【完結】とある再起の四月馬鹿(メガロマニア) Ⅱ   作:家葉 テイク

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タグは超絶ネタバレなので見ないでください(見ても忘れてください)


序章 選択は冬の後に Route_Branch.
scene 1


   序章 選択は冬の後に

Route_Branch.

 

 

 

 ライトの明かりが眩しかった。

 

 

「はっ!?」

 

 

 ふと気づくと、どこかのスタジオに立っていた。周りには数人の大人の男女。目の前にはカメラを構えている男性が俺のことを見ている。

 カメラ……撮影? 俺のことを? ……俺?

 

 そこで意識が、自己の現状を確認するレベルにまで落ち着いてきた。

 気流が身体に当たる感触。服の衣擦れの感覚はない。視線を下に落とすと──そこには、自分の胸があった。

 

 

「ブラックガードさん? どうしましたか~?」

 

「あ……いえ……」

 

 

 咄嗟に言い返しながら、俺は混乱の極地に立たされていた。何故って……俺の胸は、肌がめちゃくちゃ露出していたから。

 露出していたというか、これは……ビキニである。俺は今、牛柄のビキニを身に纏って見知らぬ男に撮影されていたのだった。これで混乱するなという方が無理がある。

 

 

《レイシアちゃん! レイシアちゃん!》

 

《……んあ……? なんですのシレン。うるさいですわよ朝から。…………っていったいこれはどういうことなんですの!? エロ同人!?》

 

《レイシアちゃん……どこからそんな語彙……あ、俺の記憶か……》

 

 

 ……俺の記憶、適度に飛ばした方がいい気がしてきた。

 じゃなくて! なんなんだこの状況!? 気が付いたら牛柄ビキニ着てグラビア撮影って本当にいったい何事なんだよ!?!?

 

 

「……すみません、倉科さん。少し休憩させていただいても? ちょっと眩暈が」

 

 

 と。

 そこで急に、俺達の口が勝手に動いた。

 

 

《……レイシアちゃん?》

 

《いえ、わたくしは何も……》

 

()()()()()()()()

 

 

 その次の瞬間。

 俺は、信じられないものを見た。

 

 それは────

 

 

『少し、話をしよっか。現状を整理するためにもね』

 

 

 ──空中を浮遊するレイシア=ブラックガードの霊……いや、もう一人の『シレン』の姿だった。

 

 

 


 

 

 

とある再起の四月馬鹿(メガロマニア) Ⅱ

 

 

 

 


 

 

 

『といっても、俺達もまだ状況が理解できてるわけじゃないんだけどね』

 

 

 そんなことを言う『俺』……正確には『もう一人の俺』の横には、同じく半透明で浮遊しているレイシア=ブラックガードの姿が。たぶんこっちは、もう一人のレイシアちゃんだろう。

 この世界の、と言うべきかもしれないが……。

 

 

『たぶん君達は、別の世界から来たシレンとレイシアちゃんだと思う』

 

「……別の世界、ですの?」

 

 

 レイシアちゃんの言葉に、もう一人のシレンは頷き、

 

 

『うん。というよりは……過去、かな? 俺達……というか俺は、もうグラビア撮影も慣れたから。そんなに慌てふためくってことはグラビア撮影の経験ないんでしょ?』

 

「ないんでしょ、と言われましても、それは当然ではないでしょうか……」

 

 

 頬に手を当てながら、俺は答える。今は身体が冷えないようにバスローブを纏っているが、やはり心もとなさはある。というか他人に肌を見せるとか、恥ずかしいでしょ普通に……。

 

 

『フフフ、昔のシレンを思い出しますわね。あの時は凄い慌てふためきようでしたわ~』

 

『レイシアちゃん混ぜっ返さない』

 

 

 ふわふわと漂いながらにやつくもう一人のレイシアちゃんに、もう一人の俺は少し頬を赤らめながら彼女の頬を引っ張る。

 …………時系列の話も十分気になるんだけどさ。

 

「それ、いったいなんですの?」

 

『うん? ああ、これのこと? これは幽体離脱(アストラルフライト)。ほら……AIM思念体って言えばわかるでしょ? レイシアちゃんのAIM拡散力場を使って流体コンピュータをやってるだけだよ。ちょっとコツがあってね、まぁ君達もそのうち()()()()()()()と思うから……』

 

 

 何となく分かる?

