五等分の護衛 〜1人で5人なんて守れるわけねえだろ〜   作:無限夢幻

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 今回はあまり長くはありませんがお許しください。

 これからは少しストーリーを進めていきます! 前回、前々回と零に関わる話を書いてストーリーをあまり進めることができずすみません!

 では、前書きはほどほどにどうぞ!


第十話 なぜこうなった? 全ては上杉の責任だ

 中野家に無事に何事もなくたどり着いた零たち。家につくなり速攻自分の部屋へ戻ろうとする五人を零と風太郎の二人がかりで止める。

 

 「勉強から逃げるんじゃねえ。それに四葉。どうしてお前まで逃げるんだ」

 「あはは、なんか雰囲気で」

 「三玖、お前も一緒にやらないか?」

 「うん、良いよ」

 

 零が三玖を勉強に誘うと、三玖はあっさりと承諾した。その様子をもし二乃が見ていたら零に突っかかっていただろうが、彼女は零と風太郎が止めるのを振り切って部屋に戻っていたので何も起こらなかった。

 

 「私もここで見てようかな」

 「私はココで自習しているだけなので。勘違いしないでください」

 

 一花と五月も参加はしないものの部屋に籠ろうとしなかったことに風太郎は安堵する。これも小さな前進だ。少しずつでも前に進めればそれで良い、と。

 

 だがそんな前向きになろうとする風太郎の心境をぶち壊しにリビングに来たのが二乃だった。おしゃれな洋服に着替えた二乃はスマホを片手に階段を降りてくる。

 

 「なーに? まだ懲りずに家庭教師なんてやるつもりなんだ? 前みたいに途中で寝なきゃ良いけど」

 「なっ! あれはお前がーーって今はそんなことどうでもいい。どうだ、二乃も一緒にやらないか?」

 

 二乃に煽られて一瞬怒りかけた風太郎だが、ちゃんと冷静さは持っていたようで、取り繕った笑顔で二乃を誘う。

 

 「それは死んでもお断りよ」

 

 一瞬で誘いを跳ね除けられて、風太郎の頭に青筋がピキリと浮かぶが風太郎は我慢する。

 

 「しょうがない。今日は四人でやるか。夢宮も手伝ってくれるよな?」

 「ああ、もちろんだ」

 「さあ、始めましょう!」

 

 風太郎は零に声をかけて早速始めようとする。だが四葉が元気な声をあげたその時、二乃が行動に移った。

 

 「……そうだ四葉。バスケ部の知り合いが大会の臨時メンバーを探してるんだけど。あんた運動できるんだし行ってあげたら?」

 「い、今から……!? でも……」

 

 流石に風太郎と零を放って試合に行くのは気が引けるのか、四葉の視線は二乃と男二人をいったり来たりする。

 

 「五人しかいない部員の一人が骨折しちゃったらしくて、このままだと大会に出られないようなの。今まで頑張って練習してきたのに可愛そう」

 「………お二人共、すみません! 私困っている人を放ってはおけません!」

 「おい、まじかよ……」

 

 風太郎が呆然とする中、四葉は走って玄関に向かいーー

 

 「四葉、悪いが今日は家から出すことは出来ない」

 「え!? そ、そんな!」

 

 零に行く手を遮られた。

 

 「アンタ今の話聞いて何も感じなかったのー? バスケ部の人達が困ってんのよ?」

 「なら逆に聞くが、お前は今日襲われたことに何も感じなかったのか?」

 「……」

 

 二乃が邪魔をする零を攻めるが、逆に零に問われて黙り込む。

 

 「私も今日は家から出ないほうが良いと思います」

 「私もそう思う」

 「今回は私もレイ君側かな? 流石に今日家から出るのは危ないと思うよ」

 

 五月、三玖、一花が零に賛同するのを見て、四葉に迷いが生じる。危ないのは分かるがバスケ部の人達が試合に出られなくなるのは困る、という迷いだ。

 

 「はぁ、いいか四葉? 俺は無理矢理お前をここに留めることは出来ない。だけどもしお前が俺の制止を無視して試合に行こうとするなら俺はそれに対処するしかないんだ」

 「対処、ですか?」

 「ああ、例えば試合そのものを潰す、とかな。だけど俺はそんなこと面倒だからしたくないし、試合に参加する人達もされたくないだろう。だから俺にそんなことをさせないでくれないか?」

 「で、でも……バスケ部の人達が……」

 「それなら安心しろ。俺の知り合いにバスケが上手い女子がいるからそいつに頼めばいい。それなら良いか?」

 「……はい! そういうことならお願いします!」

 

