、僕が教師を連れてきました!! はい、自己紹介」
『ライザリン・シュタウトです!! 担当科目は、全科目です。気軽にライザ先生と呼んでね』
政府は、馬鹿な生徒の学力向上を図りたい。ならば、馬鹿が大集合している高校で教鞭を執った場合のデータも必要のはずだと五条悟は押し切った。勿論、縛りである程度制約を掛けているが特級呪霊の就職先が呪術高専だとは笑えない冗談であった。
「おかかぁぁぁぁ」
「おかしいだろ!! なんで、特級クラスの呪霊が教師なんだよ」
「パンダが生徒なのも大概だけど、呪霊が教師ってのもおかしいでしょ」
二年生達が総ツッコミする。
翌日、京都校でも本件が知れ渡る。そして、東堂葵がライザ先生の存在を知り、本気で東京への転校を考え始めていた。
※本作品はギャグですからね。
原作ではあり得ない事も普通にあり得る設定で進めます。
さて、閑話を挟んでメカ丸編かしら^-^
特級呪霊は、一シリーズ一体の選出でやっております。
Fateシリーズは、ジャンヌダルク・オルタ
アトリエシリーズは、ライザ
といった感じです。
そうしないと、痴女が多い作品に偏ってしまうから。