 なんかボカされてる気もするが……まぁ俺も過去から自分が来たらボカした言い方するか。あんまり具体的なことを教えて時系列に影響出たらとか考えちゃうしね……。

 

 

「それで。此処はわたくし達から見て未来らしいですが、いったいどれくらいの時代なんですの?」

 

『んー……第三次世界大戦、って言ったら分かるかな。それが終わった後の世界だよ』

 

「だっ!?」

 

 

 うわー……やっぱ起こっちゃったのか、第三次世界大戦。

 ってことは、当然この時代の俺達は第三次世界大戦を戦い抜いた後ってことなんだよな……。俺達の性格であっちに行った上条さんの後を追わなかったわけがないし。

 

 

『まぁ、そのへん気にしてもしょうがないと思いますわ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……?」

 

『ちょっとネタバレしますと、わたくし達の干渉によって操祈の参戦が早まったので、そのあたりもいろいろ劇的でしたわよ。当麻の脳が部分的に修復されて操祈のことが認識できるようになったり……』

 

 

 マジで!? そんな超大イベントがこんな早くに起こっちゃっていいの!? ……いや、どんな超大イベントだろうと、食蜂さんのことを考えたら、一刻も早く起きるべきだな。それは絶対に俺達の時代でも起こさなくっちゃ。

 

 

『あと、当麻とファーストキスしたり……』

 

 

 マジで!?!?!?!?!?!?!?!?

 

 

『……過去シレン、食いつきが違いますわね……』

 

『卑しい女だ……』

 

 

 卑しくないし! いや自分の話になったらビビるでしょそれは!

 

 

『まぁでも、これでモチベーションも上がったことでしょう。さてこの後アナタ達をどう戻すかですけど……、』

 

 

 と。

 もう一人のレイシアちゃんがそう言っている最中、目の前の視界が歪みだした。

 

 なん、だ……これ……は……?

 

 

『あ────そういう──つま──れは────(ミス)────』

 

「な……に!? 今、なんて……」

 

 

 世界が歪み、そして意識も遠のいていく。

 もう一人のレイシアちゃんの言葉を聞き返す間もなく、俺達は一つになって、また遠いところへと飛ばされていった。

 

 

 


 

 

 

 そして、消え去った二人の魂を見送った、シレンとレイシアは、静かに自らの身体の中に戻っていく。

 牛柄ビキニの上にバスローブを羽織り、()()()()()()()()()()()()()は静かに心の中で呟いた。

 

 

《まためんどくさいことになってるようですわねぇ》

 

《まぁ大丈夫でしょ。俺達なんだし》




※イメージ映像※

【挿絵表示】

ウシ娘です。


■異世界のシレイシア図鑑①
レイシア=ブラックガード(冬)
 中学二年生。時期的には新約三巻の直前くらいか。もちろんヒロインレース継続中。
 第三次大戦とかで色々と関係は深まっているものの、まだ誰も決定打には至っていない模様。順調に広告塔としての役割を全うしつつあり、破天荒な御坂美琴よりもしっかり(事件に巻き込まれずという意味)仕事をこなすとして上層部からの信頼はこちらの方が厚い。
 色々あって、第三次世界大戦を終わらせた聖女とされている。また、原作と違って食蜂操祈が本編に本格参戦したのがけっこう早かったらしく、彼女の認知問題については第三次大戦中に解決したらしい。
 彼女達曰く、第三次世界大戦中に上条当麻とファーストキスをするらしいとかなんとか。マジか?
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