五等分の護衛 〜1人で5人なんて守れるわけねえだろ〜   作:無限夢幻

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 スミマセン。本当にスミマセン。前話を投稿して以来、感想やたくさんのお気に入り登録をしてもらったにもかかわらず、投稿が遅くなってしまいました。

 筆者もそれなりに忙しく、あと一週間くらい忙しくなりそうなので投稿日の予定は決めれませんがご了承ください。

 では、どうぞ!


第十一話  我々の世界ではこれはご褒美です

 (あーなるほど。ドライヤーを使っていたからインターホンの音が聞こえなかったのか〜)

 

 目の前の現状を見て現実逃避に走る零。一般的な男子からしたら喜ばしい状況なのかもしれないが、信頼関係を重視する零にとっては最悪の事態だった。

 

 「誰? 三玖?」

 

 違う、そう言いたいのをぐっとこらえる。零は今まで鍛えてきた判断能力をフルに活用して、どうするのが最善かを考える。だがーー

 

 〜ERROR〜

 

 零が今まで経験してきた中で、『風呂上がりでバスタオル姿の少女とばったり出くわす』なんてシチュエーションは一度もなかった。

 

 (くそっ、これも上杉のせいーーーって今はそんなこと考えてる場合じゃない)

 

 「お風呂入らないの? 空いてるけど」

 「……」

 

 零がどうすれば良いのかを決めかねて黙っていると二乃は零から視線を外して再び髪を乾かしだす。

 

 「いつもの棚にコンタクト入ってるから取ってくれない?」

 (こいつひょっとして見えていないのか?)

 

 見えてないのなら今のうちにここから走って逃げ出す事も出来るだろう。だが、そうしたとこで結局は不審に思った二乃が三玖に聞けばバレてしまう。

 

 零は考える。社長ならこんな時に何と言うだろうか、と。

 

いや、考えるまでもない。社長ならーー

 

 (バレるまで黙ってろ! とか言いそうだよな……)

 

 THE・ダメ人間を象徴している社長をあてにするのをやめた零は、どうするべきかもう一度よく考えるとーー

 

 

 

 

 

 

 

 (バレるまで黙っとくか)

 

 どうやら零もダメ人間に汚染されつつあったようだ。

 

 零はとりあえず近くの棚から探し始める。だが流石に二乃のコンタクトの在り処までは把握していない零には簡単に見つけることが出来ない。

 

 零が黙々とコンタクトを探していると、未だに零のことを三玖だと思っている二乃が口を開く。

 

 「なによ、まだ昼のこと根に持ってるの? ………あれは悪かったと思ってるわよ

 

 少し声を小さくして俯きながらポツリと謝罪の言葉をこぼすニ乃。

 

そして少しずつ零の方へ近づいてくる。

 

(やべぇ! あんまり近づかれるとバレる!)

 

零は二乃が近づいてくるのに合わせてジリジリと後ずさる。

 

「……やっぱり怒ってるじゃない」

(どうする? やっぱり正直に話すべきか?)

 

二乃は零が黙っているのを怒っているのだと勘違がいしたようだ。

 

「全部…全部アイツらのせいよ! パパに頼まれたからって好き勝手にして! ……それになんなのよあの護衛は! いつもいつも偉そうにして!」

(……偉そうで悪かったな)

 

二乃が喋っているのが零だとは露知らず、彼女の本音をぶちまけ始める。零は二乃の本音を聞くために、二乃が零のことをどれだけ悪く言っても全て受け止める気持ちで話を聞く。

 

「アイツらに私たちの居場所なんて奪われたくないんだから! 私たちの家にアイツらの入る余地なんてないんだから!!」

 

(入る余地なんて無い、か⋯⋯)

 

二乃の行動は全てその『奪われたくない、壊されたくない』という気持ちに基づいて行われてきたのだろうと零は気づいた。それと同時に零は自分がやはり二乃たちと()()()()()()()()()()ことを思い知らされた。

 

 今の状態からの変化を彼女は恐れているのだろう。零や風太郎が彼女達を変えてしまうことを恐れている。

 

 まさに零と真逆だ。

 

