五等分の護衛 〜1人で5人なんて守れるわけねえだろ〜   作:無限夢幻

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感想ありがとうございました! おかけで生き延びましたが、如何せん今度は筆者自身が忙しくなるという⋯⋯。

とりあえず一つ書き終えましたが、次話は一体いつになるのやら⋯⋯。新キャラも出したいのに全然出せない⋯⋯。

まあ、頑張りますので応援よろしくです!

では、どうぞ。




第十八話 花火大会3

 五つ子なんて次元ではなく、もはや分身のように二乃と同一な少女を眼前にした風太郎の脳裏に〝ドッペルゲンガー〟という言葉がチラつく。

 

 「自己像幻視」とも呼ばれるその現象は、目撃したことのある人物は数えるほどしかおらず現代では都市伝説のようなものとして扱われている。

 

 だがどうだろう。目の前にいる少女は、まさしくそうとしか言いようがないほど二乃にそっくりだ。

 

 「アンタ……誰?」

 

 驚きのあまり硬直したままの二乃から絞り出されるように紡ぎ出された言葉に、少女は意味ありげに微笑む。その笑みがまた何かを企んでいる時の二乃の笑みにそっくりで、風太郎の背筋にゾクリと悪寒が走る。

 

 「おい、これは何番目だ?」

 「……分かりません。他の四人は既に他の組員が見つけてます。」

 「はあ? だったらコイツは何なんだよ!?」

 

 狼狽える大男達に向かって少女がコツコツと足音を鳴らしながら近寄る。

 

 「もう良いかしら? アンタ達のその反応も見飽きたわ。さっさと目の前から消えてちょうだい」

 

 普段の二乃と同じ高圧的な態度で話す少女に好き勝手言われてプライドが傷ついたのか、青ざめて冷え切った大男の顔に血の気が戻ってくる。

 

 目の前にいるのが一体誰なのか分からなかったとしても、腕力では決して男に敵わない、か弱い少女であることには変わらない。

 

 「おいおい随分と強気じゃねえか。そういう女は嫌いじゃないぜ」

 「あっそ、そんなのどうでもいいわ。今すぐ消えてって私は言ってるのよ」

 

 見上げる程の大男に詰め寄られても高圧的な態度を崩さない少女。その言葉は余裕さを滲ませていると同時に、大男を苛立たせようとしているように風太郎には感じられた。

 

 「チッ、もういい! 全員纏めてやっちまえ!」

 「「「「「「おう!」」」」」」

 

 豪を煮やした大男達はそれぞれの武器を手に歩み寄る。その目は好戦的にギラつき、口には己らの勝利を信じて疑わない笑みを浮かべている。

 

 対する少女は男たちの態度など何処吹く風で、男たちが駆けてくるのを何もせずただじっと見ていた。

 

 傍から見ればそれは諦めの態度のように見えただろう。だが、風太郎にはそうではないことが直感的に分かった。

 

 獲物を狙う捕食者の目と言えば良いだろうか。まるで自分の巣に獲物が飛び込んでくるのをじっと待ち構える蜘蛛のように、相手の動きを見ている。

 

 まさに零の戦い方によく似ている。もっとも目の前の少女は零ではないのだが。

 

 だからであろうか。先頭を突っ走っていた男が少女の間合いに入った途端に吹き飛ばされたのを見ても風太郎はあまり驚かなかった。

 

 吹き飛ばされたーーもとい投げ飛ばされた男は驚きに目を見開きながら成す術もなく屋上に規律よく並べられた机の列に頭から突っ込んでいった。

 

 それを起点に少女による一方的な闘いが始まった。

 

 少女を中心に渦巻く暴力は寄り来る男たちを吹き飛ばして決して近づけさせない。大の男がピョンピョンと宙を飛び交う姿は妙にシュールだった。

 

 しかし、その見た目に反して少女の動きは一挙一動が様になっていて、まるで舞を舞っているかのように鮮やかに踊っている。一人の少女に群がるように飛び掛かる男たちは、皆すぐにどうして自分が宙に浮いているのかも分からぬまま地面へと叩きつけられる。

 

 そして地面に張り付いて伸びている者には踵落としがセットでプレゼントされる。動けない者に待つのは『死』あるのみだ。

 

 もちろん本当の意味での死ではない。男としての『死』だ。その惨状を見ていた風太郎が顔を青ざめながら股間に思わず手を伸ばしたと言えばお分かりだろうか。

 

 男殺し(悪魔の所業)を躊躇なく執行する少女に、残った男たちは思わず後ずさる。

 

 中には「悪魔だ…悪魔がいる!」とか「鬼! 悪魔! 人でなし!」などという野次(悲鳴)が飛び交うが、少女が一瞥するだけでサッと鎮まる。

 

 「で? これで終わり?」

 

 いかにも私不満ですと言いたげな視線が、怯え焦っている愚男共に向けられる。だがそれでも男たちは何も言わないーーというより言えない。

 

 彼女の不満を解消するためにはこの一方的な虐殺を続けなければならない。そんなものもちろんごめん被る。

 

 かと言って何か口を開けば少女の憎悪(ヘイト)を買うことになるのでそれも却下だ。

 

 腰抜け? 意気地なし? なんとでも好きなように呼ぶが良い!

