五等分の護衛 〜1人で5人なんて守れるわけねえだろ〜   作:無限夢幻

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 どうも〜、お久しぶりです〜。

 いろいろと訳アリで更新が遅くなってしまいました。
 すみません〜。

 理由はあとがきで話しますので、まずは本編にLET’S Go!


第十四話 ゲームセンター

 弾込め(リロード)を終えた銃を直立の姿勢で両手で構える。普段持っているものに比べたらまるで玩具のように軽く短いそれを眼前まで引き寄せると、フロントサイトもリアサイトも付いていない銃身越しに標的(ターゲット)の鉄仮面のような無表情を見る。狙うはそのこめかみ。計算は完璧。銃身の歪みまで考慮したからには外れることは万一もない。

 

 零は深呼吸をして自分の心拍に意識を向ける。人間の体は生きている限り完璧に静止することはできない。大まかな動きは抑制できても鼓動する心臓がある限り、その指先の振動までは止めることができない。それ故の深呼吸。脈拍を最大限まで遅くし、自分の心臓が鼓動するタイミングを完璧に把握する。

 

 「……今」

 

 心臓が収縮を始めるその直前で手にかけたトリガーを引き絞る。乾いた破裂音とともに銃口から飛び出る弾は狙いと寸分違わず標的のこめかみに命中する。発射された弾より圧倒的に質量の大きい標的だったが、こめかみを撃たれて重心が後ろに傾き落下する。

 

 そして地面に落ちて数回バウンドした後ピクリとも動かない標的を見て零はほくそ笑む。

 

 「ま、こんなもんか」

 

 零がポツリと零した呟き。それに答えたのはーーー

 

 

 

 

 

 

 

 ーーパチパチパチパチ!!

 

 「ありがとうお兄ちゃん!」

 

 周囲から送られる賛美の拍手や歓声と喜びながら抱きついてくる美雪だった。

 

 零はそこで自分がゲームセンターの射的コーナーにいた事を思い出す。そして地面に転がった熊のぬいぐるみ(ターゲット)を拾い上げて美雪に差し出すと、美雪は満面の笑みを浮かべてぬいぐるみを大事そうに抱きしめる。

 

 それは祭りが近いからという理由で設置されていた特設の射的コーナーの前を通り過ぎた時に、美雪が見つけて欲しがったものだ。

 

 その射的コーナーは賞品がいろいろと豪華でたくさんの人が挑戦して賑わっていたが、誰一人当てることが出来ないでいた様子だった。賞品にあった一万円分の商品券を見て目の色を変えた風太郎が、一回三百円のそれに挑戦したがあっけなく撃沈。やけくそ気味にその後続けて三回ほど試したが結果は変わらず。物理の法則に反しているだのなんだの叫びながら退場。

 

 続けて五月も挑戦するが近くまでくっついてきた風太郎に悲鳴を上げてしまい、誤射をしながら放たれた弾は特設コーナーを担当していた係員の顔面にぶち当たった。

 

 風太郎と五月の散々な結果を目にしたらいはと美雪は、離れた場所から壁にもたれ掛かって様子を見ていた零の方へ行くと零に代射を依頼。最初は渋っていた零だったが、美雪とらいはのキラキラした目に見つめられて折れてしまった。

 

 まずは風太郎の財布から三百円を有無を言わさず奪い取ると、自分の財布から取り出した三百円と合わせてニヤニヤと意地汚い笑みを浮かべている係員へ支払う。

 

 係員が持ってきた銃と二つのコルク栓をじっくり観察すると、納得がいったように頷きながら商品券の前に立つ。流れるような動きで銃を構えた零を見てカッコつけた野郎だと思ったのか、係員が鼻で笑う。だがそれも気に留めることなくニヤリと不敵な笑みを浮かべた零は深呼吸とともにトリガーを引いた。

 

 パサリと床に落ちる商品券の入った封筒。係員は一瞬驚愕に目を開いた後みるみるうちに顔を青ざめさせ、反対に周りにいたお客さんは零へ喝采と驚きの声を送る。零はありえないだの、銃身が曲がってるはずだの俯きながらボソボソと零す係員から受け取った封筒を中身を確認した後風太郎へ投げ渡す。

 

 あたふたしながらもしっかりキャッチした風太郎を見ることなく、零は次の標的の前へ立つ。それを見た係員は更に顔色を悪くし、零が商品券を射落とした事を知ったギャラリーは期待の眼差しを零へ送る。

 

 そして話は冒頭へ戻るわけだ。

 

 零の射撃術を見て満足したギャラリーたちは興奮が冷めないまま、和気藹々と話しながら去っていく。中には零が出来たのだから自分たちも出来るのではないかと考え、当たりもしない射的に果敢に挑戦する人たちもいた。

 

 「夢宮このお礼はどうしたらいいんだ………」

 「…なんかすごく気持ち悪い」

 

