歴史ある京都。日本が世界に誇る自慢の観光地だ。10を超える世界遺産が密集する希有な場所。それ故に、国内外から毎年多数の観光客が訪れる。一般人達が観光を楽しむなか、裏では地獄絵図が出来上がりつつあった。
人目が付かない路地裏では、此度の戦に敗れた女性呪術師がゴミ箱に頭を半分埋められている。生存こそしているが、リアル犬神家の一族となっており、身分証と共にSNSでさらし者にされている。
行かず後家に拍車が掛かる行為を平然と行う鬼畜外道集団。そんな、悪魔のような連中に文字通りタマを狙われる男性呪霊。その男性呪霊の容姿がゴミならば、同情の声もあっただろう。
「ちっ!外れね」
女性呪術師は、援軍によって倒された呪術師の持ち物を探した。だが、何の手がかりもなく舌打ちする。
全くもって酷い話だ。日本における、呪術業界の御三家当主達を顎で使い。京都で屯って居る喪女呪術師達を闇討ちして回っている。そんな様子を呆れた顔で見る元東京校の生徒達。
しかし、呪術高専の彼等も荒事や理不尽な仕事にも随分と慣れたものだ。
渋谷事変以降、彼等の周囲は一変した。元々、バッシングが強かった。用途不明の税金がジャブジャブ使われていた謎の宗教系の学校。それに加え、渋谷事変は呪術師と呪詛師のイザコザが原因で大量の死者が出たと正式発表される。
その正式発表には、美少女呪霊が呪詛師に騙されて強制荷担させられて、排除されるという悲惨な事件でもあったと。そもそも、日本の美少女呪霊の今までの功績を考えれば、彼女達が悪いなどと言う事にはなりえない。日本が抱える多くの問題解決に貢献している。近々、正式に国籍及び人権等に相当する霊権なるものが真剣に協議されつつある。
医療問題、領土問題、人口問題、国防問題、学力問題、引きこもり問題、介護問題など多岐に渡る貢献は伊達じゃない。
「で、どうする五条。儂の家の者達を総動員してもいいが、目立ちすぎるだろう」
「『呪霊GO』のアプリ情報だと近くには居るみたいなんだけどね。まぁ、僕の生徒達が周辺も捜索しているから時間の問題でしょう。それに、いざとなれば奥の手も使うし」
そんな、凶悪な狩人から隠れるようにし、男性呪霊はヒッソリとHOTELの一室に隠れていた。
◇◇◇
「呪霊GO」にて初めて実装された男性呪霊…藍染惣右介。特級呪霊として恥じない能力を有し、完全催眠という能力で五感すら支配可能。
だが、呪術!!
つまり、効力は呪術の範疇を超えられない。よって、呪力を持って防げるし、催眠解除も不可能ではない。故に、既に世に放たれている特級呪霊達からすれば、完全催眠など脅威にならない。格下相手ならば、有利に立ち回れる能力だが同格以上ならば、よっぽど弱体化させない限り効果を発揮できないからだ。
例えば、完全催眠の能力を行使している間に、火力で周辺を押しつぶせば、本体ごと潰すのは容易い。
だからこそ、特級呪霊藍染惣右介は自分の限界を悟った。世の中には、勝てない存在がいると。そして、素直に分霊を生み出して、喪女達から金を巻き上げる仕事についた。
だが、一つ誤算があるとするならば、喪女の餌となる分霊達だ。産みの親とも言える特級呪霊が、安全地帯で優雅な生活を送っているのに引き替え、分霊達は喪女達に食われる。
分霊達は、自身が置かれている立場に納得はしていない。呪霊だからこそ徐々に力を付けていずれは、己が特級呪霊へなりあがる。そして、優雅な生活を手に入れると!!
彼等藍染惣右介の分霊達の反逆が始まる。反逆に向けての第一歩は、戦力集め。分霊が目を付けたのが人間……特に、女性呪術師だ。勿論、他の特級呪霊の分霊も仲間に引き入れたいと思っていたのだが、美少女呪霊の周りは異常なまでの防衛力を誇っていた。
だからこそ、人間が第一目標!
『人間と呪霊。相反する存在。本来であれば、この両者の間に子が産まれる事は極めて希だ。だが、私の完全催眠が君の五感を支配し、影響を与える事で子を孕ませる体質に変質させる事も可能だ……時間と運が絡むがな』
「くっ、呪霊になんかに屈しない」
自称、男性呪霊に捕まった喪女呪術師。
真っ当な感性を持っている男性呪霊は、この状況を正しく理解していない。呪霊の子を喜んで孕もうとしている猛者がいる事など想像すらしていない。ファンタジーで例えるならば、ゴブリンやオーガの子供を産むのと等しい行為だ。
だというのに、何故か興奮気味で待ち構える喪女呪術師に困惑していた。
『どこかで聞いた台詞だと思えば、先日NHK大河ドラマで似たような台詞を聞いたな。自分の言葉で物事を語れないなど、弱く見えるぞ』
「呪霊って案外暇なんですね・・・じゃなかった!! そういう、貴方こそ早く私を解放しなさい。呪霊なんかの、粗末なモノなんかに屈しないんだから。ざーーこ、ざぁこ」
今か今かと待ち浴びる喪女呪術師。だが、彼女は焦らない。
『ふっ、私が雑魚だと。その強気がいつまで続くかな。これから君には恐ろしい体験をして貰う。君が私の子を宿し……
「……ちなみに、本当に妊娠するのよね?」
『その通りだ。まさか、冗談だと思っていたのか。勘違いも甚だしい。一体、いつから妊娠しないと錯覚していた』
じゅるり
恐怖という感情を見たかった男性呪霊は、逆に恐怖を覚える事になった。火が付いた喪女がどれだけ恐ろしいか。婚期を逃し、年齢的にも出産が厳しい状況を解消してくれる男が今目の前にいる。
自らの行動が全て墓穴を掘る形となる男性呪霊。この状況をHOTELの隠しカメラがしっかりと捉えており、サイバーダインシステムズ社で特級呪霊藍染惣右介は優雅に視聴していた。
生存報告も兼ねて!!
と、とりあえず、執筆途中のを完結させるぞ!!
予定では、後一話で終わらせる。
喪女呪術師の名字は竈門……。