 零の半ば脅迫じみた説得に四葉も首を縦に振った。四葉にお願いされた零はその場でスマホを取り出して電話をかける。

 

 「もしもし、今手が開いてるか? ……そうか、なら頼みたいことがある。バスケの試合に出てほしいんだ。………ああ、今日だ。頼む、礼は今度するから。じゃあ頼んだ」

 「どうでした?」

 

 零が電話を切ると四葉が尋ねる。零はスマホをしまうと四葉にサムズアップを向けた。

 

 「良かったです〜」

 「くっ、そうだ一花。あんた二時からバイトじゃなかった?」

 「あ〜、流石に今日は休もうかな? ちょっと電話してくる」

 

 そう言って一花はスマホを持って自分の部屋へ向かった。

 

 「五月もこんなうるさいところで勉強するより図書館に行ったほうが良いんじゃない?」

 「そうしたいですが、どうやら家から出ると図書室が潰されてしまうみたいなので」

 「まぁ最悪そうなるかもな」

 

 五月が零の方を見ながら答えると、零も視線をそらしながら肯定した。

 

 「くっ……そうだ三玖。あんた、間違って飲んだアタシのジュース買ってきなさいよ」

 「もう買ってきてる」

 「え? …ってなにこれ!?」

 「抹茶ソーダって書いてあるな」

 

 美味しいのか不味いのか分からない飲み物を見て零はその味に興味を持ったが、飲みたいとは思わなかった。

 

 「レイ、二乃はほっといて勉強教えて?」

 「ああ、そうだな」

 「それじゃあ改めて頑張りましょう!」

 

 三玖に袖をクイっと引かれて零は二乃を放っておくことにした。再び四葉の掛け声で勉強会が始まるーーというわけにはいかなかった。

 

 「へぇー三玖。いつの間にかそいつと仲良くなってたんだ。ひょっとしてこんなひ弱そうな男が好みだったんだ?」

 「……レイは弱くない。ひ弱そうなのはフータローだけ。二乃は相変わらず人の中身を見ないね」

 

 二人の間で何かの戦いの火蓋が切られたような音がした。そして零と風太郎はーー

 

 「なぁ上杉、俺そんなにひ弱そうに見えるか?」

 「ああ、はっきり言って凄く弱そうだ。殴ったらすぐに倒れそう」

 「あ゛? なめてんのか?」

 「なぜそうなる!?」

 

 こっちはこっちで争いが起きかけていた。もちろん実際に争いが起きたら速攻風太郎が白旗を上げて土下座をするのだろうが。

 

 「人の外側を見て何が悪いのかしら? 見た目が良いに越したことはないでしょ? なるほど〜、外見を気にしないからこんなダサい服でいられるんだ〜」

 「この尖った爪がオシャレなの?」

 「あんたには一生分からないかなー」

 「別に分からなくても良い。……二乃がなんて言おうと私は私だから」

 「な、何よそれ。気持ち悪い」

 

 どこか芯の通った、どこか嬉しそうな顔をしながら二乃を見る三玖に、二乃は少したじろぐ。

 

 その一方。

 

 「おい上杉、もういっぺん言ってみろや。あ゛?」

 「ちょ、ちょっと待て! なんでそんなに怒ってんだよ! 俺『女子みたいに細いな』って言っただけだぞ!!」

 

 零はゴキゴキと骨を鳴らしながら風太郎に迫る。風太郎は何が零の逆鱗に触れたのか分からず、後退りして逃げていた。

 

 場は既にカオスと化していた。

 

 「騒がしいですね。私は部屋に戻って一人で自習してきます」

 「あはは、え〜っと、勉強はじめませんか?」

 

 騒がしさに耐えかねた五月は勉強道具を片付けて部屋に戻り、四葉はこの状況に困り果てていた。一花はまだ部屋から出てきていない。

 

 「ったく、しょうがねえから今回は許してやるよ」

 「ア、アリガトウゴザイマス」

 「それじゃあ勉強会始めるぞーーって何やってんだ?」

 

 風太郎を追いかけるのをやめた零の視線は台所の方に向かっていた。そこではせっせと料理を始める二乃と三玖の姿があった。

 

 「いつの間に……」

 「上杉が原因だな」

 「なぜ俺!?」

 

 さらっと責任を押し付けられた風太郎。

 

 「どうやらどっちが家庭的かを決めるってなったみたいで……」

 「それで料理対決かよ」

 「くそっ、勉強会が出来ねえじゃねえか!」

 