 感動に目を潤ませながらゆっくりと近づいてくる風太郎。それを見た零はドン引きしながら数歩距離を置き、これ以上近づいたらぶっ飛ばすとでも言わんばかりに殺気を出して構える。

 

 「もーお兄ちゃんも照れちゃダメだよー」

 「…別に照れてなんかない。俺はらいはちゃんのために取ってあげたんだ。上杉のためじゃない。それでなんか買ってやれよ」

 「ああ、もちろんだ! 恩に着るぜ!」

 「あー! ツンデレだツンデレ!」

 

 揶揄する美雪に対して口をへの字に曲げて抗議の意を示すが、美雪は余計に面白がって零をからかいながら周囲をウロチョロと逃げ回る。

 

 「ん〜? そんな事言うのはこの口か〜?」

 「い、いひゃい〜!」

 

 美雪は零に頬を抓られて少し涙目になりながら頬を両手で擦っていたが、痛みが引くと再び零の周りをぴょんぴょんと跳ね回る。

 

 その二人の様子を少し離れた場所から温かい目線で微笑ましそうに見守る傍観者(五月)がいた。そこに風太郎が寄ってくる。

 

 「普段のあいつと全然違うよな」

 「え? ……そうですね。いつもの彼からは想像できません」

 「夢宮もあんな顔するんだな」

 

 二人の視線の先には美雪を見て優しい笑みを浮かべている零がいた。その姿は正しく『お兄ちゃん』そのもので、鉄仮面を付けているのかと思うほどのいつもの無表情の零からはとても想像できない姿だった。

 

 「もーお兄ちゃん! 五月さんも! そんなこと言ったら失礼だよ!」

 「あ、ああ、そうだな。だけど……」

 「あれは本当に夢宮君なんでしょうか……?」

 

 らいはに嗜められつつもやはり動揺を隠せない二人だった。

 

 「おーい! らいはちゃんこっちこっち〜!」

 「うん! 今行くね!」

 

 美雪に呼ばれたらいはが美雪の方に駆け寄っていき、二人の間に束の間の沈黙が流れる。

 

 「……その、なんだ。付き合わせて悪かったな」

 

 五月は一瞬風太郎が何を指して言っているのか分からなかったが、すぐに自分がらいはと美雪に半ば強引に連れてこられたことを思い出す。そしてそのことを忘れるぐらい自分も楽しんでいたことに気づき、頬を少し赤らめる。

 

 「…いえ、私も楽しかったので。…それにしても、あなたが日曜日に遊びに出かけるなんて事もあるのですね」

 「本当は家で勉強していたいけどな……。けど、らいはには家の事情でいつも不便をかけている。あいつだってもっと沢山やりたい事があるはずなんだ。せめて……せめて今日だけでもあいつの願いは全部叶えてやりたいんだよ」

 

 真剣そうな表情を浮かべて語る風太郎を見て、上杉家の借金事情を知っている五月は少しバツが悪そうに目を逸らす。

 

 らいはのためにも助けれるのなら助けたい。だが助けたいからと言ってお金を渡すというのもどこか違う気がする。それに仮にお金を渡しても風太郎は受け取ろうとしないだろう。まだ短い付き合いだが、それくらいは五月も感じ取れた。

 

 結局は自分にできるのは見ている事だけなのだと結論づけて風太郎の方に目を戻す。そしてその顔を見て軽く吹き出した。

 

 「フフッ」

 「ど、どうした急に笑い出して」

 「いえ、あなたもちゃんと『お兄ちゃん』しているんですね」

 

 五月の目線の先では先刻見た誰かさんのように妹を見て優しい笑みを浮かべる風太郎がいた。他人()のことを言っていた割には風太郎も彼と同じようなものだったのだ。それが可笑しくて五月は笑い出す。逆に風太郎は五月の言っている意味が分からず目を白黒させてしまう。

 

 「お兄ちゃん、五月さんーー」

 「駄目だよらいはちゃん! この二人の時間を邪魔したら!」

 「え? ………あっ! お、お邪魔しました〜」

 

 らいはが二人の元へ走り寄ってくるが、美雪に言われた後、風太郎と五月の顔を交互に見てから自分が邪魔者であることに気づき、消えるようにそっと退散していく。

 

 「ちょ、ちょっと待て! 勘違いだ!」

 「そ、そうです! 全然邪魔じゃないです!」

 

 慌ててらいはの肩を掴んで連れ戻し(ついでに美雪も捕まえてきて)いい雰囲気になったりすることは一切無かったと二人揃って力説した。その二人の必死さに、美雪とらいはは顔を見合わせて吹き出した。

 

 「何を笑っているんだ……? それで何か用か?」

 「あ、そうだ! お兄ちゃん、五月さん、次はあれやろうよ!」

 「あれって……げっ!」

 「あれはプリクラですか?」

 

 風太郎が見て苦悶の声を上げた見るからに可愛くデコられているそれは、風太郎が入るにはあまりにもレベルが高すぎるものだった。なんとかして別のもので興味を引こうとする風太郎だったが、先程言ったセリフを五月に指摘されて諦めたようにプリクラの中に連れ込まれていく。

