神様になった右腕様 作:きまぐれ
「茨木、私の酒が飲めんのか!」
「いえ、そういうわけではないのですが。」
「なら飲め!」
神様の飲み会ではアルコール強要は当たり前な節があって困る。私は酒が好きなのだが、神様が勧めてくる酒は飲みたくない。なぜなら、私が切り落とされた原因が神酒だからだ。神様が神様同士の飲み会で勧めてくる酒は当然神酒である。鬼である私が飲めるわけがない。
「八坂様はご存じかと思いますが、私は鬼です。神酒は体に合わないんです。」
「今は神みたいなもんだろ?多少痺れるくらいだろ。」
「確かに以前飲まされた時は痺れた程度で動けましたけども。」
八坂様はいつもはこんな感じではないのだが、どうしたのだろうか。
「茨木ちゃん、私からも頼めないかな?」
「洩矢様。しかし・・・」
「実はさ、諏訪の地から離れて新天地に行くんだ。この集まりにも来にくくなるだろうからさ。」
「新天地ですか。」
「幻想郷ってところなんだけどね。」
ああ、あの妖怪や神様が集まって創ったという楽園。結界で隔離されているからここにも来にくくなるということか。
「頼む茨木!最後くらい酒を飲みかわしたいんだ・・・」
「もし痺れちゃったら私と神奈子で介抱するからさ。茨木ちゃん、お願い!」
「うっ」
断りづらい。この二柱は神様関係でお世話になった神様だ。まあ、ダメならほかの神様のアルハラを交わす口実にもできそうだし、腹をくくるか!鬼は度胸だ!
「・・・少しだけなら。」
「おお!それじゃ一献!」
「ありがとね~。」
少しだけ舐める。・・・旨い。なんというかものすごく深みがある!一気に飲んでしまった。
「・・・凄く美味しいですね、このお酒。」
「そうだろう!なんせこの酒はとっておきのやつだからな!」
「で、大丈夫なの?」
「まだ大丈夫みたいです。」
「それなら、痺れるまで私たちに付き合ってくれ!」
それから二柱から事情を聞いた。信仰不足で幻想郷へ行くこと、少女が一緒についてきてくれること、土地ごと引っ越す予定であることなど。信仰不足か。確かに昔よりは減ってきてる気はするけど。
「茨木はいいよなあ。醸造で具体的な接点があるから姿を維持できる。姿が見えるから信仰を保ちやすい。うらやましいなあ。」
「最近はまず姿を見てもらえないからねえ。子供に交じって遊ぶこともできなくなっちゃったし。」
恵まれてるんだなあ。この2柱の方がよっぽど人々に益をもたらしてきたというのに。
「ところで、まだ大丈夫かい?」
「そうだ茨木。これ結構強めの神酒だから、そろそろぶっ倒れてもおかしくないんだがな。」
「酔ってる感じはありますが、痺れすらしませんね。」
「痺れすらない?それはさすがに・・・茨木、手を出してくれ。」
「はい。」
「諏訪子、これどう思う?」
「茨木ちゃん、私も触るね。・・・あーこれは。」
どうかしたんだろうか。もしかしたら私に何か問題があるのだろうか。
「茨木ちゃん、よく聞いてね。茨木ちゃんは完全に神様になっちゃってる。」
「え?」
「妖力を全く感じない。私と諏訪子で感知できないんだからほぼ間違いない。」
そんな感じは全くしなかったのになあ。鬼じゃなくなってたのか。まあ、千年くらい神様みたいなことをやってたから、そうなってても不思議じゃないけど。
「そういうことなら、茨木。今夜はとことん飲もう!」
「お酒ならまだ持ってきてるから。」
飲める酒の種類が増えたことは喜ばしいことだ。神酒を飲める機会は少ないから・・・
「よし!じゃあ今夜はとことん飲みましょう!」