五等分の護衛 〜1人で5人なんて守れるわけねえだろ〜   作:無限夢幻

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 データが二度消えた。

 執筆し終えて投稿前に消えた。PCは修理に出した。

 正直に言います。萎えてました。


 今回は柳井パートです。どうぞ!


第十三話 後藤さんマジパねえっす

 零が美雪を迎えに行くために病院へとバイクを走らせていた頃、江端は柳井を車に乗せて中野家へ向かっていた。バックミラー越しに柳井の様子を窺うと、柳井はふかふかの座席にご満悦のようだった。見ている者をほっこりとさせるような人のいい笑顔を浮かべて滅多に乗れない高級車の座席を堪能していた。

 

 見る人の全員が口を揃えてイケメンだと言うであろうほどの容姿でありながら、礼儀作法も完璧で明るめの性格の高身長の青年。彼はまさしく非の打ち所がないという言葉を体現している。

 

 だが江端は柳井の雰囲気にどこか小さな違和感を感じていた。それは年長者の勘、と言うべきものなのだろうか。江端自身も言葉にして説明することは出来ないが、今の柳井の表情にはどこか()があるように感じていた。

 

 「? どうかしましたか江端さん?」

 「いえ、少し気になったことがありましたので……」

 「聞きたいことですか? ぜんぜん大丈夫です。何でも聞いてください。あ、ちなみに彼女はいませんよ。年中募集中です」

 

 年中募集していたら何百件と申し込みが来るのではないかと思いながら江端は苦笑する。そしてちょうど車が信号に引っかかったので後部座席へ振り返って尋ねてみた。

 

 「少し気になったのですが……『守り人』の方々は皆零様のようにお強いので?」

 

 江端は零から数回上がってきた報告書の全てに目を通していたので知っていた。零が襲ってきた複数の男を一人で打ち負かしてしまったことに。それもほんの数十秒の間でだ。

 

 江端はその報告が目に入ってきた時に二度も自分を疑った。1度目は今報告書を見ている自分の目が確かかどうかを。2度目はかつて零と会った時に『ひ弱そう』と感じた己の記憶を。

 

 零の戦闘能力は見た目とつり合っていない。それが最終的に江端の出した結論だ。

 

 あらゆる回答を想定し少し身構えながら尋ねた江端だったが、返ってきたのは少し苦笑混じりの笑い声だった。

 

 「まさか! そんな訳ないですよ。彼だけが………いや、彼と社長と後藤さんが異常なんです」

 

 あんな化け物たちと一緒にしないでください、と明るく笑う柳井を見て江端は安堵する。もし柳井が「もちろんです♪」などと清々しい笑顔&サムズアップをセットで言っていていたらどうしようと心配していたのだが、どうやら杞憂に終わったようだ。

 

 信号が青に変わったので再び前を向いて車を進めると、後ろから柳井が身を前に乗り出してきた。

 

 「あ、そうだ! 江端さんはその三人の中で誰が一番強いと思います?」

 「一番お強い方、ですか……」

 

 江端は少し考え込む。そして零が「社長は異常(チート)だ」と言っていたのを思い出した。

 

 「やはり社長様でしょうか?」

 「ピンポーン! じゃあ二番目はどっちだと思います?」

 

 柳井にそう言われて江端は困惑した。江端は後藤という人物にに会ったことがないからだ。チラリと零の話に出てきたくらいだ。だが、後藤が既に三十代近くの中年であることは知っている。

 

 「後藤様なのではないでしょうか? やはり歳の差もありますし」

 

 江端の答えに柳井はフッと意味ありげな笑みをこぼす。それを見て自分の答えが間違っていたのかと驚く江端だったが、結果は違った。

 

 「正解は………ボクにも分かりません♪」

 

 思わずズッコケそうになるのをグッとこらえてハンドルを離さなかったのは運転手としての意地だろうか。

 

 「そ、それはどういう意味で?」

 「実は僕もどっちが強いのか知らないんですよね〜。二人が実際に闘ったところは見たことないし聞いたこともないんです。本人たちに聞いてみてもお互いに『向こうのほうが強い』って言うんですよ〜」

 

 いわゆる良きライバル関係というものなのだろうか、と江端は一人で納得する。

 

 「柳井様はどうなんですか?」

 「え、ボクに聞きます? あの二人に手も足も出ませんけど」

 