 

 ちなみに零は何のためらいもなく承諾し、風太郎から尊敬の眼差しを受けて嫌そうな顔をしていた。

 

 

 

 

 

 ゲームセンターでの楽しい時は過ぎ、外の景色が茜色に染まり始めた。ゲームセンターを十分満喫した五人はーー美雪とらいはは名残惜しそうに後ろをチラチラと振り返りながらーー外に出た。

 

 「さて、楽しい時間も終わったし帰って勉強するか!」

 「えっ?」

 「どうした五月? 夜の勉強くらい当たり前だろ? もちろんやるよな? な?」

 「こ、来ないでください〜」

 

 勉強狂い(バカ)勉強嫌い(バカ)の追いかけっこが始まったのを呆れた目で眺めていると、美雪が零の腕をちょいちょいと引っ張った。

 

 「ねえねえ、あれって残りの『お雛さん』の人たち?」

 「ん? …ってなんでお前らがここにーーーああ、花火大会か」

 

 美雪の指差す先にいた一花、ニ乃、三玖、四葉を見て不可解な顔をするが、四人が来ていた浴衣を見て今日が花火大会当日であったことを思い出した。

 

 「あれれ? ひょっとして忘れてたのかい?」

 「ああ、できればお前のことは忘れていたかったよ」

 「あ! 柳井さんだ!」

 

 四人の後ろからひょっこりと顔を出した柳井に渋い顔を向ける零と対照的に、美雪は屈託のない明るい笑みを向ける。

 

 「やっほ〜美雪ちゃん。楽しんでるかい?」

 「うん! とっても! これ見て〜。いいでしょ!」

 「お、可愛いぬいぐるみだね〜」

 

 褒められたのはぬいぐるみなのに、まるで自分のことのように喜びながらぬいぐるみを愛おしそうに抱きしめる。そしてそのぬいぐるみを手に入れた経緯を誇らしそうに語り始め、それに柳井と四人が聞き入る。

 

 「……あの、夢宮君、…彼は?」

 「知らん」

 「え? で、でも知り合いなんじゃ……」

 「俺は何も知らん。これ以上俺にあいつのことを語らせるな」

 

 断固として柳井に関して何も語ろうとしない零。風太郎と五月はお互いに顔を見合わせて困惑する。そこに助け舟を出したのは話題の種の本人だった。

 

 「おっと、自己紹介がまだだったね」

 

 柳井は二人の方にニコニコと人のいい笑顔を浮かべながら二人の方に歩み寄った。そしてクルッと華麗なターンを決め、天を突き刺すように指を伸ばし、呆然としている二人を置いて堂々と自己紹介をーー

 

 「ボクの名前は柳井! 天衣無縫のーー」

 「こいつは柳井だ。俺の同僚だよ」

 

 できなかった。

 

 「あ〜〜!! なんでそう邪魔をするかな君は!? さっきボクのこと知らないって言ってたよね!? ねぇ!? それとも何? わざとなの? さっきと同じでわざとなの?」

 「フッ」

 

 さっきまでの優雅な姿勢はどこへ行ったのか、捲し立てるように怒っている今の柳井には優雅さの欠片もない。それに対して零は鼻で笑って返す。柳井の額に青筋が浮かんだ。

 

 「へぇ〜、わざとなんだ〜。やっぱりわざとだったんだ〜」

 

 湧き起こる怒りを耐え忍ぶように引きつった笑みを浮かべながらゆっくりと話す柳井。傍目から見ても柳井がかなり我慢しているのが見て取れる。

 

 これは流石に危険だと判断した他の皆は「早く謝れ」という意味を込めた視線を零に送る。

 

 しかし、「空気を読めないのではなく読まないのだ」と自負している零はーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「わざと以外ありえないだろ? え、それとも本当にわざとじゃないと思ったの? ハッ、馬鹿じゃねえの?」

 

 盛大に煽った。それはそれは見事な煽りを一番やってはいけない時に決めてしまった。

 

 

 「殺す」

 「ハッ、やれるもんならやってみろ」

 

 

 

 こうして世界一くだらない理由で起きた戦いの火蓋がーー切られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後二人の喧嘩がアクション映画を超えるような超次元的な動きであったため、映画やドラマの撮影と勘違いしたギャラリーがたくさん寄ってきて、警察が出動する事態となったのはまた別の話である。

 

 

 

 




 はい、え〜、まずは……




 すみませんでした!!


 更新まで時間がかかった割には全然書けてませんでした。申し訳ないです。

 理由としては他サイトで別の小説を書き始めたことが原因ですかね〜

 別にサボってたわけじゃないですよ。マジで(動揺)

 予告していた内容と違った内容になってしまいましたが、皆様の広いお心ならば許してくださると信じております!


 これからはこのくらいの短さで書こうかな……。そしたら更新も早くなりますし(多分)

 どうでしょうか? ご意見お願いします!




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