神様になった右腕様 作:きまぐれ
「(あれは、失われた私の腕!?なぜ封印が解けているの?しかも霊夢と戦っているなんて。)」
「このままでは分が悪い。封印を解くのに力を使いすぎたか。・・・ん?」
「(見つかった!?)」
「さあ、我が相棒よやっと見つけたぞ、再び一つになろう!」
「(ちょっと予定が狂っちゃったけど仕方ないか)」
「華扇!手を貸しなさいよ!」
「(霊夢。腕の方は無理に封印を解いて弱っているみたいだし頑張ってね!)」
「何やってるのよ華扇!・・・なーんてね。」
よし、計画通り元に戻れた!では対話と行くか。
「我が本体よ。答えなさい。」
「(あれ?腕をいい感じに霊夢に封印してもらうはずだったのに、腕に私が封印されかけてる!?馬鹿な!)」
「いいから答えなさい。さもないと・・・」
「(さもないと?)」
「あの時味わった酒の10倍は痺れさせますよ。」
「それは嫌。」
「やっと答えましたか。」
「しょうがないでしょ。トラウマなんだから。」
対話はうまくいっているようだ。では早速。
「本体よ。あなたは私を探し求めていましたね。なぜですか?」
「封印がそろそろ解けかけていると思ってね。封印しなおそうと思って。」
「なるほど。まあ、今の私は鬼ではないのでその必要はないですね。」
「鬼じゃない?」
「神様ですからね。」
「何言ってるの。鬼が神様になんかなれるわけないじゃない。」
「1000年の時を甘く見ていますね。それくらいできますよ。あなたも鬼としては微妙な感じになっているじゃないですか。仙術のような力を感じますし。」
「私は仙人だからね。あなたと違って完全な。」
ほう?そんなこと言っちゃうのか。こちとら神様のお墨付き貰ってるんだぞ。
「仮にあなたが仙人だというのなら、私が全力で神力を流し込んでも平気ですよね?」
「それとこれとは話がちがががががががががががががが!」
「ダメじゃないですか。修行が足りていませんよ。鬼の力に頼りすぎです。」
「がががががががが!」
「まったく。霊夢殿に偉ぶりたいならもう少しちゃんと修行をですね・・・ん?」
「・・・・・・」
あれ、反応がない・・・気絶しているようだ。やれやれ。我が本体ながら修行不足だな。ただ、本体の目的が変なことではないことは確認した。鬼退治の必要はなさそうだ。
「霊夢殿。ご協力ありがとうございました。霊夢殿のおっしゃる通り、本体は大丈夫そうです。」
「そう、良かった。」
「安心したので元の世界へ帰りたいと思います。」
「あら、お酒くれるからこっちにいてもいいんだけどね。」
「私には私を信じてくれているものが大勢いますから。あ、そうだ。」
「何?」
「鬼は秘宝を持っていましてね。鬼に勝った人間に与えたりするのです。」
「華扇の枡とか萃香の瓢箪みたいなやつね。」
「今回霊夢殿は私と本体という一応鬼みたいな存在を倒しました。そこで、私からプレゼントです。」
「何これ?」
「名付けて茨木の神薬枡です。ここに入れれば、醸造された物つまりお酒や味噌、醤油、酢などは神力を得て、美味しくなって霊力を回復させます。人間や“仙人が”使う分には問題ないので、霊夢殿は気にせず使ってください。」
「ありがとう。気を付けてね。」
霊夢殿が結界を開いてくれる。さあ、愛しの信徒たちのもとへ帰ろう。
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「あの~霊夢?」
「何よ華扇。」
「そのお酒、すごくおいしそうに見えるのですが。」
「そうねぇ。とっても美味しいわよ。」
「少しいただけないでしょうか。」
「仙人なら大丈夫って言ってたしいいか。一口だけよ。」
「分かりましたよ。・・・あら、本当に美味しいいいいいいいいいいい!」
「そういえば、あいつ言ってたわね。鬼が飲むと痺れるから、中途半端な仙人とかには飲ませちゃダメだって。」
「いいいいいいいい!」
「これが飲めないなんて気の毒ねぇ。本当に美味しいのに。」
「(しっかり根に持って美味い酒を飲めなくするなんて、あの鬼め!)」
「お、霊夢。なに華扇と遊んでるんだ?」
「萃香も飲む?鬼が飲むと痺れるお酒よ。」
「面白そうだ。・・・ピリッとして美味しいねぇ!」
「(なんで萃香は大丈夫なんだ!)」
「あ~。あいつ鬼が飲めるように多少改良したとか言ってたわね~。中途半端に仙人になってた鬼を除いて。」
「華扇・・・ご愁傷様。」
「(ちくしょう!あの鬼今度会ったら必ず封印してやるんだから!)」