 そこでさっと話題を柳井の方へ持っていったのだが、超が付くほどの真顔で返されてしまった。

 

 「ですが『守り人』に所属している時点でそれなりにお強いのでは?」

 「そりゃあそこらへんのチンピラなんかよりは100倍強いですけど……」

 「それを聞いて安心しました」

 

 さっきそれほど強くないと言っていたはずの柳井ですら、一般人の100倍強いのだ。江端は改めて『守り人』の異常さに戦慄させられた。

 

 そうしてやっと車は中野家のマンションの前に到着した。

 

 「柳井様、着きましたよ」

 「あ、もう着いたんだ。わざわざ送っていただきありがとうございました」

 「いえ、お気になさらないでください」

 

 江端に礼を言って車から降りた柳井は、走り去っていく車に手を降って見送った。そしてこれから向かう仕事場を想像して少しワクワクしながらインターホンを押す。

 

 『……はい』

 「あ、どうも〜。零の代わりに来た柳井といいます。開けてください」

 『…分かりました』

 

 応答した声は柳井のことを警戒しながらもちゃんとドアを開けてくれた。ーーが、柳井はインターホンを通して向こう側にいる人物を叱る。

 

 「えー駄目じゃん。本当に零の代わりに来たのかも確認せずにドアを開けちゃ駄目だよ。もしボクが嘘をついていたらどうするのさ」

 『ご、ごめんなさい……』

 

 初対面の人物にいきなり叱られて困惑したのか、少し萎縮したように謝る少女。それに気づいた柳井は相手を安心させるために優しい笑顔を浮かべる。

 

 「そんなに怒ってないから安心して。これから気をつければ良いから。今からそっちに行くから待っててねー」

 

 そう言うとエレベーターを使わずに階段を駆け上がり始める。三十階分の階段を登る労力はバカにならない。しかし、日頃から楽をしないようにしている柳井は息切れすることなく階段を登りきり、涼しい顔でインターホンを押す。

 

 ーーと同時にドアが内側から勢いよく開かれる。慌ててドアから飛び退くと、鼻先をかするようにしてドアが通り過ぎる。

 

 「いらっしゃいませ!」

 

 元気いっぱいの挨拶とともに中から飛び出てきたのはリボンを付けた少女。四葉だ。

 

 「……君はボクに恨みでもあるのかな?」

 「? 恨みなんてあるわけないじゃないですか」

 「うん、だよね。偶然だよね」

 

 こういう時こそ零の危機察知能力が心底欲しいと思う柳井だった。

 

 「とりあえずはじめまして。ボクの名前は柳井です。今日は零の代わりに派遣されて来ました」

 「そうなんですね。私は中野四葉です。よろしくお願いします!」

 

 いきなりのハプニングで柳井の心拍数はかなり上がっていたのだが、そんな事は一切表情に出さず涼しい顔で優雅に礼をする。四葉もつられて頭を下げる。

 

 「どうぞ、入ってください。みんな待ってますよ!」

 「あれ? ひょっとしてボクのこと待ってた?」

 「いえ、全然待ってませんでしたよ!」

 

 柳井は自分が零の家に寄ったことで彼女たちを待たせてしまっていたのかと思ったが、四葉が首を振って元気よく否定する。待たせていなかったのは良いことなのだが、そこまで元気よく否定されると少し悲しい気持ちになるのは何故なのだろうか……。

 

 柳井が気を入れ直してリビングに入ると、ソファーで三人の少女たちが待ち受けていた。

 

 (こうして見ると本当にそっくりだ)

 

 四葉が三人の隣に向かい、柳井は四人の向かい側に立つ。そしてまずは自己紹介から始める。

 

 「えーっと、ボクの名前は柳井です。今日は零の代わりにここに来ました。よろしくね」

 

 最後にニッコリと今まで多くの女を落としてきた(本人には自覚はない)笑顔をセットに手短な自己紹介を終える。

 

 そしてどんな反応が返ってくるだろうかと少しドキドキして五人の反応を待っているが、五人はキョトンとした表情で固まっている。

 

 「ちょっと集合」

 

 そしてニ乃の掛け声と共に部屋の隅に行って頭を寄せ合い話し合う。

 

 「どう思う?」

 「うーん、レイ君と全然違うタイプだね」

 「優しそう」

 「良い人そうですよ!」

 