 『いいか、零。変われないやつはこの世界では生きていけない。現状に妥協し、泳ぐのをやめた魚はここではすぐに溺れ死ぬ。そんな奴はお前もたくさん見てきただろう?』

 

 昔の社長の言葉が思い出される。零が恐れているのは不変。不変は停滞を意味すると考えている零には二乃の心情は理解できないだろう。

 

 「分かんねえな。やっぱり俺にはお前の気持ちが理解できないみたいだ」

 「!!?? 誰!?」

 

 今までずっと黙っていた零がついに口を開く。二乃は三玖だと思っていた人が三玖ではないと知って驚きと恐怖の入り混じった表情をする。

 

 「俺だ。夢宮零だ」

 「………え? ……………嘘………うそ………」

 

 現状を把握した二乃の顔がみるみる赤く染まり、目にはうっすらと涙が溢れ出て来る。そして胸元のバスタオルを握りしめたまま後ずさる。そして背後にあった身長を遥かに超える高さの棚にぶつかりーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その上に置かれていた大きい壺のようなものが落ちてくる。

 

 「! おい、避けろ!」

 「え?」

 

 零が焦って叫ぶが二乃は落ちてくる壺にまだ気づいておらず、素っ頓狂な声をあげる。

 

 (チッ、くそっ! どうする? 蹴って割るか? いや、割ると破片が散らばる。コイツは服を着ていないから絶対に怪我をするはずだ。それなら同じように()()も使えない。ならーー)

 

 ここまでの思考でおよそ0.3秒。零は床を蹴り二乃に接近する。そしてーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 押し倒すようにして床に倒し、その上に抱きつくような形で覆いかぶさった。これなら零が背中で壺を受けることができ、さらに二乃にも破片が当たらないと判断したのだ。

 

 だが、零の計算外のことが起こってしまった。

 

 「……い、いやっ!」

 「なっ!」

 (こいつバカか!?)

 

 未だに壺が落ちてきていることに気づいていなかった二乃は零に襲われたと勘違いして零を突き飛ばしたのだ。

 

 突き飛ばされた零は少しのけ反る。するとどうなるか?

 

 ガシャーン!

 「がっ!」

 

 降ってきた壺が零の頭に直撃するのが自明の理だ。予想以上の衝撃に零は意識を揺さぶられながらも、無理矢理体を動かして割れた壺の破片から二乃を守る。

 

 それに対し二乃は零を突き飛ばした直後、壺が落ちてきていることに気づいて目を瞑って身を強張らせる。

 

 そして壺が割れる音が辺りに響き渡るが特に体に何かが当たる感触もなかった。その事を不思議に思ってギュッと閉じていた目をそっと開けるとーー

 

 ボタッ、ポタッと横に向けていた顔の前に赤い何かが滴り落ちてくるのが目に入る。

 

 「え? うそ、何これ……」

 「あーくそっ、痛ぇ」

 「!? アンタ何するの………って血が…」

 

 押し倒されたことを思い出した二乃が零の方に向き直して罵倒しようとするが、零の額から流れる血を見て動きが止まる。そして二乃は気づいた。零は二乃を押し倒したのではなく、身を挺して守ってくれたのだと。そして二乃が零を突き飛ばしたせいで零の頭に壺が当たったということに。

 

 「押し倒して悪かったな。怪我はないか?」

 「な、ないわよ! それよりアンタの方が……」

 「俺は大丈夫だ。破片が散らばってるから気をつけろよ」

 

 そう言って零は立ち上がり、破片を避けながら歩くが足取りが覚束ない。フラフラとしながら歩いている。

 

 「ちょ、ちょっと! 大丈夫なの?」

 「なんだ? 心配してくれてんのか?」

 「うっ………………そうよ、心配してるのよ。悪い?

 

 照れくさいのか顔を物凄く赤らめながら今にも消え入りそうな声で零を心配する二乃を見て、零は内心少し驚く。

 

 (なんだ、やけに素直じゃないか。罪悪感でもあんのか?)

