五等分の護衛 〜1人で5人なんて守れるわけねえだろ〜   作:無限夢幻

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 ギリギリセーフ……だと思う。

 ちゃんと十月中には投稿できた……はず。

 今回は後書きでいっぱい話すことがある……はずなのでどうぞ!


第十六話 花火大会1

 お互いが少し姿勢を低く構えて睨み合うことおよそ十秒。先に動いたのはこんな真夏に黒のロングコートを羽織っている白い仮面を付けた男ーーガンマだ。その踏み込みから接近までの速さは、【最速】という二つ名も納得出来るほどの視認するのも難しい速さであった。その高速の踏み込みから放たれるのは零の顔面を狙ったストレート。技術や技などは切り捨てて、ただひたすらに『速さ』にだけ特化したガンマの拳は、それを視認することさえも許してはくれない。

 

 しかしその動きを事前に()()()()()()零は、迫りくる拳を横から押すようにして逸らす。狙うのは力が一番入りにくい時ーーつまりその腕が伸び切る直前の拳の先端。裏拳で嫌なものでも追い払うかのような仕草でとても簡単に逸らす。

 

 だが、逸らされたガンマも体勢を崩すことはなく、そのまま肘鉄、回し蹴りへと流れるように動作を最速で繋ぐ。肘鉄は半歩後ろに下がって避け、回し蹴りはしゃがんで回避した零はわずかに出来たガンマの隙を狙って前に飛び込む。

 

 「チッ」

 「遅い」

 

 だが零が一歩を踏み出した段階でガンマは既に体勢を立て直しており、零の突き出した拳を余裕をもって後ろに大きく跳躍して躱す。

 

 「だが悪くない。まさか初見であれに反応できるとは」

 「……」

 

 ガンマの称賛を不機嫌そうに顔をしかめながら受け取る零。だが、そんな表情の下ではガンマの速さに対する焦りの感情が渦巻いていた。

 

 速い。そんな感想しか出てこないほどに圧倒的な速さ。それに以前会った時よりも数段速くなっていることにも舌を巻かずにはいられない。その速度は零であっても、その残像を目で追うことがやっとで、来ると思った瞬間には既にガンマは間合いの内側に入り込んでいる。

 

 身の危機を本能的に察知し、考えるより先に体を動かすことでなんとか防ぐことは出来たが、次も可能かと言われれば自信はない。彼の様子を見るに恐らくガンマも先程が全力というわけではないのだろう。となれば彼が本気を出した途端、零はガンマの動きを察知することすら出来なくなる。

 

 「さてと、軽い準備運動も済んだことだ。ここからは仕事(本気)の時間とさせてもらおう」

 

 そう言うが早いか、ガンマはポケットからバタフライナイフを取り出すと、パチンとどこか心地良さを感じる音を鳴らしながら構えた。ナイフを持った右手だらりと力なく垂らしながら右足を前に出し、今にも倒れ込みそうなほどまで前に重心を傾ける。

 

 「……行くぞ」

 「ッ!?」

 

 (もう来てんじゃねえかよ!)

 

 その声が耳に届いた瞬間にはもう既に眼前にナイフが迫っていたことを内心で毒づきながら、零は大きく背後に飛びのこうとしてーー

 

 「がっ!」

 

 ナイフの突きでは届かないと判断したガンマの蹴りをまともに腹に食らって数メートル吹き飛ばされる。とはいえ、零も瞬時に腹筋を固めたので大したダメージはない。

 

 しかし、空中で姿勢を崩すことなく着地した零の前には、既に体を半身にして腕を後ろに引き絞った状態のガンマが待っていた。

 

 「っと!」

 「シッ!」

 

 (しな)るようにして撃ち放たれた右腕の突きを零はわざとその場で足を滑らせて後ろに倒れるように躱し、両腕を地面に着いて逆立ちのように着地する。

 

 「っらぁ!」

 

 そして、曲げた腕と体の反動を利用して不安定な状態からも難なく飛び蹴りを放ってみせる。狙うは腕を伸ばしきった状態のガンマの無防備な腹部。いくら速いガンマと言えどもこの状態では完璧に防ぐことはできないはず。

 

 だがーー

 

 「よっと」

 

 突きを放った勢いを殺さずに利用する事で、華麗にクルリと前宙を決めながら零の頭上を飛び越えてしまう。

 

 ならば着地した瞬間の隙を攻めてやろうと振り返った瞬間、首筋を悪寒が走り抜けた。

 