 

 男にはプライドなど踏み潰してゴミ箱に捨ててでも守り抜かなくてはならない大事な物があるーーと後に男たちのうちの一人は語っている。

 

 「はぁ、情けないわね。もう良いわ、邪魔よアンタ達。さっさと消えなさい」

 「「「Aye Aye Sir!」」」

 

 何処ぞの軍隊の如く一糸乱れぬ敬礼で応えた男たち。そのまま回れ右をして駆け出そうとしたところを少女が呼び止める。

 

 「ちょっと待ちなさい」

 「「「Yes Ma'am!」」」

 「そこに伸びてる馬鹿(漢女)共を連れてって頂戴」

 「「「Aye Aye Sir!」」」

 

 俊敏に動いて仲間を担ぎに行く男たち。事情の知らない第三者から見れば、少女がこの男たちの頭領(トップ)だと思われていただろうが、実際は襲いかかって返り討ちにあっただけである。

 

 「そうそう、アンタ達に特別に良いことを教えといてあげるわ」

 「へい! なんでしょうか?」

 「今日はアンタ達の事務所に帰らない方が良いわ。命が惜しかったらね」

 「分かりました! 御忠告恐れ入ります!」

 「以上よ。去りなさい」

 「「「はっ!」」」

 

 少女に(へりくだ)る態度を見せる大男(トップ)に向けられる視線は軽蔑や失望ではなく、少女と会話をしている事への尊敬や畏怖の眼差しであったことを考えれば、いかに少女が恐れられているのかが理解できるだろう。

 

 少女の解散の一声を機に蜘蛛の子を散らすように去る男たち。そんな彼らに見向きもせず、少女の視線は未だ理解が及ばず動けない風太郎とニ乃へと向く。

 

 「それで、アンタ達は大丈夫? ケガはない?」

 

 風太郎と二乃への気遣いの言葉を聞いて、風太郎は取り敢えず目の前の少女(悪魔)は敵ではないのだと安堵する。とは言え、彼女の姿がニ乃と同一である事に対する警戒は否めない。

 

 「アンタは……、アンタは誰なんだ?」

 

 無意識のうちに風太郎の後ろに隠れていたニ乃も同意するように頷く。風太郎でさえ不気味に感じるのだ。ましてや自分と全く同じ見た目の人間がいる事に、本人である二乃が抱く恐怖はきっとかなりのものだろう。風太郎の服の袖を握る手がかなり震えているのだから。

 

 「アタシ? ……ひょっとしてこの事も零から何も聞いてないの?」

 「「何一つ聞いてない(わ)」」

 「あのバカ……」

 

 〝肝心な事を伝えてないなんて…〟と額に手を当てて嘆息する少女は、零が()()()を伝えていなかった原因が零の面倒を嫌う性格にあると考えていた。だが、実際に零が伝えなかった原因は()()()()()()()()()()()()()というその一点にある。

 

 「ハァ、分かったわ。アタシから……いや、()()から説明させてもらうよ」

 「? どこかで聞いた声な気が……」

 

 突如少女の声が聞き覚えのある声に変わり、風太郎の記憶の欠片が反応する。聞く者を安心させるような、または他人を煽り、嘲笑うかのような声色。つい最近、零の側で聞いたことがあるはずだ。

 

 「そりゃ聞き覚えがあるよ。ほんの少し前まで一緒にいたからね」

 

 そう言って少女は己の首元へ手を伸ばし、()()()()()()()()。そう錯覚するほどに巧妙に作り込まれた覆面(変装道具)の下から現れたのは、見る者を引き込むような美貌と男性にしては少し長めの銀髪を夜風に靡かせた青年だった。

 

 ただ、服装は二乃が普段着ているものだったので、外見は女子にしか見えないし、声の高さも中性的でどちらかは判別がつかない。それでも風太郎が男性だと認識できたのはついさっき会ったばかりであるからだろう。

 

 「改めて名乗ろうか。『守り人』所属、『No.871(柳井)』。通称『黄昏』です。よろしくね。」

 

 そう言って、色とりどりの花火を背に道化師(柳井)はイタズラが成功した子供のようにあどけなく微笑んでいたのだった。

 

 

 




※ドッペルゲンガー :都市伝説はやはり都市伝説。
※大男達 : 何処かの組員だったりする。裏で操ってる人物がいるらしい。
※男殺し : ダメ、ゼッタイ!
※No.871 : 本名かどうかは定かではない。
※黄昏 : 誰彼とも書く。変装の達人に送られた称号。本当に誰なの君?



遅くなりました。しれっと投稿しちゃいます。

感想本当にありがたいです! 励みになりますのでこれからも短くて良いんで送ってくださったら幸いです。

では次話をお楽しみに!

※誤字報告ありがとうございました!
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