 どうやら柳井は四人の内では第一印象はかなり良かったようだ。

 

 「えっと、それで君たちも自己紹介してもらっても良いかな?」

 「うん、そうだね。私は長女の中野一花だよ。よろしくね〜」

 「次女のニ乃よ」

 「…三玖」

 「四葉です!」

 

 柳井が頼むと、それぞれが個性に満ち溢れた自己紹介をしてくれる。もちろん零に調査書を書いた本人である柳井は、彼女たちの名前などとっくに知っていた。それでもわざわざ尋ねたのは、実際に喋ってみないと分からないことがあると思ったからだ。

 

 現に今の自己紹介で柳井はそれぞれの特徴とおおよその性格を掴んでいた。

 

 「あれ? あと一人いるんじゃなかったっけ? もう一人はどこに行ったの?」

 「五月なら上杉の家よ。お給料を払いに行ったわ」

 「そっか、ありがとう」

 

 あんな奴にお金なんて払わなくていいなどとぶつくさ言いながらも、ちゃんと教えてくれた二乃に柳井はニッコリとお礼を言う。

 

 「だけど困ったな。最近君たちを狙っている人達の動きが活発化してるから、一人で勝手に外出されたらどんな危ない目にあっても助けられないよ」

 「え? それって五月ちゃんが危ないんじゃ……」

 

 深刻さを全然感じさせないのほほんとした声で五月の身が危ないことを暗に示す柳井。それを聞いた一花の顔が少し青ざめる。

 

「まあ今回は大丈夫そうだけどねー。なんて言ったって『魔弾の狙撃手』の後藤さんが五月さんに付いてくれてるみたいだからね!」

 

 自分のことでもないのにドヤァーと誇らしげに胸を張る柳井を見て、四人は称賛の拍手を送るーーなんてことはなく、お互いに顔を見合わせるだけだった。

 

 それもそのはずで、四人は後藤という名前は零がインカムで話していた時にを耳にした程度であり、それがどこの誰なのかも全く知っていないからだ。

 

 「あれ? ひょっとして後藤さんのこと知らない?」

 「知らないわよ。誰よそれ」

 「あれれ? それじゃあもしかしてのもしかしてだけど、ボクのことも零から聞かされてなかった?」

 「ええ、なんにも聞いてないわ」

 

 まさかあいつ何にも教えていないのか…と柳井は笑みをヒクヒクと引き攣らせる。

 

 「そ、それじゃあ改めてボクたちの紹介を。ボクは零の同僚の柳井です。普段は別の任務についているんだけど、たまに零の手伝いで君たちを見守ってたよ」

 「ええ!? 気が付きませんでした!」

 

 四葉の驚きに柳井はフッと笑みこぼす。四葉たちが気づかなかったのではなく、柳井が気づかれないようにしていたからだ。

 

 「そしてもう一人後藤って人がいるんだけど、その人はボクと零の上司にあたる人ですごく強い人なんだよね」

 「へぇ、どれくらい強いの?」

 「なにせ『魔弾の狙撃手』なんて名前が付けられているくらいだからね。すごく強いよ」

 

 そう前置きをして柳井は心底嬉しそうに後藤の凄さを語り始めた。

 

 要約するとこんな感じである。

 

 *名前:後藤

 *所属:警備会社『守り人』

 *コードネーム:『魔弾の狙撃手』(本人は納得していない)

 *コードネームの由縁:狙撃の命中率は驚異の100%。砂嵐の中であろうが、吹雪の中であろうが、彼が一度銃を構えればその弾が外れる事はない。また、遮蔽物の向こうに隠れようが、計算し尽くされた跳弾からは逃れられない。後藤の撃った弾はまるで生きているかのように動くので、魔弾という名前がついた。

 *備考:元軍人であるため、狙撃だけでなく近距離戦も優秀。また頭の回転がすごく早い。隙という隙が見つからない人物。

 

 

 

 「どう? これで分かった?」

 

 数分にわたる柳井の演説を聞き終えた一花と二乃と三玖は微妙な顔をしている。柳井の言うことが現実離れしすぎていて、理解が追いつかないという表情だ。

 

 ただ四葉だけが後藤の凄さに子供のように目を輝かせていた。

 