 四葉から事情を聞くと、どうやら言い争いが発展して料理対決になったようだ。予定がすべて覆された風太郎が声を荒げる。

 

 「とりあえず四葉だけでも教えとけばいいんじゃないか? 俺は一花と五月の様子を見てくる」

 「ああ、そうだな。よし四葉、始めるぞ!」

 「はい!」

 

 風太郎による四葉とのマンツーマンの勉強会が始まったの横目に零は五月の部屋に向かう。

 

 コンコンとノックをするとドアの向こうで動く気配がして扉が少し開いた。

 

 「なんですか?」

 「今から勉強会を始めるんだが一緒にどうだ?」

 「結構です。私は一人でやるので放っといてください」

 

 五月はそう言ってドアを閉めようとするが、零がそれを止める。

 

 「なら解けなくて困ってる問題とかは無いか? あるならここで教えることが出来るが」

 「……無いです。大丈夫ですから」

 

 そう言って再びドアを閉めようとする五月。そしてそのドアが閉じられてーー

 

 

 

 

 

 「嘘だな」

 

 閉じられる直前でドアがピタリと止まる。

 

 「ほら、これを読んだらお前が今解けなくて困っている問題も解けるはずだ」

 

 そう言って零は折りたたまれた紙をドアの隙間に差し出す。

 

 「……どうして知っているんですか?」

 「お前は下にいたときから同じ問題でずっと止まっていただろ? 俺が気づいてないとでも思ったのか? 俺の(社長に)鍛え上げられた洞察力を舐めるなよ」

 「……」

 

 零が差し出した紙がスッと零の手から抜き取られる。

 

 「五月、問題を解けなくて困ってるなら周りに助けを求めろ。俺や上杉じゃなくても良い。一人で抱え込んでもしんどくなるだけだ。お前の周りにはお前に勉強を教えることが出来る人間が二人いる。遠慮なく利用しろ」

 「……分かりました。有難うございます」

 

 パタンと閉じた扉。零はそこを離れると今度は一花の部屋に向かった。

 

 

 

 一方五月は零が離れていくのを確認すると、机に向かい零から渡された紙を開いた。

 

 「私が解いていた問題と同じ……」

 

 零が言っていたことはホントだったのだと五月は気付かされた。そうして五月は自分のことをちゃんと見てくれていた零に対して少し恥ずかしく思いながらも、零のヒントを頼りに問題を解いていくのだった。 

 

 

 

 場所は移って一花の部屋の前。零がドアをノックするとどこか眠たそうな声が返ってきた。

 

 「どうぞ〜、入って〜」

 「お邪魔しますーーってなんだこれ? すげえ汚えな。こんなところに人が住んでるのか?」

 「も〜、そんなに酷く言わないでほしいな」

 

 足の踏み場もない部屋の荒れ様を見てドアを開けたまま固まってしまった零。どこからか一花の声が聞こえてきたかと思うと、それは下手の奥のベットからだった。

 

 「掃除しろよ。ったく、今から勉強会を始めるんだがお前も参加しないか?」

 「ん〜パスかな?」

 「そんなに暇そうなのにか?」

 「まあね。バイト先の人にも風邪だって言っちゃったから大人しく寝てないと」

 

 一花の言い分に零は頭に手を当ててため息をついた。

 

 「分かった。なら良い」

 

 そう言って零は部屋を出ようとしてーー

 

 「変われるときに変わっておかないと後悔するぞ」

 

 その一言だけを言い残してドアを閉めた。

 

 「? どういう意味なんだろ?」

 

 一花には一切伝わっていなかったようだったが。

 

 

 

 

 

 そしてそれから数分後。中野家のダイニングで零は目の前に並べられた二つの料理を見てため息を付いていた。

 

 「俺腹減ってないんだけどな……」

 「良いからアンタも食べなさいよ」

 「へいへい」

 

 零は目の前に差し出された二つの料理を見る。片方はお店で出てくるようなキレイな見た目。片方はお店で出したら文句を言われるようなレベルの料理。創作者の様子を見るからにどちらがどっちの料理かすぐに判別できる。

 

 「や、やっぱり自分で食べる………」

 「え〜、せっかく作ったんだから食べてもらいなさいよ〜」

 

 二乃はニヤニヤとした笑みを浮かべて勝利を確信している。だが、ココにいる審査員はーー

 

 「うん、どっちも美味いな」

 

 超がつくほどの貧乏舌の持ち主だ。見た目の良し悪しは兎も角、味の優劣が分かるわけがない。

 