 零は今までの経験から知っている。その悪寒は危険を察知した本能からの警告であると。ならば振り返った時に()()()()()()()()ガンマが何処に居るかなどは明白だ。

 

 「後ろっ!」

 

 零は前方に跳びながら回し蹴りを後方に放つ。不安定な体勢から放った蹴りは通常より明らかに威力の低いが、確かに振り下ろされるナイフの軌道を逸らした。

 

 「っ!? 消えーー」

 

 ーーと思った瞬間には既にガンマの姿は消えている。

 

 「チッ、速すぎだろ!」

 

 慌てて辺りを見回してその姿を探すが、視界にその姿は映らない。薄暗い路地の中で、ただガンマの駆ける足音だけが焦る零を嘲笑うかのように鳴り続ける。加えてその足音すらも路地の壁に反射して上手くガンマの居場所を特定できない。気配を察知しようにもガンマが速すぎて気配が残り香のように遅れて伝わってきてしまい、役に立たなくなっている。

 

 しかし、明らかに不利になった状況の中でも、溢れ出すガンマへの殺意を撒き散らして周囲を警戒しながら零は冷静に状況を分析していた。

 

 (視界に入ったなら()は視認は出来なくても本能()が何か違和感に気づく筈だ……。だとしたらアイツは一度も俺の視界に入ってない。つまり常に俺の背後を取り続けている筈だ。だったらーー)

 

 「シッ!」

 

 零が行ったのは単なる後ろへの中段蹴り。狙ったタイミングは足音が聞こえた直後。つまりガンマが確実に零の背後にいるタイミングを狙ったという事だ。

 

 加えて零の1メートルほど後ろには壁がある。避けるスペースもほとんど無いし、蹴りが当たれば壁に叩きつけて追撃まで出来ることは間違いない。

 

 タイミングと位置は完璧でありながら、この近距離だ。零がただの蹴りを外す訳もなく、華麗な一筋の線を描きながら放たれた中段蹴りは見事ガンマへと命中する。

 

 

 

 

 

 

 ーーー()()()()()()()()()()()()()()

 

 零の視界に映るのは、恐らくガンマが投げたであろう地面とぶつかって真っ二つに割れている小石。そしてコンクリートの壁を大きく震えさせるほどの力でぶつかる零の足。ガンマの姿はそこには無かった。

 

 「っ!? 音はブラフか!」

 「正解だ」

 

 ()()()()()()()()()ガンマの声にバッと顔を向けると、逆手持ちにしたナイフを大きく振りかぶりながら急降下して来るガンマがいた。

 

 ガンマも内心では焦っていた。ガンマの取り柄はその速度。弱い相手なら相手に視認される前に殺すし、強くてもその速度を持って一度視界から外れてしまえば、背後からの奇襲は必ず成功する。

 

 だからこそ零とガンマは相性が悪すぎる。なにせ零にはガンマの得意の奇襲が効かない。見えていなくても殺意の持った攻撃を繰り出せば察知されてしまうからだ。

 

 だからガンマがやったことは至って単純。常に零の背後を取りながら、零が振り向くタイミングよりもワンテンポ早く上に飛び上がり、小石を零の真後ろに投げただけだ。その音を聞いた零が後ろを振り向き、そこにガンマがいないと知って動揺した一瞬の隙を狙って切り込む。どれほど零が察知できようとも、ガンマの攻撃速度自体はやはり速いのだ。先程まででもギリギリで反応出来ていた零が、一瞬でも動きを止めてしまえばどうなるか想像は難くない。

 

 「終わりだ」

 「……」

 

 振り下ろされるナイフをじっと見つめながら姿勢をかがめて微動だにしない零。その気怠そうな黒い瞳は己の最期を悟った絶望の色を映し出しているーー

 

 「()()()()()()()()()!」

 

 筈がなかった。

 

 壁へと伸ばした足を力強く踏みしめて蹴ると、体の捻りを加えて大きく半円を描くような蹴りをナイフを握るガンマの手に横からぶつける。

 

 下方向へのベクトルと水平方向へのベクトルが絡み合い生み出されるベクトルは当然斜め下。零の人形のように白い左頬を掠るように通り過ぎたナイフは地面にぶつかって甲高い金属音と火花を巻き取らす。

 

 「シッ!」

 「グッ」

 

 逆に今度は無防備を晒すこととなったガンマを零が見逃すはずもなく、その仮面に覆われた頬に回し蹴りをめり込ませてガンマを大きく吹き飛ばす。

 

