呪霊GO   作:新グロモント

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27.メカ丸(1)

 与 幸吉…呪術高専の京都高に席を置く準一級呪術師。そして、優秀なエンジニアであった。高校生の呪術師でありながら、サイバーダインシステムズが好待遇で雇い入れたいと考える人物だ。

 

 呪力を原動力にした科学兵器。実に素晴らしい物であった。呪力を原動力に機械を動かせるなら、その逆も可能。だからこそ、サイバーダインシステムズの変態技術者達が全力で彼の私生活をサポートしていた。

 

 そんな彼の元に三人の影がある。

 

 その組み合わせは、呪術師(夏油傑)非呪術師(義善聖徳)呪霊(真人)と各種族が勢揃いしている。だが、各々で目的が違う。それぞれの思いを秘めていた。

 

 呪術師は、己の悲願のため。

 

 非呪術師は、有望な人材のスカウトのため。

 

 呪霊は、闘争のため。

 

 そして、とあるダムの地下にある重厚な扉が開かれる。その先には、無数の生命維持装置に繋がれた一人の男…メカ丸の中の人である与 幸吉が待っていた。彼は、夏油傑のビジネスパートナーであった。そう言う意味では、義善聖徳とご同類という事になる。

 

「遅かったな。忘れられたかと思ったぞ……義善も来たのか。約束の品は、納品済みの筈だぞ」

 

「えぇ、受け取っております。私は、アレの実働試験を見学に来ただけです。それにしても、なかなか良いご趣味ですね。ベースは弊社の介護用ロボのT-800ですか」

 

 壁には、本来男性型であるT-800の骨格を改造して女性型にした試作モデルがあった。水色のカツラや人工皮膚など、材料は揃いつつあるが完成までは程遠い。

 

『うわ、キショ。人間って、呪霊だけじゃなく、こんな模型にも欲情するの』

 

「でも、そんな人間から産まれたのが真人だよ。だから、ある意味、彼は産みの親の一人ともいえる」

 

 夏油傑の言葉に、心底嫌な顔をする真人。

 

 真人は、人間から産まれたのに人間の事がよく分かっていない。可愛ければ問題ないという種族に拘らないという日本人の闇を。世界広しと言えども、真人が日本に誕生したのには、この日本人の特殊性癖があってこそだ。

 

「呪霊と議論する気はない。さっさと治せ、ゲス」

 

『勢い余って芋虫にしちゃいそう』

 

 真人は、与 幸吉を治すのを止めたかった。だが、縛りによる制約の重要性を夏油傑が説いて嫌々契約を履行する。その様子に義善聖徳は、縛りの重要性を何段階か引き上げた。特級呪霊や特級呪術師であっても縛りの制約は絶対である。

 

 つまり、「呪霊GO」のアプリの規約にしれっと縛りを設ければ色々と使い道があるのではないかと。

 

………

……

 

 『無為転変』により健康体を取り戻した与 幸吉。彼の目的は、五条悟と連絡を取り、渋谷の計画を伝えることだ。

 

 五条悟封印計画。

 

 それが実現すれば、呪霊側と呪術師側のパワーバランスは完全に逆転する。勿論、損な事を夏油傑も真人も許容しない。だから、この場でどちらかが倒れるまでのデスマッチが開催される。

 

 与 幸吉の背後から、ぞろぞろとメカ丸擬きが現れる。

 

「手伝う?」

 

「やめて、俺のオモチャだよ」

 

 真人の言うとおり、メカ丸擬きなんぞ特級呪霊真人の敵ではない。それが分からない与 幸吉ではない。呪霊側と手を切るに際し、切り札はあった。

 

「真人様でも弊社自慢の最新兵器は骨を折ると思いますよ。弊社の兵器開発部ご自慢のメタルギア サヘラントロプス」

 

「うん? なんだい、それ」

 

 夏油傑は、新しい情報を義善聖徳から知らされた。

 

 尤も、二人はビジネスパートナーであるだけで、協力者ではない。お互いに教えていない秘密の一つや二つはある。

 

「科学技術とオカルト技術の決戦兵器。彼の試験運用でテストに合格したら、陸自に納品予定です」

 

 そして現れる巨大ロボ!

 

 夏油傑は思った……どうせなら、ホワイトグリントにしろよと。

 

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