呪霊GO   作:新グロモント

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06.閑話~未来に生きる国~

 コミュニケーション可能な特級呪霊達は、呪術師達が考えるより遙かに希少な存在だ。存在自体の影響で多少怪奇現象が周囲に発生したとしても許容出来る程だ。

 

 呪霊の存在は、少し前までは国家運営に携わる一部しか知り得なかったが、状況が一変し始めた。

 

 農林水産業に持ち込まれた稲のサンプル。それは、日本が長い時間掛けて品種改良を重ねた英知の結晶を遙かに上回る。病に強く、枯れた土地でも育つ、栄養価も高い。

 

「義善さん。ほ、本当にこの稲は特級呪霊カシマが作ったというのか。片手間で……」

 

「ええ、その通りです。他にも品種改良を施された大量の農作物サンプルを弊社は抱えております。お気に召していただけましたか」

 

 国家運営に携わる者として非常に悩ましい判断が求められていた。

 

 国内の一企業から持ち込まれた過去に例を見ないほどの有用なサンプル。正直言えば、国家事情を考えて、喉から手が出るほど欲しいものだ。食糧自給率は、国家の存亡にも直結する。

 

 しかし、義善聖徳からの要望を簡単に受領するわけにもいかなかった。それこそ、呪術業界とは、国家も付き合いが長い。簡単に掌を返すような行為は、彼の独断では不可能。それこそ、総理案件になりかねない。

 

「だが、流石に我々にも立場という物がね……君も分かるだろう。呪術師達に呪われれば我々に対抗手段などないのだよ」

 

「貴方達に呪術師達との縁を切れとは言っていません。利益に見合った待遇にするようにして欲しいのです。当然、呪霊達にもですよ。これは、私の独り言ですが――特級呪霊漏瑚様から、国内のレアメタルが採掘可能な正確な情報も頂いております。特級呪霊陀艮様からも経済水域及び排他経済水域内にある資源情報も」

 

 義善聖徳から告げられる衝撃の一言。

 

「――私の判断出来る域を超えています。大臣を交えた前向きな打ち合わせの場を早々にセッティングさせて頂きます」

 

「えぇ、有能な貴方達日本の役人ならば直ぐに分かって頂けると信じております。呪術師と呪霊…今、必要なのはどちらなのか。私は、そんな架け橋になれたなら幸いです」

 

 日本が抱える医療費問題、介護問題は特級呪霊コッコロが改善。

 

 日本が抱える食料問題は、特級呪霊カシマが改善。

 

 日本が抱える資源問題は、特級呪霊漏瑚と特級呪霊陀艮が改善。

 

 日本が抱える呪霊問題は、サイバーダイン・システムズ社が解決。

 

 残る大きな問題は、人口問題などもあるが、美少女呪霊、美少年呪霊に更なる改変を加える事で将来的に解決できる目処が義善聖徳の中にはあった。

 

 事実、歴史を紐解けば呪霊と人間のハーフは既に存在している。そのサンプルを元に研究する事で人類は……主に日本人は未来に生きる種族になろうとしている。

 

 まさに日本の転換期であった。だからこそ、役人もこの重要案件に力をいれる事を心に決めた。

 

「義善さん。これは、個人的な意見ですが……貴方の要望はほぼ全て通せると思います。流石にここまで国益に貢献できる知的生命体ともなれば、反論の意見は出ないに等しい。しかし、そうなると軍事産業にも力をいれないといけませんね。お隣の国が何をしてくるか不安です」

 

「そうですな。ですが、特級呪霊陀艮様の力をもってすれば、ニュースになる前に不審船舶を行方不明にする事など容易いでしょう。スパイに関しても、同様です。今や、全国に分霊を整備されその霊的ネットワークが万全な状態になる日も遠くありません」

 

 国防問題にも呪霊が関与するとなれば、もう日本は呪霊なしでは生きていけなくなる。それが実現すれば漏瑚の目的がある意味達成したと言えるだろう。

 

 日本特有の事柄があるからこそ、出来る事だ。日本は、間違いなく未来に生きる国へ歩みを始める。

 




日本ならこの位やってくれると信じています。
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