 

 「それで、アンタ大丈夫なの?」

 「正直に言うと大丈夫⋯⋯じゃない。今も、すげえ、目眩が………あ、やべぇ⋯。⋯⋯悪い⋯俺…⋯少し⋯⋯寝る、わ⋯⋯」

 

 喋っている途中で急に倒れた零。どうやら遅れて反動がやってきたようで、さすがの零でもあの衝撃を頭に受けると耐えられなかったみたいだ。

 

「え!? あ、アンタ大丈夫? ねえ、ちょっと!」

 

二乃が焦った声で零に呼びかけるが、零からの反応はない。

 

「! 何してるんですか、二乃!」

 

そこに二乃悲鳴と壺が割れる音が聞こえて、慌てて様子を見に来た五月が現れる。

 

「夢宮くん!? 大丈夫ですか? ⋯⋯⋯⋯良かった。息はしてます」

「あ、当たり前よ。死んでるわけないじゃない」

「⋯⋯二乃。いくらなんでもこれは酷すぎると思います」

「え?」

 

二乃は五月の言っている意味がわからず困惑する。

 

「いくら彼のことが嫌いだからって、こんなことをするのは良くないと思います」

「……え? ええ?」

 

 五月の言う『こんなこと』がさっぱり見当がつかずに困り果ててしまう二乃。そしてちょうどその時、やっと部屋から出てきた一花があくびをしながら階段を降りてくる。

 

 「ふぁ〜、おはよう〜。ってあれ? レイ君? ⋯⋯……まさかこれ二乃がやったの? 暴力はダメだよ」

 

 一花にそう言われて二乃はやっと五月と一花の勘違いに気づいた。

 

 血を流して倒れる零。床に散らばる壺の破片。倒れている零のそばに立つ二乃。そして二乃は零のことを心良く思っていない。

 

 二乃が零を壺で殴った場面に見えるのは仕方のないことだろう。

 

 「って違うわよ!!」

 

 二乃がこの後怒りながら弁解したのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 『ほら、✕✕。たくさん食べてね』

 『どうした✕✕? 暇なら父さんとキャッチボールでもするか?』

 

 声が聞こえる。懐かしく、今では二度と聞くことが出来ないはずの声が。

 

 母は優しい人だった。おっとりとしていて、美人で、いつも暖かく零のことを見ていてくれて、零の話を本当に楽しそうに聞いてくれる。だから零は母と話す時間が本当に大好きだった。

 

 父は明るい人だった。暗いときがないのではないかと疑うほどに笑顔を絶やすことが無かった。とても頼りになって、困ったときはいつでも相談に乗ってくれる。友達が少なく、退屈していた零とよく遊んでくれた。

 

零そんな二人が本当に大好きだったし、二人も零のことを大切に思ってくれていた。

 

幸せな家族。まさにその言葉どおりの家族だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、()()()のだ。

 

忘れるはずもない、零が十歳になった夏のある日の出来事。その日は朝からすごい嵐で、零は父と一緒に家でボードゲームで遊んでいた。母は零のためにクッキーを焼いてくれていた。

 

母のクッキーは少し焦げていることもあったが、零はその味が大好きで、クッキーは零の大好物だった。

 

父とボードゲームを楽しみながらクッキーが焼けるのを待つ。零は幸福感に満たされていた。

 

だが、最悪は嵐と共にやって来る。

 

リビングにあった窓が急に割れ、外から三人の男が乗り込んできた。男たちの手に握られていたのは、零が漫画やアニメでしか見たことの無いマシンガンだった。

 

父は零が椅子から転げ落ちるのも厭わず零を突き飛ばし、母はキッチンの奥の部屋へと駆け込もうとした。

 

そしてーー

 

 

 

 

 

 

二人とも殺された。父は撃たれる間際に何か口にしたような気がしたが、零には聞き取ることが出来なかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

零は意識が覚醒すると同時にゆっくりと目を開ける。まず目に飛び込んでくるのは見慣れない天井。そして零は自分が倒れていた原因を思い出し、自分がソファーで寝かせられていたことに気づいた。

 

(珍しいな、あの時の夢を見るなんて⋯⋯。頭を打ったからか? そう言えば、あの後に社長に助けて貰ったんだったっけ?)

