人的被害を考慮せず、領域展開を行えば勝敗は決する。五条悟は、呪霊を祓うためなら多少の人的被害は計算に入れられる男だ。だが、その人的被害には、呪霊が出す被害であって、五条悟自身が出す被害は計算されていない。
「ほら、こいよ」
五条悟は、戦闘経験が豊富だ。領域展延についてもある程度推測を立てて、行動指針を決める。その為、多少のリスクを覚悟し、無下限呪術を解除する。これで、特級呪霊達が罠に掛かるのを待つ。
特級呪霊達の狙いは、近接戦闘。領域展延によって瞬間的に五条悟の無下限呪術を突破できれば良い。その作戦は、正しいやり方である。五条悟攻略の正攻法だ。
「っ!いててて」
『咄嗟に腕を放したか。エナジードレインがある限り儂には触れられんぞ』
特級呪具游雲を下から上に地面を抉って振り上げた一撃。コンクリートを巻き上げて、五条悟の頬に切れ傷を作った。
『今の一撃は、貴方を真っ二つにするつもりでしたが』
「いやいや、僕の顔に傷を付けただけでも表彰物だよ。でもさ、僕が世界最強なのは、何も呪術に限った事だけじゃないんだよ。甘く見るなよ、呪霊」
その傷も既に反転術式で回復する。
基本的な呪術操作と身体能力、更には豊富な戦闘経験で五条悟と特級呪霊には埋まらない差がある。ここまで準備しても旗色は思わしくない。
『でも~、その世界最強の悟さんは、女性慣れしていませんよね。その目隠しの下から、私の股下とか胸元を見てきますよね。知ってますか、女性って男性の視線に敏感なんですよ』
特級呪霊ライザリン・シュタウトが五条悟に致命的なダメージを与える。
呪術業界の御三家で五条家の当主。更には、世界最強と名高いのだから、下手な女性に手を出せない。今まで送り込まれたハニートラップは数知れない。どれも、僕に釣り合わないと門前払いしている男だ。
それを何年も繰り返し、次第に名家からの縁談の話も途切れた。五条悟は、自力で結婚相手を探す必要がある場面まで来ている。だが、世界最強の男が今更、呪術業界に結婚相手を探すような行動をとれるかといえば出来ないし、頼れない。
20代の頃は、まだ良い。だが、五条悟とて30代になってから結婚相手を探そうと思うと大変な苦労が伴う。同業者で探すにしても、厳しい。卒業生とワンチャンという可能性もあるが五条悟の性格を受け入れてくれる様な懐の広い女性は希有だといえる。
「おぃおぃ、名誉毀損で訴えるぞ。僕が女慣れしてないだって? 何処情報よ、それ」
『歌姫さんから女子会で聞きましたよ。同じ女性教師という事で色々とお世話になっています』
呪術高専の教師は非常に少ない。それも女性となれば、絶滅危惧種だ。特級呪霊ライザリン・シュタウトの素直な可愛らしい性格は、庵歌姫も大変好ましく思っており、仲がよかった。
『五条悟…まさか、その年で、貴方どうて』
その瞬間、五条悟が鬼気迫る顔をする。呪力を全快にし、花御《カシマ》の口を塞ぎ壁に押しつける。当然、無下限呪術も全力展開。致命的なダメージが花御《カシマ》を襲うが、ダメージを衣服が肩代わりして、ドンドン脱げていく。
パシャパシャとカメラ音が響く。
直ぐに
「いいのか、お前が展延を強く保とうとするほど、僕も術式を強く保つ。コッチの淫乱呪霊を守る衣服はない。もう、耐えられないんじゃないかな」
血反吐をはく
『五条悟!!こっちを見ろ!!』
ぐしゃり
五条悟、自らの秘密に気がついた
世界最強さんも、そろそろご退場ねがいましょう。
サクサク進めなければ、渋谷編だけ長くなってしまう。