呪霊GO   作:新グロモント

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29.閑話~オフ会~

 ゲーム内の仲間とリアルで会うというリア充イベントが世の中には存在している。

 

 その名は、オフ会!

 

 ゲーム内の付き合いとはリアルから隔絶されており、自信のアバターを通じて付き合う関係だ。それなのに、態々リアルで会うなど理解できないという人達も多いだろう。ゲーム内の強さとは、金か時間をどの程度掛けるかに比例している。

 

 "リアルで時間を持て余す人間"か"強くなる手段を金で買える人間"が強くなる。

 

 つまり、ゲーム内の強さやアバターのイメージが現実の自分についてこない人材は、オフ会など参加を考えない。という、一意見も存在している。

 

 だが、オフ会を楽しみにする人物もいる。オフ会とは、言わばマウントの取り合いだ。だからこそ、他者に自慢できる何かがあればそれだけで勝ち組。そんなマウントの取り合いに、とある二級呪術師は参加する予定だ。

 

 彼は、呪力を持って生まれ、虐待や売られて非道な扱いを受ける子供達を救うため全国を回っていた。誰かの依頼でも無く、彼自身が信念を持って奉仕労働をしている。

 

「会場は東京か~、丁度良い。さぁ、今から東京のお家(児童養護施設)に行くぞ。そこには、みんなと同じ呪力を持った子供が沢山居る。仲よくするんだぞ」

 

「でも、お兄ちゃんも邪ンヌお姉ちゃんと一緒じゃなきゃ…我が儘言ってごめんなさい」

 

「僕達、邪魔なの。一緒について行っちゃ駄目?」

 

 子供達は心配していた。地獄から救ってくれた優しいお兄さんとお姉さんに捨てられるのではないかと。子供故に、事情を全て把握はできないのは仕方が無い。だが、服を摘まんで泣き顔をする子供相手には誰も勝てなかった。

 

『全く、泣くんじゃないの。泣く子の晩ご飯はゴーヤチャンプルにするわよ。苦くて、子供には辛いだろうけど、好き嫌いは許さないから』

 

 そんな二級呪術師の男は、当然児童養護施設への寄付は忘れていない。全国を回る放浪の旅には、パートナーが必要であった。子供を救いに行くのだから、その扱いに長けた者としては理想的な相手がジャンヌダルク・オルタだ。

 

「ううう、お兄ちゃん。邪ンヌお姉ちゃんが意地悪する」

 

『ふっふっふ、泣き叫びなさい。今日は、ゴーヤチャンプルだけでなく、ラフテーも用意するんだから。牛肉なんて高い物は食べさせないわ、豚で十分よ』

 

 二級呪術師は、そんなジャンヌダルク・オルタと子供達のやり取りが尊いと感じていた。そして、今ほど呪術師としてやり甲斐を感じた事は無かった。報酬が誰かの笑顔。だが、その笑顔を守る為に自分は居るのだと。

 

………

……

 

 「呪霊GO」には、ギルドシステムやランキングシステムが導入されている。つまり課金を煽るシステムは当然実装済み。そして、上位ランキングに名を連ねているのが――

 

1位:JS5(五条悟)

2位:24fps(禪院直毘人)

3位:カモネギ(加茂家当主)

15位:呪術師絶対殺すマン(五条悟にコッコロを除霊された男)

73位:黄金比率は7:3(七海建人)

99位:愛戦士(二級呪術師)

4545位:メグミン(伏黒恵)

 

 このランキングは、ゲーム内での強さは勿論、リアルで呪霊の捕獲、成長度合いなどの隠しポイントで変動する。

 

 そんな上位ランカー達とのオフ会に参加する二級呪術師。東京の児童養護施設に沖縄から連れてきた子供達を託し、ジャンヌダルク・オルタを連れて参加。彼のジャンヌダルク・オルタは、様々な経験を得て低級から中級程度まで力を付けた。今では3級上位に食い込む力を持っている。

 

 この胸で聖女は無理がある彼女を自慢する為、男はオフ会へ挑む。こんな美少女呪霊を傍らに全国を旅し、人を救い、順風満帆の人生を見せ付けてやるのだと。

 

 そして、会場である一見様お断りの六本木にある高級料理店。お財布事情が心配であった二級呪術師だが、本日は「呪霊GO」のギルド幹部であるトップランカー三名が全額持ってくれるという大盤振る舞い。金はあるところにはあるんだなと素直に思っていた。

 

「さぁ、いこう。早くみんなに君を自慢したい」

 

『はいはい。感謝しなさいよ、この私が一緒に食事にきてあげるんだから』

 

 二級呪術師とも成れば、呪力に敏感になる。会場に近付くにつれて感じる威圧感。特級クラスでも居るのかと思ってしまうレベルであった。

 

 そして、案内されるオフ会の会場。

 

「初めまして、愛戦士で…あっ、部屋を間違いました」

 

『何しているの早く入りなさいよ。って、なんか見知った顔ぶれが多いわね』

 

 二級呪術師は、中のメンバーを見て部屋を間違った事で逃げたかった。どうして、御三家当主達が勢揃いしているのだと。おまけに、1級呪術師で有名な脱サラリーマン。集まっているメンバーの一人で唯一の非呪術師が、五条悟に殺意を向けている。

 

 二級呪術師の胃に穴が空きそうなヘビーなオフ会になりそうであった。

 

「早く入りなよ。こうして、ギルドメンバーに会えるなんて僕は幸運だな。ここはゲームのオフ会だよ。リアル事情を持ち込むような無粋者は居ないから安心してよ」

 

『こんにちは、ライザです』

 

 この場での無礼講が何処まで許されるか謎。なにより、JS5(五条悟)の横にいる知能指数を低下させてきそうなムチムチな呪霊は、二級呪術師が知らない存在であった。だが、感じる力はどう考えても特級レベル。

 

『あぁ、貴方は、ライザの事は知らないよね。彼女は、私の後輩みたいなものよ。政府肝入りプロジェクトで家庭教師をやっていたわ。今じゃ、呪術高専で教鞭を振るっているわよ』

 

 パートナーから聞かされた情報に頭が痛くなってきた二級呪術師。俺の時代も、こんな教師を用意してくれよと。

 

JS5(五条悟)に同意するのは不本意だが、オフ会にリアル事情を持ち込むような事はせん。酒は好きな物を注文しろ。ほれ、花御(カシマ)注いでやれ」

 

『はい、直毘人様』

 

 二級呪術師は思った。こいつ等、馬鹿なんじゃないかと。なんで、呪術師が平然と呪霊を召使いのように扱っているのかと。全国世直しの旅にジャンヌダルク・オルタを連れている彼にはそれを言う権利はなかった。

 

「諦めた方が良いですよ。私も、この会場に来て凍り付きましたが…もう慣れました」

 

『主さま~、お酌なら私が致しますので自分で注がないでください』

 

 黄金比率は7:3(七海建人)は、日常生活を全てサポートしてくれるコッコロを使い潰していた。掃除洗濯など一家に一台の家電製品か何かだと思っている。だが、そんな扱いはコッコロも望む所であったので、関係は良好だ。

 

 二級呪術師は、胃痛を感じるオフ会であったが伝手という意味では最高の札を手に入れた。御三家の当主レベルに伝手を持つことで、救える子供の幅が広がる可能性があった。

 

 翌日、二級呪術師は、準一級への推薦が成される。しかも、御三家当主全員からのご指名であり、呪術業界上層部も驚く程であった。




腹の中に武具とかを保管できる極めてレアな呪霊もいたじゃん。

つまり、有用な呪霊は御三家でも重宝されるよね。
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