 

そんなふうにぼんやりとしていると、四葉の顔がアップで視界に入る。

 

「あー! 夢宮さんが起きました!」

「レイ君大丈夫?」

「ん? まあな」

零は一花に尋ねられて頭に手を当てると、そこにガーゼが貼ってあることに気づいた。

 

「壺が当たったのに切り傷だけだったんだよ。運がいいね〜」

「いや、壺が当たった時点で運が悪いだろ」

 

零のツッコミに一花は笑って誤魔化す。

 

「俺は大丈夫だが、二乃はどこだ?」

「二乃なら部屋。もしかしたら寝てるかも」

 

三玖が時計を見ながら答える。時刻は既に12時を回っていた。

 

「そうか、なら俺も帰るわ。⋯⋯おっと、忘れるとこだった」

 

零は本来の目的である風太郎の財布が机のそばに落ちているのを見つけると、ポケットにしまって立ち上がった。

 

「本当に大丈夫なんですか?」

「ああ、寝たからもう平気だ」

 

そう言って零が玄関に向かうと、四人がわざわざ見送りに来てくれた。

 

「それじゃあまた明日学校で」

 

片手を軽く上げてそう言うと、零は中野家を出た。

 

エレベーターの到着を待っている間、携帯を開くと着信履歴とメールが数件ずつ入っていた。

 

ひとつは風太郎から。どうやら零がなかなか出てこないので、インターホンを鳴らしたようだが、誰も出てこなかったようだ。何かあったのか? という心配と、先に帰るから明日に財布を渡してくれという伝言が書いてあった。

 

零は誰もインターホンに出なかったのは、恐らく零が倒れたことに慌てていて誰も気づかなかったのだろうと推測した。

 

もうひとつは後藤から。零がなかなかマンションから出てこないので不思議に思ったらしい。

 

ちなみに心配している様子は一切なかった。

 

零はそれぞれに軽く返信すると、ようやく来たエレベーターに乗り込んだ。そして1階のボタンを押し、エレベーターの扉が閉まる直前ーー

 

 

 

 

二乃が閉まりかけの扉の隙間を滑り込んできた。そして動き出すエレベーター。

 

「⋯⋯」

「⋯⋯」

 

束の間の沈黙が漂う。零は二乃がここに来た理由がわからず、困惑していた。先にその沈黙を破ったのは二乃だった。

 

「⋯⋯その、さっきはありがと」

「いや、俺も悪かった。知らなかったとはいえお前のバスタオル姿ーー」

「それ以上言わないで! アタシも忘れるからアンタも忘れなさい!」

 

よっぽど恥ずかしい出来事だったのだろう。その時のことを思い出したのか顔を耳まで赤くしている二乃。

 

「まあ、俺も悪かったから謝らなくて大丈夫だ。それに俺はお前らを護るのが仕事だ。俺は俺の仕事をしただけなんだよ」

「⋯⋯」

 

少しだけ黙る二乃。そして何かを決心したような顔つきで零の方へ向き直る。

 

「うん、やっぱり決めた。アタシはアンタも上杉も認めない! それであの子たちに嫌われようともね」

 

さっきまでの弱気な態度はどこへ行ったのかと思うほどに、いつも通りに戻った二乃の態度を見て零はニッと笑った。

 

「やっばりそっちの方がお前らしいな。項垂れてんのは似合わねえよ」

「フンっ」

 

零の反応が気に入らなかったのか、そっぽを向く二乃。

 

「俺はやっぱりお前の気持ちが理解できないな。お前が俺や上杉に反抗的な態度を取るのは姉妹たちが大好きだから、ってところまでは分かったんだが、なぜそんなことするのかが理解できない」

「⋯⋯」

 

零に面と向かって批判的な言葉を言われて少しムッとしながら黙る二乃。

 

「けど、俺は諦めない。理解できないからって理解しようと努力するのを止めたりはしない」

 

ちょうどエレベーターが1階に着く。ドアが開き、零が降りて、エレベーターの中にいる二乃の方に振り返る。

 