 「チッ、浅いな。直前で後ろに跳んだか」

 

 やっと一撃を入れれたにも関わらず零の表情に喜色はない。むしろさらに警戒するように、ノロノロと起き上がるガンマに身構える。

 

 「⋯⋯まさかブラフがバレていたとはな。いつ気づいた?」

 「振り向く直前だ。あの時の足音だけ殺気が感じられなかった。だからおかしいって思ったんだよ」

 「なるほど⋯⋯⋯ククッ、本当に貴様とは相性が悪いようだ」

 

 仮面の下から不気味な笑い声を鳴らしながらガンマは立ち上がった。

 

 もはや抑える気もない殺気を立ち昇らせているガンマ。その仮面の下に隠された表情は怒りの形相か、はたまた零と同じく戦闘の興奮から来る笑みを浮かべているのか。

 

 零はガンマの心臓を鷲掴みされたかのようなプレッシャーを感じる殺気に怯みながらも、すぐに振り払って殺気を放ち返し歯を剥き出して獰猛に笑う。

 

 殺気と殺気のぶつかり合い。幸運なのは周囲に一般人がいなかったことか。仮に居たとしても恐らく気絶していたであろうが。

 

 「次で終わるりだ」

 「ああ、お前がな」

 「⋯⋯口の減らない奴だ」

 

 ガンマは手に持ったバタフライナイフを折り畳むとポケットに仕舞った。それを見て零は内心で舌打ちをする。

 一見武器を仕舞う事は愚かな行為かもしれないが、零にとっては別だ。零の本能は迫る危機が危うければ危ういほど強く反応する。それが拳とナイフであったらその反応の強さの差はかなり大きいものとなる。つまり零はガンマの動きを察知しづらくなると言う事だ。

 

 そしてーー

 

 「本気で行くぞ」

 

 とうとうガンマが本気を出した。

 

 何が来ても反応出来るようにサッと身構える零。

 

 だがーー

 

 「ガッ!」

 

 気づいたら腹に衝撃を受けて宙に浮いていた。

 

 (一体何が?)

 

 急な出来事で頭の理解が追いつかない零にガンマは更なる追撃を加える。

 

背後(死角)からの迫る回し蹴りを察知して逸らすも、()()()()()ミドルキックに反応が出来ずに吹き飛ぶ。

 

 (ああ、クソッ! 後ろに回り込むの速すぎだろ!)

 

 受け身を取るように転がりながら着地した零は、すぐにその場を跳び退こうとするがそれよりも早く上からの衝撃で地面に叩きつけられる。

 

 それでも痛みに怯む事ことなくブレイクダンスのように逆立ちをして回転して周囲を蹴り払った。

 

 だがそれすらもガンマには隙でしかない。振り終わった足を掴まれて思い切り横にぶん投げられる。

 

 側転とバク転を駆使して体勢を立て直した零に迫る拳。

 

 それを察知して逸らす。

 

 横から迫る肘鉄。

 

 蹴りで相殺する。

 

 真反対から迫る蹴り。

 

 逸らしきれずに吹き飛ぶ。

 

 躱す。逸らす。吹き飛ぶ。躱す。逸らす。吹き飛ぶ。躱す。逸らす。吹き飛ぶ。躱す。逸らす。吹き飛ぶ。躱す。逸らす。吹き飛ぶ。躱す。逸らす。吹き飛ぶ。躱す。逸らす。吹き飛ぶ。躱す。逸らす。吹き飛ぶ。躱す。逸らす。吹き飛ぶ。躱す。逸らす。吹き飛ぶ。躱す。逸らす。吹き飛ぶ。躱す。逸らす。吹き飛ぶ。

 

 その一連の動作を一体どれほど繰り返したであろうか。

 

 ガンマは内心焦りに苛まれていた。どれほど攻撃しても未だに零にまともに当たってはいない。全て逸らされるか腕や足で塞防がれている。

 

 幾度となく吹き飛ばしてもすぐに立ち上がって構える。

 

 (これは⋯⋯早々に決着を付けねば我が負ける)

 

 このまま持久戦に持ち込まれると不利になるのは、無駄な動きを極力省いて防御に徹している零ではなく、当然動き回っているガンマの方だ。

 

 ーーこれで終わらせる

 

 その決意を持ってガンマは試合の決着を付けに(零を殺しに)かかった。

 