 「その人って本当に人間なの?」

 「え? う、うーん。多分人間………なはず。メイビー」

 「なんで確信がないのよ……」

 

 今度は一花に聞き返された柳井の方が返事に困ってしまい、ニ乃に突っ込まれる。

 

 「まあ後藤さんが人間かどうかはおいといて話を戻すけど、五月さんはその後藤さんが護衛してくれてるから安心だよ」

 「なんだか良く分からないけど大丈夫そう」

 

 三玖が胸をホッと撫で下ろすのを見て、柳井は満足そうに頷く。

 

 「と言うわけで自己紹介はこれで終わり! なんか質問ある? 無いよね?」

 「あ…」

 

 質問があるかと聞かれた時に三玖が手を上げようとしたが、上げるタイミングが運悪く柳井の発言と被ってしまい、気不味そうに手をゆっくり下ろす。

 

 だがもちろん柳井がそれを見逃している訳がなかった。

 

 「あれ? どうかした三玖さん?」

 「その……質問じゃなくてお願いがあるんですけど……」

 「なんだい?」

 「その……今日のお祭りに……」

 

 人見知りなのか少し顔を俯けながらモジモジとお願いをする三玖。

 

 「ああ、今日のお祭りに行きたいのかい?」

 「うん。……だめ、かな?」

 「いやいや、全然構わないよ! そのために今日は零も来てくれるからね」

 「ほんとに? 良かった…」

 

 三玖の言う「良かった」はお祭りに行けることへの安堵だろうか。それとも零が来ることへのーーなどと想像しながら柳井はニヤニヤしている。そして三玖がホッとしている不意をついて口を開く。

 

 「ねえ、君たちは零のことが好きかい?」

 「ふぇっ!?」

 

 一番派手に反応したのは三玖だった。してやったりと柳井はニヤッと笑う。

 

 「おや? その反応はひょっとして?」

 「ち、違うよ。別に好きとかそんなんじゃ……」

 「そうそう、私たち出会ってまだ短いんだよ〜?」

 

 赤くなった顔を隠すように俯く三玖。そこに助け舟を出したのは一花だった。

 

 「それじゃあ一花さんは零のことどう思っているのかな?」

 「え? う、う〜ん。友達、かな?」

 「友達ね………。そっか、それならこれからも仲良くしてあげてね」

 「任せて」

 

 『友達』という言葉を聞いて一瞬表情を深刻なものにした柳井だったが、一花たちが訝しむ前に元の笑顔に戻す。

 

 

 

 友達。その言葉は零にとって物凄く重たい意味を持っている。そして柳井はその重たさをよく知っている。

 

 だからこそ柳井はあることに確信を持っていた。

 

 

 

 

 

 零は決して彼女たちを友達とは認識していないだろうということに。

 

 

 「気の毒だけどしょうがないことだよね」

 「うん? なにか言った?」

 「いや、なんでもないよ」

 

 柳井が零した呟きに一花が反応したが、柳井はまたもや優しい笑みを浮かべて誤魔化したのだった。

 




 なんかPCを修理に出してる間にいくつか質問が来てたのでここで答えます。

 Q、五人の中で一番誰を書くのが楽ですか?
 A、ん〜二乃ですかね。なんか反発する感じに書けばそれっぽくなるので楽です。四葉も「!」を付けとけばそれらしくなる気が……。


 Q、アンケート結果は投票したら見れますよ?
 A、え!? 知らなかったです。……じゃあ、頑張って見ないようにしていて下さい。


 Q、主人公の名前の由来はなんですか?
 A、書く前から五つ子が1,2,3,4,5と数字が入っているので主人公は0か6だなーと考えていました。なのでそのまま零としました。


 Q、自分も「五等分の花嫁」の二次創作を書きたいのですが、書いてるとなんだか軽い話になってしまいます。どうすればうまく書けますか?
 A、それは筆者も知りたいです……。まあ、あえて言うなら『会話表現を用いすぎないこと』ですかね。話を書くときどうしても会話文を多く使いがちですが、文章が少ないと会話が重くてもその作品が軽く見えてしまいます。逆に文章を多く用いれば会話文が軽くても、自然と重くなるものです。ですがやはり小説を書くのにいちばん大切なのは続けることだと思います………。

 

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 執筆を急ぎますので応援よろしくお願いします! 次回乞うご期待!



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