「だから待ってろ。俺がお前の気持ちを理解したその時に、お前の行動を否定してやる。お前の行為は姉妹のためにはならないと教えてやるよ」

「⋯⋯⋯⋯アンタに理解されるだなんてゴメンよ」

そしてエレベーターの扉が閉まる。ちゃんとそのエレベーターが30階に戻ったことを確認した零はマンションの外に出る。

 

マンションの前では路上に停めた車にもたれ掛かる一人の男がタバコを吹かしながら待っていた。

 

「おや? やっと来たか、零君」

「わざわざ迎えに来てもらってすみません、後藤さん」

 

後藤は懐から携帯灰皿を取り出すと、タバコの火を消してそれをしまった。

 

「いや、私の仕事のついでだから構わないよ」

「そうなんですか。どこに行ってたんですか?」

「グランドホテルで少しね。それよりやけに遅かったじゃないか。何かあったのかい?」

「少しトラブルがあったんですよ。まあ大した事じゃないんですけどね」

「そうかい。確かに君にとってはこの傷も大した事じゃないんだろうね」

 

後藤は零のガーゼが貼っている所を指さして言った。その皮肉に零は苦笑する。

 

「そうだ、君に聞きたいことがあったんだ。車に乗る前に少し良いかい?」

「もちろん、構いませんよ」

 

零が頷くと、後藤は零に自分と同じように車にもたれ掛かるように勧めながら尋ねた。

 

「君は彼女達のことをどう思うんだい?」

「それはどういうことですか?」

「彼女達に守る価値があるのか? という意味だよ。君はなぜ彼女達を守る? 一体なんのために?」

いつものようなやんわりとした雰囲気は消え去り、真剣味を帯びた後藤の目に見据えられた零は少し考える。

 

 「⋯⋯仕事だから、って答えじゃ納得しなさそうですね。どうしてそんなこと聞くんです?」

 「守るには目的がいる。それこそ命にかけてでも守るって言うなら、それなりの理由がいるはずだ。そうでないと守りきることは出来ない」

 

零は後藤の言葉の裏にすごく重たいものを感じていた。それには過去の後悔が含まれているのだろう。後藤の表情はいつもと違いとても厳しかった。

 

「だからもう一度尋ねよう。なんのために君は彼女達を守る?」

 「………」

 

 夜の静けさと少しの虫の音が住宅街に響いているなか、零は黙って考える。

 

 『零、お前は何のために戦うんだ?』

 

 かつて社長にも聞かれた言葉。その時の零には答えることが出来なかった質問。だが、今は違う。零はすでに答えを見つけ出していた。

 

 「……俺は親を殺された。悲しかった。寂しかった。苦しかった。辛かった。大事な人を失う痛さを身にしみて感じた。……だから、だからこそーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あいつらにそんな気持ちを味わってほしくないんですよ。あいつらはこっちに来ちゃいけない。楽しく笑い合って幸せな日々を過ごすべきなんです」

 

 どこか寂しそうに笑う零。その笑顔は優しさに満ち溢れたものでありながら、とても悲しいものだった。

 

 「……そうかい。それが君の答えなら私は何も言うことはないよ。すまない、長くなってしまったね。さっ、乗ってくれ」

 「そうですね。社長も待ってるでしょうし早く行きましょう」

 

 そう言って零は車に乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 「私としては君にも幸せになってもらいたいんだがね……」

 

 後藤がぽろりとこぼしたその呟きは、零の耳に入ることなく夜の街に消えていった。

 

 




 今回はここまで!

 完全オリジナルの文章なので、書くのに時間がかかりました……。





 〜筆者からのお詫び〜

 今回アンケートにたくさんのご協力をいただきましてありがとうございます! この作品のヒロインについての質問がありましたので、皆様にも説明させていただきます。

 筆者としてはまだこのアンケートでヒロインを決めるつもりはありません。最終的にはもう一度アンケートを取って決めるつもりですが、今回のはあくまで人気度の調査みたいなものです。説明不足でスミマセン……。

 前回のアンケートにて、それぞれがヒロインの場合のIFルート(投票結果一位をメインにして後は順番に)とハーレムのIFルートを作ることになりましたので、それぞれを章ごとに分けて投稿するつもりです!

 言葉足らずで申し訳ありません!




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