 行うのはもう何度目かも数え切れないほど繰り返した、背後に回り込んでからの中段蹴り。

 

 当然の如く少しのバックステップで()()()躱される。

 

 次の瞬間、零の右肩に決して浅くない傷ができ鮮血が飛び散る。ガンマが()()()()()()ナイフが肩を切り裂いた事に驚き目を見開く零。

 

 いや、恐らく驚いているのは零の本能が()()()()()()()()()()()事であろう。

 

 それもそのはずで、ガンマが行ったのは()()()()()()()()()()()()()。そこに()()ナイフがあり、()()()()ガンマの蹴りが当たって飛んでいくように仕向けたのだった。

 

 曰く『狂戦士』には銃弾が当たらない。曰く『狂戦士』は獣より鋭い感で身の危険を察知する。『狂戦士()』に関するヤバい噂は後を耐えない。

 

 しかし、ガンマは零が察知しているのは身の危険ではないと、戦いの中で感じ取っていた。本人でさえ気付いていないかもしれないが、零が察知しているのは、恐らく身に迫る危機ではなく他人の殺気や害意だ。

 

 故に零には攻撃が当たらない。敵意も害意も無く人を攻撃する人間など殆どいないからだ。

 

 だから零を殺すには殺意を乗せずにナイフを当てるしかないのだ。

 

 そうした結論に至ったガンマはナイフを蹴り飛ばすと言う行動に出た。それもナイフを飛ばすことを目的とせず、あくまでも目的は蹴りを放つこととして殺意を出来るだけ少なくするように。

 

 効果は覿面(てきめん)だ。零は肩に傷を負い、大きくバランスを崩している。

 

 「シッ!」

 「! ガッ!」

 

 ガンマは零に肉薄すると思い切り拳を固めてストレートを零のガラ空きの胴に打ち込む。零の防ごうと動く腕の隙間を縫って今度こそは完璧に入ったとガンマは確信した。

 

 「存外『狂戦士』と言っても大したことは無いものだな」

 

 体をくの字に折り曲げて飛んでいった零はゴミやガラクタが積まれた山の中に突っ込んで行ったきり戻ってこない。さっきから防戦一方に殴られぱなっしなことに加えて、先程深く入った一撃。どれほど体を鍛えたボクサーの世界チャンピョンであっても、起き上がることは出来ないはずだ。それが身体の細い零であれば尚更厳しい。

 

 「貴様のことだ。これくらいで気絶などしていないのだろう?」

 

 問いかけてみるが零からの返答は未だない。だが漂う殺気が消えきっていないので零が起きているのは間違いない。

 

 こんなものかとガンマは不機嫌そうに鼻を鳴らす。『狂戦士』と恐れられている零と戦う機会を依頼によって与えられた彼は物凄く喜んだ。自分よりも強いかもしれない人間(化け物)と戦うことが出来るのだ。これを喜ばずしてどうしようか。

 

 だが蓋を開けてみると、零の回避能力は凄まじいものの『狂戦士』と呼ばれるほどの狂気じみた何かは感じられなかった。今まで数々の『狂戦士』に関する噂を数多耳にしていたこともあり、はっきり言ってその呆気なさに失望した。

 

 「……つまらん。実につまらん。確かに我では貴様を殺せぬ。だが貴様の攻撃など本気を出した我には掠りもせぬ。貴様には失望したぞ『狂戦士』。ああ、実に苛立たしい」

 

 そう言って舌打ちするとガンマは近くにあったゴミ箱を蹴り飛ばし、中身が飛び散ったのを見てまた苛立たしげに舌打ちする。

 

 「もういい、貴様はそこで寝転がっていろ。あの娘たちの絶望に歪んだ死に顔をここに持ってきてやる。そうすれば貴様も少しマシにはなるしれんな」

 

 そう言ってガンマが踵を返して歩きだすと、ガサッとガラクタの山から何かが動いた音が聞こえてきた。ガンマはピタリと足を止めてゆっくり振り返る。

 

 「ほう、動くのか。そんなに彼奴らを守りたいのか?」

 

 その言葉を肯定するかのように再び零が動く物音がかすかに聞こえる。それを聞いたガンマは醜悪な笑みを仮面の下で浮かべながら嘲笑うような口調で言い放つ。

 

 「無理だな。貴様は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ククッと愉快そうに喉を鳴らして笑うガンマ。

 

 そして零はーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ”?」

 

 

 