 「はあぁ!? そんなわけないでしょ!? アンタ! ちょっと食べてみなさい!」

 

 風太郎の審査に納得がいかない二乃がまだ一口も食べていない零に食べるよう指示する。零は面倒くさそうにスプーンを持つとそれぞれの料理を口に運んだ。

 

 「どうよ?」

 「……いや、あのさ、二乃やつは美味いんだけどさ」

 「…なによ?」

 「俺ハムよりベーコン派なんだ。だからベーコンが入ってるオムライスの方が好きだな」

 「なにそれ!? 無茶苦茶じゃない! もう良いわ!」

 

 申し訳無さそうに言われた零の感想に三玖は少しホッと胸を撫で下ろし、二乃は怒って部屋に帰っていった。

 

 「ほら、上杉やるよ。俺そんなに腹減ってねえんだ」

 「そうなのか? じゃあ遠慮なく」

 

 零が風太郎の方に皿を押しやると、後片付けをする三玖の手伝いに向かった。

 

 「手伝わなくても大丈夫だよ」

 「いや、食わせてもらったんだから手伝う」

 

 零はそう言って有無を言わさず皿洗いをし始めた。三玖もそれに対し特に文句を言うこともなく無言で片付けを始める。そして食べ終えた風太郎が皿を持ってきた。

 

 「ごちそうさま、三玖。上手かったぞ」

 「ありがとう、フータロー」

 「あーくそっ。結局二乃の目論見通りになっちまったな。今回は出直すとするか」

 「…ごめんね」

 「まぁ、今日は俺と上杉も悪かったからな」

 

 そう言って零は風太郎をジロリと睨む。風太郎は蛇に睨まれたカエルのようにピシッと動きを止める。

 

 「だが、どうして二乃が邪魔したがるのかが分からん」

 「そうだな。俺もあいつと分かりあえる日が来るとは思えん」

 

 零がポツリとこぼした呟きに風太郎が同意する。

 

 「ちゃんと誠実に向き合ったら二乃も分かってくれるよ」

 「誠実ねえ……無理だな。まずアイツが態度を改めろってんだ」

 「おい! 少しは努力してみろよ!」

 

 三玖の助言も零が納得するまでにはいかなかったようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその後、今日は一歩も家から出ないという約束をしてから零と風太郎は一緒に家を出た。

 

 「あ、悪い電話だ。先に帰ってくれ」

 「おう、おつかれ」

 

 零のスマホがポケットの中で振動する。零をその場に残すと風太郎はちょうど来たエレベーターに乗って下に降りていった。

 

 「もしもし」

 『もしもし、私だ。今日娘たちが襲われたと聞いたが大丈夫だったかい?』

 「勿論です。指一本触れさせていません」

 

 電話の相手は五つ子が襲われたという報告を聞いて心配したマルオからだった。

 

 「でもどうして俺に聞くんですか? 彼女達に直接聞けばいいのでは?」

 『……特に深い理由はないよ』

 「そうですか。では切りますね」

 『ああ。妹君が寂しがっていたからまた会いに来ると良い』

 

 マルオからそう言われて零はどこか嬉しそうに苦笑していた。電話を切った零は再びエレベータを呼ぼうとするが、そこにまた着信が来た。

 

 「何のようだ?」

 「悪い、夢宮。お前まだ上にいるか?」

 「ああ、いるが」

 

 今度の相手は風太郎だった。風太郎は少し焦った様子で零の居場所を尋ねる。

 

 「実は財布を家に忘れてしまったんだ。取ってきてくれないか?」

 「チッ、俺をパシる気か」

 「す、すまん。頼む」

 

 零は特に断る理由もなかったので了承した。そして中野家の前に戻りインターホンを押す。

 

 「? 誰も出ねえ。しょうがない、鍵を使うか」

 

 零はマルオから預かった家の鍵を使って中に入り、リビングに向かう。

 

 そしてーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「誰? 三玖?」

 「おい、マジかよ」

 

 バスローブ姿で髪を乾かす二乃に遭遇してしまった。

 

 

 




 今回は切りよくここまで!

 零がすごい理由。社長のせいって言っておけば大体説明がついてしまう……




 ゴールデンウィークに入り、少し暇が取れたので短期更新が出来ました。ですがゴールデンウィークが終わるとまた忙しくなりそうな気配……。更新できなかったらスミマセン。

 アンケート第二回を設置しました。前回ご協力くださった皆様も、まだしていない皆様もご協力を改めてお願いします!

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