東京の呪術高専チームは、集団戦においてスマホアプリ「呪霊GO」を活用し、手際よくポイントを稼ぐ方法をとっていた。時代の流れに乗った索敵。しかも、同じアプリを入れている人物の位置座標も分かるため、無駄な戦闘を回避している。
京都の呪術高専チームは、古き良き時代の索敵を地道に行っている。空からの索敵というアドバンテージは最早時代遅れだ。
そんな年一回の大イベントすら後回しにしないといけない大事件が発生する。特級呪霊と呪詛師達からの強襲。しかも、狙われたのは生徒達となれば教員は立場的に動かないといけない。
………
……
…
伏黒恵は、突如現れた特級呪霊の気配に圧倒された。本来なら競い合う相手である京都高の加茂憲紀とも流れで手を組む形になる。そうしなければ、生存すら絶望的な状況だ。
そして、その凶悪な呪力をばらまく特級呪霊が姿を現す。銀の髪を靡かせ、スカートの絶対領域を見せ付ける淫猥な姿。どことなく漂う花の上品な香水の匂い。絶世の美を誇る有明の女王がこの場に降臨した。
「野良
「伏黒、貴様はアレの正体を知っているのか!!」
加茂憲紀は、スマホアプリなんぞやらない硬派な男であった。だからこそ、人型の特級呪術霊の存在が謎すぎて恐怖している。
『おや、貴方は伏黒恵ですね。分霊が昨晩も』
「やめろお!!個人情報の流出だぞ。貴様、それでも特級呪霊か!!そんな情報戦なんぞに頼らず、呪力で勝負しろ!!」
「しゃけ」
伏黒恵は、圧倒的必死であった。
コッコロと並び、カシマも手に入れたかった伏黒恵だが彼の元にはカシマは現れなかった。だが、手に入らない物ほど欲しくなるのは人間の性だ。修行と称し、カシマの目撃情報を頼りに各地に足を運んだ。その苦労の甲斐もあり、彼は善意ある除霊を行いカシマを手に入れる事に成功していた。
だが、その事は誰にもバレていない。彼の影はとても便利な四次元ポケットだ。
伏黒恵……社会的立場を守る為に命を賭ける。
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五条悟は、帳の外で力を振るう。ただ、収束と発散を繰り返し相手を吹き飛ばす。
「相変わらず、未登録の特級呪霊が増えているな。さて、コレはなんて呪霊かな~。見た感じクトゥルフ神話系な気もするけど……いいや、あれは外宇宙の神様だっけな」
『□@!"#EAfeo3rno4-098a94"#%$T』
特級呪霊クマムシ――その風貌は、五条悟が言うようにクマムシとニャルラトホテプを足した容姿になっていた。寸胴な肉体に加え、無数の触手もどき……極めつけは脳内に直接送られる異次元の言語だ。
五条悟がスマホを取り出し、「呪霊GO」を起動する。
そうすると、画面に特級呪霊クマムシと表記される。仕事が早いサイバーダイン・システムズ。既に、特級呪術霊の情報は更新済みであった。
「はぁ~、嫌になっちゃうよね。流石に、このレベルの特級を帳の中に入れるわけにはいかないな。かといって無視出来るレベルでもないか」
特級呪霊クマムシの術式……それは、今まで人間に実験された様々な事を現実に持ってくる事だ。その為、絶対零度や高温、放射線を対象に向けることが出来る。五条悟の無下限術式でなければ、大体の呪術師は即死に追い込める。そもそも、放射線など防げる呪術師など早々いない。
五条悟が呪力を込めた拳で殴ろうとも、肉体の一部を削っても再生する。単純な呪力を持った攻撃だけでは仕留めきれない。その嫌となるほどの耐久力と再生能力は目を見張るものがあった。
『%&()h54エアgt5#"$%』
「ちっ!! 脳内に直接語りかけるこの言語だけはなれないな。――へぇ~、一丁前に領域展開まで出来るんだ」
特級呪霊クマムシは、既に何度かの戦闘で学んだ。五条悟は強い。このままではじり貧である事は確実だ。ならば、体力と呪力があるうちに、領域内に引き込んで殺すと。
確殺の領域展開。
清潔感漂う実験室。それが、特級呪霊クマムシの領域だ。彼が、生涯で一番長く過ごしたその過酷な場所。
特級呪霊となったクマムシの耐久力ギリギリの放射線が全方位より照射される。その術の特性を六眼で知る。人間の域を出ない五条悟にとって放射線の耐えられる量は非呪術師と変わらない。
「ちょっと!! 洒落にならないでしょ。領域展開――無量空処。危ない危ない。あの
特級呪霊クマムシ――五条悟相手に三分間サンドバッグにされても耐えきる。更に、領域内に引き込む事に成功する。その身が粉砕されるまで、世界最強を五分も足止めした。