 たったその一言で空気が凍りついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガラクタの山に突っ込んだ零は体中の力を抜いて脱力しながら空を見上げていた。体中はあちこちがズキズキと痛みを訴え、腹にもろに食らった一発のせいで呼吸が苦しい。

 

 (ああ、疲れた)

 

 ただでさえ慣れない五人の護衛が原因でここ数日はろくに寝れていない。元よりブラック会社の社員もびっくりな仕事量をこなしていたが、それに加えて個々が好き勝手に動き回る五人の護衛だ。それなんの無理ゲー? と改めて問いたくなる。

 

 そんな零の顔をいろどりどりの光が照らす。黃、桃、青、緑、赤と様々な色の花が空に浮かんでは消えていく。

 

 (花火か……)

 

 『花火は大切な思い出なんだ』

 

 思い出されるのは花火に顔を綻ばせながら見上げていた三玖の言葉。

 

 「大切な思い出、か……」

 

 大切な思い出。そんなものは零にはない。

 

 いや、正確に言えば昔はあったのかも知れない。だが思い出(そんなもの)はとっくの昔に戦場で汚れ、擦り切れてしまった。

 

 常に生きるか死ぬかの瀬戸際で育てられてきた零には思い出や感情は自分の動きを鈍らせる障害でしかなかった。

 

 だから捨てた。生きるのには必要(役に立た)ないと。

 

 だから殺した。余計な怒りや悲しみは冷静な判断を妨げるから。

 

 だが、その過去の愚かな行動が現在の零の足枷となっている。そのことが零には滑稽に思えていた。

 

 (俺には彼女たちが分からない。………いや、理解して(分かって)やれない)

 

 分かってやれない。

 

 生きてきた環境が違うから。

 

 理解してやれない。

 

 感情を失くした(殺した)から。

 

 喜びも悲しみも怒りも慈しみも。全て彼女達と同じものを抱くことは出来ない。

 

 (だけど、それでもーー)

 

 『ねえねえレイ君聞いてる?』

 

 零は願わずにはいられない。一度願ってしまったから。

 

 『これあげるわ。この前のお詫びよ』

 

 いつか、彼女たちと同じ感情(気持ち)を抱けることを。

 

 『抹茶ソーダ、美味しいでしょ?』

 

 彼女達と些細なことで笑い合あえる未来を。

 

 『ドーン! 驚きました夢宮さん?』

 

 彼女たちが今のような純粋さでまっすぐ育っていくことを。

 

 『もっと真面目に授業を受けてください!』

 

 それは零の願いであり、また彼女達の願いでもあるのだから。

 

 だからーー

 

 (俺が負ける? ハッ、そんなことあってたまるか! 俺は()()()()()負けるわけには行かねえ。全部まとめてぶっ殺してやる!)

 

 零は止まらない(諦めない)

 

 

 

 

  

 「あ”?」

 

 

 

 

 

 ーーー『狂戦士』がたった今目を覚ました。

 

 

 




 『狂戦士』覚醒! 次回その本領発揮だ!

 花火大会はあと一、二話で終わらせる予定。書き出したら思ったよりも進まない…。



 〜お詫びと感謝〜

 つい先日この小説を読んだ友人から評価者してくれた人にお礼を言うべきだとの指摘を受けました。

 たしかにそうだ! すっかり忘れてました。スミマセン。

 というわけでーー

 ゼノ様
 クレナイ紅葉様
 まぐろんX様
 hend様 
 ニーナ GE3マルチ難民様
 椛葉様
 姉妹の兄で弟2様
 umesan様
 ケ丸様 
 ばはな様
 モノリス0120様
 一二三之七氏様
 腕龍様
 瀕死寸前のカブトムシ様

 評価有難うございました! 遅くなりましたが感謝申し上げます!

 お気に入り登録者の方々も書くべきか迷いましたが、地味に二百人超えていてかけそうにない……。嬉しい誤算です!

 他の皆様も低評価でも高評価でも構いませんのでよろしくおねがいします!

 尚低評価される方はどこが良くなかったか教えてくださると嬉しいです。


 〜希望キャラ追加〜

 東欄様より「とてつもなく影の薄い、いじられキャラがほしい」とのご要望を頂きましたので早速次回にでも取り入れていこうと思います。

 他の方々もよろしければぜひ!


 〜投稿予定日について〜

 活動報告にて告知することになりました。

 アンケートにご協力いただいた皆様、貴重なご意見有難うございました!





 あ、11月になってる……。
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